事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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食品業界のM&A・事業承継の動向と事例

食品業界では人口減少や食のニーズ変化、コロナ禍などを背景にM&Aが活発に行われています。M&Aにより、譲り受け企業は既存事業強化や新分野進出を図ることができ、譲渡企業は財務基盤安定化や事業の選択と集中、事業承継などを実現できます。

食品業界の現況

定義

当業界は以下の業種からなります。

業種

定義

食品加工・製造

原材料を加工して食品を製造

食品卸売

製造業向けに食品・飲料・酒類の原材料、飲食業・小売業向けに食品を販売

飲料・酒類製造

原材料を加工して飲料・酒類を製造

飲料・酒類卸売

飲食業・小売業向けに飲料・酒類を販売

飲食店・テイクアウト・デリバリー

調理済み食品を提供する外食店・テイクアウト(持ち帰り)店・デリバリー(配達)店

市場規模・環境

食品・飲料・酒類の各製造業の出荷指数(2015年の出荷額を100とした相対指標)は以下のように推移しています。
食品製造業はコロナ禍のなかも横ばいで推移していますが、飲料製造業は2020年以降下降気味です。
酒類製造業はコロナ禍前から下降気味で、コロナ禍が下降に拍車をかける形となりました。

出典:令和3年度食品産業動態調査(農林水産省)および平成31年度食品産業実態調査(同)を基に弊社作成

食品・飲料・酒類卸売業全体の販売指数(2015年の販売額を100とした相対指標)は以下のように概ね上昇傾向にあります。
2019年には一時下落したものの、コロナ禍のなかも堅調に推移しています。

出典:令和3年度食品産業動態調査(農林水産省)を基に弊社作成

飲食業(飲食店・テイクアウト・デリバリー)の第3次産業活動指数(2015年を100としてサービス業の生産活動を総合的に表した指標)は以下のように推移しています。
2019年まではほぼ横ばいで推移し、2020年以降はコロナ禍で大きく落ち込んでいます。

出典:第3次産業活動指数 時系列データ 年・年度・四半期 原指数(経済産業省)を基に弊社作成

業態別に見ると、食堂・レストラン・専門店、喫茶店、パブレストラン・居酒屋の落ち込みが激しく(とくにパブレストラン・居酒屋)、テイクアウト・デリバリーは影響が限定的です。
ファーストフード店は2020年には多少の影響が見られたものの2021年にはコロナ禍前の水準に回復しました。[1]

業界の課題・展望

国内では中長期的に人口減少が進行し、食品需要が全体的に低下していくことが予想されます。
国内での販路多様化や商品・サービスの高付加価値化に加え、食のニーズが拡大している中国や開発途上国での販路開拓が今後ますます重要な課題となっていくでしょう。

各業種とも人員確保・育成を経営課題として挙げる企業が多く[2]、今後さらなる高齢化・人口減少により人材不足が深刻化する恐れがあります。

出典:食品産業動向調査結果(日本政策金融公庫)を基に弊社作成

共働き核家族世帯や若年層・高齢者の単身世帯の増加などにより、家庭内で調理を行う傾向が減退し、外食や中食(惣菜や冷凍食品などの調理済み食品を小売店・テイクアウト店・デリバリー店で購入して消費するスタイル)の需要が拡大してきました。
とくに中食は外食を上回る勢いで成長しており、コロナ禍のなかでも堅調に推移しています。[3]

出典:中食、外食市場の動向と課題(財務省)を基に弊社作成

コロナ禍の影響もあり、外食チェーンを初めとする飲食店では中食ニーズに対応するサービス(店内メニューのテイクアウト・デリバリーや自社ブランド冷凍食品の店頭販売など)が拡大中です。
中食をめぐる動向は食品製造業も含めた食品業界全体に影響を及ぼしていくものと予想されます。

食品業界は原材料価格の動向に大きく影響されます。
2021年以降、穀物などの原材料価格が高騰しており、中長期的に見ても穀物価格は上昇傾向にあります。
国内自給率が低いこともあり、原材料の安定調達は大きな課題となっています。[4]

食品業界のM&A動向

M&Aの件数・規模

食品・農林水産業界のM&A件数は以下の通り推移しています。

参考:第166回 食品・農林水産業界(マールオンライン)を基に弊社作成
※上記データは本記事の対象外となる農林水産業も含んでいる点に注意

一方で、飲食業のM&A件数は以下の通り推移しています。

参考:外食・フードサービスの2021年(2021年1月1日~12月21日)のM&A件数、金額ともに過去10年間で最低に(M&A Online)ラーメンなどの外食産業のM&Aが過去最高に(M&A Online)を基に弊社作成

M&Aが行われている背景

以下のような課題を解決する手段としてM&Aが活用されています。

  • ニーズ変化に対応するための商品・サービス見直し、新規開発
  • 販路多様化(EC化・D2C化やテイクアウト・デリバリー導入など)
  • 調達の安定化
  • 人員や後継者の確保
  • コロナ禍を受けた業種・業態転換、悪化した経営の立て直し

M&Aの成功可能性を高めるポイント

譲渡企業が重視すべき要素

  • ニーズ変動などを踏まえた自社の立ち位置の明確化
  • M&A・事業承継の早期検討、相性のよい譲り受け企業の選定
  • 人材の離職防止、モチベーション向上、労務管理の明確化
  • 財務状況の明確化、資産保有や資金の流れにおけるオーナー個人と法人の明確な分離
  • 主要取引先との契約継続など、M&A実行の際に問題となるポイントの検討

譲り受け企業が重視すべき要素

  • 事業内容・ノウハウ・設備・人材・立地・サプライチェーンなどの面で相補う関係にあり、経営統合により大きなシナジーが期待できる譲渡企業の選定
  • M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡企業選定・交渉・契約
  • 業法・各種規制との適合性の精査
  • 譲渡企業の企業価値やM&A成功の見込みに対する現実的で具体的な分析
  • 譲渡企業が抱えるリスク(労務問題や簿外債務など)の精査と対応の検討

食品業界でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 新商品開発、販路多様化、調達安定化など、単独では対応が困難な課題について、譲り受け企業の経営資源を活用することで解決・前進が期待できる
  • より大きな企業グループの一員となることで、財務基盤安定化や中長期的な事業成長を図ることが可能
  • 後継者不在であっても事業承継が可能
  • 不採算の事業や店舗を売却し、売却益や残余資源を主力事業に集中することで、中長期的な事業成長が図れる(事業の選択と集中)
  • 経営難に陥っていても、スポンサーとなる譲り受け企業のもとで経営再建が可能

譲り受け企業

  • すでに事業として成立しているまとまった経営資源を他から取り込むことで、事業拡大を一気に加速できる
  • 同業者の買収により事業規模を拡大し、スケールメリットを活かしてコスト削減や価格交渉力強化、ブランド向上などを図ることができる
  • サプライチェーンの川上・川下に位置する企業や物流企業の買収により、調達・生産・販売・物流の安定化・効率化や、ニーズ開拓が図れる
  • 異業種の買収により、新分野への進出(例:製造業によるEC・D2C進出、飲食店による製造業への進出)が図れる
  • 海外企業の買収により海外の販路や生産拠点を獲得できる

デメリット

譲渡企業

  • 経営統合で業務オペレーションや組織風土が変質し、業務の非効率化やモチベーション低下、人材の大量離職などが生じる恐れもある
  • ブランドが変質し、売上低下・顧客離れが起こる恐れもある
  • 譲り受け企業の子会社となる場合、現経営陣の経営権は多かれ少なかれ制限される
  • 相性のよい譲り受け企業がなかなか見つからない場合もある

譲り受け企業

  • 譲渡企業のリスクを引き継いでしまう恐れがある
  • 経営統合が難航し、コストがかさんで、想定より高い買い物になってしまう場合もある
  • M&Aの失敗で多額の損失が生じるケースもある

食品業界のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2022年8月(譲渡契約締結)、2023年2月(譲渡実行予定)

譲渡企業:神戸屋

譲り受け企業:山崎製パン

譲渡企業:人口減少・少子高齢化が進む中での事業ポートフォリオ見直し

譲り受け企業:譲渡企業の包装パン生産力・営業力の獲得 

手法:会社分割・株式譲渡

結果:神戸屋が包装パン・デリカ食品製造販売事業を分割して新設子会社に承継させ、同子会社の全株式を山崎製パンに譲渡[5]

2022年8月[6]

譲渡企業:日本ピザハット・コーポレーション

譲り受け企業:ヤマエグループホールディングス

譲渡企業:更なるサービス向上・事業成長[7]

譲り受け企業:BtoC事業への進出、流通トータルサポーターとしての役割の強化[8]

手法:株式譲渡

結果:ヤマエグループホールディングスが日本ピザハット・コーポレーションの全株式を取得

2021年4月[9]

譲渡企業:京樽

譲り受け企業: スシローグローバルホールディングス(現 FOOD & LIFE COMPANIES)

譲り受け企業:テイクアウト事業の強化、首都圏・関東圏での店舗展開拡大

手法:株式譲渡

結果:スシローグローバルホールディングスが京樽の全株式を取得[10]

[1]第3次産業活動指数 時系列データ 年・年度・四半期 原指数(経済産業省)
[2]食品産業動向調査結果(日本政策金融公庫)
[3]中食、外食市場の動向と課題(財務省)
[4]原油価格・物価高騰等の影響と課題(内閣官房)
[5]神戸屋の包装パン事業等の譲受け(山崎製パン)
[6]企業情報(ヤマエグループHD)
[7]株主の異動(日本ピザハット・コーポレーション)
[8]日本ピザハット・コーポレーションの株式取得(ヤマエグループHD)
[9]沿革(FOOD & LIFE COMPANIES)
[10]京樽の株式取得(スシローグローバルHD)

M&Aサクシードで成約した事例

M&Aサクシードでご成約された、食品業界の成功事例をご紹介します。

食品業界に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
ゴーストレストラン事業
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
株式譲渡
譲り受け
経営コンサルティング業
  • 業種
    サービス業(法人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
譲渡
4店舗展開 和食レストラン
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
事業譲渡
譲り受け
自動車部品等卸販売
  • 業種
    金属・プラスチック
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
都心高単価焼肉店
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
株式譲渡
譲り受け
車両製造・販売
  • 業種
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    25億円~50億円
譲渡
ベーカリーショップ
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    中国地方
  • 売上高
    5億円~10億円
株式譲渡
譲り受け
飲食業・建設業等
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    中国地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
大衆和牛居酒屋 7店舗
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
飲食FC展開・コンサルティング等
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    中国地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
ワイン専門商社
  • 業種
    飲食料品
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
株式譲渡
譲り受け
婚礼・レストラン等運営
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    中国地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
譲渡
ハワイアンカフェ2店舗
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    中部地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
事業譲渡
譲り受け
外食事業・福祉介護事業等
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
関東に展開する居酒屋7店舗
  • 業種
    飲食業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
事業譲渡
譲り受け
食品加工製造業
  • 業種
    飲食料品
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円

食品業界のM&A案件一覧

M&Aサクシードに掲載されている食品業界のM&A売却・事業承継案件のうち、企業様に許可をいただいた一部案件の基本情報のみを掲載しています。会員登録(無料)すると全ての売却案件情報が閲覧できます。

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居酒屋売却の価格相場は、用いる手法で変わります。また、立地やブランド力次第で相場よりも高値で売却できる可能性もあります。居酒屋業界の現況や、売却の方法、流れ、相場などをくわしく解説します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金融専門ライター 相良義勝)

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