事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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調剤薬局のM&A・事業承継の動向と事例

当分野では大手調剤薬局・ドラッグストアチェーンによる買収やファンドによる出資が盛んです。M&Aにより、譲渡企業は経営安定化や事業承継、資金調達、譲り受け企業はシェア拡大、経営効率化などが図れます。

調剤薬局の概要

定義

以下のタイプの調剤薬局(主に保険薬局)が該当します。

  • 門前・門内薬局:医療機関の門前や敷地内にあり、特定医療機関からの処方箋の応需を基軸とした経営を行う「点応需(点分業)」型薬局
  • 医療モール内薬局:複数の医療機関が入るモールのなかにあり、主にモール内医療機関の処方箋を対象とする「点応需」型薬局
  • ドラッグストア併設型薬局:ドラッグストアに併設され、周辺医療機関の処方箋を幅広く対象とする「面応需(面分業)」型薬局で、OTC医薬品(市販薬)も扱う
  • 独立店舗の「面応需」型薬局

2021年時点の各タイプの割合は以下の通りで、門前薬局が大半を占めます。[1]

出典:薬局薬剤師に関する基礎資料(厚生労働省)をもとに弊社作成

市場規模・環境

保険薬局の損益差額は以下のように推移しており、やや市場縮小の傾向がうかがえます。[2]

出典:医療経済実態調査第21回・22回・23回(e-Stat)をもとに作成

薬局数は微増傾向にあり、多数の店舗を展開する法人の割合が年々上昇し、少数店舗の法人や個人店の割合が低下しています。[1]

出典:薬局薬剤師に関する基礎資料(厚生労働省)

薬局勤務の薬剤師を中心に薬剤師数は増加を続けており(下図)[3]、人口10万人当たりの薬剤師数はOECD加盟国のうち日本が最大で、第2位以下に比べ突出しています(上記出典資料)。

出典:令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(厚生労働省)をもとに弊社作成

課題・展望

調剤薬局には以下のような課題があります。

  • 薬剤師の偏在(大都市への集中と地方での人手不足)[4]
  • 門前・門内薬局が一般的で、医薬分業が形式的なものにとどまり、地域医療において薬剤師の専門性が十分に活かされていないこと[5]
  • 薬剤師の専門性の活用や地域医療連携強化(地域包括ケアシステムの構築)、医療費適正化(切り詰め)を基軸とした制度改革への対応(面応需型の「かかりつけ薬局」として、対人業務・服薬情報管理の拡充、高度薬学管理への対応、在宅患者向けサービス・多業種連携の強化、業務DX・オンライン服薬指導の推進などを図ること)[6]
  • 大手調剤薬局・ドラッグストアチェーンによる寡占化や、薬価引き下げ[7]、薬価差益(薬の公定償還価格と仕入れ値の差額に由来する利益)の縮小、OTC医薬品販売の規制緩和などによる、中小規模薬局の経営環境悪化
  • 中小規模薬局の後継者不在

調剤薬局のM&A動向

M&Aの件数

調剤薬局のM&A件数(上場企業の開示情報などで確認できるM&Aの件数)は、1年に20~40件程度、多い年には50件程度となっています。[8]

大手調剤薬局・ドラッグストアチェーンが地域の中小・中堅調剤薬局の買収を積極的に進めており、M&A1件あたり1〜数百店舗規模の買収が行われています。業界再編の進行により大規模なM&Aが増加傾向にあります。

M&Aが行われている背景

  • 大手調剤薬局・ドラッグストアチェーンを中心とするシェア拡大競争
  • ファンドによる調剤薬局を対象とした出資・経営支援活動の活発化
  • 経営者高齢化・後継者不在のなかでの事業承継
  • ドラッグストアチェーンによる海外(主にアジア地域)進出

調剤薬局でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 大手グループに加わることで、経営安定化が図れる
  • ファンドなどからの出資により、オンライン薬局(オンライン服薬指導)などの新サービスのための資金調達が可能
  • 後継者不在でも事業承継が行え、経営者保証の解除も可能
  • 不採算・ノンコア事業の売却とコア事業への経営資源集中(選択と集中)を通して中長期的な成長が図れる
  • 事業撤退・倒産時に、優良事業(買い手のつく事業)の売却を通して投資回収・ダメージ軽減を図ることが可能

譲り受け企業

  • 同業者の買収により、シェア・展開地域の拡大、ブランド力向上、採用力強化、経営規模を活かした業務効率化・コスト削減、「かかりつけ薬局」機能・地域連携体制の強化などを図ることができる
  • ファンドにとっては、業界再編が本格化している調剤薬局チェーンや今後市場拡大が期待されるオンライン薬局は投資対象としての価値が高い

デメリット

譲渡企業

  • 人員のモチベーション低下や離職が引き起こされることがある
  • 処方箋応需を通して特別なつながりのある医療機関との関係悪化や患者流出が起こる恐れもある
  • 経営の自由度は多かれ少なかれ制限される

譲り受け企業

  • 譲渡企業が抱えているリスク(薬機法や労働法に関するコンプライアンス違反、簿外債務など)を引き継いでしまう恐れがある
  • 経営統合が想定通りに進まず、期待していたシナジーが実現されずに、多額のコスト・損失が生じるケースもある

調剤薬局のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 人材の離職防止、モチベーション向上
  • 薬機法・労働法などに関するコンプライアンスの確認・強化
  • 会計処理や財務状況の明確化、資産所有・資金移動におけるオーナー個人と会社の明確な分離
  • M&A・事業承継の早期検討

譲り受け企業

  • M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡企業選定・交渉・契約
  • 譲渡企業が抱えるリスクの精査と対応の検討

調剤薬局のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2023年1月[9]

譲渡企業:クラフト(さくら薬局グループ)

譲り受け企業:日本産業推進機構グループ

日本産業推進機構グループによる経営支援を通したクラフトの事業再生

手法:株式譲渡

結果:日本産業推進機構グループがクラフトの全株式を取得[10]

2022年6月

譲渡企業:コクミン、フレンチ

譲り受け企業:ウエルシアホールディングス

ウエルシグループとしての都市型店舗展開強化、全国出店網拡大、経営規模拡大、経営体質強化

手法:株式譲渡

結果:ウエルシアホールディングスがフレンチの全株式とコクミン株式の93.86%(フレンチによる保有分を合わせると100%)を取得

取得価額:約200億円(コクミン)、約13億円(フレンチ)[11]

2022年5月

譲渡企業:ファーマシィホールディングス

譲り受け企業:アインホールディングス

アイングループとしての店舗網のさらなる拡充、事業ノウハウの融合による患者サービス拡充

手法:株式譲渡

結果:アインホールディングスがファーマシィホールディングスの全株式を取得[12]

[1]薬局薬剤師に関する基礎資料(厚生労働省)
[2]医療経済実態調査第21回・22回・23回(e-Stat)
[3]令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(厚生労働省)
[4] 薬剤師統計(厚生労働省)
[5] 薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方(同上)
[6] 薬局薬剤師に関する基礎資料(同上)
[7] 令和4年度薬価基準改定の概要(同上)
[8] 2022年調剤薬局業界M&Aの振り返りと2023年の市場展望(日本M&Aセンター)
[9] 事業再生計画の成立(さくら薬局グループ)
[10] さくら薬局グループのNSSK による譲受に係る株式譲渡契約(NSSK)
[11] 2023年2月期第2四半期報告書(ウエルシアHD)
[12] ファーマシィホールディングスの子会社化(アインHD)

M&Aサクシードで成約した事例

調剤薬局に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
首都圏エリア 療養型病院
  • 業種
    医療、介護
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
病院向けコンサルティング業
  • 業種
    サービス業(法人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円
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