事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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化学品製造・卸売のM&A・事業承継の動向と事例

化学品製造・卸売業では、事業ポートフォリオの変革などを目的としたM&Aが活発です。M&Aにより、譲渡企業はノンコア事業の売却による主力事業への集中、譲り受け企業は今後の成長が期待できる市場への新規参入などのメリットを得られます。

化学品製造・卸売の概要

定義

化学品の製造業および卸売業を営む事業所が該当します。

市場規模・環境

化学品製造業の市場規模(製造品出荷額等)は、下図のとおり推移しています。[1][2]
なお、化学品製造業には以下の業種が含まれます。[3]

  • 化学工業
  • プラスチック製品製造業
  • ゴム製品製造業

出典:令和3年経済センサス(経済産業省)工業統計調査(経済産業省)を基に弊社作成

一方で、化学製品卸売業の市場規模(売上金額)は以下のとおり推移しています。[4]

出典:経済構造実態調査(e-Stat)を基に弊社作成

課題・展望

化学品製造・卸売業には、以下の課題があります。

  • 原材料価格の高騰(下図1)[5]による収益性の悪化
  • 新しい原材料で作られた化学製品、海外企業との競争激化
  • 国内市場の成熟化および縮小の懸念
  • 自然災害や感染症に伴うサプライチェーン寸断リスクの顕在化
  • SDGs意識の高まりによるCO2排出量(下図2)[3]を削減する重要性の高まり

図1
出典:ナフサ価格推移表(大景化学)を基に弊社作成

図2
出典:化学産業の現状と課題(経済産業省)を基に弊社作成
国立環境研究所調べ

上記の課題を踏まえて、化学品製造・卸売業では以下の取り組みが求められます。

  • 需要が拡大する見込みのある事業領域(機能性材料市場など)の強化
  • 不採算事業の縮小・撤退や工場の稼働率向上による経営状況の改善
  • 顧客ニーズを踏まえた製品の高付加価値化
  • ケミカルリサイクルなどによる環境に配慮した事業の実現
  • 生産拠点の分散化、原材料の海外依存からの脱却

化学品製造・卸売のM&A動向

M&Aの件数

2020年上半期および2021年上半期における化学分野のM&A件数は以下のとおりです(M&A総合研究所調べ)。[6] 

出典:M&A総合研究所、「上場企業M&A動向レポート【2021 上半期版】」を発表(日本経済新聞)を基に弊社作成 

M&Aが行われている背景

化学品製造・卸売業の分野では、以下の目的・戦略でM&Aが実施されています。

  • 経営基盤の強化を目的とした同業他社の買収
  • 事業ポートフォリオの変革、不採算事業の切り離し
  • 事業の生き残りをかけた大手化学メーカーへの傘下入り
  • アジア市場を中心とした海外進出
  • 優秀な人材や優れた研究開発力の確保、事業規模の拡大

化学品製造・卸売でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 大手化学メーカーの傘下入りを果たし、財務基盤や収益の安定化、営業力や研究開発力の活用による成長の加速を実現できる
  • 会社や事業の売却益を確保し、悠々自適な生活や新規事業・主力事業への注力を実現できる
  • 後継者不足でも事業承継を実現し、円満な形でセミリタイアを果たせる
  • ノンコア事業の売却を通じて、事業ポートフォリオの最適化や主力事業への集中を実現できる
  • 研究者などの雇用維持、待遇向上を期待できる

譲り受け企業

  • 買収を通じて、今後の成長が期待できる市場への新規参入や事業強化を期待できる
  • 優れた研究開発力や設備、人材などを確保し、収益性や生産性、製品の付加価値を高めることが可能
  • 事業規模の拡大により、原材料の仕入コスト削減や売上拡大を見込める
  • 海外進出により、経営が悪化するリスクの軽減や新たな収益源の創出が可能
  • 自力で事業を進める場合よりも、短期間で事業拡大や研究開発などを進めやすくなる

デメリット

譲渡企業

  • 会社の支配権を失ったり、経営の自由度が低下したりするリスクがある
  • 希望条件で売却できない場合がある

譲り受け企業

  • 買収に投資した資金を回収できないリスクがある
  • 環境汚染や訴訟などのリスク、簿外債務を引き継ぐおそれがある

化学品製造・卸売のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 無形資産(研究開発力や研究機関とのネットワークなど)の価値を高める
  • 成長が期待できる製品分野を強化しておく
  • 市場や業績が成長しているタイミングで会社や事業の譲渡に着手する
  • 自社の成長につながる、弱点を補完できる譲り受け企業を選定する
  • 経営状況を事前に分析し、財務や技術面等の弱みをできる限り減らしておく

譲り受け企業

  • 自社事業とのシナジー創出や弱点の補強、経営戦略上の目的達成につながる譲渡企業を選定する
  • 優れた無形資産や有形資産を有する譲渡企業を選定する
  • 買収後にかかる設備投資費用や運転資金を精査し、それをもとに買収金額や買収可否を検討する
  • 原材料の調達や業務の受注を安定的に行えているか、緊急事態における代替手段があるか精査する
  • 譲渡企業から引き継ぐ従業員のモチベーション維持、待遇の保障を徹底する

化学品製造・卸売のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2019年8月(公表)

譲渡企業:Emas Plastik A.S.

譲り受け企業:住友化学

譲り受け企業:トルコ国内における生産・販売体制の強化

手法:非公表(買収)

結果:住友化学が海外子会社を通じてEmas Plastik A.S.を買収

取得価額:非公表[7]

2022年1月

譲渡企業:Meiji Seikaファルマ

譲り受け企業:三井化学アグロ

譲り受け企業:海外農薬市場への展開加速、国内市場におけるプレゼンス向上[8]

手法:会社分割、株式譲渡

結果:三井化学アグロがMeiji Seikaファルマの新設会社株式の全てを取得

取得価額:422億円[9]

2022年12月

譲渡企業:日本乾溜工業

譲り受け企業:鶴見化学工業

譲渡企業:主力事業への注力

譲り受け企業:シナジー効果の創出

手法:会社分割

結果:鶴見化学工業が吸収分割により、日本乾溜工業の不溶性硫黄事業を買収

取得価額:1億3,000万円[10]

[1] 令和3年経済センサス(経済産業省)
[2] 工業統計調査(経済産業省)
[3] 化学産業の現状と課題(経済産業省)
[4] 経済構造実態調査(e-Stat)
[5] ナフサ価格推移表(大景化学)
[6] M&A総合研究所、「上場企業M&A動向レポート【2021 上半期版】」を発表(日本経済新聞)
[7] トルコのコンパウンドメーカー買収(住友化学)
[8] Meiji Seikaファルマの農薬事業を取得(三井化学)
[9] Meiji Seikaファルマの農薬事業を取得完了(三井化学)
[10] 会社分割のお知らせ(日本乾溜工業)

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