事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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自動車製造・卸のM&A・事業承継の動向と事例

自動車製造・鉄道・船舶・航空機製造・その他輸送用機械器具製造・卸業では、技術・人材の獲得などを目的としたM&Aが活発です。M&Aによって、譲渡企業は「財務基盤の強化」、譲り受け企業は「生産拠点の確保」などのメリットを期待できます。

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)の現況

定義

自動車製造・鉄道・船舶・航空機製造・その他輸送用機械器具製造・卸業には、輸送用機械器具の製造・整備・修理を行う事業所が該当します。
主に以下の業種が含まれます。

  • 自動車製造業:自動車およびその付属品の製造・卸売
  • 鉄道・船舶・航空機製造業:鉄道車両や船舶、航空機、およびこれらの部分品や付属品の製造・修理、卸売
  • その他輸送用機械器具製造・卸売業:重機や産業用車両などの製造・卸売

市場規模・環境

2019年における「製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)」の製造品出荷額(市場規模)は、約56兆2,964億円です。[1]
なお、2015年から2019年までの推移は以下のとおりです。

参考:工業統計調査 2020年確報 品目別統計表(経済産業省)をもとに弊社作成

業界の課題・展望

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)全体に共通する課題として、新型コロナウイルスの感染拡大による「需要低迷」が挙げられます。

経済産業省によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「需要低迷」や「生産調整」により、輸送機械鉱業の「鉱工業生産指数」や「稼働率指数」は2020年に大幅な減少を見せました[2]。
2021年以降は回復傾向にあるものの、半導体や原材料の価格高騰などの影響により、自動車製造・造船業を中心に、依然として厳しい経営環境となっています。[3]

参考:製造工業生産能力指数・稼働率指数(経済産業省)を基に弊社作成

また、業種別に見ると、それぞれ以下の課題があります。

  • 自動車製造業:少子高齢化や若者の車離れに伴う国内生産・販売台数の低迷[4]
  • 造船業:世界的な造船受注量の減少や中国・韓国との競争激化に伴う業績悪化[5]
  • 航空機製造業:機体およびエンジンと比較して、装備品のシェアが小さい[6]

こうした課題を受けて、業界内では「AIなどの最新技術の活用」や「新興国への事業進出」、「大手企業との提携強化」などの動きが活発であり、今後もこの動きが加速すると考えられます。

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)のM&A動向

M&Aの件数・規模

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)のみを集計したM&A件数・規模に関するデータはありません。
したがって、ここでは「製造業全体」と「自動車産業」に分けて、件数を紹介します。

製造業全体

M&A Onlineのデータによると、製造業全体のM&A件数(2020年)は174件でした[7]。
2016〜2020年までの件数推移は以下のとおりです。[7]

出典:M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)を基に弊社作成

自動車産業

デロイトトーマツがMerger marketのデータをもとに集計した資料によると、2018年における自動車産業のM&A件数は77件でした[8]。
また、2014年から2018年までの推移は以下のとおりです[8]。

参考:自動車業界における近時のM&A動向(Deloitte)を基に弊社作成

上記のデータより、自動車産業のM&A件数は2014〜2017年までは横ばい傾向であったものの、2018年に大きく増加したことが見て取れます。

M&Aが行われている背景

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)では、主に以下の目的・戦略でM&Aが活用されています。

  • 海外進出やグローバル市場への対応
  • 人材不足、後継者不足の解消
  • 最新の市場トレンドや技術(自動運転など)への対応
  • 厳しい経営環境下における事業の選択と集中
  • 海外企業との競争激化を踏まえた「技術面での連携」や「事業規模の拡大」

M&Aの成功可能性を高めるポイント

譲渡企業が重視すべき要素

  • 優秀な技術者や作業員の育成、確保
  • 譲り受けからニーズのある「技術(金型加工技術など)」や「機械設備」の確保
  • 土壌汚染状況の把握、改善
  • 財務状況の改善(負債や不要な在庫の削減など)
  • 業務プロセスの自動化率向上
  • 営業体制の拡充
  • 安定的な収益の確保(発注元の分散、大手企業との発注元確保など)

譲り受け企業が重視すべき要素

  • 自社とのシナジー効果を期待できる譲渡企業の選定
  • 譲渡企業から引き継ぐ技術者や従業員の待遇改善
  • スムーズな発注元や原材料業者の引き継ぎ
  • 譲渡企業との誠実な態度での交渉
  • 譲渡企業に対する資金協力、経営面および技術面でのノウハウ提供

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 後継者不足の企業でも、廃業せずに事業承継を実現できる
  • 従業員や作業員の雇用および取引先との契約を継続できる
  • 会社や事業の売却利益を獲得できる
  • 大手メーカーの傘下に入ることで、「財務基盤の安定化」や「事業の成長加速」を実現できる
  • 同業他社との提携を通じて、海外進出を実現できる

譲り受け企業

  • 海外企業を買収することで、先進国を中心とした海外への進出を果たせる
  • 販路開拓や新規エリアでの生産拠点の確保を実現できる
  • 優れた技術や優秀な人材、知名度の高いブランドなどを獲得できる
  • 事業規模の拡大により、原材料の仕入れコストを削減できる
  • 外注していた製造業務を内製化することで、収益力を改善できる

デメリット

譲渡企業

  • 必ずしも希望の条件で会社・事業を売却できたり、M&Aの相手が見つかったりするとは限らない
  • 株式譲渡の場合、基本的に経営者としての地位を失う
  • 従業員や発注元などの取引先から反発を受ける可能性がある

譲り受け企業

  • 偶発債務や簿外債務を引き継ぐリスクがある
  • 期待通りにシナジー効果を獲得できるとは限らない
  • 買収後の事業運営が失敗し、投資資金を回収できないリスクがある

製造・整備・修理業界(輸送用機械器具)のM&A事例・インタビュー

有名なM&A事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2016年10月(第三者割当の払込期日)

譲渡企業:三菱自動車

譲り受け企業:日産自動車

譲渡企業:資金調達、日産およびルノーとのアライアンスを通じた「商品力強化」および「部品購買の効率性強化」[9]

手法:資本業務提携(第三者割当増資)

結果:日産自動車が三菱自動車株式(議決権)の34%を取得

取得価額:約2,373億円[10]

2019年11月[11]

譲渡企業:AIM Aerospace

譲り受け企業:積水化学工業

譲り受け企業:モビリティ材料領域における業容拡大

手法:株式譲渡

結果:積水化学工業がAIM Aerospaceグループの全株式を取得

取得価額:561億円[12]

2018年6月

譲渡企業:Lafert

譲り受け企業:住友重機械工業

譲り受け企業:電機・制御分野における事業領域の拡大と強化

手法:株式譲渡

結果:住友重機械工業がLafertの全株式を取得

取得価額:72億9,700万円[13]

[1]工業統計調査 2020年確報 品目別統計表(経済産業省)
[2]我が国ものづくり産業が直面する課題と展望(経済産業省)
[3]輸送機械業界(帝国データバンク)
[4]自動車産業の現状と今後の課題(参議院)
[5]造船業の現状と課題(国土交通省)
[6]航空機産業の現状と課題について(経済産業省)
[7] M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)
[8]自動車業界における近時のM&A動向(Deloitte)
[9]資本業務提携に関する基本合意書の締結(三菱自動車)
[10]第三者割当による新株式発行の払込完了(日産自動車)
[11]歴史・沿革(積水化学)
[12] 「AIM Aerospace グループ」の買収(積水化学工業)
[13] Lafert(ラファート)グループの子会社化(住友重機械工業)

M&Aサクシードで成約した事例

自動車製造・卸に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
自動車アフターパーツ製造業
  • 業種
    製造・整備・修理業(自動車・鉄道・船舶等の輸送用機械器具)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
自動車車体製造業
  • 業種
    製造・整備・修理業(自動車・鉄道・船舶等の輸送用機械器具)
  • 地域
    中部地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円

自動車製造・卸のM&A案件一覧

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