保険代理店の売却・M&A動向|メリットや相場、事例を解説
保険代理店業界では、安定的な経営や事業承継を目的に、事業や会社を売却するケースが増えています。保険代理店を売却するメリットやデメリット、M&Aの動向、最新の売却事例などをわかりやすく解説します。(中小企業診断士 鈴木裕太 監修)
保険業のM&A・事業承継の動向と事例
保険業のM&Aは、経営効率化や周辺事業への参入などを背景に活発です。M&Aにより、譲渡企業は営業力の向上、譲り受け企業は顧客ニーズのある商品の確保といったメリットを期待できます。
保険業には、主に以下の業種が含まれます。
生命保険業の市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:経済構造実態調査(e-Stat)、令和3年経済センサス‐活動調査(e-Stat)をもとに弊社作成
損害保険業の市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:同上
保険代理業の市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:同上
その他保険サービス業の市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:同上
保険業には以下の課題があります。
図1:個人保険の新規契約件数の推移(転換後契約は含まない)
出典:生命保険の動向(2019年度)、(2022年度)(一般社団法人 生命保険協会)をもとに弊社作成
上記の課題を受けて、保険業では以下の取り組みに対する重要性が高まっています。
図2:国内InsurTech市場規模推移・予測
出典:生命保険領域における国内InsurTech市場に関する調査(矢野経済研究所)をもとに弊社作成
保険業では、以下の目的・背景でM&Aが行われています。
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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M&Aが行われた時期 | 譲渡企業・譲り受け企業の概要 | M&Aの目的・背景 | M&Aの手法・成約 |
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2022年11月[6] | 譲渡企業:Partners Group Holdings Limited 譲り受け企業:第一生命ホールディングス | 譲り受け企業:海外事業ポートフォリオの強化 | 手法:株式譲渡 結果:第一生命ホールディングスがPartners Group Holdings Limitedの全株式を取得 取得価額:約830億円[7] |
2019年10月 | 譲渡企業:ほけんの窓口 譲り受け企業:伊藤忠商事 | 譲り受け企業:既存事業とのシナジー創出 譲渡企業:譲り受け企業が有するデジタル技術を用いたシステム開発、店舗出店のサポートを受けることなど | 手法:株式譲渡 結果:伊藤忠商事がほけんの窓口株式の57.7%を取得 取得価額:165億円(2014年3月からの累計出資額)[8] |
2021年1月 | 譲渡企業:NHSインシュアランスグループ 譲り受け企業:朝日生命 | 譲り受け企業:保険代理店チャネルへの取り組み強化、新たなスタイルの営業モデル構築 | 手法:株式譲渡 結果:朝日生命がNHSインシュアランスグループの全株式を取得 取得価額:非公表[9] |
[1] 経済構造実態調査(e-Stat)
[2] 令和3年経済センサス‐活動調査(e-Stat)
[3] 生命保険の動向(2019年度)(一般社団法人 生命保険協会)
[4] 生命保険の動向(2022年度)(一般社団法人 生命保険協会)
[5] 生命保険領域における国内InsurTech市場に関する調査(矢野経済研究所)
[6] Partners Group Holdings Limitedの完全子会社化に係る特定子会社の異動(第一生命ホールディングス)
[7] Partners Group Holdings Limitedの完全子会社化(第一生命ホールディングス)
[8] 伊藤忠、ほけんの窓口を子会社化(日本経済新聞)
[9] NHSインシュアランスグループの株式取得(朝日生命)