エネルギー業界のM&A・事業承継の動向と事例
エネルギー業界(水道、光熱、エネルギー関連)は各種のエネルギーや資源の供給に関わる業種からなり、事業拡大や事業ポートフォリオ転換のためのM&Aが盛んです。M&Aにより、譲り受け企業は「新しい時代に対応した事業構造の構築」、譲渡企業は「中長期的な事業安定化」などが図れます。
水道、光熱、エネルギー関連業界の現況
定義
当業界にはエネルギー供給・販売や関連施設設置・保守などに関わる以下の業種が含まれます。
業種 | 定義 |
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電気 |
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ガス |
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水道 |
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熱供給 |
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ガソリンスタンド・ガソリン販売 |
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LPガス販売 |
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太陽光発電(売電) |
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エネルギー関連設備の販売・設置工事 |
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その他エネルギー関連事業 |
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市場規模・環境
各エネルギーの供給量・最終消費量は以下のように推移しています。
参考:総合エネルギー統計(資源エネルギー庁)を基に弊社作成
業界の課題・展望
長期的な課題としては、温室効果ガス排出削減(カーボンニュートラル)、限りある化石エネルギーの利用自体の削減、エネルギー自給率向上・安定供給などの観点から、エネルギー業界全体において再生可能エネルギーへの転換に向けた取り組みが求められています。[1]
さらに、新旧のあらゆる形態のエネルギー施設をICTで安全かつ効率的につなぎ、地域レベルでエネルギー利用を最適化すること(スマートグリッド化)も今後の大きな課題です。
現況においては、国内のエネルギー消費総量が緩やかに減少するなか、電力・ガス小売の自由化やエネルギー供給サービスの多様化などにより同業種間・異業種間の競争が激化しています。
そうした状況のなか、短期的・中期的には以下のような取り組みが重要であると考えられます。
- 事業ポートフォリオの転換(例:化石エネルギーから再生可能エネルギーへの重心転換)や総合化(既存事業とは異なる分野のエネルギー事業や住宅・農業・ITなどの異業種の事業に進出し、相互連携によるシナジーを創出)
- 既存事業の付加価値向上(エネルギー供給の安全性・効率性・環境性の向上など)
- 分散するエネルギー施設(例:太陽光発電システム、LPガスボンベ)の集約とネットワーク化
- 家庭・事業所向けエネルギー施設・環境設備の需要喚起
水道、光熱、エネルギー関連業界のM&A動向
M&Aの件数・規模
電気業・ガス業が譲渡対象となったM&A(一般に開示されたもの)の件数は近年以下のように推移しています。
出典:M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)を基に弊社作成
一方、再生可能エネルギー関連業種(太陽光・風力・バイオマス)のM&A件数は以下のように推移しています。
出典:PwCアドバイザリーとレコフデータが共同でESG/SDGs関連M&A動向を調査(PwC)を基に弊社作成
M&Aが行われている背景
以下のような業界・各企業の課題に対応するための手段としてM&Aが活用されています。
- 事業ポートフォリオ転換・総合化
- 大手による事業拡大と中小事業者の生き残り
- カーボンニュートラル・SDGsへの対応
- DX・スマート化によるエネルギー供給の効率化・付加価値向上
- 中小企業の後継者不在問題
M&Aの成功可能性を高めるポイント
譲渡企業が重視すべき要素
- エネルギー施設の稼働・保守状況や労務状況、地域の需要動向などの明確化
- 財務状況の明確化、資産保有や資金の流れにおけるオーナー経営者個人と会社の明確な分離
- M&A・事業承継の早期検討
- 自社と相性のよい譲り受け企業の選定
- 事業引継ぎ・統合を容易にするための環境・仕組み作り
譲り受け企業が重視すべき要素
- 事業内容・対応エリア・技術・顧客層などの面で自社と相補う関係にあり、経営統合により大きなシナジー(エネルギー事業の転換・総合化・集約・スマート化の加速など)が期待できる譲渡企業の選定
- M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡企業選定・交渉・契約
- 譲渡企業が抱えるリスクの精査と対応の検討
- 譲渡企業の価値やM&A成功の見込みに対する現実的で具体的な分析
- 譲渡企業の経営方針や組織風土、職場環境、労使関係などへの配慮
- 雇用継続・経営者保証解除など、譲渡企業の希望条件への配慮
水道、光熱、エネルギー関連業界でM&Aを行うメリット・デメリット
メリット
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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デメリット
譲渡企業 |
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譲り受け企業 |
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水道、光熱、エネルギー関連業界のM&A事例・インタビュー
主な有名事例
M&Aが行われた時期 | 譲渡企業・譲り受け企業の概要 | M&Aの目的・背景 | M&Aの手法・成約 |
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2022年6月 | 譲渡企業:東京ガスエネルギー 譲り受け企業:岩谷産業 | 譲渡企業・譲り受け企業:LPガス供給の安定化、営業効率化、物流合理化など | 手法:株式譲渡 結果:岩谷産業が東京ガスエネルギーの全株式を取得[3] |
2022年4月 | 譲渡企業:ウエストホールディングス 譲り受け企業:JERA | 譲渡企業・譲り受け企業:太陽光発電事業の拡大、国内外での再生可能エネルギープロジェクトの開発 | 手法:資本業務提携 結果:JERAがウエストホールディングスの発行済株式約2.3%を取得、両社間で業務提携開始[4] |
2022年1月 | 譲渡企業:JRE 譲り受け企業:ENEOS | 譲り受け企業:再生可能エネルギー事業の拡大、CO2フリー電気の安定的供給体制の構築[5] | 手法:株式譲渡 結果:ENEOS・同社子会社がJREの発行済株式を各々94.9%・5.1%(計100%)取得 取得価額:約1,912億円[6] |
[1]日本が抱えているエネルギー問題(前編)(資源エネルギー庁)
[2]スマートグリッド・スマートコミュニティとは(同上)
[3]岩谷産業との株式売買契約締結(東京ガス)
[4]業務提携に関する最終合意(JERA)
[5]子会社によるジャパン・リニューアブル・エナジーの株式取得 (ENEOS HD)
[6]子会社によるジャパン・リニューアブル・エナジーの株式取得完了(同上)
M&Aサクシードで成約した事例
M&Aサクシードでご成約された、エネルギー業界の成功事例をご紹介します。
エネルギー業界に関連する業界でも成約が生まれています。
- ガソリンスタンド・プロパンガス販売
- 業種
- 水道、光熱、エネルギー関連業
- 地域
- 東北地方
- 売上高
- 5億円~10億円
- エネルギー供給販売等
- 業種
- 水道、光熱、エネルギー関連業
- 地域
- 南関東地方
- 売上高
- 100億円以上
エネルギー業界のM&A案件一覧
M&Aサクシードに掲載されているエネルギー業界のM&A売却・事業承継案件のうち、企業様に許可をいただいた一部案件の基本情報のみを掲載しています。会員登録(無料)すると全ての売却案件情報が閲覧できます。
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