事業売却とは、会社の特定事業を切り出して売却することです。不採算事業の整理や本業に経営資源を集中させるメリットのある手法です。今回は事業売却の売却相場・税金・メリット・手続きをわかりやすく解説します。
事業売却とは、事業の全部または一部を、他の会社や個人に対して売却する行為のことです。売却対象となる資産と負債が、「取引行為」として個別の移転手続等を経て移転・承継されます。赤字事業、成長事業、ノンコア事業など自社の経営戦略に合わせて、自由に売却する事業を選択することができます。
1985年以降、年によって増減はありますが、M&Aの件数は右肩上がりで推移[1]しています。また、日本では後継者不足が社会的な課題となっていますが、後継者がいない企業で事業売却への関心が高まっています。
後継者がいる企業が事業売却に関心がある割合が36.4%[2]であるのに比べて、後継者がいない企業では49.6%[2]が事業売却に関心があるというアンケート結果があります。
事業売却と会社売却の違いは下記のとおりです。
| 事業売却 | 会社売却 |
売却対象 | 事業そのもの | 株式 |
対価の受領者 | 会社 | 株主 |
消費税の対象か否か | 消費税の対象 | 消費税の対象外 |
[1] 1985年以降のマーケット別M&A件数の推移
[2] 事業売却
売却側のメリットとしては以下のものが挙げられます。
事業売却でなく会社売却を選択した場合は、会社の商号は買い手が使用することとなり、売り手は使用することができなくなります。商号に歴史やブランド価値がある場合には、愛着のある商号が残ることが売却側のメリットとなります。
赤字事業や本業とシナジーの薄い事業を事業売却することで、本業にリソースを集中させることができます。結果として、筋肉質な経営体制となり企業価値の増加につなげることができます。
買収側のメリットとしてこれらの事柄が考えられます。
会社全体の買収であれば、たとえ買い手にとって不要な資産・負債であっても全て承継しなければなりません。一方、特定の事業を買う場合は、買い手が必要な資産・負債を選んで買収できるため、投資資金を効果的に投入することができます。
簿外負債とは帳簿に載らない負債のことであり、M&Aの世界ではよく論点となります。買い手が簿外負債を引き継いでしまった場合には、想定外の損失を追ってしまう可能性があり、M&Aによる投資コストを回収できなくなります。事業の買収であれば、会社に紐づいた簿外負債を引き継ぐ心配はないため、安全に事業だけを引き継ぐことができます。
売却側のデメリットは、以下のとおりです。
株式譲渡であれば、基本的に買い手に対して自分の保有する株式を譲渡するだけで売却の手続きが完了します。一方、事業売却の場合は個別財産ごとに事業承継の許可や許諾を得ていく必要があるため、引継ぎに時間がかかってしまいます。事業譲渡契約書を締結した後は何もすることはない、というわけではなく、実際の譲渡完了まで尽力しなければならない点に留意が必要です。
A事業とB事業を営んでおり、B事業の売却を検討している場合、B事業の事業別財務諸表が必要となります。A事業とB事業が合算している会社全体の財務諸表しかない場合、別途作成が必要となります。間接費の配分を適切に行うなど、B事業のスタンドアローンの正常収益力を把握するためには、数多くの工程を経て事業別財務諸表を作成しなければなりません。
買収側のデメリットは以下のように、税務に関する事柄が主なものとなっています。
事業買収の場合、消費税の支払が必要になります。純粋な事業譲渡の金額に消費税10%が加算された金額を売り手に対して支払います。消費税を踏まえて、投資回収ができるかどうか、事前に慎重に検討しなければなりません。
グループ内で合併をする場合など、一定の条件を満たす場合、被合併会社の繰越欠損金を引き継ぐことができます。[5]繰越欠損金を引き継ぐことで買い手としては将来の税負担を軽減させることが可能になります。
一方、事業買収の場合、税務上の優遇措置がなく、売却側に繰越欠損金があったとしても引き継ぐことはできません。事業買収は組織再編行為ではなく当事者間の取引行為であるため、税務上の特別なルールが存在していないのです。
事業売却は、経営の効率化と事業の再建の2つの目的があります。
事業売却を行うことで経営の効率化を図ることができます。例えば、経営資源を投下する事業を絞ることで企業全体としての成長率を高めること、赤字事業を切り離して利益率を高めることができるといった効果が得られます。
事業売却は事業の再建時も活用することができます。後継者が見つかっておらず、廃業可能性が高いケースでは、事業売却を行うことで後継者に経営権を譲り、廃業を避けられます。
後継者不足が解消し、後継者が事業を継続することで、当該事業に従事していた従業員の雇用を守ることもできます。新しい後継者のもと、事業再建を図り、更なる事業の成長を促すことが可能になります。
事業売却の価値算定方法として、主に以下の4つの方法があります。
DCF法とは、Discounted Cash Flow 法の略で、将来獲得できると見込まれるキャッシュフローの総額を割引現在価値になおして事業価値を計算する方法です。対象事業の将来計画によって、大きく事業価値が変動するため、いかに合理的な計画を策定できるかが実務上の重要ポイントです。
マルチプル法とは、類似した上場企業の株価を元に事業価値を算定する方法です。上場企業の財務数字に対する企業価値の倍率(マルチプル)は、売上高、営業利益、最終利益、純資産、EBITDAなどが、よく使う財務数字として挙げられます。
例えば、ある上場会社の企業価値が売上高の10倍で株式市場にて評価されている場合、類似している事業の売上×10倍で事業売却の価値算定をすることができます。
修正純資産法とは、事業の有する資産の時価から負債の時価を控除して事業価値を算定する方法です。事業売却の対象資産に多額の土地が含まれるような場合に、有用な計算方法です。また、赤字企業でDCF法や類似会社比較法が使えないケースでは消去法てきに時価純資産法が採用されることもあります。
年買法とは、「時価純資産+営業利益×●年分」で事業価値を算定する方法です。上記3つの価値算定方法と比べて、年買法は理論的な方法ではありません。一方、M&Aの実務上、簡易な価値算定として使われる場合があります。時間をかけずにだいたいの金額を算定しなければならないケースで有用な計算方法です。
事業売却の相場で最も客観性のあるものは、株式市場と照らし合わせることです。東証一部に上場している銘柄は2020年9月末時点で、平均PER21.2倍、平均PBR1.2倍[3]で取引されています。PERは「時価総額÷当期純利益」で計算することができるため、売却の対象となる事業の純利益が分かれば相場を計算することができます。
例えば、売却事業の純利益が年間1,000万円であれば、平均PER21.2倍を乗じることにより、2億1,200万円と相場を計算することができます。ただし、東証一部の平均値である点、株式市場はマクロ経済などの影響を受けやすい点、本来は類似企業のPERを乗じるべきである点には留意が必要です。
また、年買法によっても簡易的に事業売却の相場を把握することができます。事業売却の相場として、「修正純資産+営業利益×3~5年」程度で取引される事例が多いようです。
例えば事業売却する際の修正純資産が1億円、毎年の営業利益が1,000万円であれば、事業売却の金額目安として「1億円+1,000万円×3~5年=1億3,000万円~1億5,000万円」と計算することができます。
事業価値を見積もる場合、売り手は、思いやりのある事業などであればあるほど、その価値を高く見積る傾向にあります。他方で買い手は、安く買収した方が投資回収できないリスクを少なくできるため、事業価値を安く見積もりがちです。
売り手と買い手は、交渉を重ねることで最終的な売却価格を決めていきます。売り手としては、自社の強みを理解してくれる買い手候補と交渉を行うことが、高値で売却することの重要なポイントの一つです。マルチプル法など客観的指標を用いて、お互いが価格交渉を行うこともあります。
事業売却を高値で行えるケースとして、以下の3つの特徴があります。
買い手は事業買収した後、事業からの利益によって投資回収を行います。事業に利益が出ていなければ、買い手の投資回収が困難になり、事業売却金額は低くなるケースが多いです。事業売却を行う前には、売上増、コスト減となる施策を行い、利益性を高めておくことが大切です。例えば、マーケティング施策の見直しにより売上アップを狙う、無駄な経費を削減しておくなどが挙げられます。
差別化ポイントがない場合、常に競合との激しい競争に巻き込まれてしまい、新規参入の脅威もあります。競合企業が値下げをしてきた場合、自社も追随して値下げを行わざるを得ません。そのため、他社と差別化ポイントを持ち、競合企業との競争に巻き込まれないことが重要です。
一朝一夕にすぐに差別化できることは少ないですが、日々の経営の中で、独自技術やノウハウを磨くことで、徐々に差別化ポイントを見つけていきましょう。
買い手は事業買収の意思決定を行う前には、外部の専門家を登用して財務デューデリジェンスを実施します。その中で、簿外負債や使途不明金の存在、含み損のある資産などが含まれていると、買収自体を取りやめることもあります。
事業売却のプロセスを進める前に、できる限り、自社の帳簿をクリーンにしておくことがおすすめです。貸借対照表、損益計算書の内訳を確認していく、顧問税理士に問い合わせを行うなど、自社の財務状況を正しく把握しておきましょう。
事業売却を行うにあたり、最初に行うことはどの事業を売却するかを決めることです。不採算事業、成長事業ではあるものの今後の投資額増加が見込まれる事業、ノンコア事業など、自社の経営戦略に従い、切り離す事業を特定します。
売却事業が決定した後は、売却事業に関わる数字を整理しておく必要があります。事業別の貸借対照表、損益計算書が事前に作成されている場合は追加の作業は必要ありませんが、情報が整理されていない場合、改めて準備しておかなければなりません。
買い手探しは、主に以下の4つの方法により行われます。
仕入先や得意先など関係の深い企業に対して、売り手から直接アプローチする方法です。企業のトップ同士が顔見知りである場合には、スピード感をもってプロジェクトが進められる点がメリットです。また、仲介者が存在していないため、仲介手数料などのマージンを節約することができます。
FAやM&A仲介会社を利用することで、複数企業に事業名を明かさないまま初期的な売却の打診をすることができます。買い手候補を多く集めることができ、オークション形式のように売却価格の上昇効果が見込まれます。一方で、FAやM&A仲介会社に対して、手付金や成功報酬が必要になる点は留意が必要です。
M&AプラットフォームはM&Aの買い手と売り手が集まるプラットフォームです。M&Aプラットフォームは、システム面で効率化されていることから、FAやM&A仲介会社よりも成約手数料が安いことが特徴です。M&Aサクシードでは、譲渡企業は登録無料で利用でき、譲り受け企業が負担する手数料も一般的な仲介会社などと比べて安価です。
FAやM&A仲介会社を利用しづらい場合には、金融機関に相談することも可能です。金融機関はビジネスの特性上、数多くの企業と接点を持ちどの企業に売却案件がマッチするかを判断することができます。
買い手企業との共通の知人、業界団体や地元経済界に精通している方などに相談することも考えられます。幅広いコネクションを持った人物に相談することができれば、売却事業を欲しがるであろう買い手候補を紹介してもらえる可能性も高まります。
基本合意とは、最終契約に至る前に基本的な事項を書面で確認するものです。基本合意書のことをLOI(Letter of Intent)やMOU(Memorandum of Understanding)と呼ぶこともあります。基本合意に織り込むべき内容は、事業売却のスキーム、金額、対象となる主な資産・負債、従業員の引継ぎ条件、事業譲渡契約書の締結日とクロージング日の目安などが挙げられます。
基本合意は、法的拘束力を持たせないことが一般的ですが、締結することにより、事業売却の成功確率を高めるものとなります。買い手にとっても、独占交渉権の獲得や買収価格の上限設定、スケジュールの明確化がなされるなど、売り手と買い手の双方にとってメリットのある内容になります。
デューデリジェンス(DD)とは買い手側が実施する買収前の監査のことです。買収対象事業の抱えるリスクの把握と移転手続き等の準備を行う目的で実施されます。デューデリジェンスは、財務DD、税務DD、法務DD、システムDD、ビジネスDD、人事DDなどに分類することができます。事業売却のケースでは、会社売却よりもデューデリジェンスの範囲が対象事業のみに絞られるため、狭いものとなります。
売り手としては、デューデリジェンスのプロセスで求められる資料を準備し、マネジメントインタビューと呼ばれる質疑応答に対応しなければなりません。デューデリジェンスの対応窓口となる人材を適切にアサインし、効率的にデューデリジェンスを進めることで事業売却の成功確率を高めることに繋がります。
事業譲渡契約書の内容に法定記載事項はなく規制はありません。売り手と買い手の双方の合意に基づいて事業譲渡契約書を締結します。主な記載事項は、譲渡対象事業の資産・負債、譲渡対価、譲渡期日、譲渡対象資産等の移転手続き、競業避止義務、その他M&A契約で通常定められるような条項です。
事業譲渡契約書を締結するためには、売り手と買い手のそれぞれで機関決定が必要です。売り手は株主総会の特別決議が必要となりますが、一定の金額以下の事業売却の場合には必要ありません。[6]
買い手は事業の全部譲受の場合は株主総会の特別決議が必要[7]ですが、一部譲受の場合には必要ありません。金額的な重要性に応じて、取締役会決議などを経て事業譲渡契約書を締結することとなります。
事業売却は事業譲渡契約書を締結しただけでは、個別の契約や地位は移転しないため、別途手続きを実施していく必要があります。具体的には、事業の買い手が取引先ごとに契約の巻きなおしや事業に必要な許認可の再取得等をしなければなりません。売り手は買い手がきちんと個別契約や地位が移転できるよう協力する必要があります。
[6] 会社法467条1項1号・2号、309条2項11号
[7] 会社法467条1項3号
業売却の際には、以下の3つの注意点があります。
事業売却価格は、売り手と買い手が妥協できる価格の範囲内で決まります。売り手が最低1億円、買い手は最大8,000万円を妥協点としていた場合、妥協点が交わっていないため、事業売却は成立しません。
交渉時には、買い手が最初に出してきた金額や条件をそのまま飲まずに、一度冷静になってオファーの妥当性を判断することが重要です。交渉の仕方として、最初に提示するオファーは売り手にとって不利な条件であることが多いため、買い手の言いなりにならないようにしましょう。
会社に借入金などの負債があり、その負債を確実に手放したい場合には、事業売却でなく、株式譲渡等、別のスキームで売却するのがおすすめです。自社や経営者自身の状況に照らして、金額やスキームの条件について、交渉前に妥協点を決めておきましょう。
交渉時は感情的にならずに冷静でいることが重要です。希望とはほぼ遠いオファーを受けた際など、感情的になってしまう場合もありますが、冷静に受け止めて即決せず、条件を持ち帰って評価、再交渉していくようにしましょう。買い手と売り手の考えている条件を、エクセルで整理していき、どの部分は譲れてどの部分は絶対に譲れないのか、客観的に判断、交渉していくと、条件がまとまりやすくなります。
事業売却によって利益が出た際には、法人税の課税対象となります。確定申告の際に事業売却益を益金に加味していないと、後に税務調査が入った際などに追徴課税が課されてしまうため、注意が必要です。事前に税金も含めたうえで、事業売却後の資金繰りをシミュレーションしておくことが重要です。
事業売却は時価での取引が原則となるため、事業売却を行った際は、譲渡損益が発生します。売却側が利益の出ている法人であれば、譲渡益が発生した場合に法人税の支払が必要になります。2021年3月期決算における実行税率は29.74%(外形標準適用法人の場合)[4]ですので、納付すべき法人税額は「譲渡益×29.74%」と計算されます。
なお、事業売却は合併や会社分割等の組織再編行為には該当せず、税制適格要件は存在しないことに留意が必要です。
事業買収は消費税における課税取引に該当するため、譲渡対象資産に課税対象資産がある場合は、消費税10%(2020年10月28日時点)を支払う必要があります。課税対象資産とは、有形固定資産、営業権などが該当し、土地は含まれません。[3]
事業譲受を行った会社は、譲り受けた資産・負債を時価で受け入れ、支払対価との差額がある場合には税務上のれん(資産調整勘定)として処理します。税務上ののれんは、5年の定期償却が求められており、償却額は損金算入することができます。そのため、事業譲受を行った会社で利益(課税所得)が発生している場合には、事業譲受をすることで法人税の節税になる可能性があります。
事業譲受でなく、株式譲渡のケースでは、税務上ののれんが発生せず、株式を取得したままの状態では法人税に影響を及ぼしません。一方で、 株式譲渡では一定の条件を満たす場合、譲渡会社の繰越欠損金を引き継ぐことができますが、事業譲受にはそのような制度はありません。
買収側は状況によって法人税、消費税の支払金額が変わってくるため、事業譲受と株式譲渡のどちらが有利になるか事前に検討しておく必要があります。
事業売却した際の会計処理を、買い手側と売り手側の仕訳に分けて解説します。
前提:A事業(諸資産:5,000万円、諸負債:3,000万円)を4,000万円で事業売却
買い手側の仕訳は下記のとおりです。
借方 | 貸方 |
諸資産:5,000万円 | 諸負債:3,000万円 |
のれん:2,000万円 | 現預金:4,000万円 |
A事業に紐づく諸資産、諸負債をそのまま引き継ぎ、事業売却金額との差異をのれんとして計上します。
売り手側の仕訳は下記のとおりです。
借方 | 貸方 |
諸負債:3,000万円 | 諸資産:5,000万円 |
現預金:4,000万円 | 事業売却益:2,000万円 |
A事業に紐づく諸資産、諸負債を切り離し、事業売却金額との差異を事業売却益として計上します。
2018年3月26日、ベーシック社がオンデマンドオリジナルグッズ作成サービスであるCanvath事業をGMOペパボへ事業売却する事業譲渡契約書を締結しました。[8]GMOペパボはSUZURIというCanvath事業と同様の事業運営を行っており、両サービスのマーケティング手法やオペレーション手法、商品開発ノウハウを共有することでシナジー創出を狙う考えです。
事業売却の金額はベーシック社の意向により非開示となっていますが、GMOペパボ社の業績に与える影響は軽微と開示されています。
2019年12月11日、HIT社がグルメ情報に特化したメディアであるめしレポ事業を、イード社へ事業売却しています。[9]めしレポは食べログやぐるなびなど複数のサイトから高い口コミを得ている飲食店を紹介しているサイトです。イードは2020年10月時点で、20ジャンル60の専門メディア[10]を運営している会社です。
事業売却の金額は非公開です。イードはめしレポ以外にも絵本ナビ、マネーの達人、NewsCafeなど様々なメディアを積極的なM&Aを行っています。
2018年6月11日、PoliPoli社が俳句のSNSアプリである「俳句てふてふ」事業を毎日新聞社へ事業売却しました。[11]俳句てふてふは「俳句を身近に」をテーマにしたSNSサービスであり、高校生向けのイベント「俳句甲子園」を開催するなど、若いユーザーがいることが特徴です。
PoliPoliは政治コミュニティサービスのポリポリをコア事業としており、ノンコアであった俳句てふてふを切り出し、より一層コア事業へ集中することを狙いとしています。また、毎日新聞社は毎日俳壇など俳句に関するコンテンツを長期に渡って提供しており、俳句に関する知見を多く持っています。PoliPoliと毎日新聞社の双方の狙いが合致した事業売却です。
2019年9月1日、インタラクティブブレインズ社の3DCGアバター事業、VR事業、コンテンツ等の開発事業をクレイテックワークス社へ事業売却しました。[12]インタラクティブブレインズは、スマートデバイス向けコンテンツ配信事業、コンテンツ開発事業、システム事業、イベント企画・制作、スポーツライセンスグッズの商品開発・製造販売、店舗運営・ECサイト運営など様々な事業を営んでいますが、一部の事業を売却することに成功しています。
クレイテックワークスは、プロフェッショナル・エージェンシー事業を展開するクリーク・アンド・リバー社の子会社であり、ゲームや映画等のコンテンツ制作において3DCG技術が不可欠なものになっていることから、この事業売却に応じることとなりました。
2019年8月23日、ライナフ社が運営するスマート会議室事業をアズーム社へ事業売却することを決議しました。[13]スマート会議室事業は会議室の予約をリアルタイムに可視化することができ、予約から決済までワンストップで提供するサービスです。ライナフ社はスマート会議室を事業売却することにより、不動産管理システムの開発・運営に経営資源を集中することとしています。
アズームは、「世の中の遊休不動産を活躍する不動産に」という経営理念を掲げ、空き駐車場の活用ビジネスをメインに事業展開しています。今回のスマート会議室事業の取得により、空きスペースをより活用していくというシナジー効果が狙いの事業譲受となります。
売り手となったのは、ウェブサイトおよびメディアの運営を主力事業としているGEARです。
買い手となったのは、インターネットで中古車・廃車売買を行える「カーネクスト」というサービスを運営しているラグザス・クリエイトです。
GEARが事業売却を行った目的は、自社事業の選択と集中です。
M&Aを行った当時、同社は売却対象となったウェブサイト売買のプラットフォームに対して、十分な人員を割くことができない状況にありました。
そこで「手元に置いておくより、このサービスを成長させてくれる企業に譲渡した方が良い」と考えて、買い手企業への売却を行いました。
一方でラグザス・クリエイトがGEARから事業を買収した目的は、事業領域の拡大です。
同社は2年前からM&Aを活用した事業領域の拡大を進めており、本件の買収もその一環として実施されました。
GEARによるラグザス・クリエイトへの事業売却は、事業譲渡のスキームで実施されました。
事業売却後ラグザス・クリエイトは、自社が有するマーケティングのノウハウを売り手企業から引き継いだサービスに投入し、シナジー効果の創出に注力しています。
売り手となったのは、大阪府でアパレルや雑貨小物のECサイトを運営していた企業です。
買い手となったのは、アパレル販売や貿易事業を手がけている宝島ジャパンです。
同社はアパレルショップ3店舗の運営以外にも、モンゴルの商品を日本に紹介する事業なども展開しています。
売り手企業は、当時数千万円分の在庫を抱えており、事業の選択と集中を目的に事業売却を実施しました。
一方で買い手の宝島ジャパンは、アパレル事業の拡大を目的に事業を買収しました。
当時同社は、アパレルを扱うインターネットに強い企業を探していたものの、シナジー効果を見込める相手企業が中々見つからない状況でした。
そのような時に、M&Aサクシード経由で自社と同じブランドを取り扱うアパレルECサイトの運営会社とマッチングし、M&Aが成立しました。
売り手企業による宝島ジャパンへのECサイトの売却では、事業譲渡のスキームが活用されました。
交渉開始から4ヶ月でM&Aが成約したため、多額の在庫が原因で事業継続が困難となっていた売り手企業にとって大きな収穫のあるM&Aとなりました。
また、買い手企業にとっても、割安な金額で魅力的な在庫を抱えるEC事業を買収できた点で、メリットが大きい買収であったと言えます。
売り手となったのは、赤ちゃんの成長を写真で簡単に記録できるアプリ「BABY365」などの運営を展開してきたポーラスタァです。
買い手となったのは、ブライダル事業や写真館の運営などを多角的に展開している小野写真館です。
売り手のポーラスタァは、事業のさらなる成長・存続を実現する目的で、「BABY365」などの運営事業を売却しました。
経営者個人が子育てで忙しかったことや、会社のリソースが少なかったことを理由に、事業の継続が困難だったため、売却を決断したとのことです。
一方で小野写真館は、コロナ禍によって主力であるブライダル事業の売上が激減したことをきっかけに、「with/afterコロナ型」への転換を図っていました。
本件のM&Aも、事業ポートフォリオを変える戦略の一環として行われたものです。
自社事業を拡大してくれる将来性の高さを感じたことが、BABY365等の事業を引き継ぐ決め手となりました。
ポーラスタァによる小野写真館への事業売却では、事業譲渡の手法が活用されました。
事業売却を行ったことで、売り手企業の経営者は事業を継続させる緊張感から解放され、子育てなどのプライベートにかける時間を確保できるようになりました。
売り手となったのは、見積書・請求書管理のオンラインサービス「CLOUD PAPER」や「MENTA」というマッチングサイトなどの自社サービスの開発・運営や受託開発の事業を展開してきた入江テックです。
買い手となったのは、ITコンサルティングやITシステムの開発事業を展開してきたSICシステムです。
売り手の入江テックは、軌道に乗っていた「MENTA」のサービス運営に集中する目的で、「CLOUD PAPER」の事業を売却しました。
一方で買い手のSICシステムは、技術者などのリソースをまとめて取得でき、かつ顧客がすでについているサービスを取得した方が自社の成長スピードを速めることができると考えて、入江テックから事業を買収しました。
本件の事業売却も、他の事例と同様に事業譲渡の手法で行われました。
Zoomを活用したオンライン交渉がスムーズに進んだため、入江テックによる事業売却はおよそ1ヶ月で成約することに成功しました。
また、買い手企業が保有するシステムと売り手の事業との間に類似する要素が多かったため、サービスの引き継ぎも円滑に行われました。
売り手となったのは、ネイリストが制作したネイルチップを販売するネットショップ「ミチネイル」の運営を行っていたミチです。
買い手となったのは、1956年に設立された大手織物メーカーである丸井織物です。
売り手のミチは、自社事業の選択と集中を図る一環として事業売却を行いまいた。
一方で買い手の丸井織物は、ECサイト運営のノウハウやSEOを強みとするミチと、デジタルマーケティングのノウハウを強みとするオリジナルラボ(同社の子会社)によってシナジー効果を創出できると考え、ミチの事業を買収しました。
丸井織物に対するミチの事業売却は、事業譲渡のスキームによって行われました。
ミチが事業売却を行った後、事業を引き継いだ丸井織物は徹底的なコスト削減に着手。
丸井織物が有する無駄をなくすノウハウによって、事業売却から2ヶ月で売り手事業の利益率は15%から40%まで向上しました。
[8] GMOペパボ株式会社 2018年3月26日任意開示
[9] 株式会社イード 2019年11日プレスリリース
[10] 株式会社イード M&A実績の紹介ページ
[11] 毎日リリース 2018年6月11日
[12] PR times 2019年9月2日
[13] 株式会社ライナフ 2018年8月23日プレスリリース
事業売却を行う際に一番難しいのは買い手候補を探すことです。M&Aサクシードは、法人限定・審査制のM&Aマッチングサイトであり、本気度の高い買い手候補にアプローチすることができます。成功報酬のみの報酬体系であるため、事業売却が成立しなければコストが発生することはありません。まずはM&Aサクシードなどの専門家に気軽に相談してみることがおすすめです。
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