中小企業基本法を参照すると、法的な中小企業の定義は資本金および従業員数で決められます。定義の適用範囲は業種によって異なり、一例は以下の通りです。
中小企業庁によると[1]、これはあくまでも原則に過ぎず、中小企業の定義は法令や制度により変化するとのことです。
法人税法においては、中小企業軽減税率は資本1億円以下の企業に適用されます。
中小企業M&Aの市場規模は年々拡大しており、2018年の時点で市場規模20兆円を超え、今後は30兆円規模にまで成長すると言われています。[3]日本企業のM&A市場は1985年に統計が始まって以来、リーマンショックや東日本大震災のような理由による一時的な不況を除けば、一貫して増加し続ける状況にあります。
1985年の年間約250件から2022年には年間約4,300 件まで、約35年間で公表件数は大きく増加しました。特に、2011年から2019年にかけて大幅な増加が見られ、2017年以降は3,000件を超えています。[4]その理由は、アベノミクスが東日本大震災からの復興に向けて景気を改善したこと、そして、M&Aが中小企業にとって後継者問題の解決策となったことです。
2020年3月31日には、経済産業省・中小企業庁により「中小M&Aガイドライン」も策定されました。[5]
このガイドラインでは、未だ外部の人間によるM&Aでの事業継承に対して抵抗感を示す企業も多い現状を踏まえ、以下のような内容が記載されています。
[1]中小企業・小規模事業者の定義(中小企業庁)
[2]法人税の税率|国税庁
[3]2019年のM&A回顧|マールオンライン
[4]グラフで見るM&A動向|マールオンライン
[5]「中小M&Aガイドライン」を策定しました(経済産業省)
現状、一般的な中小企業に関して言えば、M&Aでの第三者による事業承継に抵抗がある経営者がまだまだ少なくありません。特に売却について希望する企業は、経営陣の根強い抵抗感から、買収を希望する企業の半分以下となっています。結果として、M&Aで事業が社外の第三者に引き継がれることなく、廃業に至るケースも少なくありません。
なお過去に実施されたアンケートによると、買収・売却(譲渡)ともに、経営者が若い企業ほど、「良いイメージを持っている」と回答する割合が上がります。
買収側では、すべての年齢層で「ネガティブなイメージを持っている」と答えた人は5%未満でした。しかし売却側は、経営者の年齢が上がるにつれて「プラスイメージ」と「マイナスイメージ」の差は縮まっており、年齢が高い程、事業の売却に抵抗感が強いと見られます。
また企業の売却を決め、市場に出てきたとしても、すでに事業価値が毀損しており、買収候補先が見つからないケースも少なくありません。中小企業のM&Aを実施する上でのポイントは、事業の市場価値がまだ陳腐化していない段階で、売却の必要性を見極め、顕在化させることです。
仮にM&Aを進めることになったとしても、M&Aに関する知識や経験がない可能性もあります。ただし近年は中小企業に特化した事業承継支援センターなどの公的機関や民間のM&A仲介業者も増加しています。
今後増加が予想される中小企業のM&Aを円滑に進めるためには、公的機関・民間のM&A専門家・金融機関・商業団体・専門家などの関係者による適切な施策が重要であると言えるでしょう。
近年、経営者の高齢化問題などから後継者不足に悩まされている中小企業は非常に多く存在します。そのため、中小企業M&Aの目的も事業継承による後継者問題の解消であることがほとんどです。
仮に後継者となる人物が見つかっている場合でも、株式の承継・各種手続き・税負担などで事業継承を断念するケースも存在します。
そのため、会社の事業を存続させるための手段としてのM&Aは、中小企業の経営者にとって「手元に売却金が残る」「買い手に安心して会社を任せられる」などの魅力があるのです。
売り手ではなく買い手として中小企業M&Aを行う場合、自社の事業規模を拡大させる目的で行うケースもあります。事業拡大の目的でM&Aを実施して得られるメリットとしては、以下のようなものがあります。
上記以外にも、ライバル企業を買収することで市場における自社のシェアを間接的に広げることもできます。
不採算の事業を抱えているが、資金調達の目処さえ立てば黒字化できるといったケースの場合も、M&Aによって事業または会社を売却して資金調達をすることも検討できます。
自社にとってはマイナス収支を生む赤字事業であっても、他社からすると魅力的な事業である可能性も存在します。買い手が見つかれば手元に売却金が残り、自社の他の事業に充てることも可能です。
株式譲渡とは、売り手企業の発行済株式を買い手企業が買い取ることで、経営権を取得する方法のことです。以下の3つの手法があります。
事業譲渡は会社法467~470条に規定されており、譲渡会社が事業の全部又は一部を譲受会社に譲渡するスキームです。[7]合併・会社分割とは異なり、事業譲渡では資産・負債などが個別に承継されることが大きな特徴です。
会社分割には、会社法2条30号に定義されている対象会社が自社の事業の全部又は一部を新たに設立する会社に承継する「新設分割」と、会社法2条29号に定義されている事業の全て又は一部を既存の会社に承継する「吸収分割」があります。[7]
また、分割の対価を対象会社の株主が受け取る「分割型分割」、分割の対価を対象会社が受け取る「分社型分割」があります。つまり、会社分割には、新設分割と吸収分割にそれぞれ分割型分割と分社型分割の4つの組み合わせがあります。
株式交換とは、完全子会社(100%子会社)となる企業の株式を、完全親会社となる企業の株式と交換するスキームで、会社法2条31号に定義されています。対象企業を完全子会社化する目的で行われます。一定の場合に会社法789条1項3号・799条1項3号に規定されている債権者保護手続きを実施する必要があるなど、手続きが複雑な面があります。[7]
株式移転とは、完全子会社となる企業の株式を、新たに設立する企業の株式と交換するスキームで、会社法2条32号に定義されています。[7]既存の当事会社1社が行う株式移転を単独株式移転といい、既存の当事会社2社が行う株式移転を共同株式移転といいます。
[6]金商法27条の2第6項
[7]会社法
売り手企業はM&Aで売却先の企業を選定する前に、自社内でM&Aを行う目的の明確化や意思決定を行う必要があります。自社の課題や今後の事業プランなどについて具体的に策定し「M&Aを行う必要があるのか否か」について、社内で意思をまとめます。
その後、M&Aの具体的なスキームを策定することになりますが、自社にM&Aのノウハウがない場合は外部のM&A専門家に相談することになります。
M&A成立まで外部の専門家にアドバイスを求める場合、以下の契約を結ぶ必要があります。
M&Aを行なっていく意思が固まった場合、次のステップとして売却先の企業を選定することになります。この際、M&A仲介会社から提供されるノンネーム資料を元に買い手となる企業を探していきます。
ノンネーム資料に記載されているのは「業種」「事業規模」「エリア」「買収を希望する理由」などで、具体的な企業名はこの時点ではわかりません。
資料内に記載されている情報をもとに、売却する企業を絞ったら、秘密保持契約を結んだ上で具体的な情報開示を行います。
この際、買い手企業側は対象企業の「登記簿謄本」「定款」などを取得し、企業情報について確認作業を行う流れが一般的ですので、売り手側は事前に用意をしておきましょう。
また、企業同士のマッチングの手段として、M&Aプラットフォームに登録する手段があります。M&Aプラットフォームを利用するメリットとしては、費用の安さが挙げられます。
例えば、弊社が運営しているM&Aサクシードは、「売り手企業様は登録無料」「買い手企業様は成約時手数料2.0%」で利用いただけます。
M&A仲介会社に依頼した場合「着手金で100万円以上」「成約時に10〜20%ほどの手数料」がかかりますので、その分の費用を抑えることが可能です。
本格的な契約を行う前に、買い手企業と売り手企業双方のトップが面談を行い、M&Aの実行に向けて会談を行います。
この際にM&Aを行う目的やお互いの企業に関する情報交換を行い、齟齬が生じなければ具体的な交渉に入っていきます。
M&Aにおける基本合意とは、後述する買収監査の実施前に、M&Aの当事者同士でその時点までに合意している内容を定める契約のことです。
基本合意においては、主に以下の内容を定めることになります。
基本合意では「独占交渉権の付与」「秘密保持義務の設定」を行う関係上、原則として省略することができません。
デューデリジェンス(買収監査)とは、基本合意締結後に買い手企業が売り手となる中小企業の実態を把握するために行う調査のことです。
デューデリジェンスでは、外部のM&A専門家が派遣され、売り手企業の設立時にまで遡って資料の確認をします。
前述ように、中小企業においては株の持ち主が不明瞭なケースもありますので、その際は株主追跡のために「株券」「原始定款」「各種議事録」などの提出が必要になります。
デューデリジェンスが無事終了すると、最終合意に向けて、役員の処遇や今後のスケジュールについて詳細な内容を決定します。
最終的な売却条件が決まり、契約内容にお互い相違がなければ最終契約書を締結します。この際、決済までに売り手側に要求される事項は「誓約事項(譲渡日までに行う必要がある事柄)」、決済に関する取り決めは「クロージング条件」として分けられます。
中小企業M&Aの最終契約は譲渡日以後の解除はできず、どうしても契約を解除したい場合は損害賠償か補償などの金銭的な手段に限られます。
最終契約内容にお互い合意しクロージング手続きを行うことになり「買い手企業から売り手企業に譲渡金が支払い」「売り手企業経営者の私的資産の買い取り」「株券や会社代表印の引き渡し」などを行います。
買収後の経営統合の作業に関してはPMI(PostMergerIntegration)と呼ばれます。買い手企業にとってM&Aの目的は、買収成立後の経営能力の向上にあるケースがほとんどです。そのため、PMIはM&Aのプロセスにおいても極めて重要な要素となります。
通常PMIはクロージングの前から始めることが多く、大まかに分けて以下のような流れを取ります。
PMIの初期段階においては対象企業をどのようなスキームで統合していくかを検討し、クロージング後数ヶ月以内に行うべき統合作業をまとめた「ランディング・プラン」を作成します。
その後、クロージングから100日の間に行う対象企業の中期事業計画「100日プラン」を策定し、それに沿った形で統合実施、効果を検証していきます。
コストアプローチと評価対象会社の純資産から売却価格を算出する方法で、「貸借対照表に記載されている資産」「負債の時価」などから企業価値を算出します。
コストアプローチの評価方法としては以下の2パターンです。
貸借対照表に記載されている企業の情報は、過去から現在にかけての収益の情報しかないため、将来どの程度の収益を上げられる企業なのかについてはわからず、単独では企業の判断材料にはなりません。
そのため、コストアプローチによる企業評価の算出では時価純資産法が用いられることが多くあります。
インカムアプローチとは対象企業の収益力をベースに評価する方法で、DCF(ディスカウンティッド・キャッシュフロー)と呼ばれる評価方法を用いるのが一般的です。
DCF法とは、評価対象となる企業が将来獲得すると予想されるキャッシュフローから、各種リスクを織り込んだ現在価値で差し引いて株価を算定する方法です。
DCF法による評価は、対象企業のキャッシュフロー計画に基づいたシミュレーションから柔軟な評価ができる反面、主観的な予測も多く混じってしまいます。そのため、交渉材料として用いる際には、合理的な論理展開を意識する必要があります。
その他に、インカムアプローチで用いられる企業価値の評価方法については、以下の通りです。
マーケットアプローチとは株式市場での市場価格をベースに企業価値を評価する方法です。
評価対象が上場企業であれば、そのまま対象会社の市場株価をベースに価値を算出できるのですが、中小企業ですと類似の上々企業の市場株価を参考にしなければなりません。
そのため、中小企業M&Aにおいて、用いることができるマーケットアプローチの企業価値評価方法は、以下の通りです。
M&Aを検討する際、売り手は自社の適正な売却価格について知りたいと考えるのが当然です。
一般的に、売り手はできるだけ売ろうとしとし、買い手はできるだけ安く買おうとします。適正価格は上記のような方法で個人でも算出できますが、あくまで参考値であることを理解しておく必要があります。
最終的に交渉の結果決まる合意価格には、買い手の主観が反映されるからです。適正価格の何倍・何十倍になることもあれば、その逆もありえます。自社の強みを理解してくれる企業との交渉が重要です。
中小企業を希望価格で売却するためには、自社の企業価値を客観的に把握した上での、希望価格の設定が重要です。企業価値に比べて希望価格が高すぎると売却が難しくなり、逆に希望価格が低すぎると損だと言えるでしょう。
また希望価格で売却するためには、M&A専門家のサポートを受けながらの交渉も重要であると言えます。
中小企業M&Aにかかる税金はスキームによって異なります。この章で詳しく説明します。
基本的に税金は発生しない
法人税法の組織再編に関する課税の原則的な考え方では、組織再編による資産負債の移転は「時価」で行い、評価損益に課税されます。しかし、税法所定の要件を満たす組織再編は、特例として、資産・負債の移転を「簿価」で行い、評価損益を計上せずに課税を繰り延べでき、課税が生じません。この特例は税制適格組織再編と呼ばれています。[17]
[8]株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁
[9]法人税法
[10]法人住民税 (総務省)
[11]法人事業税 (総務省)
[12]特別法人事業税|東京都主税局
[13]消費税のしくみ|国税庁
[14]所得税のしくみ|国税庁
[15]不動産取得税|東京都主税局
[16]登録免許税の税額表|国税庁
[17]組織再編税制に関する資料:財務省
事業継承や事業拡大など、M&Aを実施するにあたってその目的を明確に把握しておく必要があります。例えば事業継承一つとっても、M&A以外にも親族や社内役員などへの承継の可能性も検討できます。
M&Aを行う目的が不明瞭だと、取引相手の企業を選ぶ基準も明確化されませんので、最初からM&Aを前提として計画を立てるのではなく、他の方法とも比較検討した上でするようにしましょう。
中小企業M&Aにおいても、買収を行うことで対象企業の「従業員」「顧客」「既存の取引先」などに大きな影響を及ぼします。
M&Aは身売り行為であるとのイメージを持っている人も中には存在しますので、PMI後も滞りなく新体制で経営を行っていくために、今まで対象企業に関わっていた人たちへの説明責任も果たすようにしましょう。
冒頭でもご説明した通り中小企業においては株主名簿が存在しなかったり、株主の所在がはっきりしないケースも多々あります。
M&Aのスキームとして株式譲渡選択した場合、書いて企業は株式に対して対価を支払うことになります。そのため株主が誰であるのかをしっかりと把握しておかなければ、全く関係ない第三者に多額の支払いをしてしまう可能性もあります。
また、株主名簿が作成されていたとしても、そこに記載されている株式譲渡が株主の承諾を得ているものかどうかも不明なケースも存在します。
そのため、株式名簿があったとしても、買収監査の際にその他の資料と照らし合わせて矛盾がないかどうかを判別する必要があるのです。
買い手企業がM&Aを行う場合、社内で少数精鋭のチームを結成することになります。M&Aは秘匿性の高い案件であるため少数精鋭で挑むのが好ましく、「経営企画」「M&A」「事業企画」「財務」「法務部門」の各担当者からメンバーを選びます。
これに加え、M&Aでは専門的な知識も要求されるため、社外の専門家も招くことは前述の通りです。
車内でM&Aの専門チームがない場合はプロジェクトごとにメンバーを集めなければなりませんので、普段から社内外でM&Aに適している人材の目星をつけておきましょう。
M&Aにおける重要な争点の一つとして買収価格があります。買い手企業は企業買収にあたって、対象企業の価値算定をしますが。その際に買収価格の上限と下限を設定しましょう。
この場合上限価格を買い手企業の留保価格、下限価格が売り手企業に対して最初に提示するアンカリングとなります。
上限価格を決める際には、対象企業の時価にPMI後えられる自社の収益を足した値段で、下限価格は対象企業の現時点での清算価値です。
M&Aの交渉では最初に下限価格を提示し、それが売り手企業の想定した価格に近いものであれば、その後の交渉を有利に進めることができます。この際にその価格を算定した根拠もプラスで売り手企業に提示できると、さらに説得力が増します。
大企業などに行うM&Aと異なり、中小企業M&Aの場合は企業側のシステムも未完成であり、資料などが揃っていないケースも考えられます。
中小企業M&Aが抱える問題として、以下のような事柄が挙げられます。
トラブルの内容 | 対処法 |
株券の喪失 |
または
|
株券未発行 |
または
|
[7]
トラブルの内容 | 対処法 |
下記のような資料が揃わない
| 「契約書の作成は可能なのか」「見つからない資料に記載された内容の他の資料で補足は可能なのか」などについて検討する |
トラブルの内容 | 対処法 |
定時株主総会終結後の決算公告を行なっていないなど、コンプライアンスが厳密に守られているとは言い難い状況になっており、M&Aの過程でスケジュールに歪みが生じてしまう | 事前に様々な事態を想定し、当該違反が、M&A実施上、許容しうるだけのものか否かを判断する |
■譲渡企業(売り手):アポロ工業株式会社
■譲受企業(買い手):有限会社新栄工業
千葉県で金属加工メーカーを営む、中村新一様。今後の事業拡大のためにM&Aを検討し、M&Aサクシードに登録したところ、同業のアポロ工業株式会社様に巡り合いました。アポロ工業様の代表はちょうど引退を考えていたこともあり、同業者同士でシナジーを生み出すM&Aが成立しました。
■譲渡企業(売り手):株式会社Choisee
■譲受企業(買い手):Web関連会社
宮城県仙台市に拠点を置く、株式会社Choisee様。ガジェット・IT系ツールのレビューを行う事業を1人で経営されている代表取締役・川原遼太郎様は、新規事業の準備金のためにM&Aを決断。大阪のWeb関連会社へのM&A交渉を、全てリモートで完結させ成約に至りました。
■譲渡企業(売り手):株式会社イーエス・ウォーターネット
■譲受企業(買い手):東証一部上場企業
都内で3店舗の美容院を経営する株式会社イーエス・ウォーターネットの取締役・坂本勇治様は、父親から「事業承継」を打診されたことで会社を手放すことを決意。「安心できる企業に譲渡したい」との思いから、東証一部上場企業へのM&Aを成功させました。
■譲渡企業(売り手):日伸運輸株式会社
資本金:1,000万円
従業員:15名
■譲受企業(買い手):東亜物流株式会社
資本金:1億円
従業員:376名
東京都で運送業を営む日伸運輸株式会社が、東京事業引継ぎ支援センターを通じて東亜物流株式会社へM&Aを打診[4]。売り手企業の無借金経営が決め手となり、無事成約となりました。
■譲渡企業(売り手):株式会社阿部製作所
資本金:1,000万円
従業員:31名
■譲受企業(買い手):株式会社アベキン
資本金:5,000万円
従業員:70名
金属加工の歴史を持つ新潟県燕三条にある株式会社阿部製作所が、地元の協栄信用組合を通じて同じ地域の株式会社アベキンにM&Aによる事業承継を相談[5]。もともと、地域でのコミュニティが形成されていたこともあり、友好的にM&Aが成立しました。
事業引継ぎセンターとは、中小企業M&Aを支援するために平成23年に設置された国の機関です。令和2年の時点で47都道府県全てに設置され[7]、M&Aだけでなく従業員承継などを含めた事業承継に関する幅広い相談を受け付けています。
事業引継ぎセンターは、経済産業省の委託を受けた各都道府県の商工会議所や各都道府県の財団などが運営する事業で、地元金融機関のOBや各士業専門家が常駐しています。
事業引継ぎセンターで受けることができるM&A支援は、以下の通りです。
金融機関がM&A支援を行う場合貸付を行っている顧客に対して実施することが多く、与信業務などの固有業務にプラスして、M&Aに関する助言も行います。
中小企業M&Aの場合は、M&Aを検討している企業のマッチング企業を探したり、自らの顧客の中から候補を絞ることができるのが金融機関の特徴です。
しかし「都市銀行」「地域銀行」「信用金庫」の業態や規模などによって、M&Aに対する体制の整え方が異なります。
金融機関で受けることができるM&A支援の内容は以下の通りです。
「商工会議所」「商工会」「中小企業団体」「中央会商店街振興組合連合会」などの商工団体が」地域の発展のために中小企業M&A支援を行うこともあります。
地域に根ざしているという特性上」中小企業からしても身近な相談窓口の一つであり、中小企業が受けることができる公的な支援制度についてもよく熟知しています。
商工団体では、法務や税務といったリーガルな相談よりは、経営に関する相談を受けることが多くあります。そのため、地域の中小企業の経営状況などや地域での立ち位置などを認識できる立場にあると言えます。
商工団体で受けることができるM&A支援については、以下の通りです。
弁護士が中小企業M&Aに介入する場合、法律の専門家の立場から、M&Aにおける様々な要因に対して相談受付や対応を行っていくことになります。また、売り手企業の株主は経営者の親族などの利害関係に配慮し、紛争予防の観点から各人と調整役として交渉を行うことがあります。
中小企業M&Aで弁護士が行うことになる支援内容としては以下の通りです。
税理士は中小企業の経営者の相談役として企業の実情を把握し、税務会計に関する業務に精通していることから、中小企業M&Aでも経営支援や金融支援などの立場から関わることがあります。
中小企業M&Aで関わることになる税理士、は企業の顧問税理士であるケースが一般的です。ただし、M&Aに関する支援業務が通常の顧問業務の範囲外である場合、事前に報酬や業務内容についてすり合わせをしておく必要があることは把握しておきましょう。
中小企業M&Aにおいて税理士が支援できる範囲は以下の通りです。
中小企業M&Aにおいて、公認会計士は会計の専門家として独立した立場から財務書類などの財務に関する情報を整理し、売り手企業の信頼性を向上させることで、M&A成立をサポートします。
中小企業M&Aで公認会計士に頼める支援内容は他にも、以下のようなものです。
M&Aプラットフォームとは、すでにご紹介した通り、インターネット上のシステムを使いオンラインでM&A行いたい売り手企業と買い手企業のマッチングを支援するサービスです。
サービスごとに利用可能な対象者や利用方法は異なりますが、売り手側買い手側にかかわらずエムアンドエーを検討している企業がプラットフォームに登録し、マッチング相手を探す利用方法が一般的となっています。
M&Aプラットフォームの利点は、非常に簡便かつ低コストで利用できる点にあり、M&Aに対し多額の資金を投入することができないケースもある中小企業M&Aにおいて、手数料を金銭的なメリットのある選択肢です。
M&A仲介会社は、M&Aの仲介業務やFA(ファイナンシャルアドバイザー)業務に従事する専門家であり、中小企業M&Aにおいても貴重な存在です。
M&A仲介業者にはマッチングから交渉に至るまで幅広い支援を依頼することができますか、士業などと違い資格が必要のない職業ではあります。
そのため、交渉や調整に関する知見は業者によって大幅に異なる事が多々あり、ノウハウの少ないM&A仲介会社に支援を依頼した場合には、交渉がスムーズに進まない場合もあることは念頭に置きましょう。
ここまで説明してきた通り、中小企業M&Aにおいては支援機関による支援を受けていただく方が安心です。そして、支援機関を選ぶ上ではいくつかのチェックポイントがあります。この章で説明します。
M&Aについて、一般的には、日系証券会社は大型案件からミドルマーケットまで、銀行はミドルマーケットを中心に、そしてM&A仲介業者は幅広いレンジの案件を扱っています。
M&Aの支援機関を選ぶ上では、自社と同規模の案件を扱った経験のある支援機関を選ぶことが重要です。異なる規模の案件の経験しかないと、適切な相手先を見つけることが難しくなる可能性があるからです。
M&Aの支援機関にはさまざまな専門分野があります。選択を誤らないためには、自分が希望する案件に該当する分野の専門的知識や実績が豊富な支援機関の選択が大きなポイントです。特にM&Aに関する交渉の際に専門知識が重要になります。
M&Aの支援機関の料金体系は、その支援機関によって様々です。業務を依頼する際に払う着手金の支払いが必要な支援機関もあれば、着手金を徴収しない支援機関もあります。成功報酬はM&A成立後に支払われるケースが多いですが、途中に中間報酬を要求する支援機関もあります。料金体系をホームページで公開せず、個別に問い合わせが必要な支援機関もあります。
他にも例えば企業価値を算出がオプションサービスであったり、元々プランに含まれていたりと、提供されるサービスの範囲も支援機関によって異なります。
はじめにある程度の概算費用を聞いておく必要があります。また、複数の会社の見積もりを比較した上での適正価格かどうかの判断も有効です。
M&Aにおいては専門家の最大限の活用が重要です。その内、M&Aマッチングサイトが特におススメです。譲渡側は無料で登録できるM&Aマッチングサイトも相当数あり、支援機関に多額の手数料を支払って、マッチングするだけの資力のない中小企業でも、中小M&Aの機会が大幅に増えたとの見方があります。
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中小企業はM&Aを実施すれば、現在直面している様々な課題に対応できます。ただしM&Aを成功させるためには、さまざまな影響を慎重に予測した上で、最も適切なスキームの選択が重要です。専門家の力を借りてアドバイスを受けることも視野に入れながら、慎重に計画を立てる必要があります。
今回の記事が皆様の中小企業M&Aに関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
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