LPガスの需要が縮小するなか、LPガス業界ではM&Aを活用して生き残りを図る動きが活発化しています。業界の現状と絡めながら、LPガス業界のM&A動向と2018年~2021年のM&A事例、売却価格相場などをわかりやすく解説します。
LPガス業界の動向
LPガス販売事業者の特徴
エルピーガス振興センターが2020年に実施したアンケート調査をもとにLPガス販売事業者の特徴をまとめると、以下のようになります。[1]
アンケート調査回答企業に占める割合 |
|
---|---|
組織形態 |
個人経営 22.5% 法人経営(会社) 71.6% 法人経営(組合) 5.7% |
流通段階 |
卸売専業 1.0% 卸売・小売兼業 14.8% 小売専業 84.2% |
専業・兼業 |
LPガス販売専業 17.8% その他の事業と兼業 82.2% |
LPガス事業に従事する従業員数 |
0名 11.6% 1~2名 31.6% 3~5名 25.5% 6~10名 12.5% 11~15名 5.1% 16~20名 2.8% 21名以上 10.9% |
LPガス販売業界では主に中小~中堅規模の事業者が各地域に分散して事業を展開しており、都市ガス供給エリアに比べてLPガスの供給エリアは少子高齢化・過疎化の度合いが高めです。
LPガス販売事業者はLPガス販売については小売専業が大半で、LPガス販売以外の事業を兼業している企業が多くを占めます。
兼業の内容で多いのは以下のような業種です(数字は兼業企業に占める割合)。
- 灯油などの石油製品販売(58.5%)
- 住宅設備工事(46.1%)
- 住宅リフォーム(31.0%)
- ガソリンスタンド経営(26.0%)
- 給排水工事(25.6%)
- 家電・電器製品販売(21.8%)
LPガスの需要動向
LPガスの国内需要は1996年度の1,970万トンをピークに下り坂となり、近年は1,300万トン〜1,400万トン程度で推移しています。
LPガス販売事業者数も一貫して減少傾向にあります。[2]
参考:LPガス業界の現況(経済産業省)、需給推移年報(日本LPガス協会)の資料をもとに弊社作成
需要減少の背景としては、少子高齢化や都市ガス・オール電化の普及などがあります。
エルピーガス振興センターのアンケート調査では、得意先(LPガス供給先の家庭・店舗など)の戸数が増減した要因として多くの企業が以下のような事項を挙げています(数字は要因として挙げた企業の割合)。[1]
得意先の増加要因 |
得意先の減少要因 |
---|---|
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|
LPガス販売業の今後
今後も高齢化や住宅新設の減少により需要縮小が進み、電力会社や同業者との競争がますます激化していく可能性が高いでしょう。
しかしながら、LPガスは環境性・利便性の点で以下のような長所があり、一定の需要は維持されていくものと予想されます。
- 汎用性のある分散型エネルギーであり、その種のものとしては広く普及している唯一の存在
- 長期間劣化なしで備蓄できる
- 災害時にも利用しやすく、いち早く復旧が可能
- LPガス自動車はガソリン車に比べて二酸化炭素排出量が少ない
今後のLPガス販売業においては、以下のような取り組みが成長の鍵を握ると考えられます。
- LPガス設備の利便性・安全性・環境性の向上
- LPガス供給・保安体制の高度化・ネットワーク化
従来、LPガスの容器(ボンベ)は鋼製のものが主流でしたが、近年では利便性やデザイン性、安全性に優れたFRP(繊維強化プラスチック)製容器が登場しています。
FRP容器は販売事業者にとって導入のハードルが高く、現在ままだ普及率が低いものの[1]、中長期的には新たな需要が見込まれる分野と言えます。
LPガスの販売にあたっては、液化石油ガス法により保安業務(設備点検・定期調査・重要事項周知・緊急時対応など)の実施義務が課されます。保安業務は保安機関として認定を受けた者が行う必要があります。[3]
販売業者自らが認定保安機関として保安業務を行うケースと、外部の認定保安機関に委託するケースがあります。
国としては、「認定液化石油ガス販売事業者」制度を通してLPガス販売事業者の保安機能の高度化を推進する姿勢を取っています。
集中監視システム(複数の得意先のLPガス設備を無線通信で一括管理し、緊急時には遠隔遮断が可能なシステム)の導入などが、同制度の認定要件となっています。
認定販売事業者には第一号(ゴールド)と第二号の2種類があります。エルピーガス振興センターのアンケート調査によると、この認定を取得している販売業者は第一号が9.2%、第二号が6.2%と、かなり限られます。[1]
集中監視システム導入や認定取得を行わない理由として多くの企業が挙げているのは、以下のようなものです。
- 初期投資・費用負担が大きい
- 現体制でも十分な保安が確保できている
- 対面営業がなくなり顧客と疎遠になる
集中監視システムなどを通したLPガス供給・保安体制のネットワーク化は、電力を初めとする他のエネルギーとの競合・共存を図る上で非常に重要な経営課題であると言えます。

M&A市場の現状と動向 今後の展望も解説
M&Aの市場は、後継者不足問題の深刻化などを理由に拡大してきました。しかし2020年は、コロナ禍の影響で市場が縮小しました。公認会計士が、M&Aの市場の動向および今後の展望を徹底解説します。 目次M&am […]
[1]石油ガス流通・販売経営実態調査報告書(経済産業省)
[2]LPガス業界の現況(同上)
[3]LPガス販売事業の手引き(同上)
LPガス業界のM&A動向とM&Aの目的・メリット
LPガス販売事業者同士のM&A
LPガス需要が縮小し、各地域のLPガス事業者が淘汰の波にさらされるなか、同業者とのM&Aによって状況を打開し、中長期的な事業成長を図ろうとする動きが活発化しています。
LPガス販売量・兼業規模ともに大きく、数県をまたいで事業を展開しているような企業が買い手となる例が多く、同地域や隣接エリアの比較的小規模な企業を買収して事業拡大を図っています。
売り手側としても、より安定した事業基盤を有するグループに参加することにより事業の継続・発展を図ることが容易になります。
中堅企業のなかには、経済成長とともにLPガス需要が拡大しているアジア地域への進出を図るため、現地のLPガス販売業者に対する買収・出資を進めているところもあります。

M&Aとは?目的・手法・メリット・流れを解説【図解でわかる】
M&A(エムアンドエー)とは、Merger(合併)and Acquisitions(買収)の略で、「会社あるいは経営権の取得」を意味します。今回は、M&Aの意味・種類・目的・メリット・基本的な流れ・税金・ […]

買収とは?M&Aとの違い・メリット・手法・事例・手続きを解説
買収とは、他社の事業または会社の経営権を取得することを指します。買収では、既存事業の拡大や新規事業への進出などを迅速に実現できます。買収を成功させるには、デューデリジェンスやPMIの徹底が重要です。今回は買収のメリット、 […]
LPガス販売事業者と都市ガス会社のM&A
東京ガス・大阪ガスのような大手都市ガス事業者は、主として再生可能エネルギー・スマートエネルギー方面や海外でのエネルギー事業に関連したM&Aを盛んに進めていますが、国内LPガス事業関連のM&Aを行う例もあります。
国内でのLPガス事業については、シェア拡大戦略をとる会社と同事業の切り離しを図る会社があり、前者の場合、地方の中堅LPガス販売会社などが買収対象となっています(後述する東邦ガスの事例など)。
後者の場合は反対に、LPガス関連子会社を大手LPガス販売会社などに譲渡し、グループの経営資源を他の事業に集中するという戦略がとられます(後述する東京ガスの例など)。

M&A戦略とは?策定の流れと成功のポイント【事例付き】
M&Aを成功させるためには売却・買収後を視野に入れた戦略が必要です。M&A戦略の重要性、策定の流れ、売却側・買収側それぞれの戦略の要点と注意点を解説し、成功事例を紹介します。 目次M&A戦略策定の […]
LPガス販売事業者と異業種企業のM&A
LPガス事業者のなかには、M&Aを利用して兼業強化・事業多角化を進めるているところや、電力会社との協業を通してガス・電力を含む総合的なエネルギー事業の推進を図っているところもあります。

M&Aによる多角化戦略とは?特徴やメリットを図解で解説
M&Aによる多角化とは、買収によって既存事業とは異なる市場に進出する戦略です。多角化の目標を短期間で実現できる点がM&Aのメリットです。多角化戦略の概要やM&Aによる多角化の事例をくわしく解説しま […]
LPガス販売事業者の売却・M&A手法
LPガス業界では古くからLPガス小売業に関する商権の売買が行われてきました。
LPガス小売業者が廃業時に仕入先のLPガス卸売業者に得意先の契約を譲渡する、というのが典型的な例です。
これはM&A手法としては事業譲渡にあたります。LPガス小売業に限らず、比較的規模の小さな事業の売却では事業譲渡がよく用いられます。
売り手が法人の場合、一般的に株式譲渡の手法が最もよく用いられます(とくに売り手が非上場中小企業の場合)。
LPガス販売業者のM&Aでも株式譲渡がしばしば利用されます。
そのほか、資本業務提携を通して電力会社などとの協業を進めるケースもあります。
事業譲渡・商権譲渡
ひとつの事業は様々な権利義務(有形・無形の資産、負債、雇用契約・取引契約など)で成り立っています。
事業譲渡では、これらの権利義務を一点一点買い手企業に移転することで、事業を買い手に移管します。
事業譲渡では譲渡する権利義務の範囲を契約により取り決めます。
例えば、複数事業のうちの1事業のみ、あるいは1つの事業所・販売所のみを譲渡対象としたり、商売上の契約や顧客情報、取引先とのつながりといった「商権」のみを譲渡したりします。
全事業を譲渡するケースもあります(現経営陣も含めて売り手企業全体を買い手企業に移管し、1事業部門として事業を継続するケースなど)。
譲渡される権利義務の件数が多いと手続きが煩雑となり、譲渡完了までに相当の時間・コストがかかります。
そのため、事業譲渡は比較的小規模な事業のM&Aで用いられるのが通例です。

事業譲渡とは?メリット・手続き・流れ【図解で分かる】
事業譲渡とは、会社がある事業の全部または一部を譲渡することをいいます。企業全体を売買対象とする株式譲渡と違い、譲渡対象の事業を選べるのが特徴です。M&Aの代表的な手法のひとつです。この記事では、事業譲渡の意義、株 […]
株式譲渡
売り手企業の株式(50%超~100%)を買い手企業が取得し、売り手企業を子会社化するという手法です。
株式譲渡では会社全体がM&Aの対象となります。
また、売り手企業は別法人として存続し、買い手企業グループの一員として経営統合によるシナジー効果を追求していく形となります。
売り手が非上場企業の場合、売り手企業株主(オーナー経営者など)と買い手企業の間の相対取引でM&Aが成立するため、他の手法に比べて手続きが簡便です。

株式譲渡とは?メリット・手続き・契約・税金を税理士が解説
株式譲渡とは、売却会社の株主が持つ株式を、買収会社に譲渡し、会社を売買する方法です。 中小企業のM&Aの多くは株式譲渡によって行われています。 株式譲渡のメリット・デメリット、手続き、契約書、かかる税金・価値算定 […]
資本業務提携
一方の会社が他方の会社の株式を(子会社化に至らない程度の)低い割合で取得し、ある程度の影響関係を構築した上で、特定業務に関する提携を行う手法です。のちに株式の追加取得が行われ、子会社化に至るケースもあります。

資本提携とは?業務提携との違い、メリット、最新事例を解説
資本提携について、業務提携との明確な違いがわからいという方は多いのではないでしょうか。今回は資本提携と業務提携の違い、メリット・デメリットや具体的な手法、事例を図解で分かりやすく解説します。 目次資本提携とは?資本提携の […]

業務提携とは?メリットや進め方、資本提携・M&Aとの違い
業務提携は他社の資源を活用して事業成長を図る施策のひとつです。同様の施策である資本提携・M&Aとの違いや、業務提携の種類、メリット・デメリット、進め方、契約方法、事例を解説します。 目次業務提携とは? […]
LPガス販売事業者の企業価値評価と売却価格相場
M&Aにおいては、企業に対する投資者(株主)としての立場から売り手企業の価値を評価し、それに基づいて価格交渉を行います。
企業価値評価の手法
企業価値評価には3つのアプローチがあります。
アプローチ |
考え方 |
代表的な手法 |
---|---|---|
①インカムアプローチ |
売り手企業の収益性を直接的に評価 |
DCF法 |
②マーケットアプローチ |
市場による評価をベースとする |
市場株価法 類似会社比較法 |
③コストアプローチ |
純資産額をベースとする |
時価純資産法 年倍法 |
①のDCF法では、事業計画に基づいて将来のキャッシュフローを具体的に予測した上で、ファイナンス理論を用いてその現在価値を割り出します。会計事務所などに委託して行われるのが通例です。
上場企業の場合、株式時価総額(一定期間の平均額など)を企業価値と見なすことが可能です(②の市場株価法)。
非上場企業の場合、事業内容などが類似した上場企業と比較する手法があります(類似会社比較法)。
③の時価純資産法では、「時価純資産=時価資産-時価負債」を企業価値と見なします。清算会社の価値を評価する際などに用いられます。
事業継続を前提とした場合、純資産額だけでは将来の収益性を評価できないため、不十分です。
そこで、年倍法では現状の利益をベースに将来の収益性を簡易的に見積もり、時価純資産額と足し合わせて、「企業価値=時価純資産+直近の営業利益の数年分(一般的な相場は3~5年分)」とします。
年倍法では収益性の評価が大雑把なものとなりますが、専門家でなくても数字の意味が理解しやすく、当事者同士の理解・納得が得られやすいことから、非上場中小企業のM&Aではしばしば用いられます。
LPガス小売業の商権譲渡では、年倍法と同様に供給先1戸(1メーター)あたりの収益性を大雑把に評価し、それに戸数をかけて商権価値とすることがあります。

M&Aのバリュエーション(企業価値評価)とは【図解で解説】
M&Aのバリュエーションとは、企業価値を評価することです。さまざまな手法があるため、状況に応じて使い分けることが重要です。会計のプロである公認会計士が、バリュエーションの方法をくわしく解説します。(公認会計士 前田 樹 […]
LPガス販売業の売却価格相場と売却価格を左右する要因
企業価値評価・売却価格交渉においては、売り手の事業の内容・規模、収支・財務状況、競合優位性・将来性、買い手との相性(期待されるシナジー効果の大きさ)などが総合的に考慮されます。
したがって、売却価格には大きな幅があり、LPガス販売業の一般的な売却価格相場というものは存在しません。
LPガス小売業の商権譲渡の場合、1メーターあたり7万円~20万円程度で取引されるケースが多いようです。
売却価格を左右する主な要因をまとめると以下のようになります。
プラス要因 |
マイナス要因 |
|
---|---|---|
純資産関連 |
販売所建物・敷地や貯蔵施設などの自己所有資産の時価が高い |
|
収益性・将来性 |
|
|

シナジー効果とは?種類や分析フレームワーク、M&A事例を解説
M&Aにおけるシナジー効果(相乗効果)とは、2社が統合することで「1+1」以上の価値が生じることを言います。シナジー効果の意味と種類、分析のためのフレームワーク、成功事例をわかりやすく解説します。(執筆者:京都大 […]
LPガス販売事業者同士のM&A事例8選
【LPガス・産業ガス×LPガス】岩谷産業が東京ガスエネルギーを完全子会社化
譲渡企業の概要
東京ガスエネルギー(現 エネライフ[4]):東京ガスグループのLPガス販売部門を担う中核企業として、関東・首都圏においてLPガスの卸売(特約店への販売など)、小売直売、自動車用LPガス販売などの事業を展開[5]
譲り受け企業の概要
岩谷産業:LPガス・LNG・家庭用機器・産業ガス・産業機械の販売、各種素材の開発・輸入・供給、食品製造販売などの事業を展開[6]
M&Aの目的・背景
譲渡企業・譲り受け企業:ガス調達機能・卸機能・物販機能の連携により、LPガス供給安定化、営業効率化、物流合理化、業務効率化などのシナジーを追求[7]
譲り受け企業:
- 広域関東圏における事業規模拡大
- 省エネ・災害対策・IoT・低炭素化などの事業活動を譲渡企業のネットワーク上でも展開し、サービスの総合化を加速[5]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2022年6月[4]
- 手法:株式譲渡
- 結果:岩谷産業が東京ガスエネルギーの全株式を取得し完全子会社化(同社子会社の東京ガスLPGターミナル、東京オートガス、エネライフ・キャリアーも間接的に完全子会社化)
- 譲渡金額:不明

小売業のM&A・売却事例25選
小売業とは、個人や事業者に少量の商品を販売する業態です。小売業界では、業態転換などを目的としたM&Aが活発に行われています。小売業の最新M&A事例や、M&Aを行うメリットをわかりやすく解説します。 […]
【LPガス・石油×LPガス】Misumiが石井商店を完全子会社化
譲渡企業の概要
石井商店:宮崎県を中心にLPガスとガス器具の販売事業を展開[8]
譲り受け企業の概要
Misumi:南九州において、LPガス小売・卸売、ENEOS特約店としてのガソリンスタンド運営・石油卸売、書店・自動車代理店・飲食店・大型商業施設運営、住宅建設・リフォームなどの事業を展開[9]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:宮崎県内での事業拡大[8]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2022年5月
- 手法:株式譲渡
- 結果:Misumiが石井商店の全株式を取得
- 譲渡金額:非開示

ガソリンスタンドの売却・M&A|相場、方法、事例を徹底解説
ガソリンスタンドの売却・M&Aでは、後継者不足の解決などのメリットを期待できます。また、売却価格の相場は、立地や利用者数などの要因で左右されます。ガソリンスタンドの売却方法や売却額相場、M&Aの事例をくわ […]
【LPガス・住設×LPガス】大丸エナウィンが太陽プロパンを完全子会社化
譲渡企業の概要
太陽プロパン:福井市でLPガスや燃焼器具の販売事業を展開[10]
譲り受け企業の概要
大丸エナウィン:主に近畿圏において、LPガス・住宅設備機器の販売を中心に、ミネラルウォーター製造・宅配、在宅医療機器レンタル、医療産業ガス販売などの事業を展開[10]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:北陸地域での事業エリア拡大[10]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年4月[11]
- 手法:株式譲渡
- 結果:大丸エナウィンが太陽プロパンの全株式を取得
- 譲渡金額:非開示
【農協系運輸・LPガス販売×農協】JAサポート岐阜がJAにしみの・JAめぐみのの燃料事業を譲受
譲渡企業の概要
JAにしみの:岐阜県西美濃地域の農業協同組合として、金融・共済、自動車・農機の販売・整備、葬祭などの事業を展開[12]
JAめぐみの:岐阜県中濃・郡上・おくみの・みのかも・可児地域の農業協同組合として、金融・共済、資材購買、農業用大型センター運営、農畜産物販売・加工、経営指導、葬祭、介護などの事業を展開[13]
譲り受け企業の概要
JAサポート岐阜:地域の農家向けにトラック運送、倉庫運営、産業廃棄物収集・運搬、石油・LPガス・ガス器具販売、ガス設備設計・配管施工・保守点検などの事業を展開[14]
M&Aの目的・背景
譲渡企業・譲り受け企業:燃料事業を集約して専門性を高め、利便性向上・サービス強化を図る[15]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年4月
- 手法:事業譲渡
- 結果:JAサポート岐阜がJAにしみの・JAめぐみののLPガス販売・燃料油配送事業を譲受
- 譲渡金額:不明

農業におけるM&A・事業承継の動向、メリット、手法、最新事例
農業従事者の減少・高齢化が進むなか、法人による農業経営が増加し、事業承継や農業進出を目的としたM&Aが活発化しています。農業の現状やM&Aの目的・メリット、手法、動向、近年の事例をくわしく解説します。 目 […]
【LPガス・電気・宅配水×LPガス】TOKAI HDがベトナム大手LPガス会社グループに出資
譲渡企業の概要
PETRO CENTER CORPORATION:ベトナム中部・南部でLPガス卸売事業を展開[16]
譲り受け企業の概要
TOKAIホールディングス:傘下企業を通してLPガス・都市ガス・LNGガス供給、電力小売、リフォーム、情報通信サービス、宅配水などの事業を展開[17]
M&Aの目的・背景
譲渡企業:保安体制構築・LPガス供給の技術力を有するパートナーとの協業を通した事業拡大・ブランド力向上
譲り受け企業:LPガス市場の成長が見込まれるベトナム市場への参入[16]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年7月
- 手法:資本業務提携
- 結果:TOKAIホールディングス子会社のTOKAIが、PETRO CENTER CORPORATIONの子会社MIEN TRUNG GAS JOINT STOCK COMPANYおよびV-GAS PETROLEUM CORPORATIONの株式各45%を取得
- 譲渡金額:不明

クロスボーダーM&Aとは?メリットや手法、有名事例を徹底解説
クロスボーダーM&Aとは、譲渡企業か譲受企業のいずれかが海外の企業であるM&Aです。近年増加傾向にあるクロスボーダーM&Aの目的や手法、有名事例、成功に導くための注意点をわかりやすく解説します。(公認会計 […]
【石油・LPガス×LPガス】三愛石油が播州ガスを完全子会社化
譲渡企業の概要
播州ガス:兵庫県高砂市でLPガス小売り販売事業などを展開[18]
譲り受け企業の概要
三愛石油(現 三愛オブリ):ENEOSなどの特約店としての石油製品卸売・小売販売事業、自社ブランドでのLPガス・産業ガス販売事業、羽田空港などでの航空燃料取扱事業、化学品の開発・製造・販売・商社事業、潤滑油販売・ソリューション事業を展開[19]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:小売事業の新拠点進出・業容拡大[18]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年5月
- 手法:株式譲渡
- 結果:三愛石油が播州ガスの全株式を取得
- 譲渡金額:20億円

化学業界の最新M&A動向・化学メーカーのM&A事例15選
化学業界ではイノベーション推進などを目的としたM&Aが活発です。M&Aでは、開発力強化などのメリットを得られます。業界の現状と、化学メーカー(化学製品製造会社)の最新M&A動向・事例を徹底解説しま […]
【総合商社・LPガス×LPガス】カメイが最上ガスを完全子会社化
譲渡企業の概要
最上ガス:山形県新庄市に本社を置き、LPガス・灯油の小売業と配管工事業を展開[20]
譲り受け企業の概要
カメイ:燃料・ガス・産業資機材・オフィス用品・ITシステム・化学品・食品などの商社事業、家庭向けLPガス・灯油・ガス機器の小売事業、ガソリンスタンド・スーパー・飲食店・調剤薬局の運営事業、鉄骨・屋根・外壁の建設工事業などを展開[21]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:家庭向け事業の強化[20]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2019年1月
- 手法:株式譲渡
- 結果:カメイが最上ガスの全株式を取得
- 譲渡金額:不明

商社の売却・M&A動向とメリット、事例をわかりやすく解説
商社(専門商社)業界では、同業者(専門・総合商社)やメーカーへの会社売却が活発です。商社の売却では、取引先拡大などのメリットを得られます。売却動向や2020年〜2022年のM&A事例を徹底解説します。 目次商社売 […]
【都市ガス・LPガス×LPガス・リフォーム】東邦ガスがヤマサを完全子会社化
譲渡企業の概要
ヤマサ:名古屋市を中心に愛知県においてLPガス・石油製品・宅配水販売、LPガス充填・配送、リフォーム、ホームセンター・スーパー銭湯運営などの事業を展開するグループの持ち株会社[22]
譲り受け企業の概要
東邦ガス:愛知・岐阜・三重地域において都市ガス・LPガス・電気の供給とリフォームなどの事業を展開[22]
M&Aの目的・背景
譲渡企業・譲り受け企業:事業方向性の合致したグループ同士のシナジー追求により成長を加速[22]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2018年12月
- 手法:株式譲渡
- 結果:東邦ガスがヤマサの全株式を取得
- 譲渡金額:不明

リフォーム業のM&A動向と買収・売却事例をくわしく解説
人口減少や消費者の志向の変化、国の振興政策などを背景としてリフォーム市場に注目が集まり、リフォーム会社のM&Aが活発化しています。リフォーム業の業界動向とM&A動向、近年のM&A事例を徹底解説しま […]
[4]エネライフ発足(岩谷産業)
[5]東京ガスグループLPガス関連会社の株式取得(同上)
[6]4つの事業(同上)
[7]岩谷産業との株式売買契約締結(東京ガス)
[8]石井商店の株式の取得(Misumi)
[9]事業紹介(同上)
[10]太陽プロパンの株式の取得(大丸エナウィン)
[11]沿革(同上)
[12]事業・サービス(JAにしみの)
[13]JAの概要(JAめぐみの)
[14]会社概要(JAサポート岐阜)
[15]JAにしみの、JAめぐみの燃料事業を事業譲受(JAサポート岐阜)
[16]LPガス事業のベトナム市場参入(TOKAI HD)
[17]事業領域(同上)
[18]第90期有価証券報告書(三愛オブリ)
[19]事業紹介(同上)
[20]最上ガスの株式取得(カメイ)
[21]事業紹介(同上)
[22]ヤマサの株式の取得(東邦ガス)
LPガス販売事業者と異業種企業のM&A事例2選
【LPガス・産業ガス×電力】サイサン、いちたかガスワン、中部電力ミライズが合弁会社を設立
当事企業の概要
サイサン:31都道府県のグループ会社57社とともに、家庭用・業務用・自動車用LPガス、産業用ガス、医療用ガス、医療器具などを販売し、アジア9カ国においても事業を展開[23]
いちたかガスワン:サイサンの子会社で、北海道においてLPガス・灯油・産業用ガス・都市ガス・電気の小売販売、リフォーム、太陽光発電システム設置などの事業を展開[24]
中部電力ミライズ:中部電力グループの販売事業会社として電気・都市ガスの販売を中心とする事業を展開[25]
M&Aの目的・背景
参加企業の顧客基盤を相互に活用しつつ、LPガス・電気の割安セットメニューの展開などを通して、エネルギーの安定・安価な供給体制を拡大[26]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2022年6月(新設分割)[27]、8月(吸収分割・株式譲渡、予定)
- 手法:新設分割・吸収分割・株式譲渡・資本業務提携
- 結果:①サイサンが新設分割により電力事業を担う新会社エネワンでんきを設立し、同社がグループ会社の坊っちゃん電力と格安電力を完全子会社化、②いちたかガスワンが吸収分割により小売電気事業をエネワンでんきに承継し同社株式5%を取得、③中部電力ミライズがエネワンでんき株式の34%を取得
- 譲渡金額:不明

太陽光発電業界のM&A動向・事例15選
太陽光発電の新規開発には停滞感があり、既設太陽光発電所・太陽光発電事業を対象とするM&Aの動きが活発化しています。太陽光発電業界の現状とM&A動向、近年のM&A事例をくわしく解説します。 目次太陽 […]
【LPガス・住設×別荘管理】田邊エネソシアがブル管理サービスを子会社化
譲渡企業の概要
ブル管理サービス:長野県軽井沢で庭の手入れ・草刈りなどの別荘管理サービスを展開
譲り受け企業の概要
田邊エネソシア:長野県東御市に本社を置き、LPガス・灯油販売を中心に、住宅設備機器販売、リフォーム、水回り工事などの事業を展開
M&Aの目的・背景
譲渡企業:後継者不在による第三者承継
譲り受け企業:LPガス販売を基軸とする体制から生活環境関連総合事業体への転換を図る戦略の一環
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年3月
- 手法:株式譲渡
- 結果:田邊エネソシアがブル管理サービス株式を取得
- 譲渡金額:不明

地域を支えるインフラ事業同士のM&A。地方活性化を象徴する成功事例
今回の成功事例のキーワードは「地方」です。地域で信頼されているのに、後継者不足によって止むを得ず廃業を迫られる小規模事業者は後を絶ちません。それは当事者だけでなく、地域の人々にとってもマイナスしかもたらさないでしょう。そ […]

M&A成功事例40選 大企業・中小企業・業界別|2021年版
今回は大企業・中小企業別、業界別に厳選したM&A事例40選を紹介します。国内・海外の大企業事例から中小企業事例まで、譲渡・譲り受け企業の概要、M&Aの目的・M&A手法、成約に至るまでを解説します。 […]
[23]「エネワンでんき」の概要等(サイサン)
[24]トップ(いちたかガスワン)
[25]会社概要(中部電力ミライズ)
[26]エネワンでんきの設立(サイサン)
[27]新会社発足(同上)
[28]別荘管理事業を開始(田邊エネソシア)
まとめ
少子高齢化や都市ガス・電力との競合などによりLPガス需要が中長期的に減少するなか、各地のLPガス販売事業者がM&Aを活用して本業の拡大や兼業の強化を進めています。
M&Aは売り手側にとっても事業継続・発展を図る上で有効な手段であり、今後ますます一般化していくことが予想されます。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)
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