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冠婚葬祭のM&A・事業承継の動向と事例

冠婚葬祭の分野では、サービスの差別化や施設の獲得などを目的としたM&Aが活発です。M&Aにより、譲渡企業はブランドの強化による収益性の向上、譲り受け企業は取引先の拡大などのメリットを得られます。

冠婚葬祭の概要

定義

冠婚葬祭の分野には、主に以下の業種が含まれます。

  • 葬儀
  • 火葬・墓地管理業
  • 婚礼(結婚式場業)

市場規模・環境

葬儀業、火葬・墓地管理業、婚礼業(結婚式場業)の3業種に分けて市場規模を解説します。

葬儀業

市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]

出典:経済構造実態調査(e-Stat)サービス産業動向調査 拡大調査(e-Stat)を基に弊社作成

火葬・墓地管理業

市場規模は以下のとおり推移しています。[1]

出典:経済構造実態調査(e-Stat)を基に弊社作成

婚礼業(結婚式場業)

市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]

出典:経済構造実態調査(e-Stat)サービス産業動向調査 拡大調査(e-Stat)を基に弊社作成

課題・展望

冠婚葬祭の分野における課題は以下のとおりです。

葬儀業、火葬・墓地管理業

  • 葬儀1件あたり売上高の減少(下図)[3]
  • 新規参入者の増加、競争激化
  • 人材不足、経営者の高齢化

出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)を基に弊社作成
※「1件あたり売上高 = 売上高 ÷ 葬儀件数」

婚礼業

  • 少子化に伴う婚姻者数の減少(下図)[4]
  • 簡素な結婚を好む若年層カップルの増加
  • 閑散期と繁忙期における売上の変動
  • 新規顧客の獲得にかけるコストの増大

出典:人口動態調査 婚姻 (e-Stat)を基に弊社作成

上記課題を受けて、冠婚葬祭の事業者には以下の取り組みが求められます。

  • 高付加価値なサービスの提供などによる差別化
  • IT投資の強化による人材不足の解消、業務の効率化

冠婚葬祭のM&A動向

M&Aが行われている背景

冠婚葬祭の分野では、以下の目的・背景でM&Aが行われています。

  • 大手企業への傘下入り、市場での生き残り
  • 葬儀や婚礼で使用する施設や人材等の確保
  • 同業者との統合による事業規模の拡大
  • サービスの差別化を目的とした周辺事業とのM&A
  • 事業承継、資金確保

冠婚葬祭でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 後継者不足の企業でも事業承継を行い、会社や事業を存続できる
  • 従業員の雇用維持、待遇の向上を図れる
  • 大手企業が有するブランドやノウハウを活用することで、収益性や採用力の向上などを期待できる
  • 事業や会社の譲渡益を獲得し、セミリタイアや主力事業などに資金を費やせる
  • 不採算事業を手放し、主力事業や成長性が見込める新規事業に注力できる

譲り受け企業

  • 譲渡企業が有する施設や優秀なスタッフ、ブランドなどの経営資源を確保し、売上増加などを見込める
  • リピート客や取引先を確保することで、収益の安定化を見込める
  • 同業者の買収により、コスト低減などのスケールメリット 、クロスセルによる売上増加を実現できる
  • 関連性の高い事業(装飾品やドレスなどの取扱ビジネス等)を買収することで、サービスの差別化や付加価値の向上を見込める
  • 新規事業の立ち上げや既存事業の規模拡大にかかる時間やリスクを減らせる

デメリット

譲渡企業

  • 会社の支配権を譲渡することで、葬儀場や結婚式の運営に関する自由度が低下するおそれがある
  • 期待していた条件で譲渡できない、譲り受け企業が見つからないリスクがある

譲り受け企業

  • 設備の更新費用など、買収後に想定外の費用が発生するおそれがある
  • 期待していたシナジー効果などが創出されず、買収にかかる費用を回収できないおそれがある

冠婚葬祭のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 樹木葬や小規模な婚礼など、多様化する顧客のニーズに対応できるようにする
  • Webメディアによる集客などにより、安定的な集客を実現しておく
  • 立地の良さやデザイン性の高いチャペルなどの強みがある場合は、譲り受け企業に対して最大限訴求する
  • 病院やドレス・ジュエリー会社など、ビジネスの差別化や成長性向上につながる取引先とのネットワークを広げておく
  • 負債や老朽化した設備など、譲り受け企業から見てマイナスの要素を可能な限り減らしておく

譲り受け企業

  • 借入金の返済や買収後にかかる設備更新費用なども考慮した上で、買収可否の判断や買収額の算出を行う
  • 自社の有するノウハウを投入し、事業の収益性や生産性を高めることができる譲渡企業を選定する
  • 設備や顧客層、リピート割合、サービスの充実さなどを精査する
  • デューデリジェンスを行い、法務リスク(訴訟など)や簿外債務(未払残業代など)を精査する
  • 冠婚葬祭業のM&Aに関する実績が豊富な仲介会社やマッチングサイト、アドバイザーを利用する

冠婚葬祭のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2021年1月

譲渡企業:備前屋

譲り受け企業:きずなホールディングス

譲り受け企業:中国エリアへの進出、シナジー効果の発揮

手法:株式譲渡

結果:きずなホールディングスが備前屋の全株式を取得し、同社を子会社化

取得価額:2億8,000万円[5]

2019年7月[6]

譲渡企業:フルスロットルズ

譲り受け企業:みんなのウェディング

譲り受け企業:フォトウェディングなどの新しい結婚式スタイルの提案力獲得

手法:株式譲渡

結果:みんなのウェディングがフルスロットルズ株式の51%を取得し、同社を子会社化

取得価額:非公表[7]

2020年9月[8]

譲渡企業:グロリアブライダルジャパン

譲り受け企業:ツカダ・グローバルホールディング

譲り受け企業:海外挙式事業の強化

手法:株式譲渡

結果:ツカダ・グローバルホールディングがグロリアブライダルジャパンの全株式を取得し、同社を子会社化

取得価額:非公表[9]

[1] 経済構造実態調査(e-Stat)
[2] サービス産業動向調査 拡大調査(e-Stat)
[3] 特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)
[4] 人口動態調査 婚姻 (e-Stat)
[5] 備前屋の株式取得(きずなホールディングス)
[6] 企業情報(くふうカンパニー)
[7] フルスロットルズの株式取得(くふうカンパニー)
[8] 沿革(ツカダ・グローバルホールディング)
[9] グロリアブライダルジャパンの株式取得(ツカダ・グローバルホールディング)

M&Aサクシードで成約した事例

冠婚葬祭に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
スマホアプリの企画開発
  • 業種
    IT、WEB、通信業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    5億円~10億円
株式譲渡
譲り受け
リユース・小売店舗展開等
  • 業種
    サービス業(個人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    100億円以上
譲渡
スイミングクラブ
  • 業種
    サービス業(個人向け)
  • 地域
    近畿地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
事業譲渡
譲り受け
スポーツクラブ運営
  • 業種
    サービス業(個人向け)
  • 地域
    中部地方
  • 売上高
    25億円~50億円

冠婚葬祭のM&A案件一覧

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