事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

JPX 東証上場

当社はビジョナル(東証上場)
のグループ会社です

医薬品製造・卸売のM&A・事業承継の動向と事例

医薬品製造・卸売業では、新興国などへの海外進出や人材確保を目的としたM&Aが活発です。M&Aにより、譲渡企業は安定的な収益化、譲り受け企業は研究開発力の強化などのメリットを期待できます。

医薬品製造・卸売の概要

定義

医薬品の製造業および卸売業を営む事業所が該当します。

市場規模・環境

医薬品製造業の市場規模(製造品出荷額等)は、下図のとおり推移しています。[1][2]
なお、医薬品製造業には以下の業種が含まれます。

  • 医薬品製造業
  • 医薬品原薬製造業
  • 医薬品製剤製造業
  • 生物学的製剤製造業
  • 生薬・漢方製剤製造業
  • 動物用医薬品製造業

出典:令和3年経済センサス(経済産業省)工業統計調査(経済産業省)を基に弊社作成

一方で、医薬品・化粧品等卸売業の市場規模(売上金額)は以下のとおり推移しています。[3]

出典:経済構造実態調査(e-Stat)を基に弊社作成

課題・展望

医薬品製造・卸売業には、以下の課題があります。

  • 高齢化や人口減少に伴う国内需要の低迷、医療費の増大
  • 特許切れによる収益性の低下
  • 事業投資や海外進出に伴う費用の増加
  • 後発医薬品の台頭(下図)[4]などを理由とする競争の激化
  • 営業人員などの人材不足

出典:医薬品産業ビジョン2021(厚生労働省)を基に弊社作成

上記の課題を踏まえて、医薬品製造・卸売業では以下の取り組みに対する重要性が高まっています。

  • 新しい収益源となる事業領域の確立(新規事業の立ち上げなど)
  • 海外進出による海外需要の取り込み
  • AIなどの活用による新薬開発の効率性・成功可能性の向上
  • 他社との協働や経営統合などを通じた製造の効率化、事業規模の拡大

医薬品製造・卸売のM&A動向

M&Aの件数

2020〜2021年における医薬品領域のM&A件数は、以下のとおり推移しています。
2020年と比べて2021年は件数がやや減少したものの、帝人ファーマと武田薬品工業のM&A(約1,330億円)などの大型M&Aが実施されたため、買収や合併等のM&Aは活発であると言えます。[5]

出典:ヘルスケア業界の2021年のM&A動向(ストライク)を基に弊社作成

M&Aが行われている背景

医薬品製造・卸売業の分野では、以下の目的・戦略でM&Aが実施されています。

  • 営業や開発に携わる人材の確保
  • 新興国を中心とした海外市場への進出
  • 研究開発力の強化、開発費の確保
  • 製造工程や新薬開発の効率化
  • 経営状況の悪化や後継者不足問題の解決

医薬品製造・卸売でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 医薬品製造・開発事業の存続、事業承継の実現を図れる
  • 会社・事業を第三者に譲渡することで、従業員の雇用や研究開発・製造ノウハウなどを維持できる
  • 大手メーカーの傘下入りにより、開発力の強化や安定的な収益化の実現などを期待できる
  • 会社や事業の売却益を確保し、リタイア後の生活や新規事業などに資金を使用できる
  • 不採算事業・部門、権利などを売却することで、経営状況の改善やリソース確保を行える

譲り受け企業

  • 新薬の研究開発力や製造の効率性を強化できる
  • 譲渡企業が有する研究成果や特許権、大手企業との契約などの無形資産を確保できる
  • 事業規模の拡大により、収益増加や仕入コストの削減などの効果を期待できる
  • 外注業務の内製化を実現し、利益率を高める効果を期待できる
  • 自力で行う場合よりも、短期間で海外進出や医薬品製造・卸売事業への新規参入を図れる

デメリット

譲渡企業

  • 経営や事業運営に関する自由度が低下する
  • 望んでいた条件で売却できない、買い手が見つからない場合がある
  • 従業員や取引先の反感を買うリスクがある
  • 特許等の重要情報、M&Aを実施する旨が望まない形で外部に知られるリスクがある

譲り受け企業

  • 期待していたシナジー効果を得られず、買収に費やした資金を回収できないリスクがある
  • 訴訟や簿外債務を引き継いでしまうリスクがある
  • 引き継いだ従業員が離職したり、取引先から反発を受けたりすることで、事業の続行に支障をきたすおそれがある

医薬品製造・卸売のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 特許や取引先との契約等に関する内容を整理しておく
  • 技術者の育成や研究開発・製造技術の向上により、企業価値を高めておく
  • 研究開発機関や病院等とのネットワークを拡充しておく
  • 傘下入り後に、事業規模の拡大や研究力の向上などのメリットを期待できる譲り受け企業を選定する
  • 医薬品製造・卸売のM&Aに関する実績があるアドバイザー・仲介会社を利用する

譲り受け企業

  • 自社事業とのシナジー効果を期待できる譲渡企業を選定する
  • 原材料費や売掛金の回収期間などを考慮した運転資金・事業計画であるかを精査する
  • 買収後に必要となる設備投資費用なども考慮して買収金額を検討する
  • 研究開発内容の実現可能性を踏まえて、買収後の事業計画や買収可否、買収額等を検討する
  • 法律(薬事法等)の遵守状況や特許などの無形資産をチェックする

医薬品製造・卸売のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2021年2月

譲渡企業:武田薬品工業

譲り受け企業:帝人ファーマ

譲り受け企業:ブランド力のある製品の取得による事業基盤の強化、サービス拡充

手法:事業譲渡(資産譲渡)

結果:帝人ファーマが武田薬品工業から2型糖尿病の治療剤に関する知的財産権実施許諾等を取得

取得価額:1,330億円[6]

2024年3月期第1四半期中(予定)

譲渡企業:住友ファーマアニマルヘルス

譲り受け企業:三井物産 

譲渡企業:親会社による事業の選択と集中、譲り受け企業とのシナジー効果創出

手法:株式譲渡

結果:三井物産が住友ファーマアニマルヘルスの全株式を取得予定

取得価額:非公表[7]

2022年3月

譲渡企業:三生医薬

譲り受け企業:東和薬品

譲り受け企業:譲渡企業が有するカプセル製材技術等の取得、技術の融合によるイノベーション実現[8]

手法:株式譲渡

結果:東和薬品が三生医薬の全株式を取得

取得価額:476億9,400万円[9]

[1] 令和3年経済センサス(経済産業省)
[2] 工業統計調査(経済産業省)
[3] 経済構造実態調査(e-Stat)
[4] 医薬品産業ビジョン2021(厚生労働省)
[5] ヘルスケア業界の2021年のM&A動向(ストライク)
[6] 2型糖尿病治療剤の資産譲渡契約(帝人)
[7] 住友ファーマアニマルヘルスの株式譲渡(住友ファーマ)
[8] 三生医薬の買収(東和薬品)
[9] 三生医薬株式会社の株式取得完了(東和薬品)

M&Aサクシードで成約した事例

医薬品製造・卸売に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
首都圏エリア 療養型病院
  • 業種
    医療、介護
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
病院向けコンサルティング業
  • 業種
    サービス業(法人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円

他の業界のM&Aを調べる

営業:平日10〜17時