事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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老人ホーム・介護サービスのM&A・事業承継の動向と事例

当分野では同業者や隣接分野事業者とのM&Aが盛んです。M&Aにより、譲渡側は経営安定化や資金調達、事業承継などを実現でき、譲り受け側は事業展開地域拡大、経営効率化、DX推進などを図ることができます。

老人ホーム・介護サービスの概要

定義

以下の業種が該当します。

  • 施設・通所サービス:特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症老人グループホーム、デイサービス・ショートステイ、その他施設系サービス(介護老人保健施設、介護医療院など)
  • 訪問介護サービス(訪問介護、訪問入浴など)
  • 児童・障害児福祉サービス(児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、放課後等デイサービスなど)
  • 障害福祉サービス(ケアホーム、グループホーム、生活介護事業所、自律訓練事業所など)
  • その他介護サービス(高齢者向け配食サービス、介護・障害福祉事業者向けSaaS・DXプラットフォームなど)

市場規模・環境

以下の通り介護・障害福祉にかかる社会保障費は年々増大を続けており[1][2]、国は社会保障費の最適配分(切り詰め)や経営効率化促進を柱とした社会保障制度改革を進めています。[3]

出典:介護分野をめぐる状況(厚生労働省)をもとに弊社作成

出典:障害福祉分野の最近の動向(厚生労働省)をもとに弊社作成

各業種の利益率は近年以下のように推移しています。

出典:介護事業経営概況調査結果の概要 令和元年度同令和4年度(e-Stat)をもとに弊社作成(2019年度は調査未実施。特定施設入居者生活介護=有料老人ホーム・軽費老人ホームなどの入居者に対する介護サービス)[4][5]

出典:2021年度(令和3年度)児童系障害福祉サービスの経営状況(福祉医療機構)をもとに弊社作成[6]

出典:2020年度共同生活援助の運営状況2018 年度 居住系障害福祉サービスの経営状況(福祉医療機構)をもとに弊社作成[7][8]

人材不足やコロナ禍などを背景とするコスト増に対し介護・障害福祉報酬の改定が追いついておらず、経営の二極化が進んでいる状況です。

厳しい経営環境におかれている事業所が少なくなく、介護・障害福祉分野における倒産・休廃業件数は増加傾向にあります。[9][10]

出典:2022年「老人福祉・介護事業」の倒産状況(東京商工リサーチ)をもとに弊社作成

出典:2020年「障害者福祉事業」倒産と休廃業・解散調査(東京商工リサーチ)をもとに弊社作成

課題・展望

当分野には以下のような課題があります。

  • 慢性化した人材不足の解消[11]
  • DX推進、介護AI・ロボットと人間の協働を通した業務効率化
  • 経営の大規模化を通したコスト削減・経営効率向上[12]
  • 介護・障害福祉・医療サービスの地域的連携強化

老人ホーム・介護サービスのM&A動向

M&Aの件数・規模

2020年および2021年における介護・福祉分野のM&A件数は以下のとおりです。[13]

出典:ヘルスケア業界の2021年のM&A動向(ストライク)を基に弊社作成

M&Aが行われている背景

  • 大手・中堅による事業展開地域拡大、サービスの総合化、地域内連携強化
  • 経営大規模化による人的資源・財務資源の効率化
  • 経営不振事業者の救済
  • 後継者不在のなかでの事業承継
  • 介護・障害福祉関連IT企業(SaaS開発企業など)による資金調達(大手やファンドによる同分野への出資)

老人ホーム・介護サービスでM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 大手グループに加わることで経営安定化が図れる
  • 大手同業者やファンドからの出資を受けることで新サービス開発促進のための資金調達が可能
  • 一部事業の売却を通して事業ポートフォリオ再構築(選択と集中)が可能
  • 経営不振であってもスポンサー(大手同業者・ファンドなど)のもとで経営再建が可能
  • 後継者不在であっても事業承継が可能

譲り受け企業

  • 同業者・隣接分野事業者の買収により、展開地域・シェアの拡大、サービス総合化、経営規模拡大・地域内連携を通した経営効率化などが図れる
  • 許認可取得が難しく参入障壁が高い分野でも、新規参入が容易になる
  • 介護・障害福祉関連IT企業への出資を通した協業により、DX・新サービス開発の促進が可能

デメリット

譲渡企業

  • 人員のモチベーション低下や離職、利用者の流出が起こる恐れもある
  • 経営の自由度は多かれ少なかれ制限されることになり、運営方針などの変更を余儀なくされることもある

譲り受け企業

  • 譲渡側が抱えているリスク(労務問題や簿外債務など)を引き継いでしまう恐れがある
  • 経営統合が想定通りに進まず、期待していたシナジーが実現されずに、多額のコスト・損失が生じるケースもある

老人ホーム・介護サービスのM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 人材の離職防止、モチベーション向上
  • 事業に関わる各種法規(介護保険法・障害者総合支援法・労働法など)に関するコンプライアンスの確認・強化
  • 会計処理や財務状況の明確化、資産所有・資金移動におけるオーナー個人と法人の明確な分離
  • M&A・事業承継の早期検討

譲り受け企業

  • M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡元選定・交渉・契約
  • 譲渡側が抱えるリスクの精査と対応の検討

老人ホーム・介護サービスのM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2023年2月(譲渡契約締結)、6月(譲渡実行予定)

譲渡企業:三井住友海上ケアネット

譲り受け企業:ソラスト

首都圏・名古屋地域における介護事業の競争力強化、サービス拡充

手法:株式譲渡

結果:ソラストが三井住友海上ケアネットを完全子会社化[14]

2023年3月(譲渡契約締結)、4月(譲渡実行予定)

譲渡企業:アニスピホールディングス

譲り受け企業:リネットジャパングループ

小型家電リサイクル事業と障害者福祉事業の連携を基礎とする事業モデルの構築・推進

手法:株式譲渡

結果:リネットジャパングループがアニスピホールディングスを完全子会社化[15]

2022年11月

譲渡企業:ソーシャルインクルー

譲り受け企業:ポラリス・キャピタル・グループ

将来的な株式上場を視野に入れた譲渡企業事業基盤の拡大・強化

手法:株式譲渡

結果:ポラリス・キャピタル・グループがソーシャルインクルーの株式を取得[16]

[1]介護分野をめぐる状況(厚生労働省)
[2]障害福祉分野の最近の動向(厚生労働省)
[3] 今後の社会保障改革(厚生労働省)
[4]介護事業経営概況調査結果の概要 令和元年度(e-Stat)
[5]介護事業経営概況調査結果の概要 令和4年度(e-Stat)
[6]2021年度(令和3年度)児童系障害福祉サービスの経営状況(福祉医療機構)
[7]2020年度共同生活援助の運営状況(福祉医療機構)
[8]2018 年度 居住系障害福祉サービスの経営状況(福祉医療機構)
[9]2022年「老人福祉・介護事業」の倒産状況(東京商工リサーチ)
[10]2020年「障害者福祉事業」倒産と休廃業・解散調査(東京商工リサーチ)
[11] 介護人材の確保・介護現場の革新(厚生労働省)
[12] 社会福祉法人及び医療法人の経営の大規模化・協働化等の推進(厚生労働省)
[13]ヘルスケア業界の2021年のM&A動向(ストライク)
[14] 三井住友海上ケアネットの子会社化(ソラスト)
[15] アニスピホールディングスの子会社化(リネットジャパングループ)
[16] ソーシャルインクルーの株式取得(ポラリス・キャピタル・グループ)

M&Aサクシードで成約した事例

老人ホーム・介護サービスに関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
首都圏エリア 療養型病院
  • 業種
    医療、介護
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
病院向けコンサルティング業
  • 業種
    サービス業(法人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円

老人ホーム・介護サービスのM&A案件一覧

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