医療機器製造・卸売のM&A・事業承継の動向と事例
医療機器製造・卸売の分野では、技術力や販売面の強化を目的としたM&Aが活発です。M&Aにより、譲渡企業は資金確保による研究継続・拡大、譲り受け企業は特許や研究機関とのネットワークなどの獲得を見込めます。
医療機器製造・卸売の概要
定義
医療機器製造・卸売の分野には、以下の業種が含まれます。
- 医療機器製造・卸売
- その他医療サービス
- 福祉用具レンタル・販売
- 福祉用具製造
市場規模・環境
「医療機器製造」、「医療機器卸(輸出入)」、「福祉用品レンタル」、「福祉用品製造」の4分野に分けて、市場規模の推移をお伝えします。
医療機器製造
医療機器製造の市場規模は以下のとおり推移しています。[1][2]
出典:経済構造実態調査(e-Stat)、令和3年経済センサス‐活動調査(e-Stat)をもとに弊社作成
医療機器卸(輸出入)
医療機器の輸出入金額は以下のとおり推移しています。[3]
出典:令和3年薬事工業生産動態統計年報(厚生労働省)をもとに弊社作成
福祉用品レンタル
福祉用品レンタルの市場規模は以下のとおり推移しています。[4]
出典:福祉用具レンタル市場に関する調査(矢野経済研究所)をもとに弊社作成
福祉用品製造
福祉用品製造の市場規模は以下のとおり推移しています。[5]
出典:福祉用具産業の市場規模調査結果(日本福祉用具・生活支援用具協会)をもとに弊社作成
課題・展望
医療機器製造・卸売の分野には以下の課題があります。
- 国際競争力の弱い分野の存在
- 輸入依存度の高さ
- DX化の遅れ
- 外資系企業を含む同業他社間の競争激化
- 価格競争やニーズの多様化、求められる製品の高度化などを要因とした利幅の減少
上記の課題を受けて、医療機器製造・卸売の分野では以下の取り組みに対する重要性が高まっています。
- 顧客目線での製品開発や人材育成による競争力の強化、競合他社との差別化
- DX化への注力(POSシステムによる一元管理など)による生産性の向上、緊急時における対応力の強化
医療機器製造・卸売のM&A動向
M&Aの件数
医療機器の製造販売を行う上場企業のうち、売上高上位20社のM&A件数は以下のとおり推移しています。
2010〜2015年と比べて、2016年〜2021年9月は件数が増加しているため、医療機器製造・卸売分野ではM&Aが活発化していると言えます。[6]
出典:公開情報を用いた国内医療機器企業のM&Aの動向調査(医療機器政策調査研究所)をもとに弊社作成
M&Aが行われている背景
医療機器製造・卸売の分野では、以下の目的・背景でM&Aが実施されています。
- 医療機器製造・卸売事業の拡大
- 医療機器製造・卸売事業への新規進出
- 不採算部門からの撤退による成長性の高い事業や主力事業への集中
- 技術力や販売・マーケティングの強化
- 海外進出、海外企業との提携
医療機器製造・卸売でM&Aを行うメリット・デメリット
メリット
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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デメリット
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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医療機器製造・卸売のM&Aを成功させるポイント
譲渡企業
- 許認可や病院・大学等とのネットワーク、優れた技術者といった模倣困難な経営資源を確立する
- 顧客のニーズや市場トレンドに沿った製品ラインナップやビジネスモデルを確立する
- 法令遵守を徹底する
- 不要な設備施設や在庫等はあらかじめ処分しておく
- 安定的な収益源の確保や在庫管理などの業務に関するDX化を進めておく
譲り受け企業
- 自社事業とのシナジー効果創出や持続的な競争優位性につながるリソースを有する譲渡企業を選定する
- デューデリジェンスにより、法令遵守状況を精査する
- 市場のトレンドや顧客ニーズに沿ったビジネスモデルかどうかをチェックする
- 買収後に必要となる追加費用(設備更新費用など)も考慮しておく
- 時期によって運転資金が変動するかを精査し、変動する場合は資金繰りに大きな問題がない譲渡企業を選定する
医療機器製造・卸売のM&A事例・インタビュー
主な有名事例
M&Aが行われた時期 | 譲渡企業・譲り受け企業の概要 | M&Aの目的・背景 | M&Aの手法・成約 |
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2021年5月[7] | 譲渡企業:Medi-Tate 譲り受け企業:オリンパス | 譲り受け企業:譲り受け企業が有する治療デバイスの獲得 | 手法:株式譲渡 結果:オリンパスがMedi-Tateの全株式を取得 取得価額:約260百万ドル[8] |
2021年10月 | 譲渡企業:佐野器械 譲り受け企業:メディアスホールディングス | 譲り受け企業:販売エリアの拡大、経営基盤の強化 | 手法:株式譲渡 結果:メディアスホールディングスが佐野器械の全株式を取得 取得価額:非公表[9] |
2021年12月 | 譲渡企業:ホームケアサービス山口 譲り受け企業:フランスベッド | 譲り受け企業:顧客基盤の獲得による事業規模の拡大 | 手法:株式譲渡 結果:フランスベッドがホームケアサービス山口の全株式を取得 取得価額:非公表[10] |
[1] 経済構造実態調査(e-Stat)
[2] 令和3年経済センサス‐活動調査(e-Stat)
[3] 令和3年薬事工業生産動態統計年報(厚生労働省)
[4] 福祉用具レンタル市場に関する調査(矢野経済研究所)
[5] 福祉用具産業の市場規模調査結果(日本福祉用具・生活支援用具協会)
[6] 公開情報を用いた国内医療機器企業のM&Aの動向調査(医療機器政策調査研究所)
[7] Medi-Tate社の買収を完了(オリンパス)
[8] オリンパス、Medi-Tate社のすべての発行済株式取得のための交渉を開始(日本経済新聞)
[9] 佐野器械の株式取得(メディアスホールディングス)
[10] 連結子会社による株式取得(フランスベッドホールディングス)
M&Aサクシードで成約した事例
医療機器製造・卸売に関連する業界でも成約が生まれています。
- 首都圏エリア 療養型病院
- 業種
- 医療、介護
- 地域
- 南関東地方
- 売上高
- 2億5,000万円~5億円
- 病院向けコンサルティング業
- 業種
- サービス業(法人向け)
- 地域
- 南関東地方
- 売上高
- 10億円~25億円
医療機器製造・卸売のM&A案件一覧
M&Aサクシードに掲載されている医療機器製造・卸売のM&A売却・事業承継案件のうち、企業様に許可をいただいた一部案件の基本情報のみを掲載しています。会員登録(無料)すると全ての売却案件情報が閲覧できます。