事業売却とは、会社の特定事業を切り出して売却することです。不採算事業の整理や本業に経営資源を集中させるメリットのある手法です。今回は事業売却の売却相場・税金・メリット・手続きをわかりやすく解説します。
事業売却とは
事業売却とは、事業の全部または一部を、他の会社や個人に対して売却する行為のことです。売却対象となる資産と負債が、「取引行為」として個別の移転手続等を経て移転・承継されます。赤字事業、成長事業、ノンコア事業など自社の経営戦略に合わせて、自由に売却する事業を選択することができます。

事業譲渡とは?メリット・手続き・流れ【図解で分かる】
事業譲渡とは、会社がある事業の全部または一部を譲渡することをいいます。企業全体を売買対象とする株式譲渡と違い、譲渡対象の事業を選べるのが特徴です。M&Aの代表的な手法のひとつです。この記事では、事業譲渡の意義、株 […]

M&A戦略とは?策定の流れと成功のポイント【事例付き】
M&Aを成功させるためには売却・買収後を視野に入れた戦略が必要です。M&A戦略の重要性、策定の流れ、売却側・買収側それぞれの戦略の要点と注意点を解説し、成功事例を紹介します。 目次M&A戦略策定の […]
事業売却の国内動向
1985年以降、年によって増減はありますが、M&Aの件数は右肩上がりで推移[1]しています。また、日本では後継者不足が社会的な課題となっていますが、後継者がいない企業で事業売却への関心が高まっています。
後継者がいる企業が事業売却に関心がある割合が36.4%[2]であるのに比べて、後継者がいない企業では49.6%[2]が事業売却に関心があるというアンケート結果があります。
事業売却と会社売却の違い
事業売却と会社売却の違いは下記のとおりです。
|
事業売却 |
会社売却 |
売却対象 |
事業そのもの |
株式 |
対価の受領者 |
会社 |
株主 |
消費税の対象か否か |
消費税の対象 |
消費税の対象外 |
[1] 1985年以降のマーケット別M&A件数の推移
[2] 事業売却
事業売却のメリット
売却側のメリット
売却側のメリットとしては以下のものが挙げられます。
- 会社の商号を売却後も使用することができる
- 赤字事業だけを売却するなど、本業に経営リソースを集中させることができる
会社の商号を売却後も使用することができる
事業売却でなく会社売却を選択した場合は、会社の商号は買い手が使用することとなり、売り手は使用することができなくなります。商号に歴史やブランド価値がある場合には、愛着のある商号が残ることが売却側のメリットとなります。
赤字事業だけを売却するなど、本業に経営リソースを集中させることができる
赤字事業や本業とシナジーの薄い事業を事業売却することで、本業にリソースを集中させることができます。結果として、筋肉質な経営体制となり企業価値の増加につなげることができます。

赤字企業は売却できる?売却価格の相場や成功のコツを徹底解説
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買収側のメリット
買収側のメリットとしてこれらの事柄が考えられます。
- 必要な資産・負債だけを選んで買収できるため、不要な資産を抱え込む必要がない
- 簿外負債を引き継ぐ恐れがない
必要な資産・負債だけを選んで買収できるため、不要な資産を抱え込む必要がない
会社全体の買収であれば、たとえ買い手にとって不要な資産・負債であっても全て承継しなければなりません。一方、特定の事業を買う場合は、買い手が必要な資産・負債を選んで買収できるため、投資資金を効果的に投入することができます。
簿外負債を引き継ぐ恐れがない
簿外負債とは帳簿に載らない負債のことであり、M&Aの世界ではよく論点となります。買い手が簿外負債を引き継いでしまった場合には、想定外の損失を追ってしまう可能性があり、M&Aによる投資コストを回収できなくなります。事業の買収であれば、会社に紐づいた簿外負債を引き継ぐ心配はないため、安全に事業だけを引き継ぐことができます。
事業売却のデメリット
売却側のデメリット
売却側のデメリットは、以下のとおりです。
- 個別財産の所有権や契約の地位譲渡が必要であるため、手間と時間がかかる
- 対象となる事業の事業別財務諸表を作成する必要がある
個別財産の所有権や契約の地位譲渡が必要であるため、手間と時間がかかる
株式譲渡であれば、基本的に買い手に対して自分の保有する株式を譲渡するだけで売却の手続きが完了します。一方、事業売却の場合は個別財産ごとに事業承継の許可や許諾を得ていく必要があるため、引継ぎに時間がかかってしまいます。事業譲渡契約書を締結した後は何もすることはない、というわけではなく、実際の譲渡完了まで尽力しなければならない点に留意が必要です。

事業売却による社員への影響・処遇【退職金の扱いも徹底解説】
事業売却では、基本的に売り手企業から買い手企業に社員の引き継ぎが行われます。この記事では、事業売却における社員への影響や転籍後の処遇、退職金の扱い、転籍を拒否する社員への対応などを詳しく解説します。(執筆者:京都大学文学 […]
対象となる事業の事業別財務諸表を作成する必要がある
A事業とB事業を営んでおり、B事業の売却を検討している場合、B事業の事業別財務諸表が必要となります。A事業とB事業が合算している会社全体の財務諸表しかない場合、別途作成が必要となります。間接費の配分を適切に行うなど、B事業のスタンドアローンの正常収益力を把握するためには、数多くの工程を経て事業別財務諸表を作成しなければなりません。
買収側のデメリット
買収側のデメリットは以下のように、税務に関する事柄が主なものとなっています。
- 消費税の支払が必要である
- 税制適格組織再編税制による税務上の優遇措置がない
消費税の支払が必要である
事業買収の場合、消費税の支払が必要になります。純粋な事業譲渡の金額に消費税10%が加算された金額を売り手に対して支払います。消費税を踏まえて、投資回収ができるかどうか、事前に慎重に検討しなければなりません。
税制適格組織再編税制による税務上の優遇措置がない
グループ内で合併をする場合など、一定の条件を満たす場合、被合併会社の繰越欠損金を引き継ぐことができます。[5]繰越欠損金を引き継ぐことで買い手としては将来の税負担を軽減させることが可能になります。
一方、事業買収の場合、税務上の優遇措置がなく、売却側に繰越欠損金があったとしても引き継ぐことはできません。事業買収は組織再編行為ではなく当事者間の取引行為であるため、税務上の特別なルールが存在していないのです。
[5] 新日本有限責任監査法人 「適格合併における繰越欠損金の引継ぎについて」

M&Aで繰越欠損金は節税に使える?引継ぎの要件を会計士が解説
M&Aで繰越欠損金を引き継げるケースは、事業上の目的で行う合併等に限られます。そのため、単なる節税目的では繰越欠損金を活用できません。公認会計士が、繰越欠損金の概要やM&Aで引き継ぐ要件を解説します。 目 […]

M&Aのメリット・デメリットを買い手・売り手ごとに徹底解説
M&Aをする最大のメリットは時間を買えることです。買い手は新規事業や既存事業の拡大にかかる時間を買えます。売り手は投資回収・現金化の時間を短くできます。今回はM&Aのメリット・デメリットを解説します。 目 […]
事業売却の目的
事業売却は、経営の効率化と事業の再建の2つの目的があります。
経営の効率化
事業売却を行うことで経営の効率化を図ることができます。例えば、経営資源を投下する事業を絞ることで企業全体としての成長率を高めること、赤字事業を切り離して利益率を高めることができるといった効果が得られます。
事業の再建
事業売却は事業の再建時も活用することができます。後継者が見つかっておらず、廃業可能性が高いケースでは、事業売却を行うことで後継者に経営権を譲り、廃業を避けられます。
後継者不足が解消し、後継者が事業を継続することで、当該事業に従事していた従業員の雇用を守ることもできます。新しい後継者のもと、事業再建を図り、更なる事業の成長を促すことが可能になります。
事業売却での売却価格・相場
事業売却の価値算定方法
事業売却の価値算定方法として、主に以下の4つの方法があります。
- DCF法
- 類似会社比較法
- 時価純資産法
- 年買法
DCF法
DCF法とは、Discounted Cash Flow 法の略で、将来獲得できると見込まれるキャッシュフローの総額を割引現在価値になおして事業価値を計算する方法です。対象事業の将来計画によって、大きく事業価値が変動するため、いかに合理的な計画を策定できるかが実務上の重要ポイントです。

M&Aは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略
M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略です。この略語には、かなり複雑な内容が込められています。M&Aの読み方や成り立ち、意味、関連語の概要をくわしく解説します。 […]
マルチプル法
マルチプル法とは、類似した上場企業の株価を元に事業価値を算定する方法です。上場企業の財務数字に対する企業価値の倍率(マルチプル)は、売上高、営業利益、最終利益、純資産、EBITDAなどが、よく使う財務数字として挙げられます。
例えば、ある上場会社の企業価値が売上高の10倍で株式市場にて評価されている場合、類似している事業の売上×10倍で事業売却の価値算定をすることができます。

M&Aのマルチプル法とは 計算方法やメリットを公認会計士が解説
M&Aのマルチプル法(類似会社比較法)とは、類似上場企業の倍率を利用し、対象会社の価値を評価する方法であり、客観性の高さが長所です。計算式やメリット・デメリット、計算例をわかりやすく解説します。(公認会計士 西田 […]
時価純資産法
修正純資産法とは、事業の有する資産の時価から負債の時価を控除して事業価値を算定する方法です。事業売却の対象資産に多額の土地が含まれるような場合に、有用な計算方法です。また、赤字企業でDCF法や類似会社比較法が使えないケースでは消去法てきに時価純資産法が採用されることもあります。
年買法
年買法とは、「時価純資産+営業利益×●年分」で事業価値を算定する方法です。上記3つの価値算定方法と比べて、年買法は理論的な方法ではありません。一方、M&Aの実務上、簡易な価値算定として使われる場合があります。時間をかけずにだいたいの金額を算定しなければならないケースで有用な計算方法です。

年買法とは?企業価値の計算方法やメリットを図解で詳しく解説
年買法とは、時価純資産に営業利益の3〜5年分を加算して買収額を求める方法です。営業利益は営業権を表し、年数は将来性を基に決定します。公認会計士が、年買法の計算式やメリット・デメリットを解説します。(公認会計士 前田 樹 […]

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M&Aの方法は、買収、合併、提携の3種類に大別できます。また、各方法は株式譲渡や事業譲渡などの手法に細分化されます。M&Aの代表的な方法について、特徴やメリット・デメリット、税制をくわしく解説します。(公 […]
事業売却の相場
事業売却の相場で最も客観性のあるものは、株式市場と照らし合わせることです。東証一部に上場している銘柄は2020年9月末時点で、平均PER21.2倍、平均PBR1.2倍[3]で取引されています。PERは「時価総額÷当期純利益」で計算することができるため、売却の対象となる事業の純利益が分かれば相場を計算することができます。
例えば、売却事業の純利益が年間1,000万円であれば、平均PER21.2倍を乗じることにより、2億1,200万円と相場を計算することができます。ただし、東証一部の平均値である点、株式市場はマクロ経済などの影響を受けやすい点、本来は類似企業のPERを乗じるべきである点には留意が必要です。
また、年買法によっても簡易的に事業売却の相場を把握することができます。事業売却の相場として、「修正純資産+営業利益×3~5年」程度で取引される事例が多いようです。
例えば事業売却する際の修正純資産が1億円、毎年の営業利益が1,000万円であれば、事業売却の金額目安として「1億円+1,000万円×3~5年=1億3,000万円~1億5,000万円」と計算することができます。

M&Aの相場【公認会計士が図解でわかりやすく解説】
M&Aの相場や企業価値の計算方法を、公認会計士が詳しく解説します。相場を知ることで、買い手は相場より高い金額での会社買収を避けられます。一方で売り手は、より高い金額で会社売却することも可能になります。 目次M&a […]
最終的な売却価格は交渉で決まる
事業価値を見積もる場合、売り手は、思いやりのある事業などであればあるほど、その価値を高く見積る傾向にあります。他方で買い手は、安く買収した方が投資回収できないリスクを少なくできるため、事業価値を安く見積もりがちです。
売り手と買い手は、交渉を重ねることで最終的な売却価格を決めていきます。売り手としては、自社の強みを理解してくれる買い手候補と交渉を行うことが、高値で売却することの重要なポイントの一つです。マルチプル法など客観的指標を用いて、お互いが価格交渉を行うこともあります。
事業売却を高値で行えるケース
事業売却を高値で行えるケースとして、以下の3つの特徴があります。
- 事業に利益がある
- 他社との差別化ポイントがある
- 財務状況がクリーンである
1.事業に利益がある
買い手は事業買収した後、事業からの利益によって投資回収を行います。事業に利益が出ていなければ、買い手の投資回収が困難になり、事業売却金額は低くなるケースが多いです。事業売却を行う前には、売上増、コスト減となる施策を行い、利益性を高めておくことが大切です。例えば、マーケティング施策の見直しにより売上アップを狙う、無駄な経費を削減しておくなどが挙げられます。
2.他社との差別化ポイントがある
差別化ポイントがない場合、常に競合との激しい競争に巻き込まれてしまい、新規参入の脅威もあります。競合企業が値下げをしてきた場合、自社も追随して値下げを行わざるを得ません。そのため、他社と差別化ポイントを持ち、競合企業との競争に巻き込まれないことが重要です。
一朝一夕にすぐに差別化できることは少ないですが、日々の経営の中で、独自技術やノウハウを磨くことで、徐々に差別化ポイントを見つけていきましょう。
3. 財務状況がクリーンである
買い手は事業買収の意思決定を行う前には、外部の専門家を登用して財務デューデリジェンスを実施します。その中で、簿外負債や使途不明金の存在、含み損のある資産などが含まれていると、買収自体を取りやめることもあります。
事業売却のプロセスを進める前に、できる限り、自社の帳簿をクリーンにしておくことがおすすめです。貸借対照表、損益計算書の内訳を確認していく、顧問税理士に問い合わせを行うなど、自社の財務状況を正しく把握しておきましょう。
事業売却の手続き
売却事業の決定
事業売却を行うにあたり、最初に行うことはどの事業を売却するかを決めることです。不採算事業、成長事業ではあるものの今後の投資額増加が見込まれる事業、ノンコア事業など、自社の経営戦略に従い、切り離す事業を特定します。
売却事業が決定した後は、売却事業に関わる数字を整理しておく必要があります。事業別の貸借対照表、損益計算書が事前に作成されている場合は追加の作業は必要ありませんが、情報が整理されていない場合、改めて準備しておかなければなりません。
買い手探し
買い手探しは、主に以下の4つの方法により行われます。
- 売り手が直接売却の打診をする
- FAやM&A仲介会社を利用する金融機関(メインバンクや証券会社)に相談する
- 売り手が信頼する人物に相談する
売り手が直接売却の打診をする
仕入先や得意先など関係の深い企業に対して、売り手から直接アプローチする方法です。企業のトップ同士が顔見知りである場合には、スピード感をもってプロジェクトが進められる点がメリットです。また、仲介者が存在していないため、仲介手数料などのマージンを節約することができます。

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FAやM&A仲介会社、M&Aプラットフォームを利用する
FAやM&A仲介会社を利用することで、複数企業に事業名を明かさないまま初期的な売却の打診をすることができます。買い手候補を多く集めることができ、オークション形式のように売却価格の上昇効果が見込まれます。一方で、FAやM&A仲介会社に対して、手付金や成功報酬が必要になる点は留意が必要です。
M&AプラットフォームはM&Aの買い手と売り手が集まるプラットフォームです。M&Aプラットフォームは、システム面で効率化されていることから、FAやM&A仲介会社よりも成約手数料が安いことが特徴です。M&Aサクシードでは、譲渡企業は登録無料で利用でき、譲り受け企業が負担する手数料も一般的な仲介会社などと比べて安価です。
金融機関(メインバンクや証券会社)に相談する
FAやM&A仲介会社を利用しづらい場合には、金融機関に相談することも可能です。金融機関はビジネスの特性上、数多くの企業と接点を持ちどの企業に売却案件がマッチするかを判断することができます。

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売り手が信頼する人物に相談する
買い手企業との共通の知人、業界団体や地元経済界に精通している方などに相談することも考えられます。幅広いコネクションを持った人物に相談することができれば、売却事業を欲しがるであろう買い手候補を紹介してもらえる可能性も高まります。

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基本合意
基本合意とは、最終契約に至る前に基本的な事項を書面で確認するものです。基本合意書のことをLOI(Letter of Intent)やMOU(Memorandum of Understanding)と呼ぶこともあります。基本合意に織り込むべき内容は、事業売却のスキーム、金額、対象となる主な資産・負債、従業員の引継ぎ条件、事業譲渡契約書の締結日とクロージング日の目安などが挙げられます。
基本合意は、法的拘束力を持たせないことが一般的ですが、締結することにより、事業売却の成功確率を高めるものとなります。買い手にとっても、独占交渉権の獲得や買収価格の上限設定、スケジュールの明確化がなされるなど、売り手と買い手の双方にとってメリットのある内容になります。

M&Aの基本合意書(MOU)とは|記載内容や作成タイミングを解説【雛形】
M&Aの基本合意書は、当事者の認識を揃える目的で作成する文書です。一般的には、デューデリジェンスや独占交渉権などの項目に法的拘束力を持たせます。今回は、基本合意書の記載内容をわかりやすく解説します。 目次M&am […]
デューデリジェンス
デューデリジェンス(DD)とは買い手側が実施する買収前の監査のことです。買収対象事業の抱えるリスクの把握と移転手続き等の準備を行う目的で実施されます。デューデリジェンスは、財務DD、税務DD、法務DD、システムDD、ビジネスDD、人事DDなどに分類することができます。事業売却のケースでは、会社売却よりもデューデリジェンスの範囲が対象事業のみに絞られるため、狭いものとなります。
売り手としては、デューデリジェンスのプロセスで求められる資料を準備し、マネジメントインタビューと呼ばれる質疑応答に対応しなければなりません。デューデリジェンスの対応窓口となる人材を適切にアサインし、効率的にデューデリジェンスを進めることで事業売却の成功確率を高めることに繋がります。

M&Aの人材確保・育成が難しい理由、必要な経験を会計士が解説
買収を行う企業が増えていることや、事業承継の活発化などを理由に、M&A実務を担う人材の確保が活発化しています。M&A人材の確保が難しい理由や求められる知識・経験などを公認会計士がくわしく解説します。 目次 […]
事業譲渡契約書の締結
事業譲渡契約書の内容に法定記載事項はなく規制はありません。売り手と買い手の双方の合意に基づいて事業譲渡契約書を締結します。主な記載事項は、譲渡対象事業の資産・負債、譲渡対価、譲渡期日、譲渡対象資産等の移転手続き、競業避止義務、その他M&A契約で通常定められるような条項です。
事業譲渡契約書を締結するためには、売り手と買い手のそれぞれで機関決定が必要です。売り手は株主総会の特別決議が必要となりますが、一定の金額以下の事業売却の場合には必要ありません。[6]
買い手は事業の全部譲受の場合は株主総会の特別決議が必要[7]ですが、一部譲受の場合には必要ありません。金額的な重要性に応じて、取締役会決議などを経て事業譲渡契約書を締結することとなります。

会社売却(事業譲渡・株式譲渡)の契約書|内容や注意点を解説
会社売却では、事業譲渡契約書や株式譲渡契約書が必要となります。記載内容には、競業避止義務や表明保証などがあります。会社売却で用いる契約書の内容や注意点、作成のポイントを公認会計士が解説します。 目次会社売却に必要な契約書 […]
移転手続き・各所への届出等
事業売却は事業譲渡契約書を締結しただけでは、個別の契約や地位は移転しないため、別途手続きを実施していく必要があります。具体的には、事業の買い手が取引先ごとに契約の巻きなおしや事業に必要な許認可の再取得等をしなければなりません。売り手は買い手がきちんと個別契約や地位が移転できるよう協力する必要があります。
[6] 会社法467条1項1号・2号、309条2項11号
[7] 会社法467条1項3号

M&Aの流れ・進め方 検討~クロージングまで【図解でわかる】
M&Aの全体的な手続きの流れを売り手・買い手両方の視点で見ていきます。事前準備・検討段階~クロージング・最終契約、経営統合後に必要な業務まで全ての流れを解説します。 目次M&Aの全体的な流れ検討・準備フェ […]
事業売却を行う上での注意点
業売却の際には、以下の3つの注意点があります。
- 妥協点を決めておく
- 感情的な交渉をしない
- 譲渡益には税金が発生する
妥協点を決めておく
事業売却価格は、売り手と買い手が妥協できる価格の範囲内で決まります。売り手が最低1億円、買い手は最大8,000万円を妥協点としていた場合、妥協点が交わっていないため、事業売却は成立しません。
交渉時には、買い手が最初に出してきた金額や条件をそのまま飲まずに、一度冷静になってオファーの妥当性を判断することが重要です。交渉の仕方として、最初に提示するオファーは売り手にとって不利な条件であることが多いため、買い手の言いなりにならないようにしましょう。
会社に借入金などの負債があり、その負債を確実に手放したい場合には、事業売却でなく、株式譲渡等、別のスキームで売却するのがおすすめです。自社や経営者自身の状況に照らして、金額やスキームの条件について、交渉前に妥協点を決めておきましょう。
感情的な交渉をしない
交渉時は感情的にならずに冷静でいることが重要です。希望とはほぼ遠いオファーを受けた際など、感情的になってしまう場合もありますが、冷静に受け止めて即決せず、条件を持ち帰って評価、再交渉していくようにしましょう。買い手と売り手の考えている条件を、エクセルで整理していき、どの部分は譲れてどの部分は絶対に譲れないのか、客観的に判断、交渉していくと、条件がまとまりやすくなります。
譲渡益には税金が発生する
事業売却によって利益が出た際には、法人税の課税対象となります。確定申告の際に事業売却益を益金に加味していないと、後に税務調査が入った際などに追徴課税が課されてしまうため、注意が必要です。事前に税金も含めたうえで、事業売却後の資金繰りをシミュレーションしておくことが重要です。
事業売却にかかる税金
売却側にかかる税金
法人税
事業売却は時価での取引が原則となるため、事業売却を行った際は、譲渡損益が発生します。売却側が利益の出ている法人であれば、譲渡益が発生した場合に法人税の支払が必要になります。2021年3月期決算における実行税率は29.74%(外形標準適用法人の場合)[4]ですので、納付すべき法人税額は「譲渡益×29.74%」と計算されます。
なお、事業売却は合併や会社分割等の組織再編行為には該当せず、税制適格要件は存在しないことに留意が必要です。
買収側にかかる税金
消費税
事業買収は消費税における課税取引に該当するため、譲渡対象資産に課税対象資産がある場合は、消費税10%(2020年10月28日時点)を支払う必要があります。課税対象資産とは、有形固定資産、営業権などが該当し、土地は含まれません。[3]
その他留意点
事業譲受を行った会社は、譲り受けた資産・負債を時価で受け入れ、支払対価との差額がある場合には税務上のれん(資産調整勘定)として処理します。税務上ののれんは、5年の定期償却が求められており、償却額は損金算入することができます。そのため、事業譲受を行った会社で利益(課税所得)が発生している場合には、事業譲受をすることで法人税の節税になる可能性があります。
事業譲受でなく、株式譲渡のケースでは、税務上ののれんが発生せず、株式を取得したままの状態では法人税に影響を及ぼしません。一方で、 株式譲渡では一定の条件を満たす場合、譲渡会社の繰越欠損金を引き継ぐことができますが、事業譲受にはそのような制度はありません。
買収側は状況によって法人税、消費税の支払金額が変わってくるため、事業譲受と株式譲渡のどちらが有利になるか事前に検討しておく必要があります。
[3] 営業の譲渡をした場合の対価の額
[4] デロイトトーマツ ニュースレター 2020年4月1日号

M&Aの税務|節税できる要件や税制改正を税理士が徹底解説
M&Aの税務は、手法や適格要件などによって異なります。専門知識を要する税務は、M&Aをスムーズに進める上で非常に重要です。税理士がM&Aの税務手続きや適格要件、税務リスクについてくわしく解説します […]

M&Aにかかる税金、節税方法を詳しく解説
株式譲渡によるM&Aでは、株主個人の譲渡所得に所得税、住民税、復興特別所得税が課税されます。 税率は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。 M&Aの手法ごとの税金や税金対策を実例を挙 […]
事業売却した際の会計処理
事業売却した際の会計処理を、買い手側と売り手側の仕訳に分けて解説します。
前提:A事業(諸資産:5,000万円、諸負債:3,000万円)を4,000万円で事業売却
買い手側の仕訳
買い手側の仕訳は下記のとおりです。
借方 |
貸方 |
諸資産:5,000万円 |
諸負債:3,000万円 |
のれん:2,000万円 |
現預金:4,000万円 |
A事業に紐づく諸資産、諸負債をそのまま引き継ぎ、事業売却金額との差異をのれんとして計上します。
売り手側の仕訳
売り手側の仕訳は下記のとおりです。
借方 |
貸方 |
諸負債:3,000万円 |
諸資産:5,000万円 |
現預金:4,000万円 |
事業売却益:2,000万円 |
A事業に紐づく諸資産、諸負債を切り離し、事業売却金額との差異を事業売却益として計上します。
事業売却の事例
ベーシック社がCanvath事業をGMOペパボ社へ事業売却
2018年3月26日、ベーシック社がオンデマンドオリジナルグッズ作成サービスであるCanvath事業をGMOペパボへ事業売却する事業譲渡契約書を締結しました。[8]GMOペパボはSUZURIというCanvath事業と同様の事業運営を行っており、両サービスのマーケティング手法やオペレーション手法、商品開発ノウハウを共有することでシナジー創出を狙う考えです。
事業売却の金額はベーシック社の意向により非開示となっていますが、GMOペパボ社の業績に与える影響は軽微と開示されています。

Webサービス売却の流れ、ポイント、最新事例、相場を徹底解説
Webサービスの売却には、まとまった資金や時間を確保できるメリットがあります。Webサービスを売却する流れや最新のM&A事例、売却額の相場、成功可能性を高めるポイントをわかりやすく解説します。(中小企業診断士 鈴 […]
HIT社がめしレポ事業をイード社へ事業売却
2019年12月11日、HIT社がグルメ情報に特化したメディアであるめしレポ事業を、イード社へ事業売却しています。[9]めしレポは食べログやぐるなびなど複数のサイトから高い口コミを得ている飲食店を紹介しているサイトです。イードは2020年10月時点で、20ジャンル60の専門メディア[10]を運営している会社です。
事業売却の金額は非公開です。イードはめしレポ以外にも絵本ナビ、マネーの達人、NewsCafeなど様々なメディアを積極的なM&Aを行っています。

【2021年最新版】IT業界のM&A事例56選
IT業界における厳選した56例のM&Aについて、「2021年の最新事例」や「システム開発分野」などのジャンルに分けて解説します。 事例では売り手・買い手企業の特徴やM&Aの手法、売買価格を紹介します。(中 […]

Webメディア売却の事例や相場を徹底解説【2021年最新版】
Webメディア売却の市場は近年拡大しており、さまざまな種類・規模のメディアが売買されています。Webメディア売却の動向や最新事例、メリット、売却金額の相場などをくわしく解説します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金 […]
PoliPoli社が俳句てふてふ事業を毎日新聞社へ事業売却
2018年6月11日、PoliPoli社が俳句のSNSアプリである「俳句てふてふ」事業を毎日新聞社へ事業売却しました。[11]俳句てふてふは「俳句を身近に」をテーマにしたSNSサービスであり、高校生向けのイベント「俳句甲子園」を開催するなど、若いユーザーがいることが特徴です。
PoliPoliは政治コミュニティサービスのポリポリをコア事業としており、ノンコアであった俳句てふてふを切り出し、より一層コア事業へ集中することを狙いとしています。また、毎日新聞社は毎日俳壇など俳句に関するコンテンツを長期に渡って提供しており、俳句に関する知見を多く持っています。PoliPoliと毎日新聞社の双方の狙いが合致した事業売却です。

アプリの売却方法|流れや相場、成功事例を徹底解説
市場拡大にともない、アプリ事業・会社の売却は活発化しています。ユーザー数などの指標が良ければ、中小企業が開発したアプリでも高値で売却できます。アプリ売却の方法や売却価格の相場、事例などをわかりやすく解説します。(中小企業 […]

個人でもM&Aできる?公認会計士が案件の探し方を徹底解説
個人によるM&Aは、マッチングサイトや公的機関のサービスを中心に、数多く成約しています。今回は個人によるM&Aに焦点を当てて、案件の探し方やM&Aのメリット・デメリット、流れをくわしく解説します。 […]
インタラクティブブレインズ社が3DCGアバター事業等をクレイテックワークス社へ事業売価売却
2019年9月1日、インタラクティブブレインズ社の3DCGアバター事業、VR事業、コンテンツ等の開発事業をクレイテックワークス社へ事業売却しました。[12]インタラクティブブレインズは、スマートデバイス向けコンテンツ配信事業、コンテンツ開発事業、システム事業、イベント企画・制作、スポーツライセンスグッズの商品開発・製造販売、店舗運営・ECサイト運営など様々な事業を営んでいますが、一部の事業を売却することに成功しています。
クレイテックワークスは、プロフェッショナル・エージェンシー事業を展開するクリーク・アンド・リバー社の子会社であり、ゲームや映画等のコンテンツ制作において3DCG技術が不可欠なものになっていることから、この事業売却に応じることとなりました。

イベント会社のM&A動向と売却事例、売却価格相場を詳しく解説
イベント業界はコロナ禍により大きな転換期を迎え、M&Aの動きが活発です。イベント業界の現状とイベント会社(イベントの企画・集客・運営に関わる企業)のM&A動向、最新事例、売却価格を徹底解説します。(執筆者 […]
ライナフ社がスマート会議室事業をアズーム社へ事業売却
2019年8月23日、ライナフ社が運営するスマート会議室事業をアズーム社へ事業売却することを決議しました。[13]スマート会議室事業は会議室の予約をリアルタイムに可視化することができ、予約から決済までワンストップで提供するサービスです。ライナフ社はスマート会議室を事業売却することにより、不動産管理システムの開発・運営に経営資源を集中することとしています。
アズームは、「世の中の遊休不動産を活躍する不動産に」という経営理念を掲げ、空き駐車場の活用ビジネスをメインに事業展開しています。今回のスマート会議室事業の取得により、空きスペースをより活用していくというシナジー効果が狙いの事業譲受となります。

不動産仲介業のM&A動向と最新事例13選
不動産仲介業界では少子化やDXの流れなどを背景としてM&Aが活発化しています。不動産仲介業界の現況とM&A動向、近年の事例を紹介し、M&Aを行うメリットや成功のポイントをくわしく解説します。 目次 […]
【Webサービス×Webサービス】GEARによるラグザス・クリエイトへの事業売却
譲渡企業の概要
売り手となったのは、ウェブサイトおよびメディアの運営を主力事業としているGEARです。
譲り受け企業の概要
買い手となったのは、インターネットで中古車・廃車売買を行える「カーネクスト」というサービスを運営しているラグザス・クリエイトです。
M&Aの目的・背景
GEARが事業売却を行った目的は、自社事業の選択と集中です。
M&Aを行った当時、同社は売却対象となったウェブサイト売買のプラットフォームに対して、十分な人員を割くことができない状況にありました。
そこで「手元に置いておくより、このサービスを成長させてくれる企業に譲渡した方が良い」と考えて、買い手企業への売却を行いました。
一方でラグザス・クリエイトがGEARから事業を買収した目的は、事業領域の拡大です。
同社は2年前からM&Aを活用した事業領域の拡大を進めており、本件の買収もその一環として実施されました。
M&Aの手法・成約
GEARによるラグザス・クリエイトへの事業売却は、事業譲渡のスキームで実施されました。
事業売却後ラグザス・クリエイトは、自社が有するマーケティングのノウハウを売り手企業から引き継いだサービスに投入し、シナジー効果の創出に注力しています。

サイトM&Aのサービスや相場、事例を解説
サイトM&Aとは、Webサイトを売買することです。サイトのM&Aでは、売却利益を獲得できるなどのメリットを得られます。サイトM&Aの方法やおすすめのサービス、オリジナルの事例などをくわしく紹介しま […]
【ECサイト×アパレル】アパレルECサイトの運営企業による宝島ジャパンへの事業売却
譲渡企業の概要
売り手となったのは、大阪府でアパレルや雑貨小物のECサイトを運営していた企業です。
譲り受け企業の概要
買い手となったのは、アパレル販売や貿易事業を手がけている宝島ジャパンです。
同社はアパレルショップ3店舗の運営以外にも、モンゴルの商品を日本に紹介する事業なども展開しています。
M&Aの目的・背景
売り手企業は、当時数千万円分の在庫を抱えており、事業の選択と集中を目的に事業売却を実施しました。
一方で買い手の宝島ジャパンは、アパレル事業の拡大を目的に事業を買収しました。
当時同社は、アパレルを扱うインターネットに強い企業を探していたものの、シナジー効果を見込める相手企業が中々見つからない状況でした。
そのような時に、M&Aサクシード経由で自社と同じブランドを取り扱うアパレルECサイトの運営会社とマッチングし、M&Aが成立しました。
M&Aの手法・成約
売り手企業による宝島ジャパンへのECサイトの売却では、事業譲渡のスキームが活用されました。
交渉開始から4ヶ月でM&Aが成約したため、多額の在庫が原因で事業継続が困難となっていた売り手企業にとって大きな収穫のあるM&Aとなりました。
また、買い手企業にとっても、割安な金額で魅力的な在庫を抱えるEC事業を買収できた点で、メリットが大きい買収であったと言えます。

アパレル販売会社が同業の通販サイトをM&A。with/afterコロナを見据え、ECサイトを強化
アパレル販売や貿易事業を行う株式会社宝島ジャパンは、「with/afterコロナ」を見据え、ECサイトの強化のため、EC・通販サイト事業のM&Aを検討していました。そして、今回出会ったのが、アパレル・雑貨小物EC […]

ネットショップの売却価格相場や所要期間、事例を解説
ネットショップの売却価格は、営業利益の1〜3年分が相場です。近年は、Amazonや楽天等のショッピングモールを活用したネットショップの売却が活発に行われています。売却事例やメリットを徹底解説します。(中小企業診断士 鈴木 […]
【アプリ×写真館】ポーラスタァによる小野写真館への事業売却
譲渡企業の概要
売り手となったのは、赤ちゃんの成長を写真で簡単に記録できるアプリ「BABY365」などの運営を展開してきたポーラスタァです。
譲り受け企業の概要
買い手となったのは、ブライダル事業や写真館の運営などを多角的に展開している小野写真館です。
M&Aの目的・背景
売り手のポーラスタァは、事業のさらなる成長・存続を実現する目的で、「BABY365」などの運営事業を売却しました。
経営者個人が子育てで忙しかったことや、会社のリソースが少なかったことを理由に、事業の継続が困難だったため、売却を決断したとのことです。
一方で小野写真館は、コロナ禍によって主力であるブライダル事業の売上が激減したことをきっかけに、「with/afterコロナ型」への転換を図っていました。
本件のM&Aも、事業ポートフォリオを変える戦略の一環として行われたものです。
自社事業を拡大してくれる将来性の高さを感じたことが、BABY365等の事業を引き継ぐ決め手となりました。
M&Aの手法・成約
ポーラスタァによる小野写真館への事業売却では、事業譲渡の手法が活用されました。
事業売却を行ったことで、売り手企業の経営者は事業を継続させる緊張感から解放され、子育てなどのプライベートにかける時間を確保できるようになりました。

「IT」✕「店舗サービス業」の成長企業同士のM&A 事業譲渡をきっかけに企業はもっと強くなる
今回の成功事例は、成長企業同士によるM&Aです。アイディア出しから商品化することを得意とする女性起業家が譲渡したのは、赤ちゃんの毎日の成長を写真とコメントで簡単に残せる人気のフォトブックアプリ。年々利用者数増加中 […]
【オンラインサービス×IT】入江テックによるSICシステムへの事業売却
譲渡企業の概要
売り手となったのは、見積書・請求書管理のオンラインサービス「CLOUD PAPER」や「MENTA」というマッチングサイトなどの自社サービスの開発・運営や受託開発の事業を展開してきた入江テックです。
譲り受け企業の概要
買い手となったのは、ITコンサルティングやITシステムの開発事業を展開してきたSICシステムです。
M&Aの目的・背景
売り手の入江テックは、軌道に乗っていた「MENTA」のサービス運営に集中する目的で、「CLOUD PAPER」の事業を売却しました。
一方で買い手のSICシステムは、技術者などのリソースをまとめて取得でき、かつ顧客がすでについているサービスを取得した方が自社の成長スピードを速めることができると考えて、入江テックから事業を買収しました。
M&Aの手法・成約
本件の事業売却も、他の事例と同様に事業譲渡の手法で行われました。
Zoomを活用したオンライン交渉がスムーズに進んだため、入江テックによる事業売却はおよそ1ヶ月で成約することに成功しました。
また、買い手企業が保有するシステムと売り手の事業との間に類似する要素が多かったため、サービスの引き継ぎも円滑に行われました。

「ひとつのサービスに専念したい」――起業時の思いをかなえた、M&Aでの事業譲渡
今回の成約事例では、事業譲渡による選択と集中で起業時の思いを実現させたオンラインサービス事業者と、M&Aを企業規模拡大のための合理的でポジティブな戦略とする企業の素晴らしい出会いを紹介します。入江テック株式会社の […]

システム開発・受託開発の最新売却・M&A事例、売却価格の相場
システム開発・受託開発会社の売却は、後継者不足などの課題を背景に増加傾向です。システム開発・受託開発会社の売却・M&A事例やメリット、売却価格の相場、高値での売却可能性を高める方法を徹底解説します。(中小企業診断 […]
【ECサイト×織物製造】ミチによる丸井織物への事業売却
譲渡企業の概要
売り手となったのは、ネイリストが制作したネイルチップを販売するネットショップ「ミチネイル」の運営を行っていたミチです。
譲り受け企業の概要
買い手となったのは、1956年に設立された大手織物メーカーである丸井織物です。
M&Aの目的・背景
売り手のミチは、自社事業の選択と集中を図る一環として事業売却を行いまいた。
一方で買い手の丸井織物は、ECサイト運営のノウハウやSEOを強みとするミチと、デジタルマーケティングのノウハウを強みとするオリジナルラボ(同社の子会社)によってシナジー効果を創出できると考え、ミチの事業を買収しました。
M&Aの手法・成約
丸井織物に対するミチの事業売却は、事業譲渡のスキームによって行われました。
ミチが事業売却を行った後、事業を引き継いだ丸井織物は徹底的なコスト削減に着手。
丸井織物が有する無駄をなくすノウハウによって、事業売却から2ヶ月で売り手事業の利益率は15%から40%まで向上しました。

シナジーを生むM&Aによって、買い手企業と売り手企業の双方がwin-winの関係に【M&A事例】
1956年に設立し、石川県に本社を置く大手合繊織物メーカーの丸井織物株式会社。 2011年に常務取締役の宮本智行氏がジョインして以降、圧倒的な企業成長のためにM&Aを経営戦略の大事な柱とし、2~3年の間に5社をグ […]

M&A成功事例40選 大企業・中小企業・業界別|2021年版
今回は大企業・中小企業別、業界別に厳選したM&A事例40選を紹介します。国内・海外の大企業事例から中小企業事例まで、譲渡・譲り受け企業の概要、M&Aの目的・M&A手法、成約に至るまでを解説します。 […]
[8] GMOペパボ株式会社 2018年3月26日任意開示
[9] 株式会社イード 2019年11日プレスリリース
[10] 株式会社イード M&A実績の紹介ページ
[11] 毎日リリース 2018年6月11日
[12] PR times 2019年9月2日
[13] 株式会社ライナフ 2018年8月23日プレスリリース
事業売却する際は専門家のサポートを受けよう
事業売却を行う際に一番難しいのは買い手候補を探すことです。M&Aサクシードは、法人限定・審査制のM&Aマッチングサイトであり、本気度の高い買い手候補にアプローチすることができます。成功報酬のみの報酬体系であるため、事業売却が成立しなければコストが発生することはありません。まずはM&Aサクシードなどの専門家に気軽に相談してみることがおすすめです。
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→M&Aが成約するまで報酬はいただきません。 - スピード成約
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