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第三者承継を真剣に考える中小企業が増えています。しかしほとんどの会社にとっては初めての経験であり、そのため不安やわからないことで立ち止まってしまうという声をよく聞きます。「どの企業に相談すればいいのだろうか」「日常の業務が忙しくチェックできない」・・・。そんな問題を解決したいという思いから、M&Aサクシードはお客様のサポートサービス(※1)を提供することでM&Aを推進しています。そのひとつが、譲渡企業経営者に代わって候補企業を探し、引き合わせまでを代行するサービスです。今回の記事では、そのサービスを利用し、約3カ月で成約した事例を紹介します。ともに介護事業を行う、有限会社ケア友愛 代表取締役 阪田 吉朗 氏と株式会社アブレイズ 代表取締役 大淵 裕昭 氏に話を聞きます。(2022年5月公開)
東京・静岡、それぞれ地域に根付き成長してきた両社のM&Aまでの道のり
――両社の事業概要を教えてください。
ケア友愛 阪田 私が介護業界に携わるようになったのは1999年のことです。実家の母親の介護を京都の姉に任せきりで、東京にいる私は何もできませんでした。その反省があり、少しでも恩返しになればと考え、特別養護老人ホームで働き始めました。まったくの素人でしたが、勉強と経験を積み、2003年に有限会社ケア友愛を起業・独立しました。訪問介護から始め、東京・江戸川区でデイサービス事業を立ち上げました。今では地域に根付いた施設として認められています。
アブレイズ 大淵 理学療法士として訪問リハビリから介護の仕事を始めました。2005年に株式会社アブレイズを起業し、現在は静岡市を中心に4施設(住宅型有料老人ホーム・訪問看護・訪問介護・訪問リハビリ)を運営しています。社員数は約80名で、友愛様に加わっていただき100名の大台に乗ることになります。
阪田 第三者承継を考えた理由は私自身が高齢(70歳)になったことです。実は会社では息子が施設長として働いてくれていて、「後を継いでくれないか」という相談をしたのですが、あまり良い感触を得られませんでした。「現場に集中したいので、経営は第三者に任せたい」という思いが強かったようです。
全ての説明が丁寧。M&Aサクシードから始まった好循環
――阪田様はM&Aの知識はありましたか?
阪田 もちろん初めてのことですから、何もわかりません。まず日本政策金融公庫さんに相談に行きました。そこでM&Aサクシードを紹介してもらって、サポートサービス(※1)を利用し始めてから、何もかもが順調に進んで行きました。こんなにうまくいくとは思いもよりませんでした。全ての説明が丁寧でした。私はそれが一番大事なことだと思います。M&Aサクシードには本当に感謝しています。
(※1) M&Aサクシード事務局のスタッフが、対象の譲渡企業の代わりに「M&Aサクシード」のシステム利用を代行し、「M&Aサクシード」を利用する譲り受け企業から候補企業探し、トップ面談を希望する譲り受け候補企業との引き合わせまでをサポートするサービス。
――アブレイズ様は静岡県で業態を拡張してきましたが、今回のM&Aは東京ですね。
大淵 M&Aサクシードに登録して、M&Aの情報が非常に多く入るようになりました。静岡県はもとより他都府県の情報も豊富です。今回は2度目のM&Aだったのですが、M&Aサクシードを見ていて、東京でもやってみたいという気持ちが湧いてきたのです。友愛様のように地域に根付いている事業者様の力を借りて、そこに弊社のやり方をプラスアルファしていく。M&Aは1+1を3以上にできるやり方だと思います。
初めてのM&Aは地元の金融機関の紹介で、静岡県内の事業所を増やしました。地元の金融機関から入ってくる情報は静岡県内の情報がメインです。2回目のM&Aの展開を考えた時に、すでに事業所は複数あるので、県内での展開はあまり前向きになれませんでした。M&Aサクシードは全国の情報があるので、魅力的に感じました。
――初面談から約3カ月というスピード成約でした。
大淵 阪田様から弊社をご指名いただき、そこからはとんとん拍子でした。
阪田 初めてお会いした時から、大淵様の一言一言に重みを感じました。うちの施設に来られた時、現場を見ていらっしゃる姿や立ち振る舞いに、自分自身と相通じるものも感じました。介護そのものや施設運営の十分な経験もお持ちです。一目惚れでした。
大淵 現場を見学させていただき、利用者の方の表情やスタッフの皆様の挨拶などを見て、同業者の肌感覚というか「運営が素晴らしい」とグッときました。利用者様の表情は嘘をつきません。いい施設・スタッフは利用者様の表情が明るい。阪田様の今までやってこられたことがそこに表れていたんです。
初めてケア友愛さんに伺った日は面談予定はなかったのですが、施設長である息子さんとも話すことができました。その時間は私にとっては大きかったですね。明確なビジョンを持ち、介護への取り組み方もリスペクトできる。施設長が引き続き一緒にやってくれることも成約の決め手でしたね。
M&Aサクシードが独占交渉前までサポート。東京都事業承継・引継ぎ支援センターのM&Aに強い専門家が最後まで伴走
――M&Aサクシードが独占交渉前までサポートすることになります。
阪田 M&Aサクシードに登録する前、東京都事業承継・引継ぎ支援センター(※2)に相談もしました。センターとM&Aサクシードからあがってきた候補は、複数件ありました。そのなかで大淵様と出会ってすぐに決めたのです。
(※2)東京都事業承継・引継ぎ支援センターは、東京商工会議所が経済産業省関東経済産業局から委託を受けて実施している国の事業
大淵 ケア友愛さんが、サポートサービス(※1)を利用することで、M&Aサクシードの担当者が相談役として介在してくれたので、いくつものメリットが生まれます。M&Aサクシードがやり取りをコンパクトにまとめてくれて、マッチングまでの無駄が大幅に省かれました。見えないところでその担当者がいろいろと配慮してくれたように思います。
――M&Aサクシードは良い相談相手でしたか?
大淵 私の方でいろいろ無理難題をもちかけたかもしれませんが、M&Aサクシードの担当者がそこを調整してくれました。最たるものは、当初、株式譲渡予定だったものを事業譲渡に切り替えてもらったことです。こちらの意図を汲んで間に入って調整してくれました。
阪田 M&Aサクシードの担当者から条件変更の話を聞いて、その形の方がいいと理解して承認しました。その担当者が私の意向に反して何かを押し付けてくることはありませんでした。話をじっくりと聞いてくれ、可能な限り応じてくれました。
――東京都事業承継・引継ぎ支援センター様から、専門家(司法書士)の紹介がありました。センター様が紹介できる専門家は20名ほどいます。調印後も流れを細かく確認して、引き渡し日までスムーズにことが運ぶように気を配っています。
阪田 紹介してもらった司法書士の先生は、契約書の作成などしっかりと対応してくれました。また、センターの竹内さんは、通所介護事業所の東京都への申請など、案件内容をしっかりと把握して、引き渡し日までの段取りやスケジュールなどの策定もアドバイスしてくれました。丁寧にやってくださって、本当にありがたかったですね。
素晴らしい施設を次代につなぐ役割を果たしたい
――第三者承継をお考えの経営者に向けてメッセージをいただけますか。
大淵 阪田様が一人ひとりの利用者様に向き合っていらっしゃる姿は大変勉強になりました。経験から学ぶことは数多くあります。介護業界を良くするためには、ケア友愛様のような素晴らしい施設が途切れないようにすることが重要です。なくしてしまってはもったいない。地元に愛される施設が次の代に残るような流れを続けていければと思います。
阪田 日本全体がすごい勢いで高齢化しています。これからも高齢者はまだまだ増えていくでしょう。江戸川区も人口70万人を超えました。大淵様が東京に目を向けてくれたことを非常にうれしく感じました。大淵様と施設長はともに40代。次の医療・介護を担う世代です。この業種は何よりも人材だと思います。大淵様のような若くて志のある方に業界を活性化してもらいたいですね。スタッフは上に立つ者、社長を見習って育ちます。事業の継承を考えている経営者は、大淵様のような方に出会うチャンスを逃さないでほしいですね。
M&Aサクシード 担当者コメント
木戸 亮介(シニアコンサルタント)
ケア友愛様はサクシード上でも多くの引き合いがあり、責任を持ってサポートさせていただきました。オーナー 阪田様は、利用者ファーストにこだわった事業運営をされていらっしゃいました。その阪田様が、事業運営の理念や利用者様への振る舞いを絶賛される納得のお相手であるアブレイズ様にバトンを渡すことができた素晴らしいご成約だったと感じています。今後のますますの発展をお祈りいたします。
担当者プロフィール
大学卒業後、株式会社三井住友銀行へ入行。関西の法人営業部を経て、東京の本店営業部へ。大企業の融資取引や、事業承継案件にも従事。2018年「M&Aサクシード(旧:Mビズリーチ・サクシード)」の立ち上げに参画。