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ガソリンスタンドの売却・M&A|相場、方法、事例を徹底解説

ガソリンスタンドの売却・M&Aでは、後継者不足の解決などのメリットを期待できます。また、売却価格の相場は、立地や利用者数などの要因で左右されます。ガソリンスタンドの売却方法や売却額相場、M&Aの事例をくわしく解説します。

ガソリンスタンド 売却(FV))

目次
  1. ガソリンスタンド業界の動向
  2. ガソリンスタンドの売却方法
  3. ガソリンスタンド跡地を売却することが難しい理由
  4. ガソリンスタンドをM&Aによって売却するメリット
  5. ガソリンスタンドの売却価格相場
  6. ガソリンスタンドの売却・M&A事例
  7. まとめ

ガソリンスタンド業界の動向

はじめに、ガソリンスタンド業界の動向を簡単にご説明します。

ガソリンスタンドの数は減少傾向

資源エネルギー庁の調査によると、2020年度末における揮発油販売業者数は13,314、給油所数は29,005だったとのことです。[1]
また、2016年度末〜2020年度末の期間における揮発油販売業者数と給油所数の推移、および対前年度比増減率は以下のとおりです。

揮発油販売業者数

2016年度末

2017年度末

2018年度末

2019年度末

2020年度末

全国

15,078

14,612

14,160

13,835

13,314

対前年度比増減率

-3.18%

-3.09%

-3.09%

-2.30%

-3.77%

 

給油所数

2016年度末

2017年度末

2018年度末

2019年度末

2020年度末

全国

31,467

30,747

30,070

29,637

29,005

対前年度比増減率

-2.68%

-2.29%

-2.20%

-1.44%

-2.13%

上記からわかるとおり、揮発油販売業者と給油所の数は、それぞれ2016年度以降一貫して減少傾向にあります。
したがって、ガソリンスタンドの市場は縮小傾向であると言えます。

コロナ禍により売上高が減少

東京商工リサーチによると、2020年度におけるガソリンスタンド運営業者2,867社の売上高合計は5兆3,368億円であり、前期比で13.2%も減少したとのことです。[2]

売上高が前年度比で大幅に減少した背景には、新型コロナウイルスの流行があると同社は指摘しています。
コロナ禍での外出自粛によって、ガソリンに対する需要が減少したことで、売上減少につながったとのことです。[2]

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[1] 令和2年度末揮発油販売業者数及び給油所数(資源エネルギー庁)
[2] ガソリンスタンド2867社 約8割が減収(東京商工リサーチ)

ガソリンスタンドの売却方法

ガソリンスタンドを売却する方法は、「跡地(不動産)を売却する方法」と「M&Aによって事業・会社を売却する方法」の2種類に大別されます。
この章では、各方法の概要を解説します。

跡地(不動産)の売却

1つ目の方法は、跡地を売却する方法です。
具体的には、ガソリンスタンドの建物を解体するなどして取り払い、残った土地を売却します。

M&Aによる売却

2つ目の方法は、M&Aによってガソリンスタンドの事業・会社ごと売却する方法です。
具体的な手法として、「株式譲渡」と「事業譲渡」の2種類があります。

株式譲渡

株式譲渡

株式譲渡とは、ガソリンスタンドを運営している会社の株式を第三者に譲渡するM&Aの手法です。
会社ごと売却するため、従業員や取引先等との契約や資産・負債など、すべての権利義務を買い手に移すことになります。

事業譲渡と比較して、簡単な手続きのみでM&Aを行える点が株式譲渡のメリットです。
一方で買い手にとっては、不要な資産や簿外債務を引き継ぐデメリットがあるため、状況次第では買い手が見つかりにくい点に注意しましょう。

事業譲渡

事業譲渡

事業譲渡とは、ガソリンスタンドを運営している会社内にある事業の一部またはすべてを売却するM&A手法です。
たとえば複数の事業を運営している企業がガソリンスタンド事業のみを売却したり、ある特定エリアのガソリンスタンド事業のみを売却したりするケースなどで事業譲渡を活用します。

あくまで事業のみを売却するため、会社の支配権は引き続き存続します。

株式譲渡と異なり、売却する資産等を選ぶことができる点がメリットです。
一方で、M&Aのプロセスで複雑な手続きを必要とする点や、個別での契約等の承継を必要とする点などがデメリットとなります。

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ガソリンスタンド跡地を売却することが難しい理由

ガソリンスタンド跡地の売却は、実現させることが難しいと言われています。
その理由は以下の3点です。

  1. 土壌汚染の調査・対策に費用や労力がかかる
  2. 地下タンクに起因する地盤の安定性低下のリスクがある
  3. 油臭に対する買い手側からの印象が悪い

以下では、3つある理由をくわしくご説明します。

土壌汚染の調査・対策に費用や労力がかかる

ガソリンには、土壌汚染対策法で指定されている特定有害物質の1つである「ベンゼン」が含まれています。[3]
また、1986年以前のガソリンには同じく特定有害物質である「鉛」も含まれていました。[3]

これらの特定有害物質は、土壌に含まれることで人の健康に係る被害を生じさせるおそれがあるとされています。
有害物質による健康被害のリスクが高いガソリンスタンドの跡地は、そのままでは資産価値が低く売却することは難しいと言えます。

そのため、実際に跡地を売却する際には、土壌汚染の調査や浄化作業などの対策を実施することが現実的な選択肢となります。
ただし、土壌汚染の調査や浄化作業には高額な費用や多大な労力がかかります。

そのままの状態では資産価値が低いため売却が難しく、一方で安全な土地として売却するにも費用・労力がかかるため、ガソリンスタンドの跡地を売却することは困難なのです。

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地下タンクに起因する地盤の安定性低下のリスクがある

ガソリンスタンドの地下には、ガソリンを貯蔵するためのタンクが埋設されています。
ガソリンスタンドの事業を廃業し、更地として売却する場合、地下タンクを掘り出すことが一般的です。

具体的には、まずタンクを掘り出した上で、最後に土を埋めて固める作業を行います。
この作業に際して、地盤の安定性が低下するリスクがあるため注意が必要です。

地盤の安定性が低下すると、それだけで土地の資産価値が低下してしまうため、満足いく条件で売却することが困難となります。
また、実際に安定性が低下しているかどうかに関係なく、地盤沈下などのリスクが残っていると買い手側に判断され、購入を見送られるリスクもあります。

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油臭に対する買い手側からの印象が悪い

土地を購入する買い手側にとって、ガソリン特有の不快な油臭は購入を見送る主要な要因となる傾向があります。
特に飲食店やスーパーなどの食品を取り扱う事業者にとって、ガソリン臭のする土地は極めて活用しにくいと言えます。

油臭に対する買い手側からの印象が悪いため、有害物質の有無とは関係なく、そのままの状態で売却することは困難です。
浄化作業などの対策を行えば臭いを消せるものの、相応の費用がかかるため簡単ではないでしょう。

[3] 土壌汚染対策法の手続きと油汚染土壌の適正処理(千葉県)

ガソリンスタンドをM&Aによって売却するメリット

ガソリンスタンド M&A 売却 メリット

前述したとおり、ガソリンスタンドの跡地を売却する難易度は高いため、M&Aによって事業・会社ごと売却する方法がおすすめです。
ガソリンスタンドをM&Aによって売却するメリットは以下の5点です。

  1. 同業者からの買収需要を期待できる
  2. 後継者不足の問題を解消できる
  3. 従業員の雇用を維持できる
  4. 利用客から見た利便性を損なわずに済む
  5. 競合他社との競争や個人保証から解放される

それぞれのメリットを以下でくわしく解説します。

同業者からの買収需要を期待できる

前述したとおり、飲食業や小売業などを始めたい人にとって、油臭のするガソリンスタンドの跡地は積極的に買収する対象とはなりにくいです。

一方で同業者の場合、「事業規模の拡大」や「新しいエリアへの進出」などを目的に、ガソリンスタンドを買収するケースが多々あります。
そのため、同業者に対してガソリンスタンドの事業を売却する方が、異業種の会社に対する跡地売却と比べて成立する可能性は高いと考えられます。

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後継者不足の問題を解消できる

東京商工リサーチによると、ガソリンの需要減少に加えて、経営者の高齢化にともなう後継者不足も、ガソリンスタンド業界の問題になっているとのことです。[4]

経営者が高齢となった会社では、基本的に親族や社内の従業員に事業承継を行います。
しかし、親族社内に後継者としての適任者がいないと、業績とは関係なく廃業する事態となり得ます。

そこで役立つ手段となるのが「M&A」です。
M&Aでは、会社の支配権やガソリンスタンド事業に関する権利を外部の第三者に譲渡することになります。
したがって、後継者不足の企業でも第三者にガソリンスタンド事業を承継させることが可能です。

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従業員の雇用を維持できる

後継者不足や業績悪化などが原因で廃業すると、ガソリンスタンドで働いていた従業員は仕事を失うことになります。

一方でM&Aによって事業・会社を外部の第三者に承継させる場合、従業員の雇用契約も引き継がれることが一般的です。
つまり、M&Aを行うことで、廃業を回避できるだけでなく、従業員の雇用を維持できるのです。

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利用客から見た利便性を損なわずに済む

ガソリンスタンドの廃業は、経営者や従業員だけでなく、近隣の地域住民にもネガティブな影響を及ぼします。
ガソリンスタンドを廃業すると、そこで日頃から給油していた地域住民は不便を強いられる可能性があるためです。

特に不便を強いられるのは過疎地域の住民です。
総務省の公表資料によると、全国1,718ある市町村のうち、ガソリンスタンド数が3ヵ所以下しかないエリアは312市町村もあります。[5]

こうした過疎地域のガソリンスタンドを廃業すると、「ガソリンを給油するために数十km離れた隣町まで行かなければならない」などの不便を強いられる可能性があります。
場合によっては、必要な時に自動車に乗れないなどの事態にもなり得ます。

上記のとおり、ガソリンスタンドの廃業は利用客にとって大きなマイナス要因となり得ます。

一方でM&Aを行えば、ガソリンスタンドは買い手企業の下で存続します。
それにより、地域の利用客にとっての利便性を維持できるでしょう。

競合他社との競争や個人保証から解放される

競合他社が運営するガソリンスタンドとの競争は、ガソリンスタンドを運営する経営者にとって悩ましい問題です。

商品の差別化が困難である以上、どうしても価格競争に巻き込まれやすくなる業界です。
一度価格競争に巻き込まれると、顧客を確保するために価格を下げざるを得なくなります。
その結果、勝っても負けても十分な利益を残せない経営体質となるおそれがあります。

また、金融機関から借入を行っているガソリンスタンドでは、経営者が個人保証を負っている場合があります。
個人保証を負っている場合、仮に倒産すると経営者が負債の返済義務を負うことになります。

以上の通り、競合他社との競争や個人保証は、経営者にとってプレッシャーとなってしまう要素です。

一方で、M&Aによってガソリンスタンド事業を売却すると、競合他社との競争を気にせずに好きなことに集中できるようになります。
また、金融機関との交渉次第ではあるものの、基本的には個人保証も解除されます。

競争による業績悪化や倒産による負債を背負うプレッシャーから解放される点は、経営者の方にとって大きなメリットと言えるでしょう。

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[4] 2020年1-10月 「ガソリンスタンド」の倒産状況(東京商工リサーチ)
[5] ガソリンスタンドを取り巻く現状(総務省)

ガソリンスタンドの売却価格相場

ガソリンスタンドを売却する際、売却価格の相場を知っておくことは重要です。
なぜなら、買い手企業に安値で買い叩かれるリスクを軽減できるためです。
また、高い金額を買い手企業に提示し、交渉が失敗する事態も回避できるでしょう。

この章では、売却金額の目安を計算する2種類の方法と、売却価格を左右する要素を解説します。

ガソリンスタンドの売却価格の目安を計算する方法

M&Aによってガソリンスタンド事業を売却する際、以下2つの方法で売却価格の目安を計算できます。

  1. 年倍法
  2. 類似会社比較法

それぞれの概要や計算式、メリット・デメリットを解説します。

年倍法

年倍法(年買法)とは、評価対象企業の時価純資産に複数年分(3〜5年分が一般的)の営業利益を加算することで、企業価値(≒買収額)の目安を計算する手法です。
具体的には、以下の計算式を用います。

  • 企業価値 = 時価純資産 + 営業利益 × 3〜5年分

たとえば時価純資産が2,000万円、営業利益(3年平均)が1,000万円のガソリンスタンドについて、企業価値を計算すると以下のとおりです。

  • 企業価値 = 2,000万円 + 1,000万円 × 3 = 5,000万円

時価純資産と営業利益のデータのみで簡単に買収額の目安を計算できる点がメリットです。
その簡便さから、中小企業のM&Aで多用されている手法です。

ただし、市場環境や売り手企業に特有の価値などを考慮していない点に注意が必要です。
より的確に企業価値を計算する場合は、他のバリュエーション手法を活用することがおすすめです。

類似会社比較法

類似会社比較法(マルチプル法)とは、評価対象企業と類似する事業を運営する上場企業の倍率を用いて、企業価値や株主価値を算出する手法です。

類似会社比較法では、以下の計算式を用いて対象会社の価値を計算します。

  • 企業価値(または株主価値) = 評価対象企業のKPI×倍率(マルチプル)
  • 倍率(マルチプル)=企業価値(または株主価値) ÷ 類似企業のKPI

なおKPIには、EV/EBITDA倍率やPER、PBRなどの指標が用いられます。

たとえば類似企業のEV/EBITDA倍率が4倍、評価対象企業のEBITDAが3,000万円の場合、評価対象企業のEV(企業価値)は以下のとおり計算できます。

  • EV(企業価値) = 3,000万円×4 = 1億2,000万円

事業内容が類似する企業の指標を使用するため、客観性の高い企業価値(株主価値)を算出できる点がメリットです。
一方で、類似する上場企業がない場合に活用できない点や、評価対象企業に特有の価値を反映できない点がデメリットとなります。

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ガソリンスタンドの売却価格を左右する要素

前述した企業価値は、あくまで売却価格を決定する際の基準に過ぎません。
最終的な売却価格は、買い手企業との交渉によって決定されます。

ガソリンスタンドの最終的な売却価格は、主に以下の要素によって左右されると言われています。

  • 利用者数
  • 立地条件
  • 財務情報
  • 従業員の人数

以下では、それぞれの概要を簡単に解説します。

利用者数

ガソリンスタンドを利用するお客さんの人数です。

利用者数が多いほど、安定的かつたくさんの利益を毎月得ることができます。
したがって、利用者数が多いほど、ガソリンスタンドの売却価格は高くなる傾向があります。

立地条件

ガソリンスタンドの建物が立っている場所です。

立地条件が良いガソリンスタンドであれば、今後も安定的に収益を得られる可能性が高いと言えます。
現時点で利用者数が少ない場合でも、集客の方法などを工夫することで、利用者数を増やせる可能性があります。
したがって、立地条件が良いガソリンスタンドであれば高値での売却可能性が高まると言えます。

具体的には、以下の条件に該当すると立地条件が良いと言えます。

  • 近くに競合のガソリンスタンドがない
  • 人口の多い地域にある
  • 幹線道路に面した立地である
  • 主要な移動手段が自動車の地域にある

財務情報

立地や利用者数も重要ですが、財務情報も売却価格を大きく左右します。

安定して黒字経営を続けているガソリンスタンドであれば、買い手から高く評価されるでしょう。
反対に、立地や利用客数が良くても、赤字が続いていたり負債が多かったりすると、買い手企業からの評価が下がるおそれがあります。

従業員の人数

ガソリンスタンドにとって、給油などの業務を担う従業員の存在は重要です。

新たにガソリンスタンドで働く人を雇う場合、採用や育成に多大なコストや労力を要することが想定されます。
そのため、十分な数の従業員を抱えているガソリンスタンドは、買い手企業からの需要が大きいです。

少しでも高い金額で売却できる可能性を高めたいならば、あらかじめ従業員の人数を充実させておきましょう。

M&A・事業承継
M&Aにおける価格算定の方法とは【図解でわかりやすく解説】

M&Aにおいて会社の売買価格(企業価値)は、適正価格を基礎に当事者間の交渉により決定されます。公認会計士が、価格算定の方法や相場、価格算定の事例について、図解を用いてわかりやすく解説します。(公認会計士 伊藤嘉朗 […]

ガソリンスタンドの売却・M&A事例

ガソリンスタンド 売却・M&A 事例

最後に、ガソリンスタンドの売却・M&A事例を3例紹介します。
事例ごとに、M&Aを行った目的や売却の手法を解説します。
ガソリンスタンド売却に対する理解を深めたい方は参考にしてください。

【ガソリンスタンド×タクシー】宮園砿油による大和自動車交通への会社売却

譲渡企業の概要

宮園砿油:宮園自動車の子会社として、ガソリンスタンドの運営やFCカード事業、不動産賃貸事業などを展開[6]

譲り受け企業の概要

大和自動車交通:タクシー事業や不動産業を展開[7]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:ガソリンスタンド事業における取扱量の増加、優良顧客の引継ぎなど

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年7月(予定)
  • 手法:株式交換
  • 結果:大和自動車交通を親会社、宮園砿油を子会社とする株式交換により、譲り受け企業が譲渡企業を子会社化
  • 交換比率:宮園砿油株式1株に対して、大和自動車交通の普通株式3.1726株を割当交付[6]
M&A・事業承継
不動産M&Aとは?手法や節税メリット、最新事例を図解で解説

不動産M&Aは不動産の取得を目的として行われるM&Aで、とくに課税面のメリットが大きい取引手法です。不動産M&Aの仕組みと流れ、税務、メリット・デメリットを図解で解説し、近年の事例を紹介します。( […]

【ガソリンスタンド×ガソリンスタンド】ヒラオカ石油による宇佐美鉱油への会社売却

譲渡企業の概要

ヒラオカ石油:ガソリンスタンド事業や燃料配達事業、石油卸売事業などを展開[8]

譲り受け企業の概要

宇佐美鉱油:ガソリンスタンドの運営や工業用潤滑油事業、石油化学製品事業などを展開[9]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:幅広い地域における燃料油配送の実現、危険物施設メンテナンスの事業展開など

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年4月[10]
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:ヒラオカ石油の株主が全株式を宇佐美鉱油に売却(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)[10]
M&A・事業承継
化学業界の最新M&A動向・化学メーカーのM&A事例15選

化学業界ではイノベーション推進などを目的としたM&Aが活発です。M&Aでは、開発力強化などのメリットを得られます。業界の現状と、化学メーカー(化学製品製造会社)の最新M&A動向・事例を徹底解説しま […]

【ガソリンスタンド×多角化企業】西商店によるSAKAEホールディングスへの会社売却

譲渡企業の概要

西商店:ガソリンスタンド事業を運営

譲り受け企業の概要

SAKAEホールディングス:石油製品の販売や自動車整備などの事業を多角的に展開

M&Aの目的・背景

譲渡企業:後継者不足にともなう事業承継

譲り受け企業:事業エリアの拡大、譲渡企業が持っている建設業許可の活用による新規事業の拡大

M&Aの手法・成約

  • 公開時期:2022年4月(記事掲載時点)
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:譲り受け企業が譲渡企業を子会社化。譲渡企業は、会社売却によって事業承継を実現。また、地域住民にとって大切なガソリンスタンドを存続させることに成功。
成功事例
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今回は大企業・中小企業別、業界別に厳選したM&A事例40選を紹介します。国内・海外の大企業事例から中小企業事例まで、譲渡・譲り受け企業の概要、M&Aの目的・M&A手法、成約に至るまでを解説します。 […]

[6] 宮園砿油の完全子会社化(大和自動車交通)
[7] 会社概要(大和自動車交通)
[8] ヒラオカ石油の株式取得(宇佐美鉱油)
[9] 事業内容(宇佐美グループ)
[10] 宇佐美鉱油とのグループ会社化(ヒラオカ石油)

まとめ

ガソリンスタンドの売却は、後継者不足の解決や従業員の雇用維持だけでなく、地域住民の利便性を損なわずに済む点でもメリットの大きい戦略です。
利用者数や立地などの要因次第では、高い金額で売却できる可能性もあります。

経営状況の悪化や後継者不足などの課題を抱えている経営者の方は、ぜひガソリンスタンドの売却を検討してみてはいかがでしょうか。

(執筆者:中小企業診断士 鈴木 裕太 横浜国立大学卒業。大学在学中に経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士資格を取得(休止中)。現在は、上場企業が運営するWebメディアでのコンテンツマーケティングや、M&Aやマーケティング分野の記事執筆を手がけている)