事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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動物病院のM&A・事業承継の動向と事例

動物病院では、獣医師の確保や設備取得を目的としたM&Aが活発です。M&Aにより譲渡企業は獣医師の雇用継続、譲り受け企業は専門分野に関するノウハウ獲得などのメリットを期待できます。

動物病院の概要

定義

飼育動物の診療を目的として、獣医師が開設・経営している病院です。

市場規模・環境

動物病院の市場規模および環境を「活動指数」、「病院数」、「獣医師数」という3つの観点でお伝えします。

活動指数

動物病院(ペット・クリニック)の活動指数は以下のとおり推移しており、2015年以降は市場が拡大傾向であると言えます。[1]

 出典:第3次産業活動指数(経済産業省)をもとに弊社作成

動物病院の数

開設の届出がされている動物病院(動物診療施設)の数は以下のとおり推移しており、若干の増加傾向です。[2]

出典:飼育動物診療施設の開設届出状況(農林水産省)をもとに弊社作成

獣医師数

獣医師法第22条に基づく獣医師の届出者総数は以下の通り増加傾向です。[3]

出典:獣医師の届出状況(農林水産省)をもとに弊社作成

なお、以下データのとおり、小動物診療施設の約64%は1人の獣医師で運営されています。[4]

出典:1.小動物獣医療提供体制の現状(農林水産省)をもとに弊社作成

課題・展望

動物病院には以下の経営課題があります。

  • 犬猫を中心とした飼育数の減少(下図参照)[5]に伴う、将来的な市場縮小の懸念
  • 診療施設間(民間病院と大学病院など)の連携が未整備
  • 飼い主が獣医師の専門分野に対する情報を得られない環境
  • 獣医師における研究に対するインセンティブの低さ

 出典:2022年 全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)をもとに弊社作成

上記の課題を受けて、動物病院の分野では以下の取り組みに対する重要性が高まっています。

  • ペット美容やペットホテルなど、経営安定化に向けた兼業および多角化の実施
  • 他診療施設との連携強化
  • 研究の強化や消費者ニーズに即したサービスの整備などによる競合他社との差別化
  • AIや情報通信技術の活用によるサービスの多様化、生産性向上

動物病院のM&A動向

M&Aが行われている背景

動物病院では、以下の目的・戦略でM&Aが活用されています。

  • 事業承継
  • 獣医師などの優秀な人材確保
  • サービスの強化、差別化
  • 業績の改善、事業の成長
  • 設備や施設を中心とした不動産の取得

動物病院のM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 後継者不在の動物病院でも事業承継を行い、獣医師の雇用継続を図れる
  • 事業や会社の譲渡益を取得し、ハッピーリタイアや他事業への投資を図れる
  • 譲り受け企業の資金やブランド、ノウハウなどを活用し、業績改善や売上の安定化、成長の加速を期待できる
  • 不採算部門を手放すことで、収益性の高い事業や新規事業に集中できる
  • 個人保証や負債から解放される

譲り受け企業

  • 新規顧客や設備・施設、優秀な獣医師などの経営資源を獲得し、収益増加を見込める
  • 自社とは異なる専門分野のノウハウを獲得し、サービスの拡充を図れる
  • 関連業種への進出により、経営の安定化やクロスセルによる売上増大を見込める
  • 未開拓の地域への進出を短期間で実現できる
  • 事業規模拡大により、間接コストの低減を図れる

デメリット

譲渡企業

  • M&A後の引継ぎに時間や労力を要するおそれがある
  • 期待している条件で譲渡できない場合がある

譲り受け企業

  • 引き継いだ獣医師のモチベーション低下や離職により、想定していたM&Aのメリットを享受できず、買収資金を回収できない場合がある
  • 未払残業代や訴訟リスクといった簿外・偶発債務を引き継ぐおそれがある

動物病院のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 譲り受け企業のニーズを把握し、それをもとに自社の強み(立地や固定客の存在、サービス内容など)を訴求する
  • 競合の動物病院と差別化できる強み(最新設備や診療技術など)を確立する
  • 簿外債務などを可能な限り解消した上で、不都合な事実は譲り受け企業に正直に伝える
  • 獣医師から反発を受けないように、十分な説明や不安の解消を果たした上でM&Aを行う
  • 事業や市場が成長しているタイミングで譲渡の準備を進める

譲り受け企業

  • M&Aの目的(特定の専門領域に関するノウハウ取得など)を明確化し、目的を達成できる譲渡企業を選定する
  • 立地や自治体や各種団体等との関係といった差別化された強みをチェックする
  • M&A後の改装や設備更新などにかかる費用も踏まえて、譲受価格を検討する
  • 簿外債務や偶発債務などのマイナス要素を調査し、必要に応じて対策を検討する
  • 動物病院のM&Aに関する実績や経験が豊富なアドバイザーや仲介会社に相談する

動物病院のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2022年6月

譲渡企業:東京イースト獣医協会動物医療センター

譲り受け企業:イオンペット

譲り受け企業:地域での動物病院間の連携

手法:株式譲渡

結果:イオンペットが東京イースト獣医協会動物医療センターの全株式を取得

取得価額:非公表[6]

2022年7月

譲渡企業:アニマルメディカ

譲り受け企業:ライフメイト動物救急センター

譲り受け企業:診療技術力や顧客・一次診療病院との信頼関係の獲得、自社が有する強みとの融合による事業の成長

手法:吸収分割

結果:ライフメイト動物救急センターがアニマルメディカの動物病院事業を取得

取得価額:13億8,000万円[7]

2022年6月

譲渡企業:高度医療 CTセンター林宝どうぶつ病院

譲り受け企業:ANCHORS

譲り受け企業:アジアを代表する動物病院グループの形成

手法:株式譲渡

結果:ANCHORSが高度医療 CTセンター林宝どうぶつ病院の株式を取得(割合は非公表)

取得価額:非公表[8]

[1] 第3次産業活動指数(経済産業省)
[2] 飼育動物診療施設の開設届出状況(農林水産省)
[3] 獣医師の届出状況(農林水産省)
[4] 1.小動物獣医療提供体制の現状(農林水産省)
[5] 2022年 全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)
[6] 東京イースト獣医協会動物医療センターの全株式の取得(イオンペット)
[7] ライフメイト動物救急センターによる吸収分割(YCPホールディングス)
[8] ANCHORSによる高度医療 CT センター林宝どうぶつ病院の株式取得(キャス・キャピタル)

M&Aサクシードで成約した事例

動物病院に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
スマホアプリの企画開発
  • 業種
    IT、WEB、通信業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    5億円~10億円
株式譲渡
譲り受け
リユース・小売店舗展開等
  • 業種
    サービス業(個人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    100億円以上
譲渡
スイミングクラブ
  • 業種
    サービス業(個人向け)
  • 地域
    近畿地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
事業譲渡
譲り受け
スポーツクラブ運営
  • 業種
    サービス業(個人向け)
  • 地域
    中部地方
  • 売上高
    25億円~50億円

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