
父親の会社を継ぐために、3店舗の美容室を異業種の東証一部上場企業に譲渡。プロ経営者に引き継いだ想いとは【M&A事例】
- 譲渡
企業:ヘアサロン3店舗運営企業 事業概要:ヘアサロン3店舗運営 本社所在地:東京都 譲渡理由:代表者の引退
事業譲渡- 譲り受け
企業:東証一部上場企業 事業概要:美容をはじめ、複数事業を展開 本社所在地:東京都 譲り受け理由:事業拡大のため
- 理美容
M&Aは企業成長のためには欠かせない重要な経営戦略の一つだ。売り手企業側の背景には、「大手企業の傘下に入ってより事業を成長させたい」「後継者がいない」「事業の選択と集中をしたい」といったニーズがある。
しかしそれだけでなく、「家業を継ぐために自身が経営していた事業を安心できる企業に譲渡したい」という経営者も存在する。そこで今回は、父親が一代で築いた会社を継ぐために、自身が経営していた美容室3店舗を異業種の東証一部上場企業に譲渡した、坂本勇治氏にお話を伺った。(2019年12月公開)
美容室を成長させるために、異業種のプロ経営者に引き継ぎたい

――坂本様は3店舗の美容室を経営されていましたが、なぜ今回M&Aを検討するに至ったのか、その背景を教えてください。
もともと経営者になりたくて18歳で家を飛び出し、手に職をつけようと美容師を目指しました。上場している美容室で腕を磨き、28歳のときに自分の美容室をオープン。ただ、3年経ってもお客様が右肩上がりで増えるなどの変化がなく、このままでは拡大できないと考え、半ば強引に2店舗目を作ったんです。
そこでは、インターネットを使った集客方法を模索し、結果、1店舗目ではできなかった集客方法を見出すことに成功。続けて3店舗目をオープンさせ、合計30名の従業員規模となり、順調に利益を出せるようになりました。
そこからの数年間は、店舗の拡大から従業員満足度の追求にシフトし、休日を取りやすく働きやすい環境づくりに努めていました。しかし5年前、突如父親から「経営する会社を継がないか?」という話をされたんです。
父親の会社を継ぐことは正直考えていなかったのですが、父親が一代で急成長させ、国の公共事業としても必要とされている企業を「後継者がいない」ことを理由に途切れさせてはいけないと思うように。
では美容室はどうするのか。従業員に引き継ぐことも考えましたが、職人である美容師に継ぐよりも、経営のプロに引き継いだ方が、僕にはできなかった経営手法で美容業界の未来を切り拓いてくれるのではないか。そう考えて、M&Aを検討するようになりました。
――美容師に引き継ぐのではなく、経営のプロに経営を任せたいと考えた。
そうです。私の考えに共感して頂けるような(現場を理解していただける)異業種から経営のプロが参入してくれたら、美容室や美容業界は働き方を含めてもっと良くなると、M&Aを検討するずっと以前から考えていました。実際、成長している美容室は僕のような元美容師の経営者は少なく、異業種から参入した経営者が経営する会社であることも事実です。
だから、従業員の働く環境がより良くなり、業界の常識にとらわれずに、事業を成長させられるようなプロ経営者を探し始めました。
わずか3ヶ月で異業種の東証一部上場企業とマッチング
――どのような手法で譲渡企業を探したのでしょうか。
約4年間は、行政や民間企業のマッチングサービスやコミュニティなど、さまざまな場に出向いては異業種の経営者を探しました。でも僕が求めているようなプロ経営者には出会えず、時間だけが過ぎていく状況が続いていたんです。そして2019年になり、インターネットで偶然「M&Aサクシード」を見つけました。
ずっと求める譲渡先に出会えていなかったので半信半疑ではあったのですが、「M&Aサクシード」に登録すると上場企業含め、今まで出会えなかったような優良企業3社からお声がかかり、「ぜひ事業を譲り受けたい」という話をいただきました。これには正直驚きましたね。

――なかでも今回譲渡した企業に決めた理由は何ですか?
その会社は、なぜ3店舗の美容室に振り向いてくれたのか疑問に思うくらい有名な、異業種の上場企業です。社長を含めた複数名の経営チームからビジョンを聞いたとき、「この人たちなら、自分がたどり着けなかった未来に従業員や美容業界を導いてくれるかもしれない」「従業員全員が、この会社で働いて良かったと実感してくれるかもしれない」と強く思いました。
譲渡先も、親の会社を承継するためのM&Aであることや、自分ではできなかった経営で時代に即した新しい美容室を作って欲しいという思いに共感していただき、最初にお会いしてから契約まで3ヶ月というスピード成約が実現しました。「M&Aサクシード」に出会えていなかったら、僕は今も譲渡先を見つけられず美容室を経営していたと思います。
――M&Aにあたって、従業員からの反発などはなかったでしょうか?
もともと従業員には何年も前から「世界はものすごいスピードで変化しているから、自分たちもお店も変わらないといけない」という話をしていたので、強い抵抗を感じている人は少なかったと思います。
僕がいなくなっても、お客様に対して大切にしてきた哲学や従業員同士の文化は守ってねと話していたので、逆に異業種からプロ経営者がくることで、どんな未来が待っているのかを期待する従業員は多かったと思いますよ。
プロ経営者の手腕で、美容室や業界をより良く変えてほしい
――ご自身が経営していた美容室は譲渡し、現在はご家族の企業を承継されようとしています。譲受企業にはどんなことを期待したいですか?
従業員全員、素晴らしいサービスを提供できる美容師だからこそ、他の美容室にできないことをぜひやってもらいたいですね。特に美容師は職人ということもあって、違う領域のこと、特にITには弱いんです。でも、ちゃんと取り入れたら業務を効率化できるし働き方も変えられる。プロ経営者の視点から美容室の仕組みを変え、ゆくゆくは長年変わらずにいる美容業界の古い体質を変えてくれたら本当に嬉しいなと思っています。
僕は今、美容業界とはまったく違う世界に飛び込んでいますが、それができるのは美容室の経営を安心できる企業に引き継げたからです。集中して新しい挑戦ができていることに、とても感謝しています。
――これからどんなことに挑戦したいですか?

家業は農業などの「水」を軸に事業展開しているので、日本の農業が効率的になるよう支援し、社会貢献していきたいと思っています。農業従事者の減少に伴い、大手メーカーによる農業のIT化が少しずつ浸透し始め、農業ビジネスが大きく変わりつつある今だからこそ、これまでできなかったことに挑戦したい。
父親が変えたくても変えられなかったことや、農業が過渡期だからこそできることにチャレンジして、大手とは違う新しい価値を生み出したいと思っています。そのためにも少しずつ自分の知らなかった世界を学び、父親が築いてきた伝統をしっかり残しつつ、時代に応じた変化をして未来につなげたい。
もちろん、僕自身がM&Aをして学んだことはたくさんあるので、農業を切り拓く際に仲間にしたい会社があれば積極的にM&Aも検討できたらと思っています。
それから、父親は70歳を過ぎているのですが、それでも仕事があるのは決して当たり前のことではありません。社会から必要とされている会社だからこそ、僕の代でより進化させたいですね。
M&Aは、第三者に事業価値を感じてもらえる間に検討すべき
――企業や事業の譲渡を検討している経営者にメッセージをお願いします。
これだけは確実に言えるのが、他社から価値を感じられなくなって譲渡を検討したのでは遅いということです。そうではなく、事業に価値を感じてもらえるタイミングで譲渡を検討する方が、お互いにとって幸せです。

どんなに素晴らしいビジョンや未来を描いていても、結局のところ資本がなければ実現できません。僕は、親の会社を継ぐ・継がないは別として、早いタイミングから大きな資本を持つ会社と一緒に美容室を進化させたいと考えていました。資本のある大きな会社と協力することでビジョンや夢にスピードも持って近づけます。
だから、もっと事業を成長させたい、そのためのパートナーを見つけたいと少しでも思うなら、自らが経営する事業の市場価値を知るためにも「M&Aサクシード」に登録してみることをお勧めしたいです。
もちろん、文化の違う企業が一緒になれば、多少の痛みは伴うかもしれません。だけどそれは、進化するために必要な成長痛。僕が経営していた3店舗の従業員たちにも、その痛みを乗り越えることで、より良い未来をいち早く手に入れて欲しいと願っています。
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