化粧品企画・製造・卸売のM&A・事業承継の動向と事例
化粧品企画・製造・卸売の分野では、研究施設や人気ブランドの獲得などを目的としたM&Aが活発です。M&Aにより、譲渡企業は事業承継の実現、譲り受け企業は企画ノウハウや研究技術の獲得などのメリットを得られます。
化粧品企画・製造・卸売の概要
定義
化粧品の企画、製造、卸売業が該当します。
市場規模・環境
市場規模
化粧品製造業には以下の業種が含まれます。
- 仕上用・皮膚用化粧品製造業(香水、オーデコロンを含む)
- 頭髪用化粧品製造業
- その他の化粧品・歯磨・化粧用調整品製造業
上記業種の市場規模(製造品出荷額等)は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:令和3年経済センサス 活動調査(e-Stat)、工業統計調査(経済産業省)を基に弊社作成
一方で、医薬品・化粧品等卸売業の市場規模(売上金額)は以下のとおり推移しています。[3]
出典:経済構造実態調査(e-Stat)を基に弊社作成
事業所数
化粧品製造業における従業員4人以上の事業所数は以下のとおり推移しています。[2]
従業員数
化粧品製造業における従業員数は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:令和3年経済センサス 活動調査(e-Stat)、工業統計調査(経済産業省)を基に弊社作成
輸出額
そのほかに、化粧品企画・製造・卸売の分野で特筆すべき点として、以下のとおり輸出額が2010年以降急速に増加していることが挙げられます。[4]
出典:化粧品の輸出(大阪税関)を基に弊社作成
課題・展望
化粧品企画・製造・卸売業には、以下の課題があります。
- 国内需要の頭打ち
- アジアを中心とした海外市場での競争激化
- 感染症の流行に伴うインバウンド需要の低迷(下図)[5]
- SDGs意識の高まりへの対応(環境に配慮した容器の開発など)
出典:化粧品産業動向調査報告書(独立行政法人製品評価技術基盤機構)を基に弊社作成
上記の課題を受けて、化粧品企画・製造・卸売業では以下の取り組みが求められます。
- 新興国や先進国を中心とした海外展開の強化
- 時代やニーズの変化に応じた製品の企画・開発強化
- SNS等の手段によるターゲットマーケティングの徹底
- AI等の最新技術活用や優秀なスタッフによる店頭販売などによる高付加価値な商品・サービスの提供
化粧品企画・製造・卸売のM&A動向
M&Aが行われている背景
化粧品企画・製造・卸売業の分野では、以下の目的および背景でM&Aが実施されています。
- 製造工場や研究施設などの不動産取得
- 人気ブランドや優秀な人材などの経営資源獲得
- 販路や取引先の拡大、海外進出
- 別事業の技術を生かした化粧品の企画・製造の実現
- 後継者不足に伴う事業承継、事業や会社の譲渡による資金確保
化粧品企画・製造・卸売でM&Aを行うメリット・デメリット
メリット
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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デメリット
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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化粧品企画・製造・卸売のM&Aを成功させるポイント
譲渡企業
- 人気ブランドや高度な製造技術、優秀な企画スタッフなど、他社にはない独自の強みを作っておく
- 販路拡大やリピート客の確保を行い、経営の安定性を高める
- 不良在庫や老朽化した設備などのマイナス要素をできる限り改善しておく
- 少子化や健康ブームなど、時流に応じたビジネスモデルを構築しておく
- 化粧品事業のM&Aを得意とする仲介会社やアドバイザーを起用する
譲り受け企業
- 競争優位性の高い経営資源の有無や、トレンドに沿ったビジネスモデルかどうかの可否を精査する
- 設備更新費用や不良在庫の処分費用などを考慮した上で、買収可否の判断や買収価格の算定を行う
- 共同企画・開発や仕入の一括化などにより、シナジー効果を創出できる譲渡企業を選定する
- 特許権の有無や小売店に対する交渉力の高さ、仕入先の安定度などを精査する
- 訴訟リスクや未払残業代などのリスク要因を精査する
化粧品企画・製造・卸売のM&A事例・インタビュー
主な有名事例
M&Aが行われた時期 | 譲渡企業・譲り受け企業の概要 | M&Aの目的・背景 | M&Aの手法・成約 |
---|---|---|---|
2023年1月 | 譲渡企業:ディーエイチシー 譲り受け企業:オリックス | 譲り受け企業:ヘルスケア事業におけるネットワーク拡大 譲渡企業:事業承継の実現、コーポレートガバナンスの強化 | 手法:株式譲渡 結果:オリックスがディーエイチシー株式の91.1%を取得し、同社を子会社化 取得価額:約3,000億円[6] |
2022年8月(公表) | 譲渡企業:資生堂 譲り受け企業:CVCキャピタル・パートナーズ | 譲渡企業:高価格帯を中心とした化粧品生産への集中 | 手法:事業譲渡 結果:資生堂が日用品の生産工場をCVCキャピタル・パートナーズに譲渡 取得価額:非公表[7] |
2022年4月 | 譲渡企業:ユイット・ラボラトリーズ 譲り受け企業:アクシージア | 譲り受け企業:スキンケアブランドの拡充、製品開発スピードの向上 譲渡企業:シナジー効果の創出 | 手法:株式譲渡 結果:アクシージアがユイット・ラボラトリーズの全株式を取得し、同社を子会社化 取得価額:8億6,000万円[8] |
[1] 令和3年経済センサス 活動調査(e-Stat)
[2] 工業統計調査(経済産業省)
[3] 経済構造実態調査(e-Stat)
[4] 化粧品の輸出(大阪税関)
[5] 化粧品産業動向調査報告書(独立行政法人製品評価技術基盤機構)
[6] オリックス、DHCの株式取得(日本経済新聞)
[7] 資生堂、日用品工場をCVCに売却(日本経済新聞)
[8] ユイット・ラボラトリーズの株式取得(アクシージア)
M&Aサクシードで成約した事例
化粧品企画・製造・卸売に関連する業界でも成約が生まれています。
- 首都圏エリア 療養型病院
- 業種
- 医療、介護
- 地域
- 南関東地方
- 売上高
- 2億5,000万円~5億円
- 病院向けコンサルティング業
- 業種
- サービス業(法人向け)
- 地域
- 南関東地方
- 売上高
- 10億円~25億円
化粧品企画・製造・卸売のM&A案件一覧
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