食品製造業のM&A動向、売却価格、事例20件を徹底解説
- 法務監修: 相良 義勝 (京都大学文学部卒 / 専業ライター)
食品製造業界では消費ニーズの変化や競争激化などを受けてM&Aが活発化しています。食品製造業の現状と絡めながら、食品メーカーのM&Aの動向、メリット、売却価格、2020年から2022年に行われたM&A事例などを徹底解説します。
食品製造業は食品・飲料・酒類の製造を含み、加工型(原料を加工して最終製品を生産する業種)と素材型(加工メーカーや外食店に提供する素材・原料を生産する業種)に分かれます。
食品製造業全体の生産額は近年増加傾向にありましたが、2018年頃から減少傾向に転じ、2020年にはコロナ禍による外食産業の低迷などを受けて下落しました(下図)。
ただし、食品製造業のうち飲料・酒類を除いた加工型製造業では2018年以降も生産指数がほぼ横ばい(ないし微増)で推移しています。
図:2015年を基準とした食品製造業の生産指数推移(指数の定義については出典資料を参照)
出典:令和3年度食品産業動態調査(農林水産省)
品目別に見ると(上記出典参照)、酒類の生産額は近年下降を続けており、コロナ禍の打撃も加わって2021年には2015年比76.6%にまで落ち込みました。砂糖も下落傾向がうかがえます。
一方、堅調ないし好調に推移しているのは、加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ類)、乳製品(牛乳・バター・チーズ)、漬物(酢漬け・浅漬け)、生麺類、パン類、野菜飲料(トマト飲料)、調理済み食品(米飯・レトルトカレー)などです。
単身世帯や共働き世帯の増加を背景として、いわゆる中食(調理済み食品を店頭購入やデリバリーにより利用する形態)の需要が増加しており[1]、食品メーカーの生産にも影響を与えていると考えられます。
中長期的に見ると、人口減少の影響で今後は食品需要全体が縮小していくと予想され、食品の分野によってはすでに影響が現れ始めています。
食品製造業の労働生産性(従業員1人あたりの付加価値額)は製造業全体の平均に比べて低い水準にあります。[2]
出典:令和元年度食料・農業・農村白書 食品産業の動向(農林水産省)
食品という素材の特性から生産の機械化が容易でないケースが多いことや、原料供給の不安定さなどが原因として考えられます。
EC拡大による宅配需要増加や多品種小ロット輸送の拡大によるトラック積載効率低下で物流コストが高騰しており、食品製造業を含む幅広い産業において生産性を押し下げる要因になっています。[3]
食品製造業界内で見ると、従業員規模が大きい企業や、大規模な設備で生産が行われる業種(小麦・油脂・糖類などの素材製造や酒類・飲料製造)ほど、労働生産性が高い傾向があります。[4]
食品産業は膨大な食品ロス(食べられるのにもかかわらず廃棄されている食品)や海洋プラスチックごみなどの問題への対応を求められており、安全・安心な食品に対する消費者ニーズも高まっています。[2]
SDGsや食の安全・安心のためのコストは今後の食文化にとって必要なものであり、事業全体のなかにいかにそれらのコストを組み込んで最適化を図っていくかが、食品製造業にとって大きな課題のひとつとなっています。
[1]中食、外食市場の動向と課題(財務省)
[2]令和元年度食料・農業・農村白書 食品産業の動向(農林水産省)
[3]スーパーマーケット等における流通・物流の諸問題(経済産業省)
[4]令和3年度食品産業動態調査(農林水産省)
一般的に、素材型の食品製造業(製粉、製油、製糖など)は事業規模が大きいほど生産効率化・コスト削減を図りやすい(スケールメリットが大きい)ことから、同じ素材を扱う企業の間で経営統合が進んでいます。
加工型の食品製造業の場合、以下のような組み合わせ・目的での買収が盛んに行われています。
出資により他社と協力関係を構築して協業を進めるという形のM&A(資本業務提携)もしばしば見られます。
売り手・増資側 | 買い手側の目的・メリット |
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買い手のコア事業と同分野で違った強みを持つ加工食品会社 |
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買い手の事業と異なる分野に強みを持つ加工食品会社 |
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新しい食品素材を開発しているベンチャー企業・フードテック企業 |
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海外食品メーカー |
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売り手・増資(出資受け入れ)側は、以下のような目的・メリットによりM&Aを実施しています。
異業種企業を相手とするM&Aも盛んです。
食品業界の商流は基本的に下図のようになっており、この商流に属する業種の間で以下のような組み合わせによるM&Aがしばしば行われています。
そのほか、食品メーカーがEC強化のためにIT系企業を買収したり、ファンドが成長分野の食品メーカーに出資したりする例などがあります。
食品メーカーと異業種企業のM&Aにおける業種の組み合わせと目的・メリットをまとめると以下のようになります。
買い手・出資側 | 売り手・増資側 | 目的・メリット |
---|---|---|
食品メーカー | 不動産・物流 |
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食品メーカー | EC・DXソリューション |
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健康食品メーカー | 医療・健康関連サービス |
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商社・食品卸売会社 | 食品メーカー |
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外食チェーン | 加工食品メーカー |
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食品小売(スーパーなど) | 加工食品メーカー |
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ファンド | 食品メーカー |
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M&Aの売却価格は企業価値評価を基準にして交渉により決定されます。
M&Aにおける企業価値とは、企業への投資者(株主)の立場から見た企業の価値(投資から得られる利益の度合い)を一定の方式で見積もったもので、企業の「理論的な値段」とも言えます。
企業価値評価には以下の3つのアプローチがあり、アプローチごとにいくつかの手法が存在します。
①は企業の収益性を直接的に見積もるアプローチです。例えば、事業計画をもとに将来のキャッシュフローを具体的に予測し、ファイナンス理論に基づいてその現在価値を割り出します(DCF法)。
②では市場による評価を基準とします。売り手が上場企業であれば株式時価総額(通例は一定期間の平均値)を企業価値と見なすことができます(市場株価法)。実際の売却価格はある程度のプレミアム(相場は2割程度)を上乗せした額となるのが通例です。
非上場企業の場合、事業内容などが類似した上場企業との比較で評価する手法があります(類似会社比較法)。
③は純資産額を基準にするアプローチです。例えば、時価純資産法では時価純資産(=時価資産-時価負債)を企業価値とします。
時価純資産法では将来の収益性への評価が抜け落ちてしまうため、清算会社を対象とする場合などにしか使われません。
中小企業のM&Aにおいては、現在の利益をもとに収益性を大雑把に見積もり、時価純資産額に加える手法(年倍法)がしばしば用いられます。この手法では「企業価値=時価純資産+直近年度の営業利益の数年分(一般的な相場は3~5年分)」とします。
企業価値評価や売却価格交渉においてはビジネスのあらゆる側面が検討対象となり、売り手企業の収支・財務状況・競合優位性などに加えて、関連市場の動向や、買い手企業との相性(期待されるシナジーの大きさ)も考慮されます。
したがって、「食品メーカーの売却価格相場」というものは存在しません。
売り手と買い手の相性はM&Aに特有のポイントで、企業価値評価や売却価格交渉において考慮されるだけでなく、M&Aの成否そのものにもかかわります。M&Aにおいては相手企業とのマッチングが最初の難関であり、成功のための最大の鍵なのです。
自社と何らかの点で補い合う関係にあり、その関係から大きなシナジーを創出できるような相手を選ぶことが、双方にとって重要です。
そうすることで売り手としてはより高額の売却価格を期待できるだけでなく、M&Aを通して雇用安定化やブランド向上、事業拡大などが実現する可能性が高まります。買い手としても、より投資対効果の高い取引を行うことができます。
M&Aの目的・メリットをまとめた表(上述)に挙げた通り、食品会社と同業者・異業種企業の間には様々な相補関係・シナジーのタイプがあり、以降の章で紹介するM&A事例のなかにその具体的な例を読み取ることができます。
熊本製粉:熊本市に本社を置き、九州地方を主なマーケットとして小麦粉・そば粉・米粉の製造や加工食品製造などの事業を展開[5]
日清製粉:日清製粉グループの中核企業として小麦粉製造を初めとする製粉事業を展開[5]
譲渡企業:独自技術や得意分野(小麦粉に加え、米粉・そば粉・焙煎粉など)を活かし、譲り受け企業グループの一員としてシナジー効果を発揮しながら、持続的な成長と企業価値向上を図る[6]
譲り受け企業:人口減少・少子高齢化による需要減少や国際貿易協定発効による競争激化で小麦粉市場を取り巻く環境が厳しさを増すなか、譲渡企業と一体となった事業運営を行うことでコスト競争力・市場適応力・事業競争力の強化を図る[5]
ヤマキン:小袋製品を中心に液体調味料などを製造[7]
エバラ食品工業:家庭用・業務用調味料を中心とする食品の製造販売事業を展開[8]
エバラビジネス・マネジメント:エバラ食品工業の子会社で、国内外グループ会社の経営戦略立案・経営管理などを担う中間持株会社[9]
譲り受け企業:高齢化・世帯人数減少などを背景に今後需要拡大が見込まれる小容量製品の製造・供給体制強化を図る[7]
バブルスター:低糖質食品を中心とする健康食品の開発・製造・EC、食品輸入・卸売の事業を展開[11]
オーイズミ:遊技場向け装置・機器の製造販売事業と不動産賃貸・管理事業を手がけ、子会社を通して日本酒やこんにゃく加工食品の製造販売事業なども展開[12]
譲り受け企業:事業分野のさらなる拡充[11]
大商金山牧場:東北地方において豚の生産飼育、豚肉カット・部分肉製造・アウトパック、食肉加工食品製造・卸売などの事業を展開[14]
スターゼン:牛肉・豚肉の国内調達・輸出入、食肉処理・加工、食肉加工品製造などの事業を展開[15]
譲渡企業・譲り受け企業:
Waffle Waffle:北米において高品質で手頃な価格の家庭用冷凍食品ブランド「Happi Foodi」の製造・販売事業を展開[16]
マルハニチロ:水産物の漁獲・養殖・供給および加工食品・医薬品の製造販売、畜産物の調達・加工・販売、低温輸送を軸とした包括的な物流サービスなどの事業を展開[17]
譲り受け企業:最新トレンドを捉えるマーケティング・企画・開発力と販売網を有する現地パートナーとの協業により海外市場販売網構築を図る成長戦略の一環[16]
わらべや日洋食品:わらべや日洋グループの中核事業会社で、セブン-イレブン向け調理済食品の製造販売事業を展開[18]
デイリーはやしや:セブン-イレブン向け調理済食品の企画開発・製造事業を展開[18]
譲渡企業:わらべや日洋グループの国内食品関連事業における生産体制再構築の一環として、老朽化が進み、供給対象地域ニーズ動向への対応力の点でも課題のある工場を閉鎖し、同工場の製造事業を譲り受け企業の新工場に移管[18]
DAIZ:温室効果ガス排出抑制効果が高く、世界的人口増加によるタンパク質供給不足を補う役目も期待される植物肉の分野において、独自技術による次世代型商品「ミラクルミート」を開発・製造し、大手のハンバーガーチェンやスーパー、飲食店などに提供[19]
日清食品ホールディングス:即席麺、チルド食品、冷凍食品、菓子・シリアル食品、乳製品・清涼飲料・チルドデザートなどの製造販売事業を展開する企業グループの持株会社[20]
譲渡企業:植物肉開発事業のさらなる拡大
譲り受け企業:サステイナブルかつ味わい・栄養バランスにも優れた植物性タンパク質食材の共同開発推進[19]
サンエイ糖化:医療用途の厳しい品質基準もクリアする技術力を活かし、ぶどう糖を中心とする糖化品と乳酸菌の開発・製造・販売事業を展開[21]
昭和産業:食品素材(小麦粉・ミックス粉・油脂・糖化品)や家庭用食品・飼料の製造販売事業、自社工場などを用いた倉庫事業、工場跡地などを用いた不動産事業を展開[22]
譲渡企業:昭和産業グループ子会社として事業間シナジーの追求と様々な分野でのオープンイノベーション推進を図り、さらなる成長・発展を目指す[23]
譲り受け企業:自社工場およびグループ会社による糖化品製造事業を拡充し、安定供給体制強化と生産性向上を図る[21]
三井製糖、大日本明治製糖、日本甜菜製糖:3社とも日本における近代製糖業の草分けとして設立された製糖会社で、基幹作物である甜菜・さとうきびの栽培から製糖まで一貫した生産体制により砂糖を中心とする食品素材を製造[25]
人口減少、甘味需要の多様化、各種国際経済協定の進展、国際的な競争激化などの影響で事業環境が厳しさを増すなか、生産技術や品質・コスト管理、物流、原料調達などに関する経営ノウハウを結集し、安定的国内供給体制の基盤強化と国際競争力の向上を図る[25]
[5]熊本製粉の株式取得(日清製粉)
[6]株主変更(熊本製粉)
[7]子会社によるヤマキンの株式取得(エバラ食品工業)
[8]事業紹介(同上)
[9]グループ企業一覧(同上)
[10]沿革(同上)
[11]バブルスターの株式の取得(オーイズミ)
[12]会社概要(同上)
[13]第54期有価証券報告書(同上)
[14]大商金山牧場との資本業務提携(スターゼン)
[15]事業(同上)
[16]Happi Foodiへの出資(マルハニチロ)
[17]事業案内(同上)
[18]新潟工場の閉鎖および事業譲渡(わらべや日洋食品HD)
[19]DAIZと日清食品ホールディングスが資本提携(DAIZ)
[20]会社概要(日清食品HD)
[21]サンエイ糖化の株式取得(昭和産業)
[22]事業概要(同上)
[23]弊社株主変更(サンエイ糖化)
[24]2021年3月期有価証券報告書(昭和産業)
[25]経営統合および資本業務提携(三井製糖・大日本明治製糖・日本甜菜製糖)
[26]持株会社体制への移行完了(DM三井製糖HD)
[27]子会社間の合併(同上)
[28]資本業務提携(日本甜菜製糖)
[29]株式交換・吸収分割(三井製糖)
cotta:製菓製パン材料のECポータルサイトを運営し、3万点に及ぶ商品の販売に加え、有名パティシエ・お菓子研究家・インスタグラマーなどを起用したコンテンツの配信とSNSマーケティングを展開[30]
不二製油:植物性素材を主原料とした食品素材(植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材)を製造[30]
譲渡企業・譲り受け企業:以下のような取り組みでの協働を通して消費者との接点を強化し、製品開発の拡充と新需要創造を図る[30]
おいしい健康:AI・最新栄養科学を活用した献立・栄養管理アプリや食生活リズム可視化アプリの開発・提供、医療機関・製薬会社との連携による患者支援ソリューション、食品企業向けDXソリューションなどの事業を展開[32]
味の素:風味調味料・合わせ調味料・加工食品・インスタント飲料・冷凍食品・アスリート向け食品などの製造、医薬用・食品製造用アミノ酸の製造・関連技術提供、化成品製造などの事業を展開[33]
譲渡企業・譲り受け企業:両社の技術・アセットを相互に活用し、以下のような分野においてオープンイノベーションを推進[32]
Sharikat National Food:シンガポールにおいて食品工場兼食品用低温倉庫1棟を保有・管理し、グループ企業および第三者へ賃貸する事業を展開(ヨシムラ・フード・ホールディングスの現地子会社2社も賃借)[34]
ヨシムラ・フード・ホールディングス:優れた商品・技術力を持ちながら後継者不在などにより事業継続が困難な食品関連企業をグループ化し経営支援を通して企業価値向上を図る「中小企業支援プラットフォーム」事業を展開[35]
譲渡企業:不動産管理業を展開する親会社によるグループ再編
譲り受け企業:シンガポール現地子会社(現地事業統括、寿司製造、水産品卸売、水産品加工販売の4社)の拠点をSharikat社の施設へ集結し、物流効率化、賃借費用削減、生産キャパシティ拡大、品質管理体制強化、グループ内協業推進を図る[34]
シナモン:AI関連製品・サービスの開発、AIソリューション提供などの事業を展開[37]
サントリーホールディングス:スピリッツ・ビール・ワイン・健康食品製造などの事業を展開する企業グループの持株会社[38]
譲り受け企業:スタートアップ企業への投資を通したオープンイノベーション推進(具体的には、顧客体験向上のためのDX加速、ビジネスプロセスの抜本的再構築の推進、オンライン販売手法開発など)[37]
DNAファクター:郵送検査キットによる遺伝子検査を初めとする各種検査サービスを展開[39]
アルプロン:プロテインを中心とする健康補助食品の企画・開発・製造・販売・OEMなどの事業を展開[40]
譲渡企業・譲り受け企業:従来の出資・協業関係(アルプロンによる一部出資、遺伝子検査商品の販売代理)を強化し、アルプロン製品ユーザーに対する検査商品のプロモーション拡大、OEMサービスの拡充、検査サービスをベースとしたパーソナライズ商品の展開などを通して両社のさらなる成長を図る[39]
[30]cottaと資本業務提携(不二製油)
[31]大量保有報告書(同上)
[32]味の素との資本業務提携(おいしい健康)
[33]事業紹介(味の素)
[34]Sharikatの株式取得(ヨシムラ・フードHD)
[35]事業概要(ヨシムラ・フードHD)
[36]沿革(ヨシムラ・フードHD)
[37]シナモンへ資本参加(サントリー)
[38]事業紹介(サントリー)
[39]DNAファクター社の完全子会社化(アルプロン)
[40]事業紹介(アルプロン)
松屋栄食品本舗:愛知県犬山市に本社を置き、たれ・ドレッシングと惣菜を中心とする食品の製造やPB商品受託開発などの事業を展開[41]
ブロンコビリー:愛知県名古屋市に本社を置き、中部・関西・関東圏でステーキ・ハンバーグ専門レストラン直営店135店舗を展開し、自社工場にて直営店舗向け肉加工品・調味料・スイーツ・スープなどを製造[42]
譲渡企業:譲り受け企業との共同開発を通した商品企画・開発力強化、事業拡大
譲り受け企業:
道東ライス:北海道の道東エリアで惣菜を中心とする食品製造業を展開[43]
アークス:北海道・東北・北関東に拠点を置くスーパーマーケット10社などからなる企業グループの持株会社[44]
福原:アークスの子会社で、道東エリアで食品スーパーを展開[45]
譲り受け企業:道東ライスの米穀炊飯加工・惣菜類製造ノウハウを取り込み、アークスグループ内の惣菜事業とも連携を図りながら、スーパー店舗での惣菜取り扱いを強化[43]
日本ハイドロパウテック:化学薬品を用いずに短時間で醸造物・発酵物を製造する特許技術をベースに、粉末・液体食品原料製造事業などを展開[46]
Angel Bridge:メガベンチャーとなる可能性を持つスタートアップ企業を対象に投資事業を展開[46]
立花商店:フェアトレードカカオ取り扱いのパイオニアとして知られるカカオ専門商社[46]
譲渡企業:特許技術をもとに開発したアレルゲンフリーチョコレートの生産体制を強化するための資金調達
譲り受け企業(立花商店):カカオ製造分野でのイノベーション推進[46]
マリンフーズ:日本ハムの子会社で、世界各国からの水産原料調達・供給事業、業務用寿司種や各種市販加工食品の製造事業、全国50拠点をベースとした卸売事業を展開[47]
双日:自動車・航空機・鉄道・船舶・インフラ・ヘルスケア・金属資源・化学素材などを扱う総合商社で、マグロ養殖・加工卸売事業なども展開[48]
譲渡企業・譲り受け企業:健康志向や調理簡便化ニーズの高まりを背景に回転寿司やスーパーマーケットにおける水産食品市場の世界的拡大が見込まれるなか、両社の事業基盤を組み合わせることにより、海外市場を含めた事業展開の拡大、調達先・生産拠点拡充、商品開発強化などを図る[49][50]
譲渡企業の概要
とみたメロンハウス:北海道中富良野町に本社を置き、富良野各地のメロン農家から仕入れたメロ ンと自社製造のメロン加工食品を店舗・催事・ECで販売[52]
譲り受け企業の概要
レブニーズ:北海道札幌市に本社を置き、北海道各地の食品メーカーと連携しながら、海産物を中心とする北海道特産生鮮食品・加工食品のブランディング、店舗・催事・ECでの小売、卸売などの事業を展開[53]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:農畜産品の取り扱い拡大[52]
M&Aの手法・成約
コスミックダイニング(現 コスミックSY[39]):スーパー・飲食店向けにとんかつやメンチカツ、ハンバーグなどの冷凍食品の製造販売事業を展開[54]
清和ヤマキフード:コスミックダイニングの子会社で、冷凍食品の製造販売事業を展開[54]
アークランドサービスホールディングス:とんかつ専門店「かつや」を初めとする18ブランドによる飲食店直営・フランチャイズ事業を展開する企業グループの持株会社[55]
譲渡企業:アークランドサービスグループの事業基盤を活かした販路開拓・事業規模拡大
譲り受け企業:冷凍食品製造販売分野に進出し、外食事業のブランド力を活かした事業展開を図る[54]
[41]株式の取得(ブロンコビリー)
[42]事業概要(同上)
[43]道東ライスの事業譲受(アークス)
[44]アークスグループについて(同上)
[45]会社案内(福原)
[46]資金調達を実施(NHP)
[47]事業内容(マリンフーズ)
[48]事業紹介(双日)
[49]当社株主の変更(マリンフーズ)
[50]水産食品加工会社の全株式を取得(双日)
[51]当社株主の変更(マリンフーズ)
[52]とみたメロンハウスの株式取得(レブニーズ)
[53]トップ(レブニーズ)
[54]会社概要(アークランドサービスHD)
[55]コスミックダイニングの株式取得(同上)
[56]ブランド一覧(同上)
食品製造業界においては、変化する消費ニーズへの対応や生産性向上、イノベーション推進などを目的として、活発にM&Aが行われています。
相手企業も同業者だけでなく食品小売・卸売、外食、IT、バイオ、不動産など多岐にわたります。
こうした流れは今後さらに加速していくものと予想されます。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)