事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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理化学機器のM&A・事業承継の動向と事例

理化学機器の分野では同業者やライフサイエンス関連企業とのM&Aが盛んです。M&Aにより、譲渡企業は経営安定化や資金調達などが可能になり、譲り受け企業は既存分野の事業拡大や新事業分野の開拓・強化などを図れます。

理化学機器の概要

定義

理学・工学の研究・教育に用いられる以下のような機器を製造する業種が該当します。

  • 実験用機器:X線回折装置、粒子加速装置など
  • 測定用機器:各種の計量・測定器
  • 観測用機器:電子顕微鏡、望遠鏡、超高速カメラなど
  • 分析・解析用機器:クロマトグラフ、質量分析装置、DNAシーケンサーなど

市場規模・環境

理化学機器分野における2015年~2020年の製品出荷額(単位:百万円)は、それぞれ以下の通りです。[1][2]

計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業

出典:工業統計調査2020年確報・産業別統計表および令和3年経済センサス・製造業に関する集計・産業編(いずれもe-Stat)をもとに弊社作成

顕微鏡・望遠鏡等製造業

出典:同上

X線装置製造業

出典:同上

その他の電子応用装置製造業

「その他の電子応用装置製造業」は電子線・放射線・電磁波・超音波・弾性波を用いる測定装置・加速装置・顕微鏡などの製造業を指します(X線装置製造業・医療用電子応用装置製造業は除く)。

出典:同上

電気計測器製造業(工業用・医療用を除く)

出典:同上

課題・展望

  • 中国市場の急速な拡大や中国メーカー台頭への対応
  • 機器のさらなる精密化、小型・軽量化、簡易化
  • 研究環境のDX・IoT化に対応するための機器の自動化・AI化・ネットワーク化
  • 産学官の連携を通した新技術・次世代機器の開発と事業化促進
  • 世界的に大きな市場を占めるライフサイエンス関連機器分野での事業開拓

理化学機器のM&A動向

M&Aが行われている背景

以下のような目的を達成する手段としてM&Aが活用されています。

  • 特定機器分野のシェア拡大
  • 販路拡大・営業体制強化
  • 技術力・生産体制の強化
  • ライフサイエンス・バイオ医薬分野の新規開拓・事業拡大
  • 大手企業・ファンドによる投資・オープンイノベーション推進とスタートアップ企業による資金調達

理化学機器でM&Aを行うメリット・デメリット

メリット

譲渡企業

  • 大きな企業グループに入ることで財務基盤やブランド力、営業力などを強化できる
  • 新製品開発加速などのための資金調達が可能
  • 後継者不在であっても事業承継が可能
  • 自力での経営再建が困難な状況であっても譲り受け企業(スポンサー)のもとで立て直しが図れる

譲り受け企業

  • 同業者とのM&Aにより、特定機器分野のシェア拡大・販路拡大・製品ラインナップ拡充、隣接分野への進出、技術力・生産体制の補完などが可能
  • ライフサイエンス・バイオ医薬・臨床検査などの異業種とのM&Aにより、新事業分野の開拓・強化が可能

デメリット

譲渡企業

  • 組織風土や労働環境の変化により従業員のエンゲージメント低下や離職が発生する恐れもある
  • 取引先・顧客が経営統合・主要株主変動を問題視して離反する恐れもある
  • 子会社となる場合、経営の自由度は多かれ少なかれ制限される

譲り受け企業

  • 譲渡企業が抱えているリスク(知的財産権や労使関係に絡む法的トラブル・賠償責任など)を引き継いでしまう恐れがある
  • 経営統合が想定通りに進まず、期待していたシナジーが実現されずに、多額のコスト・損失が生じるケースもある

理化学機器のM&Aを成功させるポイント

譲渡企業

  • 製品に用いられている技術の権利関係のチェック
  • 人材の離職防止・モチベーション向上
  • 従業員・取引先・顧客への情報開示や契約維持に向けた協議を適切なタイミングで行うこと
  • 財務状況の明確化、財務面におけるオーナー個人と会社の明確な分離

譲り受け企業

  • M&A成立後を視野に入れた戦略策定・譲渡企業選定・交渉・契約
  • 譲渡企業が抱えるリスクや事業引継ぎの障害となる事項のチェックと対応策検討

理化学機器のM&A事例・インタビュー

主な有名事例

M&Aが行われた時期

譲渡企業・譲り受け企業の概要

M&Aの目的・背景

M&Aの手法・成約

2022年11月[3]

譲渡企業:日水製薬

譲り受け企業:島津製作所

島津製作所の分析計測機器技術と日水製薬の試薬分野技術・販路の融合による、臨床検査向け事業の拡大

手法:TOB・株式併合

結果:島津製作所が日水製薬を完全子会社化

取得価額:約176億円[4]

2021年5月

譲渡企業:電子科学

譲り受け企業:ジェイテックコーポレーション

取引先業種・企業風土が類似した2社の統合による、営業体制強化、製造効率化、開発高度化

手法:株式譲渡

結果:ジェイテックコーポレーションが電子科学を完全子会社化[5]

2021年1月

譲渡企業:リガク

譲り受け企業:カーライル

新設持株会社を通したリガクグループの新事業体制構築、企業価値最大化、数年以内の株式上場

手法:資本提携・株式譲渡

結果:カーライルとリガク代表取締役により設立された持株会社がリガクを完全子会社化[6]

[1] 工業統計調査2020年確報・産業別統計表
[2] 令和3年経済センサス・製造業に関する集計・産業編(いずれもe-Stat)
[3]日水製薬を完全子会社化(島津製作所)
[4]日水製薬に対する公開買付けの開始(同上)
[5]電子科学の子会社化(ジェイテックコーポレーション)
[6]リガクに米カーライル・グループが出資(リガク)

M&Aサクシードで成約した事例

理化学機器に関連する業界でも成約が生まれています。

譲渡
首都圏エリア 療養型病院
  • 業種
    医療、介護
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    2億5,000万円~5億円
株式譲渡
譲り受け
病院向けコンサルティング業
  • 業種
    サービス業(法人向け)
  • 地域
    南関東地方
  • 売上高
    10億円~25億円

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