定義

以下の業種が該当します。

• WEBサイト・WEBメディア運営
• Webサイト・Webページ制作
• Webマーケティング・デジタルマーケティング

市場規模・環境

広告の需要は中長期的にマスメディア媒体からWeb・デジタル媒体に流れており、Web広告費は2019年にはテレビ広告費を抜き、2021年にはマス4媒体（テレビ・ラジオ・新聞・雑誌）の広告費を上回るまでになりました。
マスコミ業界も近年はWeb広告に力を入れています。[1]

出典：日本の広告費（電通報）を基に弊社作成

Web広告のなかで近年とくに伸びているのが動画広告で、屋外・交通広告の分野でも映像コンテンツを活用したデジタル広告が好調です。
また、コロナ禍の影響もありオンラインでのプロモーションイベントの需要が拡大しています。

こうした流れはWeb・デジタルマーケティング関連業種にとって大きな追い風となっています。

Webサイト運営・コンテンツ配信・インターネット広告の生産活動（2015年を100とした相対指標）は以下のように好調・堅調に推移しており、デジタルマーケティング関連サービスの市場は継続的に成長していくことが予想されています。[2]

出典：第３次産業活動指数統計表一覧 時系列データ・原指数（経済産業省）

課題・展望

Web検索や動画配信、SNSなどの基幹サービスにおいては主要プラットフォーマーによる寡占化が進んでおり[3]、一般事業者はプラットフォーマーの一方的なルール・システム変更などに振り回されやすく、中長期的な戦略が立てづらい状況があります。

出典：Search Engine Market Share Japan(Statcounter Global Stats)を基に弊社作成
※日本における検索エンジンのシェア

Web上の個人情報・プライバシーに対する規制強化の動きが国際的に高まっていますが、これに関しても主要プラットフォーマーの動きに追随しながら対応せざるを得ない面があります。

とは言え、スマートフォンやデジタルサイネージ[4]などのデジタル端末が社会の隅々まで浸透し、社会のいたるところにWeb・デジタルコンテンツが組み込まれる状況が進展しており、一般事業者にとっても開拓可能な領野は膨大に存在します。

出典：デジタルサイネージ市場に関する調査を実施（2020年）(矢野経済研究所)を基に弊社作成

今後は、リアルなサービス（小売、外食・テイクアウト・配達、イベント、観光、教育など）とバーチャルなサービスの融合・連携が進展し、Web・デジタルコンテンツの訴求力がさらに拡大することが予想されます。

M&Aの件数

情報通信業界全体のM&A（適時開示が行われたM&Aで、買収対象の業種が情報通信業界に属するもの）の件数は増加傾向にあります。[5]インターネット広告費が伸び、Web・デジタルマーケティングの市場が拡大していることから、当該業種のM&Aも活発化していると考えられます。

出典：M＆Aの主役交代!? (M&A Online)を基に弊社作成

M&Aが行われている背景

以下のような目的でM&Aが行われています。

• Webサービス、Webメディア、マーケティングソリューションなどのラインナップ拡充
• サイト、コンテンツ、デザイン、ソフトウェアなどの開発力強化
• 従来型の広告・PRやリアル店舗・リアルイベントをベースとした事業を展開する企業によるWeb・デジタル領域の強化
• リアルとバーチャルの融合による新サービス開発
• 後継者不在企業の事業承継

メリット

デメリット

譲渡企業

• 人材の離職防止、モチベーション向上
• 財務状況の明確化、オーナー個人の資産と法人資産の明確な分離
• M&A・事業承継の早期検討
• 譲渡後の義務（競業避止義務やサイト移転・ノウハウ引継ぎへの協力など）の確認・検討

譲り受け企業

• 経営統合により大きなシナジーが期待できる譲渡企業の選定
• M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡企業選定・交渉・契約
• 譲渡企業が抱えるリスクや、サイト・コンテンツの譲渡に関する制限などのチェックと対応策検討

主な有名事例

[1]日本の広告費（電通報）
[2]国内デジタルマーケティング関連サービス市場予測（IDC）
[3]Search Engine Market Share Japan(Statcounter Global Stats)
[4]デジタルサイネージ市場に関する調査を実施（2020年）(矢野経済研究所)
[5]M＆Aの主役交代!? (M&A Online)
[6]共同ピーアールと資本提携（リードプラス）
[7]ディグ・イントゥ社の買収（電通グループ）
[8]承継の完了（楽天グループ）
[9]ぐるなびとの会社分割（同上）