会社売却は、経営者にとって人生の大きな転換点です。
これまでの経営から解放されて「プライベートの時間を楽しみたい」「新しい事業に挑戦したい」といった希望を持つ一方で、「会社売却後の人生では何をすればいいのだろう」「従業員や取引先はどうなるのだろう」と、先の見えない不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
長年心血を注いだ会社を手放すことは、単なるビジネスの終わりではなく、経営者としてのアイデンティティや、その後の人生そのものに深く関わる決断です。
だからこそ、売却によって何が得られ、何が変わるのかを事前に知っておくことが、後悔しないための第一歩となります。
この記事では、会社売却後の人生に関する選択肢、売却によって得られるメリットとデメリットを、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、会社売却後の理想的な人生を実現するためのヒントを得ていただけますと幸いです。(公認会計士監修記事)
会社売却後の人生の選択肢は多岐にわたります。
ここでは、売り手経営者が会社売却後にどのような道を歩む可能性があるのか、その具体的な選択肢と、それぞれの選択肢における経営者の心情や留意点についてくわしく解説します。
会社売却後も、引き続き会社に残ることを選択する経営者も少なくありません。
特に、買い手側が経営者の手腕やノウハウを高く評価し、継続的な関与を希望するケースで多く見られます。
この選択は、「従業員の雇用が安定する」、「取引先へ迷惑をかけずに済む」といった、売却における経営者の「期待」と合致することも多いでしょう。
ただし、この場合、「オーナー社長ではなくなり、権限を失う」という大きな変化を受け入れる必要があります。
「残留することで自由が減るのではないか」と感じるかもしれませんが、新しい体制下での役割を明確にし、新たな目標を設定することで、充実したセカンドキャリアを築くことが可能です。
会社に残る場合、具体的なパターンとして以下の4つが挙げられます。
M&A後、一定期間は引き続き代表取締役(社長)として経営を担うケースです。
これは、事業の円滑な引き継ぎ(PMI: Post Merger Integration)を目的とすることが多く、買い手側が経営ノウハウの維持や従業員の心理的安定を重視する際に提案されます。
通常は引き継ぎ期間を設けて、徐々に権限を移譲していくことになります。
代表権は手放し、取締役の一員として新体制下の経営に参画するケースです。
基本的には、自身の専門性や経験を活かし、特定の部門の責任者や事業戦略の立案など、より限定された役割で貢献することになります。
経営の第一線からは一歩引く形ですが、引き続き会社の中核で活躍できるでしょう。
役員を退任し、一従業員として会社に残る選択肢もあります。
長年の経験から得た知識や技術を活かし、現場の指導や特定のプロジェクトの推進に携わるなど、専門家としての役割を果たすことができます。
経営の重圧からは解放され、純粋に仕事に打ち込みたいと考える経営者にとっては魅力的な選択肢です。
売却先の会社が大手企業である場合や、買い手企業がグループ全体でのシナジーを強く期待している場合、売り手企業の経営者が買収側の親会社の役員を兼務したり、グループ内でより重要な役職に昇格したりするケースもあります。
一起業家が、例えば上場企業の役員になることは、キャリアパスとして大変魅力的な選択肢と言えるでしょう。
これは、売却後の経営者にとって「活躍の場が増える」という大きなメリットとなり得ます。
会社売却後、正式な役員や従業員としては残らず、業務委託契約や顧問契約、アドバイザー契約などを通じて間接的に会社に関与するケースも多く見られます。
この立場であれば、経営の責任や日常業務の負担からは解放されながらも、長年携わってきた事業への貢献を続けることが可能です。
ただし、買い手側から「売り手社長が引き継ぎや事業の発展に非協力的だった」と思われ、トラブルに発展するリスクがある点には注意です。
会社売却を機に、長年心血を注いできた事業から完全に離れることを選択する経営者も少なくありません。
これは、「時間的自由が得られる」、「不安からの解放」といった会社売却の大きなメリットを享受する選択肢と言えるでしょう。
会社から完全に離れる場合、具体的なパターンとして以下の4つが挙げられます。
会社売却によって得た資金と、これまでの経営経験を元手に、全く新しい会社や事業を立ち上げるケースです。
新たな挑戦への情熱を持つ経営者にとって、会社売却は次のステップへの「資金」と「時間」をもたらします。
これまでの経験を活かしつつも、心機一転、新たな分野で事業を創造することが可能です。
経営者としての経験を活かし、別の企業に就職する道もあります。
たとえば、特定業界での専門知識を高く評価され、上場企業や大手企業の管理職として迎えられるケースなどが考えられます。
経営の重圧から解放され、サラリーマンとしての安定した生活を送ることを選択する人もいます。
会社売却によって得た多額の売却益を元手に、資産運用を自身の「本業」とするケースです。
これまでの選択肢と比べて、趣味などのプライベートな時間をより一層確保しやすい点が魅力です。
「譲渡後の手残りで人生設計を考える」という経営者にとって、売却益をどのように運用していくかは非常に重要なテーマです。
専門家の助言を得ながら、株式や不動産、プライベートエクイティなど多様な資産に投資し、財産を増やしていくことに専念する流れとなります。
最も「時間的自由が得られる」選択肢は、完全にリタイアし、プライベートな時間を満喫することです。
趣味に没頭したり、家族との時間を大切にしたり、海外旅行に出かけたりと、自由に人生を楽しむことができます。
「経営に関するプレッシャーや、業務でかかる負担からの解放」を求めていた経営者にとって、理想的な第二の人生となるでしょう。
社長の目線で見た会社売却のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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会社売却の実現により、まとまった金額の資金を得られる可能性があります。
なぜなら会社売却では、「今後数年分の利益に相当する金額(将来性や競争優位性が高い企業の場合はそれ以上)」を一括で得られる場合が多いためです。
その資金を活用することで、社長は長年やりたかった新規事業の立ち上げもできますし、働くのを止めアーリーリタイアすることもできます。
社長自身の人生を歩める点が大きなメリットの一つです。
最近では、一括で全株式を現金化するのではなく、過半数の株式を先に譲渡し、その後の事業成長に応じて残りの株式を二段階で売却・現金化するケースが増えています。
この方法では、売却後も会社の一部オーナーとして事業成長に貢献し、株価を高めることで、より大きなリターンを得られる可能性があります。
また、買い手が非上場企業である場合、現金対価の代わりに買い手企業の株式を対価として受け取るケースも出てきています。
この場合、買い手企業が将来的に上場した際に、受け取った株式(ストックオプションや生株など)を売却することで、二段階で報酬を現金化するという戦略も選択肢となります。
実質的に、成長性の高い非上場株式を安いうちに取得できるため、上場に伴って大幅に価格が上昇したタイミングで売却することで、多額のキャピタルゲインを得られる可能性があります。
会社売却では、対価(資金)だけでなく、今後の時間を確保することも可能です。
長年会社経営に尽力されてきた経営者の皆様にとって、時間的自由の獲得は会社売却の大きなメリットの一つです。
多忙な経営の日々から解放されることで、これまで後回しにしてきた趣味や旅行、家族との時間など、ご自身の本当にやりたいことに集中できる時間を取り戻せます。
また、新しい事業への挑戦や社会貢献活動など、経営者としての経験を活かした新たなステージに進むことも可能になります。
会社売却により事業承継を実現できる点がメリットとして挙げられます。
M&Aマッチングサイトを利用することにより、多数の買い手候補から相性を見極め、自分の会社を引き継いでもらいたい相手先に事業承継することが可能です。
経営者の多くは、日々の資金繰りや従業員の雇用維持、ベンチャーキャピタルからの売上成長に関するプレッシャー、取引先との関係構築、市場での激しい競争、そして法規制への対応など、終わりなく続く課題の数々に悩まされます。
これらのリスクやプレッシャーは、精神的な負担となり、心身をすり減らしていきます。
会社売却によって会社の経営権が買い手側に引き継がれることで、上記のようなリスクやプレッシャーから解放されます。
結果として、経営者は精神的な負担から解放された上で、新たなキャリアを追求したり、プライベートな時間を充実させたりできるようになります。
個人保証を解除してもらうことは、売り手の社長にとって大きなメリットです。
会社売却によって負債も買い手側に移動するため、金融機関への相談により、売り手社長の個人保証を解除してもらえることが一般的です。
個人保証を解除してもらうことで、仮に会社が倒産した際などに、経営者個人が負債を返済する義務を負わずに済みます。
そのため、経済的な不安を大幅に軽減した上で、リタイア後の生活を送れるようになります。
また、個人保証のプレッシャーから解放された上で、引き続き会社に残って好きな事業を続けるという選択肢も生まれます。
会社の経営者にとって、「事業を運営し続けたいけど、失敗した場合に多額の負債を背負うリスクが常に付きまとう」ということは大きな悩みの種です。
そこで会社売却を行うことで、個人的なリスクから解放された上で、愛着のある事業に携わり続けることが可能になります。
会社売却後も事業に関与し続けたい売り手社長にとっては、最も良いエグジットの選択肢であると言えるでしょう。
廃業する場合、解散・清算人選任の登記で39,000円[1]、清算結了の登記で2,000円[2]、合計41,000円の登記費用が必要です。
その他、官報公告の掲載費用で数万円、廃業手続を司法書士などの士業に依頼する場合には更に数十万円の費用がかかります。
その点、会社売却であれば廃業による費用支出は必要ありません。
会社を廃業させた場合、取引先や社員に多少なりとも迷惑をかけてしまいます。
会社売却であれば、会社を存続させることができるだけでなく、シナジーがある買い手に引き継いでもらえれば、更に会社が成長できる可能性があります。
[1] 法務省 解散・清算人選任登記申請書
[2] 法務省 清算結了登記申請書
次に、デメリットを解説します。
会社売却後、基本的に社長は経営者としての地位を失うことになります。
元の会社の社長に戻りたいと思っても戻ることはできません。
社長としてやり残したことがある場合には、経営者としての地位を失うデメリットが大きくなってしまう点は留意が必要です。
社長として働いている場合には役員報酬で毎月安定的な収入を得ることができます。
会社売却後には、社長を退任することで、毎月の安定的な収入源を失う可能性があります。
引退する場合には、会社売却で得られた利益や他の収益源で、どれだけの期間をやり繰りできるのかシミュレーションしておくことが大事です。
場合によっては、社員や取引先にかえって悪影響を及ぼすおそれもあります。
たとえば、売却検討段階でM&Aを行う旨が社員に知られることで、不安の広まりから大量離職やキーマンの離職につながるおそれがあります。
また、買い手企業による方針変更により、働き方や労働環境に不満を感じたり、モチベーションが低下したりする場合もあります。
取引先に関しても同様で、不安や不満から、取引の激減や契約の見直し・解除(主要取引先からの受注激減、契約の引き継ぎ拒否など)につながるリスクがあります。
これらの悪影響を最小限に抑えるためには、会社売却を伝えるタイミングを慎重に検討したり、従業員や契約先に関する処遇や方針をあらかじめ明確化しておいたりする必要があります。
売り手の社長は、主に以下のような理由から会社売却を検討します。
全国の社長の年齢分布の中で、70代の占める割合が年々増加[3]しており、日本の高齢化問題は大きな社会的な課題となっています。
70代社長のおよそ4割が後継者不在の状況[3]であり、親族などの後継者がいない場合、会社売却という選択肢を選ぶことがあります。
親族内承継と異なり、会社売却の際の後継者は同じ地域、同業者など多数の候補から選ぶこともできます。
経営の先行き不安は廃業を決断する理由の一つ[4]ですが、会社売却を検討する事もできます。
会社売却により経営の不安から解放され、日々のストレスを減少させることができます。
社長は会社売却により、会社が得られる利益の数年分を一括で得ることができます。
得られた売却益をどのように使うかは社長が自由に決めることができ、自身が描いた人生を歩むことができます。
会社売却の相手先として大手グループやシナジーの大きな会社等を選択することで、従業員の待遇向上や会社の成長を実現できる場合があります。
経営戦略の一つとして会社売却を選択することで、会社の利益貢献に繋がる可能性があります。
会社売却後の人生で後悔しないために売り手企業の社長は、以下7つのポイントを意識することが大切です。
業績が良いタイミングで会社売却することで、会社売却の成功率を高めることができるだけでなく、売却金額も高くできる可能性が高まります。
業績は会社の評価額に大きな影響を及ぼす事項の一つであり、業績が良ければ良いほど売却金額を高くでき、たくさんの買い手候補を見つけることができます。
業績が悪くなったタイミングで会社売却をする際は、買い手候補は直近の業績を特に注視するものであり、会社売却の成功確率が低くなってしまいます。
自社の業績がどのような位置にいるのかを見極め、良いタイミングで売却のプロセスを進めるようにしましょう。
会社を売却したいと思ってもすぐに売却できるわけではありません。
会社の財務情報など基本的な情報の整理からM&A仲介会社、FA、M&Aマッチングサイトの選定など必要な準備は数多くあります。
早い時期から会社売却の準備を進めておくことで、スムーズに会社売却プロセスを進めることができ、会社売却成功に近づけます。
会社売却後に後悔しないためには、可能な限り満足できる水準の価格で売却することが大切です。
そのためには、売却する企業の価値を最大限に高めておくことが求められます。
企業価値の算定では、将来の収益やキャッシュフロー、市場での評価、純資産などが多角的に評価されます。
また、財務面だけでなく、人材やノウハウ、技術といった無形資産の価値も、将来的に収益を生み出す源泉として評価対象になります。
これを踏まえて、以下の観点で企業価値を高めておき、その上で会社売却を図ることが効果的です。
営業活動やプロモーション、製品開発などを強化し、売上を最大化することが効果的です。
それと同時に、売上原価や販管費の効率化により、無駄なコストを削減し、利益率を高めることも重要です。
将来のキャッシュフローや収益の成長期待は、評価を押し上げる重要な要素です。
実現可能な事業計画を策定し、その達成に向けて取り組むことが求められます。
また、人材育成や技術開発などを通じて、無形資産の価値を高めることも重要です。
有利子負債を削減し、現預金等の非事業資産を適切に管理することで、株主価値を高めることが効果的です。
また、簿外債務や偶発債務、法令違反といった潜在的なリスクを事前に特定・解消し、デューデリジェンス(DD)での評価悪化や買収価格の引き下げを防ぐことも不可欠です。
会社売却のプロセスで、買い手は自社の強みや弱みは必ず質問されるポイントの一つです。
事前に社長の頭の中をクリアにしておくことで、どのような買い手が合っているかのイメージも付きやすくなります。
また、会社売却の目的を明確にしないまま買い手と交渉してしまうと、自分の中の優先順位がぶれてしまい、交渉相手と妥協点を探すことが困難になってしまいます。
高く売却すること、後継者を見つけること、会社をより成長させてくれる買い手に引き継いでもらうことなど、会社売却の目的をあらかじめ明確にしておくことが重要です。
会社売却後の人生を後悔しないためには、売却後の生活設計を具体的に描き、買い手企業と戦略的に交渉することが重要です。
人生プランを明確にしないまま交渉すると、契約内容に思わぬ事項が含まれてしまい、売却後に後悔や不満を感じるリスクがあるためです。
たとえば会社売却後に、新しい事業を立ち上げたいと考えている社長の場合、競業避止義務の内容には注意が必要です。
競業避止義務が課されると、一定の期間・地域・事業内容に関して制限が発生し、展開したい事業を行えなくなるリスクがあります。
また、M&Aに合わせて売り手会社から完全に撤退し、自らの事業やプライベートを重視したい方は、ロックアップに注意が必要です。
M&Aにおけるロックアップとは、売却後の一定期間にわたり、引き続き会社の経営や業務に関与する義務を定めた条項です。
ロックアップが課されると、売り手社長の自由が制限されてしまうリスクがあるため、有無や条件、期間等に注意が必要です。
他にも、デューデリジェンスで未検出のリスクに備える表明保証・補償条項の期間や責任上限、クロージング後の支払い方法や価格調整(アーンアウト)など、すべての合意事項を明確かつ詳細に契約書に盛り込むことが、将来のトラブル回避に不可欠となります。
会社売却後の社員や取引先のことも考えて売却先を選定する必要があります。
会社売却は自分だけが高値で売れれば良いというわけではなく、関わる全てのステークホルダーが幸せになれるディールとする必要があります。
社員や取引先のことを大切に考えてくれる買い手候補を探す努力が大切です。
会社売却は一人の力で成功させるには難易度が高すぎます。
会社売却の成功確率を高めるためには、信頼できるM&A仲介会社、FAなどの会社売却の専門家やM&Aマッチングサイトを活用することが重要です。
自社の規模や業種に合ったM&Aサービスを利用するようにしましょう。
会社売却後に得られる利益を最大化するには、対価から引かれる税金を押さえることが重要です。
会社売却の際に発生する税金は、選択するM&Aスキーム(手法)によって異なります。
主なスキームである株式譲渡と事業譲渡の場合について見ていきましょう。
株式譲渡では、一般的に売り手側の経営者個人が株式を譲渡するため、譲渡所得に対して分離課税が適用されます。
つまり、他の所得とは合算せずに個別に税額を計算します。
譲渡所得は、売却収入から諸費用(取得費と仲介手数料等の合計)を差し引くことで算出されます。
課税される税金は所得税、復興特別所得税、住民税です。
所得税(復興特別所得税を含む)の税率は原則15.315%、住民税の税率は5%です。
ただし、2025年以降は通称ミニマムタックスの影響により、おおむね株式譲渡所得で年間所得が10億円を超えるあたりから、税金の負担が大きくなる可能性があるため注意が必要です(注)。
事業譲渡では、事業を譲渡した法人に譲渡益が帰属し、まず法人税等が課税されます。
法人税等は、本業などで得た損益と事業譲渡の損益を合算した金額に対して課税されます。
法人税等の実効税率は会社の規模や所在地等によって変動し、概ね30〜40%です。
その後、株主である経営者に資金が還流される場合(配当や役員報酬など)、所得税や住民税が課税されます。
なお、譲渡対象に課税資産(土地を除く有形固定資産など)が含まれている場合、買い手から預かった消費税を納付する必要がある点にも注意です。
会社売却(M&A)は、一般的に以下のプロセスを経て進行します。
ここでは各段階を簡潔にまとめます。
M&Aの目的やニーズを明確にし、売却プロセスを円滑に進めるための初期検討と準備を行います。
客観的な事実に基づき、譲り渡し側の企業や事業の価値を評価し、交渉の前提となる金額を算出します。
依頼者のニーズや求める条件に合致するM&Aの相手(買い手候補)を見つけ出します。
ロングリストやショートリストを作成し、候補先へのアプローチやトップ面談を実施します。
デューデリジェンス(DD)や今後の最終的な条件交渉を円滑に進めるために、基本的な条件(売却価格や従業員の処遇など)について合意を形成します。
意向表明書を作成・送付し、その内容に基づいて調整を行い、基本合意書を締結します。
主に譲り受け側(買い手)が、譲り渡し側(売り手)のビジネス(事業)、財務、税務、法務などの実態を調査・検証し、M&Aの実行可否、譲渡額、最終契約の内容、M&A後の統合作業(PMI)に向けた課題などを整理します。
クロージングに向けて、DDで発見された点や基本合意で留保されていた事項について再交渉を行い、法的拘束力を持つ最終的な契約を締結します。
M&A取引の前提条件がすべて満たされていることを確認し、株式等の譲渡や譲渡対価の支払いを行うことで、M&A取引を完了させます。
譲り受け側が、取得した事業を円滑に継続させ、さらなる成長に向けて発展させていくために、経営統合作業を行います。
このプロセスを通じて会社売却が行われ、その結果として新たな人生の段階へと進むことになります。
会社売却後に経営者の方がどのような人生を歩んでいるかについて、弊社サービスで成約した実例をご紹介します。
新適:SI事業、システム開発・コンサルティング
トリオシステムズ:SI事業、システム開発、自社サービスの開発・販売
新適:事業の成長
トリオシステムズ:事業成長および事業領域の拡大
二段階での株式譲渡
※1回目の対価は現金、2回目の対価は譲り受け企業の株式
譲渡企業の社長(新作氏)は、代表として残り、譲り受け会社と一緒にIPOを目指していく決断をしました。
M&A成約から1年経過した時点で、新適の業務とトリオシステムズグループの経営観点での仕事を50%ずつ実施しています。
実感した変化として以下の2点が挙げられています。
「すべてを一人で抱え込まなければならない」という無意識のプレッシャーがなくなり、精神的に軽くなったと語っています。
これにより、本来集中すべき業務に時間とエネルギーを注げるようになりました。
売却対価の一部をトリオシステムズの株式として受け取ったことで、「事業を成長させて、IPOを成功させる」という新しい目標が生まれました。
IPOが実現された場合、株主としての恩恵(キャピタルゲインの獲得など)を期待できます。
これは、単に現金を得るだけでは味わえない、M&Aならではのメリットです。
この実例が示すように、会社売却は単なる事業の終了ではありません。
経営者にとって、キャリアと人生を再定義し、新しい挑戦を始める絶好の機会となり得るのです。
最後に、会社売却で社長自身にメリット(創業者利益の獲得、事業承継の実現)がもたらされた事例を2例取り上げ、簡単に概要をお伝えします。
GHインテグレーション:受託開発・SES事業をメインとしたシステムインテグレーション事業を展開
フーバーブレイン:サイバーセキュリティツールを主軸とした様々なIT事業を展開
高度な技術を持つエンジニアの確保、第4次産業革命に向けた新たな成長戦略の実現
実行時期:2021年3月
手法:株式譲渡(対価は70%が現金、30%は譲り受け企業の株式)
結果:創業者利益の獲得
譲渡金額: 2億6,640万円
FLP:トラックの整備・修理工場を運営
富士運輸:大型トラックによる長距離輸送事業を展開
売上・市場シェアの拡大と業務効率化やコスト削減を図り高収益化の実現
実行時期:2021年2月
手法:株式譲渡
結果:事業承継の実現
長年心血を注いだ会社を手放すことは、けっして簡単な決断ではありません。
しかし、会社売却は、新たな人生のスタートを切るための最大のチャンスとなり得ます。
会社売却によって、経営リスクや個人保証の重圧から解放されたり、まとまった資金と時間を手に入れたりすることで、早期リタイアや新しい事業の立ち上げ、あるいは社会貢献活動など、多様な選択肢を自由に選べるようになります 。
一方で、経営者としての地位や安定した収入を失うことへの不安や、従業員や取引先への影響といったデメリットも存在します 。
後悔のないM&Aを実現し、理想の未来を掴むためには、準備が不可欠です。
まずは「なぜ会社を売却するのか」という目的を明確にし、自社の強みを分析して企業価値を高めることが重要です 。
また、会社売却後の人生プランを具体的に描いた上で買い手と交渉に臨むことで、希望に沿った契約内容にすることができます 。
信頼できる専門家やM&Aマッチングサイトをうまく活用しながら、計画的にプロセスを進めていくことが、成功への鍵となるでしょう 。
会社売却は、経営者の方が本当にやりたかったことに集中し、第二の人生を豊かにするための最善の選択肢です。
この記事が、未来を切り開く一助となりますと幸いです。
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