事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

JPX 東証上場

当社はビジョナル(東証上場)
のグループ会社です

設備・職別工事のM&A・事業承継の動向と事例

設備・職別工事の分野では設備・職別工事業同士や建材住設メーカー・商社などとのM&Aが盛んです。M&Aにより、譲渡企業は財務基盤強化やDX推進、事業承継などを実現でき、譲り受け企業は既存事業拡大やサービス総合化などを図れます。

設備・職別工事の概要

定義

次の業種が含まれます。

設備工事業

  • 機械器具設置工事・プラント工事
  • 空調設備工事

職別工事業

  • 鉄骨・鉄筋加工・工事
  • 石工・ブロック工事
  • ガラス・サッシ加工設置

プラント工事業は、石油化学・電力・製鉄などの産業プラントを対象に、機械器具設置工事を中心とする工事や設備のメンテナンスを請け負う業種です。
関連業種としてプラントエンジニアリングがあります。こちらは企画・設計から施工管理・保守まで、プラント建設関連のプロジェクト全般を請け負います。

市場規模・環境

設備・職別工事分野の完成工事高は以下のように推移しています。
2020年に推計方法の変更(欠測値補完の追加)があり、2019年度と2018年度の間にデータの段差が生じています。

出典:建設工事施工統計調査結果表(第2表)2019年度2020年度(e-Stat)をもとに弊社作成

プラント工事業などの元請となるプラントエンジニアリングの受注高は以下のように推移しています。
なお、受注高は「電力プラントシステム」「通信プラントシステム」「化学プラント」「製鉄プラント」「その他産業プラント」の合計額となります。

出典:特定サービス産業動態統計調査長期データ・エンジニアリング業(経済産業省)をもとに弊社作成

空調設備工事を含む空調衛生設備工事業の売上高は以下のように推移しています。

出典:空調衛生設備工事業に関する法人アンケート調査を実施(2021年)(矢野経済研究所)をもとに弊社作成

課題・展望

土木分野の工事需要は以下のように推移すると予想されます。[1]

  • 当面は、老朽化した公共インフラのリニューアル・メンテナンス工事の需要が底堅く推移
  • 中長期的には、高齢化・人口減少により公共投資が縮小

建築分野では、以下のような動向が見られます。

  • 住宅・非居住建築物の新設着工数が低迷しており[2]、今後は減少傾向が顕著に[3]
  • 新設工事減少、空き家増加(空き家率の増加)[4]を背景(下図)に、国は既存住宅の流通活性化を図る政策を展開[5]
  • リフォーム市場は今後安定的に推移すると予想される[3]

出典: 平成30年住宅・土地統計調査(総務省統計局)をもとに弊社作成

こうした流れのなか、設備・職別工事業としては以下のような取組を通してサービスの差別化と積極的な受注拡大を図っていくことが求められるでしょう。

  • リフォーム工事への積極的進出
  • 環境対応型の工法・建材の導入
  • 複数の工事分野にまたがる施工体制の構築、多能工育成

建設業全体で技能人材の高齢化と若年人材の不足が深刻化しており、人材確保やDXによる効率化・省人化も今後の重要な課題です。[6]

また、設備・職別工事業は後継者不在率がとくに高い業種であり、事業承継が課題となっている事業者が少なくありません。[7]

設備・職別工事のM&A動向

M&Aの件数

設備・職別工事業を含む建設業全体のM&A件数(上場企業の適時開示情報をもとに集計された件数)は、例年20~30件程度で推移しています(2020年はとくに多く、50件)。[8][9]

出典:「建設業界」M&A取引金額が過去最高に(M&A Online)M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)を基に弊社作成

M&Aが行われている背景

  • 既存事業の拡大(施工体制強化、商圏拡大など)
  • サービスの総合化・ワンストップ化
  • 建設分野における事業ポートフォリオ転換・拡充
  • 後継者不在問題解消
  • 2019年建設業法改正によるM&A・事業承継推進政策(経営業務管理責任者要件の緩和、M&A・事業承継に伴う建設業許可承継制度の新設)[10]

設備・職別工事でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 大きな企業グループの傘下に入ることで、財務基盤強化やノウハウ向上、DX推進などを図ることができる
  • ファンド・商社からの出資を受けることで、事業拡大を図ることができる
  • 後継者不在でも事業承継が行え、経営者保証の解除も可能
  • 不採算事業の売却により事業構造改革を図ることができる

譲り受け企業

  • 同業者の買収により、施工体制強化、技術力向上、調達コスト削減、技能人材確保、商圏拡大などが可能
  • 分野の異なる設備・職別工事業同士によるM&Aを通して、サービスの拡充・総合化や、事業ポートフォリオ転換(通信インフラなどの需要縮小分野から他分野への転換)が可能
  • 建材住設メーカー・商社、機械設計会社、不動産会社などが設備・職別工事業を取り込むことで、工事分野の開拓が可能
  • 総合建設会社・リフォーム会社などが設備・職別工事業を取り込むことで、施工体制強化が可能

デメリット

譲渡企業

  • 業務の非効率化や人員のモチベーション低下・大量離職、顧客の離反が起こり得る
  • 譲り受け企業の子会社となる場合、現経営陣の経営権は多かれ少なかれ制限される

譲り受け企業

  • 譲渡企業のリスク(労務問題や簿外債務など)を引き継いでしまう恐れがある
  • 経営統合が想定通りに進まず、期待していたシナジーが実現されずに、多額のコスト・損失が生じるケースもある

設備・職別工事のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 人材の離職防止、モチベーション向上
  • 許認可や労働法などに関するコンプライアンスの確認・強化
  • M&A・事業承継の早期検討
  • 相性のよい譲り受け企業の選定

譲り受け企業

  • M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡企業選定・交渉・契約
  • 譲渡企業が抱えるリスクの精査と対応の検討
  • 建設業許可の承継手続き(事前認可届出)なども含めた、適切なスケジュールの検討

設備・職別工事のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2021年11月

譲渡企業:富士防災

譲り受け企業:大林組、オーク設備工業(大林組子会社)

大林グループにおける設備工事分野の一層の深化、サプライチェーン強化

手法:株式譲渡

結果:大林組とオーク設備工業が富士防災の株式を取得し、オーク設備工業が富士防災を子会社化[11]

2021年10月

譲渡企業:アルミ工房萩尾

譲り受け企業:ダイキアクシス

ダイキアクシスの住設機器関連事業とアルミ工房萩尾の住宅サッシ・エクステリア建材施工販売業の融合によるシナジー追求

手法:株式取得

結果:ダイキアクシスがアルミ工房萩尾の全株式を取得[12]

2020年7月

譲渡企業:京都板硝子

譲り受け企業:JKホールディングス

JKホールディングスグループの建材・住設事業と京都板硝子の建築用ガラス・サッシ卸売・施工事業の融合によるシナジー追求

手法:株式譲渡

結果:JKホールディングスが京都板硝子の全株式を取得[13]

[1] 建設経済レポートNO.72 1.4(建設経済研究所)
[2] 建築着工統計調査報告・令和3年度計(国土交通省)
[3] 2040年度の住宅市場を予測(野村総合研究所)
[4] 平成30年住宅・土地統計調査(総務省統計局)
[5] 既存住宅流通市場活性化 参考資料(国土交通省)
[6] 最近の建設業を巡る状況(国土交通省)
[7] 全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)(帝国データバンク)
[8] 「建設業界」M&A取引金額が過去最高に(M&A Online)
[9] M&Aの主役交代!? 「製造業」が「サービス業」にトップの座を譲る(M&A Online)
[10] 建設業法改正概要・参考資料(国土交通省)
[11] 株式取得(大林組)
[12] アルミ工房萩尾の株式取得(ダイキアクシス)
[13] 京都板硝子株式の取得(JKホールディングス)

M&Aサクシードで成約した事例

設備・職別工事に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
管工事施工管理技士業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    中部地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
株式譲渡
譲り受け
建設・工事業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    近畿地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
建設・土木業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    東北地方
  • 売上高
    5億円~10億円
株式譲渡
譲り受け
建築・警備業等
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
不動産業・一級建築士事務所・工務店・
  • 業種
    不動産業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
注文住宅等建築業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
公共工事中心 建築工事業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    九州地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
株式譲渡
譲り受け
建設会社
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    九州地方
  • 売上高
    5億円~10億円
譲渡
プレハブ等建築業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
不動産業
  • 業種
    不動産業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円
譲渡
建機リース業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    1億円~2億5,000万円
株式譲渡
譲り受け
土木建築等請負業
  • 業種
    建設、土木、工事業
  • 地域
    中部地方
  • 売上高
    10億円~25億円

設備・職別工事のM&A案件一覧

M&Aサクシードに掲載されている設備・職別工事のM&A売却・事業承継案件のうち、企業様に許可をいただいた一部案件の基本情報のみを掲載しています。会員登録(無料)すると全ての売却案件情報が閲覧できます。

まずは無料でご相談ください
設備・職別工事で、地域・業種を超えた出会いが生まれています。
登録企業は審査を通過した法人のみ。匿名で情報を掲載できるので安心です。
着手金、中間手数料はゼロ、ご利用料金は成約するまで無料、
専門のコンシェルジュがサポートしますので、お気軽にお問合せを。

他の業界のM&Aを調べる

営業:平日10〜17時