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日用品製造 / 日用品卸売のM&A・事業承継の動向と事例

日用品製造・日用品卸売業では、販路拡大などを目的としたM&Aが活発です。M&Aにより、譲渡側は「事業の成長加速」、譲り受け側は「商品開発ノウハウの獲得」などのメリットを得られます。

日用品製造・日用品卸売業の現況

定義

日用品とは、毎日の生活に使う品物全般を指します。ここでは、以下の製品を「日用品」と定義します。

  • 日用雑貨
  • スポーツ用品
  • 眼鏡・レンズ
  • 花・園芸
  • 家具・什器インテリア
  • オフィス・事務用品
  • 包装・梱包資材
  • その他日用品製造・販売

該当製品の製造・卸売を行う事業所全般について、M&Aの動向やメリット・デメリット、事例を紹介します。

市場規模・環境

日用品製造・日用品卸売業の中でも「日用雑貨」「包装・梱包資材」「オフィス・事務用品」の3分野にフォーカスして、市場規模・環境を説明します。

日用雑貨(トイレタリー)

主要50品目の日用雑貨(トイレタリー)について、2020年度の市場規模は2兆1,297億2,800万円であり、前年度(約1兆9,877億円)と比べて107.1%となりました。[1]また、2016年度から2020年度までの市場規模は以下のとおり推移しています。

出典:トイレタリー市場に関する調査を実施(2021年)(矢野経済研究所)を基に弊社作成

主に以下2つの理由から日用雑貨(トイレタリー)の市場規模が拡大していると推察されます。

  1. 業界内において、高付加価値製品の販売強化によって収益を確保する戦略が浸透していること
  2. コロナ禍で衛生関連用品などの一部製品に対する需要が高まっていること

包装・梱包資材

2021年における国内包装・梱包(容器)の出荷金額(市場規模)は5兆6,496億円であり、2020年(5兆5,256億円)と比べて102.2%となりました。[2]また、2017年から2021年までの市場規模は以下のとおりほぼ横ばいに推移しています。

参考:2021年日本の包装産業出荷統計の概要(日本包装技術協会)を基に弊社作成

オフィス・事務用品

2020年度における文具・事務用品(オフィス用品)の市場規模は4,077億円であり、2019年度(4,441億円)と比べて8.2%減少しました。[3]また、2017年度から2020年度までの市場規模は以下のとおり推移しています。

出典:文具・事務用品市場に関する調査を実施(2021年)(矢野経済研究所)を基に弊社作成

オフィスのデジタル化などによる影響で、2017年度以降は市場規模が縮小しています。
また、2020年度は「在宅勤務やリモートワークの普及に伴うオフィス用品需要の冷え込み」などによる影響で、前年度と比べて特に大きく市場規模が縮小する結果となりました。[3]

業界の課題・展望

日用品製造・日用品卸売業において、各分野の課題は以下のとおりです。

日用雑貨

  • 少子高齢化に伴う人口減少を原因とした内需の減少
  • 商品単価の低さによる薄利多売の収益構造
  • ドラッグストアやコンビニ、スーパーとの競争激化

包装・梱包資材

  • 少子高齢化に伴う人口減少を原因とした内需の減少
  • 環境への配慮や原材料の高騰などに伴うコスト増加
  • 価格競争に陥りやすいビジネスモデル(製品の差別化が困難)

オフィス・事務用品

  • 少子高齢化に伴う人口減少を原因とした内需の減少
  • 企業活動のデジタル化やコロナ禍に伴う需要の減少

これらの課題を受けて、業界内では以下の活動によって課題解決を図る動きが活発であり、今後はこうした動きは加速することが予想されます。

  • 人口増加が期待される東南アジアなどの新興国への事業展開
  • ITシステムの活用による業務の効率化、コスト削減
  • 顧客ニーズを踏まえた商品や、環境保護を意識した商品の開発による競合他社との差別化
  • 同業他社との連携強化による事業規模の拡大や技術開発

日用品製造・日用品卸売業のM&A動向

M&Aの件数・規模

日用品製造・日用品卸売業のみのM&A件数を集計した明確なデータは存在しません。したがって、この項では日用品メーカーが属する「製造業」全体のM&A件数を紹介します。

M&A Onlineの集計によると、2020年における製造業全体のM&A件数は174件でした[5]。2016〜2020年までの件数は以下のとおり推移しています。[4]

出典:M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)を基に弊社作成

2016年から2019年は横ばいに推移していましたが、2020年は「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生産活動の減少」や「米中貿易摩擦の長期化」などの影響で、前年度と比べて大幅に件数が減少しました。[4]

また、細かく業種別に見た場合、「化学」「機械」「その他製品」の3分野で、2020年のM&A件数は前年度と比べてほぼ半減したとのことです。[4]

以上より、「製造業全体のM&A件数が大幅に減少していること」、「中には、前年比で約50%も減少した業種もあること」が見て取れるため、2020年における日用品メーカーのM&A件数についても、前年以前と比べて大幅に減少したと推測できるでしょう。

M&Aが行われている背景

日用品製造・日用品卸売業では、主に以下の目的・戦略でM&Aが活用されています。

  • 自社製品の販路拡大
  • アジアを中心とした海外市場への進出
  • 事業規模の拡大を目的とした製造工場や研究施設の確保
  • 生産規模の拡大
  • 製品供給能力の向上
  • 安定的な収益源となる製品ブランドの獲得
  • 仕入や生産、物流にかかるコストの削減
  • 後継者不足や人材不足の解消

M&Aの成功可能性を高めるポイント

全業種共通

譲渡企業が重視すべき要素
  • 自社の強みとなる経営資源(技術など)や実績を明確にする
  • 譲歩できる条件とできない条件を明確にした上で交渉に臨む
  • 業績が伸びているタイミングや市場が好況のタイミングで売却する
  • あらかじめ企業価値を高める施策を進めておく(技術力の向上など)
譲り受け企業が重視すべき要素
  • デューデリジェンスを徹底し、その結果を買収価格に反映する
  • 誠意ある対応で譲渡企業との交渉に臨む
  • 譲渡企業から引き継ぐ従業員や技術者、取引先を尊重する
  • M&A後のPMI(統合作業)を計画的に行う

日用雑貨

譲渡企業が重視すべき要素
  • 季節性のある商品を取り扱っている場合、需要変動を踏まえて事業計画(資金計画)を策定する
  • 季節変動に対応できる生産体制を整えておく
  • 老朽化している設備や機会があれば、必要に応じて最新のものにする
譲り受け企業が重視すべき要素
  • 売上に関する季節変動や流行を踏まえて、譲渡企業の事業計画を精査する
  • 買収後、必要に応じて譲渡企業に対して、自社の商品開発ノウハウや技術を提供する

包装・梱包資材

譲渡企業が重視すべき要素
  • 優良な販路(大手の発注元や顧客など)を確立する
  • 過剰な在庫や設備投資をできる限り減らしておく
  • 売掛金を回収するまでの期間を短縮しておく
  • 原材料費の高騰や変動への対策を立てておく
譲り受け企業が重視すべき要素
  • 売掛金回収までの期間や過剰在庫・設備投資の有無を精査する
  • M&Aによって規模の経済性(≒コスト削減の効果)を期待できる譲渡企業を選定する

オフィス・事務用品

譲渡企業が重視すべき要素
  • 安定的な売上につながる発注元(顧客)や原材料の仕入業者を確保しておく
  • 質の高さだけでなく、デザイン性にも優れている商品を開発・製造できるノウハウ・体制を確立する
  • 季節変動に対応できるだけの運転資金や生産体制を確立する
譲り受け企業が重視すべき要素
  • 買収先を選ぶ際、収益の金額だけでなく安定性も確認する
  • 自社事業との相互補完やシナジー効果を期待できる譲渡企業を選定する

日用品製造・日用品卸売業でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 技術者や商品開発を担う従業員の雇用、大手商社などとの仕入関係を維持できる
  • 後継者不足の企業でも事業承継を実現できる
  • 譲り受け企業の営業力や資金力を活用することで、「財務基盤の安定化」や「事業の成長加速」を期待できる
  • 不採算事業の売却で、利益率の高い事業や新製品開発に経営資源を集中させることができる
  • 譲り受け企業との連携や交流により、商品開発力の向上や海外進出、業務プロセスの効率化を期待できる

譲り受け企業

  • 譲渡企業が有する顧客や仕入先、商品開発のノウハウ、優秀な技術者などを獲得できる
  • 海外企業の買収により、海外進出の成功可能性を高めることができる
  • 自社が進出していないエリアに拠点を置く同業他社を買収することで、商圏を拡大できる
  • 工場や事業所を獲得することで、事業規模の拡大を期待できる
  • 大量生産・大量仕入によるコスト削減や生産性向上により、業績の改善・向上を期待できる

デメリット

譲渡企業

  • M&Aに対する反発を受けて、従業員の離職や取引先との契約打ち切りが生じるリスクがある
  • 希望する条件での売却ができなかったり、M&Aの相手が見つからなかったりする場合がある
  • 株式を譲渡した場合、経営者や株主としての地位を失う

譲り受け企業

  • 想定していたメリットを得られずに、買収費用を回収できなかったり、多額の減損損失を被ったりするリスクがある
  • 簿外債務や偶発債務を引き継ぐおそれがある
  • 円滑に顧客や取引先を引き継げなかった場合、M&A後の事業運営に支障が生じるリスクがある

日用品製造・日用品卸売業のM&A事例・インタビュー

有名なM&A事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2018年9月

譲渡企業: DSG (Cayman) Limited

譲り受け企業: ユニ・チャーム

譲り受け企業:東南アジア地域における商品ラインの拡充、市場での地位の強化、規模の経済の実現、物流機能の統合によるコスト削減

手法:株式譲渡

結果:ユニ・チャームがDSG (Cayman) Limitedの全株式を取得

取得価額:5億3,000万ドル(約600億円)[5]

2021年8月

譲渡企業:昭和電工マテリアルズ

譲り受け企業:信越ポリマー

譲り受け企業:塩化ビニル小巻ラップ国内市場での高いシェア獲得、生産コストの低減による収益力向上

手法:新設分割、株式譲渡

結果:信越ポリマーが昭和電工マテリアルズによる新設会社の全株式を取得

取得価額:36億6,600万円[6]

2021年11月

譲渡企業:ライフオンプロダクツ

譲り受け企業:キングジム

譲り受け企業:インテリアライフスタイル雑貨に関する製造・企画・販売事業の拡大、商品調達・品質管理の共同実施による効率化、販路の相互活用による売上拡大

手法:株式譲渡

結果:キングジムがライフオンプロダクツの全株式を取得

取得価額:35億円[7]

[1]トイレタリー市場に関する調査を実施(2021年)(矢野経済研究所)
[2]2021年日本の包装産業出荷統計の概要(日本包装技術協会)
[3]文具・事務用品市場に関する調査を実施(2021年)(矢野経済研究所)
[4] M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)
[5] DSG (Cayman) Limited の株式取得(ユニ・チャーム)
[6]昭和電工マテリアルズの食品包装用ラッピングフィルム事業を承継する新設会社の株式取得(信越ポリマー)
[7]ライフオンプロダクツの株式取得(キングジム)

日用品製造 / 日用品卸売のM&A案件一覧

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