M&Aとは?意味・手法・流れを初心者向けにわかりやすく解説【図解付き】
- 法務監修: 相良 義勝 (京都大学文学部卒 / 専業ライター)
M&Aとは「企業の合併と買収」を意味し、他社の経営資源を活用して課題解決を図る取組です。M&Aの要点を把握したい方に向けて、M&Aのメリットやデメリット、手法、プロセスなどを図解でわかりやすく解説し、成功事例も紹介します。

M&Aとは?「M&A」の2つの意味
「M&A」は「Merger(合併)」と「Acquisition(買収)」の頭文字を取って作られた言葉です。
M&Aには2つの意味合いがあります。
法律的には、Merger(合併)は複数の法人が1つの法人になることを指し、Acquisition(買収)は一方の企業の株式(経営権)や事業資産を他方の企業が取得することを指します。M&Aはそうした契約・取引の総称です
Merger(合併)やAcquisition(買収)は「他社の経営資源を活用する」ために行われるものです。
ビジネス上の戦略という観点で言えば、M&Aとは「組織の統合や経営権・資産の譲渡・譲受を通して他社の経営資源を活用し目標達成・課題解決を図る取組」を意味します。

M&Aとは?意味・種類・流れを図解でわかりやすく解説【2026年最新】
M&Aとは合併と買収の総称です。意味・目的・手法の種類・進め方の流れを図解でわかりやすく解説。中小企業の事業承継での活用や2026年の最新動向もまとめています。
M&Aのメリット・デメリット
M&Aのメリット
買い手側にとってのメリットは、事業成長にかかる時間を短縮できる(「時間を買える」)ことにあります。
具体的には下の表に挙げたような目標が短期間で達成可能です。
これらを自社のみで達成しようとすれば、一般的に長い時間を要し、時間がかかればかかるほど競争に遅れを取ります。
売り手側にとっては、置かれた状況・立場に応じて様々なメリットが存在します。
買い手側のメリット | 売り手側のメリット |
|---|---|
|
|

M&Aのメリット・デメリット一覧|売り手・買い手別にわかりやすく解説
M&Aのメリット・デメリットを売り手(事業承継・創業者利益)と買い手(事業拡大・シナジー)に分けて一覧解説。リスクを抑えるためのポイントも紹介します。
M&Aのデメリット
M&Aは買い手・売り手の双方にとって大きな変化を伴う方法であり、通常の事業活動に比べて不確実性が高く、失敗した場合には回復に相当の時間がかかる恐れがあります。
また、売り手側はM&A後の活動を制限される面もあります。
具体的には、以下のようなデメリットやリスクが存在します。
買い手側のデメリット | 売り手側のデメリット | |
|---|---|---|
| ||
|
| |

M&Aのリスク|買い手・売り手のリスクや対処法を解説
M&Aのリスクを事前に認識することで、トラブルや損失を回避しやすくなります。M&Aで注意すべきリスクの種類やリスクマネジメント手法などについて、公認会計士が具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。(公認会計士監修記事)
M&Aのスキーム(手法)
M&Aは一定のスキーム(取引の枠組み)に沿って行われます。
基本的なスキームは下図に示した通り10種類あります。
提携(業務提携・資本提携)は経営権の移転や組織再編が伴わないため狭い意味ではM&Aに含まれませんが、経営面で一定程度の統合が図られることから、広義のM&Aとして扱われます。

狭義のM&Aの基本スキームは3タイプに分類できます。
①株式取得・資本参加タイプ |
|
|---|---|
②事業譲渡・資産買収タイプ |
|
③合併タイプ |
|
中小企業のM&Aで主に用いられているのは、①に属する株式譲渡と、②に属する事業譲渡です。[1]

株式譲渡では、買い手企業が売り手企業株主から株式(50%超~100%)を譲り受け、売り手企業を子会社化します。
対価は現金が一般的です(同じく①に属する株式交換・株式交付では買い手企業株式が対価)。
合併のように法人として一体化するのではなく、売り手と買い手が別々の企業として存続しつつグループを形成し、グループとして経営統合によるシナジー効果を追求します。
非上場企業の場合、基本的に売り手企業株主と買い手企業の間の譲渡取引でM&Aが成立するため、手続きが簡便です。

事業譲渡では、売り手企業の事業を買い手企業が承継し、自社に一体化します。
株式譲渡では会社全体がM&Aの対象になりますが、事業譲渡では譲渡する範囲を選ぶことができます。
譲渡対象の事業に含まれる権利義務(資産・負債・契約など)を一点一点買い手企業に移転する手続きが必要になり、権利義務の件数が多いと手続きに相当の時間・コストを要します。

M&Aスキームとは?手法の種類・特徴・税金を一覧比較【図解】
M&Aスキーム(株式譲渡・事業譲渡・合併・分割・株式交換等)の特徴と税金を一覧比較。自社に合うスキームの選び方、判断の軸を図解でわかりやすく解説します。
M&Aのプロセス(流れ)

M&Aは基本的に以下のような流れで行われます。
準備フェーズ

まずは、自社や市場の分析に基づき、M&Aの目標や戦略を策定します。
M&Aでは相手企業を独自に探すことは容易ではなく、広範囲の専門知識も求められることから、専門業者(FAや仲介会社、マッチングサイト)による支援サービスを利用するのが一般的です。
M&Aの目標・戦略や予算に合わせて適切な業者を選定し、有望な相手企業とのマッチングを図ります。
この段階では匿名の情報のやりとりにとどめます。
有望な相手が現れ、交渉開始の合意が得られたら、秘密保持契約を締結し、実名での交渉に入ります。

M&Aの流れを図解で解説|検討からクロージング・PMIまでの進め方【売り手・買い手別】
M&Aの流れを検討・準備からクロージング、PMIまで図解で解説。売り手・買い手それぞれの進め方、基本合意・DD・最終契約の要点が一読でわかります。
交渉フェーズ

売り手側が事業概要・財務状況・売却条件などをまとめた資料(IM、企業概要書)を提示し、買い手側はそれに基づいてM&Aの効果・実現可能性・買収条件などを検討します。
売り手と買い手の間である程度条件面の折り合いがつき、M&A契約締結に向けて協議を進める意思が固まったら、基本合意を締結し、暫定的な合意内容の確認や以後のプロセスに関する取り決めを行います。
次に、買い手側が売り手企業の実態調査(DD=デューデリジェンス)を行い、M&Aに関わる問題点やリスクを精査します。
DDの結果に基づいて最終条件交渉が行われ、交渉がまとまればM&Aの最終契約が締結されます。

M&Aのデューデリジェンスとは?種類・費用・進め方を公認会計士が解説
デューデリジェンス(DD)とは買収前に行う調査です。財務・法務・ビジネスなど種類別の調査項目、費用相場、進め方と期間、中小M&Aでの実務ポイントを公認会計士が解説します。
クロージングフェーズ

最終契約締結からM&A成立(クロージング)までに以下のような準備手続きが必要になることがあります。
- 法律に基づく手続き(株主総会開催や債権者・従業員の権利を保護するための手続き、公正取引委員会への届出など)
- 最終契約で規定された義務の履行(DDで判明した問題への対処など)
クロージング手続き自体は短時間で完了するのが通例です。
ただし、事業譲渡の場合は権利義務の移転がすべて完了するまでに時間がかかることがあります。

M&Aのクロージングとは?流れ・必要書類・前提条件をわかりやすく解説
クロージングとは、M&Aの最終契約に基づき株式・対価の受け渡しを行う手続きです。クロージングまでの流れ、前提条件(CP)、必要書類のチェックリストを解説します。
経営統合フェーズ

あらかじめ策定しておいた短期プランに基づいて初期の経営統合作業(PMI)を迅速に進め、並行して経営統合の中長期プランを策定します。成果をモニタリングしながら中長期プランを順次実施し、シナジー効果の実現を目指します。

PMIとは?M&A後の経営統合の進め方・成功のポイントを事例で解説
PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の経営統合プロセスです。統合すべき領域(経営・業務・意識)、進め方の手順、失敗しないためのポイントを事例とともに解説します。

シナジー効果とは?意味・種類・分析フレームワークをわかりやすく解説
シナジー効果とは、複数の事業・会社が組み合わさることで生まれる相乗効果です。種類(売上・コスト・財務)、分析フレームワーク、M&Aでの実例を解説します。
M&Aの件数推移
日本企業が当事者となるM&Aの件数は20世紀終わりごろから急速に増加し、リーマンショック期(2008年~2010年頃)に一時低迷したものの、再び大きな成長を見せて今日にいたっています。
M&A件数増大の背景としては以下のような要因が挙げられます。
- かつては否定的であったM&Aに対するイメージが改善し(図2)、経営戦略として一般化したこと
- 中小企業の後継者不在問題の拡大と、政府によるM&A・第三者事業承継振興策の進展(図3)
- 民間支援サービスの拡大

図2:経営者年齢別、10年前と比較したM&Aに対するイメージ変化
出典:2021年版中小企業白書(中小企業庁)、中小企業の財務基盤及び事業承継の動向に関する調査に係る委託事業(東京商工リサーチ)

図3:事業引継ぎ支援センターの相談件数・成約件数推移
出典:2021年版中小企業白書(中小企業庁)

2020年最新のM&A件数、コロナ禍以降の推移を振り返る
この記事では2020年1-9月のM&A成約件数や譲渡金額の推移を紹介します。2019年に譲渡金額の大きかったM&A取引ランキングや、自社の事業売却を検討する会社の経営者が、コロナ禍で下した決断も紹介します。
M&Aの成功事例3選
【運送×運送】フジトランスポートと日向商運のM&A
譲渡企業の概要
日向商運:宮崎県日向市に本社を置き、九州・中国・四国の中距離圏で木材や原乳、タイヤ、肥料、雑貨、医薬品などの輸送・配送サービスを展開
譲り受け企業の概要
フジトランスポート:全国に拠点を置き大型トラックによる長距離輸送サービスなどを展開
M&Aの目的・背景
譲渡企業:
- ドライバー不足やコロナ禍により売上が減少し、物流業における2024年問題(働き方改革関連法に基づく時間外労働上限規制の開始など)も迫るなか、事業の中期的な展望や代表取締役の健康について不安があることから、早期の事業承継を検討
- 雇用の安定的な継続、広範なネットワークを活かした事業展開、2024年問題への対応強化などを図るため、全国的なネットワークを有する企業グループに加わることを決定
譲り受け企業:
- 宮崎県への進出と、九州全域を網羅するネットワークの構築
- 宮崎県への長距離運送時の復路における空車回送の削減
- 譲渡企業が手がける海上コンテナ輸送・原乳運送事業の取り込みによる事業拡大
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年7月
- 手法:株式譲渡
- 結果:フジトランスポートが日向商運の株式を取得してグループ会社化

運送業界の「2024年問題」を乗り越える 選択肢としての第三者承継
宮崎県で40台トラックを保有し、地域密着で運営を続けてきた有限会社日向商運は、「ビズリーチ・サクシード」を通じて、全国に108拠点、トラック2,350台以上保有する物流グループであるフジトランスポート式会社に、2021年7月に株式譲渡しました(最初のやりとりから約3カ月)。M&Aが運送業界の2024年問題の解決策になりました。
【情報セキュリティ×システム開発・SES】フーバーブレインとGHインテグレーションのM&A
譲渡企業の概要
GHインテグレーション:システム受託開発や国内大手SIer(システムインテグレータ)へのエンジニア派遣サービス(SES)を展開
譲り受け企業の概要
フーバーブレイン:企業向けサイバーセキュリティツール開発事業、クライアント企業(SIer)に常駐してのITサービス・ネットワークセキュリティ構築事業、働き方改革対応・労働生産性向上ツール開発事業を展開
M&Aの目的・背景
譲渡企業:上場会社グループへの参加による雇用安定化、エンジニアの労働条件改善
譲り受け企業:ネットワーク・インフラ構築、5G、IoT、AIなどの領域に精通するエンジニア人材の確保
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年4月
- 手法:株式譲渡・株式交換
- 結果:フーバーブレインがGHインテグレーション株式の70%を取得したのち、簡易株式交換(対価として交付される買い手企業株式の価額が純資産額に比べて少額である場合に行われる、簡易手続きの株式交換)により同社を完全子会社化
- 譲渡金額:GHインテグレーション株式の70%に対して現金1億8,600万円、残りの株式に対して現金8,000万円程度相当のフーバーブレイン普通株式[2]

最新のIT需要を取り込むために、 優秀なエンジニアを抱えるSIerをM&Aで完全子会社化
株式会社フーバーブレインはM&Aによって、エンジニアを派遣するシステムインテグレーターのGHインテグレーション株式会社(ネットワークインフラ /5G/IoT 領域に精通)を完全子会社化。優秀な人材を確保するだけでなく、第4次産業革命に向けた新たな成長戦略を描きます。

情報通信業のM&A動向・メリット、売却価格の相場【成功事例も紹介】
最新技術領域への適応などを目的に、情報通信業のM&Aは活発に行われています。情報通信業のM&Aでは、優秀な人材確保などのメリットを期待できます。情報通信業のM&A動向や売却・買収のメリット、M&Aの成功事例などをくわしく解説します。
【飲料・衛生サービス×レンタルタオル】ダイオーズ ジャパンとグリーンアースのM&A
譲渡企業の概要
グリーンアース:福岡県全域で美容室向けレンタルタオル(県内シェア7~8割)を中心とする事業を展開
譲り受け企業の概要
ダイオーズ ジャパン:事業所向け飲料サービス(コーヒー・紅茶・日本茶・浄水などのサーバー・マシンのレンタル・設置・メンテナンス)や環境衛生サービス(除菌清掃、清掃用品・除菌消臭機レンタルなど)を中心とする事業を国内外で展開するダイオーズの子会社で、国内事業を担当
M&Aの目的・背景
譲渡企業:人材リソース不足により単独での営業エリア拡大・新事業立ち上げが困難ななか、事業内容に親和性のある大手企業の傘下に入ることで業容拡大を図る
譲り受け企業:M&Aを活用した事業拡大戦略の一環
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2022年4月(記事公開の時期)
- 手法:事業譲渡
- 結果:ダイオーズ ジャパンがグリーンアースの全事業を譲受

営業黒字の安定経営も先行きへの不安。経営の選択肢としての大手傘下入り
福岡県でリネンサプライを運営する有限会社グリーンアースは、営業黒字の安定経営を続けていましたが、規模の拡大を図るための人手不足や県外の開拓などの不安要素を抱えていました。打開策として登録したビズリーチ・サクシードを通じて出会ったのは、東証プライム市場上場の株式会社ダイオーズの子会社である株式会社ダイオーズ ジャパンでした。

M&Aの成功事例40選|大企業・中小企業・業界別に成功要因を解説【2026年版】
M&Aの成功事例40選を大企業・中小企業・業界別に紹介。各事例の目的とスキーム、成功要因を整理し、自社のM&Aに活かせるポイントを解説します。
[2]GHインテグレーションの完全子会社化(フーバーブレイン)
今回の事例で活用された「M&Aサクシード」は、東証プライム上場Visionalグループの株式会社M&Aサクシードが運営する、国内最大級の法人限定・会員制のハイクラスM&Aプラットフォームです。中小企業庁のM&A支援機関としても登録されています。
提携金融機関は80社以上、利用中の買い手企業は10,700社以上にのぼり、公開中のM&A案件数は公開中4,100件以上(累計21,000件以上)を誇ります。2024年以降、プラットフォーム成約案件の約半数が譲渡金額1億円以上で成立しているという確かなハイクラス実績もあります。
契約なし・書類提出なしの匿名状態のまま登録でき、大手・優良企業から直接オファーが届く仕組みのため、異業種からの想定外のオファーによって地域や業種を超えたシナジーが生まれる事例も多数あります。
また、「まずは同業他社の動向を知りたい」という経営者の方に向けて、「かいしゃ価値トレンド」も提供しています。すでに1,000名以上の経営者(2026年6月時点)が利用しており、会社名を出さず、業種・所在地・売上高の3つを選ぶだけで、成約相場や関心を持つ企業の傾向を約30秒・無料で確認できます。相場を見た上で今後の選択肢をじっくり考えたいという情報収集の段階でもご活用いただけます。
まとめ
M&Aは他社の経営資源を活用して経営目標実現・課題解決を図る手段であり、買い手・売り手双方にとって積極的なメリットがあります。
一方で重大なデメリット・リスクもあり、複雑なプロセスからなるプロジェクトであることから、実施に当たり慎重な判断が求められます。
近年ではM&Aを実行・検討する企業が増加し、多様な業種・規模・地域の企業同士がM&Aを成功させています。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)
M&Aなら日本最大級のM&Aプラットフォーム「M&Aサクシード」
■ こんなお悩みはありませんか?
- M&Aの手紙やDMは毎日届くが、どこに相談すればいいかわからない
- M&Aの情報収集、M&Aアドバイザーとの面談の前に、まずは「候補先がいそうか」「いくらくらいで成約しているのか」だけを知りたい
- 会社と自分の人生を左右する相手は、幅広い選択肢から自分で選びたい
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。
M&Aサクシードが選ばれる理由
- 契約なし・書類提出なしで同業のM&A成約相場がわかる
- 大手・優良企業を含む多数の買い手が登録。異業種からの想定外のオファーで地域・業種を超えたシナジー事例も多数
- 中小企業庁のM&A支援機関に登録済
- 成約するまで無料の「完全成功報酬制」 。知識・経験が豊富な専任担当者が相談から成約に至るまで伴走します。
あわせて読みたい:M&Aが多い業界ランキングTOP50【2026年版】
あわせて読みたい:業種別 M&A売却相場 一覧【301業種】





.png&w=3840&q=75)
.png&w=3840&q=75)





