M&Aという単語も一般的になってきました。ただ、M&Aを学びたいと思っても、専門知識が必要で勉強のやり方や本を選ぶのも大変という声も多く聞きます。今回はM&Aの勉強方法やおすすめの本を紹介していきます。(公認会計士 前田 樹 監修)
M&Aを学ぼうとする人はさまざまな人がおり、初心者から実務担当者まで幅広くいらっしゃると思います。それぞれかけられる時間や知識の幅などは異なると思いますので、それぞれの勉強方法のやり方、メリット・デメリットを紹介していきます。
勉強方法として思い浮かぶのが本や書籍ではないでしょうか。本や書籍は昔からよく用いられる方法だと思います。
本や書籍は初心者から実務の担当者向けのものが多数出版されており、幅広い知識を網羅しています。
また、本や書籍はその業界の著名者が執筆することも多く、業界での最先端の知識あるいは業界の常識となる知識が記載されていることもあります。また、公認会計士・税理士・弁護士など国家資格を持つ方の監修があれば、一定の正確性があると判断できるでしょう。そのため、専門知識を得るには優れた方法となります。
専門書は1冊の値段が高く、複数の本を買うにはお金が必要になります。
また、書店などに行って本を探すときには多数の本が並んでおり、自分が求めている本を選ぶことが難しくなります。専門書は分厚さがあり、購入あるいは読む、持ち運びなどの場面においては心理的な障壁が大きいケースもあります。
勉強方法としてはなかなか思い浮かばない漫画ですが、漫画もここ最近出版が増えています。
漫画は視覚的に理解しやすく、簡易に書かれていることも多いので初心者には取り組みやすい方法になります。
難しい内容は解説されてなく、ある程度知識がある人からすれば物足りない内容になるケースがあります。
また、ここ最近出版数が増えているとはいえ、まだまだ出版数は少なく、自分に必要な内容が書かれている漫画が出版されているとは限りません。
官公庁などからもM&Aを進めるにあたってガイドラインが出ています。たとえば、2020年3月に経済産業省から中小企業に向けて「中小M&Aガイドライン」[1]が出ており、これらの資料を参考にすることで勉強することが可能です。[1]
官公庁から出ている資料であり、これらの資料の信憑性が高い資料として取り扱われ、また、幅広い方が見ているため、今後当該資料をベースに世間的なルールや取引の形態などが行われる可能性があります。
まだまだ数が少ないため、これ自体だけでは知識が足りず、別の方法で知識を補っていく必要があります。
インターネットが普及してWebサイトでいろいろ検索することが一般的になりました。
もちろん、M&Aの内容も発達しており、勉強しようとしたタイミングでも使うことができるぐらい様々な情報が取り扱われるようになりました。最近ではM&Aを専門にしている仲介会社などが詳しくM&Aの知識を解説しているページも増えてきています。
Webサイトでの検索は隙間時間などに手軽にできるということが大きなメリットとなります。今の時代、スマートフォンを持っている人がほとんどで移動している時間などでもできる簡単な方法となります。
また、Webサイトには幅広いサイトがあり、初心者からある程度知識のある人まで幅広く対応ができます。
一方で、この方法は容易に検索ができる分、調べたい内容を絞らなければ目的にあった結果が得られない可能性があります。
また、容易に誰でも参入ができるため、Webサイトに載っている情報が誤っている可能性があります。情報の参照元などが正しく記載されているか確認しましょう。
ここ最近、YoutubeなどでM&Aを解説する動画が無料で公開されています。以前であれば、有料の動画でしたが、無料で公開されていることで手軽に用いることができる方法となります。
無料で情報を手に入れることができ、また、移動中などにも見ることができる、手軽な方法となります。
また、動画は音や映像で学習をすることができ、活字で書かれている本などより内容が印象に残りやすい方法です。
あくまで無料で公開されている情報であるため、情報の質としてはあまり高くなく、表面上の情報に止まるケースがあります。
また、公開されている情報も少なく、ほかの勉強方法で知識を補完する必要があります。
勉強をしたいと考えたときに思い浮かぶものとしてセミナーがあります。以前は講師が一方的に話す授業のようなセミナーがメインでしたが、ここ最近ではディスカッション形式も含むセミナーが増えてきています。
授業のような形のセミナーでは専門的な知識を効率的に学習することができます。
また、最近増えている受講者も参加できるようなセミナーでは自分の疑問点をその場で講師の方に確認できるため、ほかの方法でわからなかった疑問点を解決することができます。
そのほか、セミナーは講師が作成したレジュメなど資料も充実していることで印象にも残りやすい方法となります。
セミナー会場などまで行く必要があり、時間的にも金銭的にも負担が生じてしまうのがセミナーとなります。
また、都心などでは行われる回数が多いですが、地方になるとセミナーの回数、種類が減るため、地方では利用しにくい方法となります。
セミナーはテーマが決まっており、限られた知識を深めるには適していますが、ほかの勉強方法で知識を補完する必要があります。
勉強方法の最後の紹介として専門家に相談するということです。実際に案件がない段階で専門家に相談に行くということはハードルが高いかもしれません。しかし、実際は専門家に相談することが一番の近道になることもあるので以下のメリットとデメリットを理解して相談してみましょう。
専門家に相談して勉強する方法のメリットとしては、企業ごとに異なる状況を分析して各企業に合わせた方法について教えてもらうことができます。また、その際には各スキームについての留意点やポイントなども細かく教えてもらうことが可能です。
案件前に相談することになるため、心理的なハードルは高くなります。
また、相談内容によってはお金が発生するケースもあるため、料金的に高くなってしまうケースもあります。
そのほか、単純に一般的な知識を学びたいというときには専門家に相談するという方法は向いていません。
M&Aに関して本や書籍で勉強できることは多岐にわたります。その中で本や書籍で学ぶことが適していることがあります。ここでは本や書籍で学ぶべき内容を解説していきます。
まずはM&AはMerger(合併) And Acquisition(買収)の略で、直訳すると企業の合併と買収となります。合併や買収だけにとどまらず、業務提携や資本提携も含むケースもあります。上場会社同士の経営統合など、M&Aという単語は幅広く使われます。
先述のようなM&Aの概要から始まり、取引の流れをまとめられた初心者にとってまず押さえておくべき内容が書かれている入門書はたくさんあります。まずはM&Aの概要とM&Aの流れを押さえることが重要です。そのためには専門用語も簡単に解説されている本を選ぶことがいいでしょう。
M&Aは企業を買収するというイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。企業を買収することで将来的にどのような将来計画を描けるのか、また、買収した企業と買収された企業でどのようなシナジー効果が見込まれるのかなどビジネス面でどのように成長できるのかを考えることがビジネス的価値となります。
M&Aをすることでどのような成長曲線を描けるのかを考えることがM&Aの面白さとなります。企業を買収すれば成功するのではなく、その先どのような企業にできるのか、またしていくのかがポイントです。
入門者にもこれらのM&Aのビジネス的価値や面白さをわかりやすく解説された本を読むことで、M&Aをより学びたいという知的好奇心がくすぐられるでしょう。
M&Aのスキームはさまざまな方法があります。多数のスキームは大体の入門書で解説されており、それぞれのスキームのメリットやデメリットについて解説されています。
セミナーでは、全てのスキームを解説するのではなく、ある特定のテーマやスキームに合わせたものとなっているため、一つのセミナーに参加だけでは全てのスキームを学ぶことができません。本や書籍は全てのスキームを解説していることがほとんどなので、本や書籍の方が効率的に学ぶことができます。
株式譲渡は、買収対象企業の発行済株式を買い手企業が買い取ることで経営権を取得する取引をいいます。一般的にM&Aにおいてはよく用いられる方法となります。
株式譲渡には、大株主などから株式を買い取る相対取引や上場企業の株式を証券取引所などで買い取る市場買付け、不特定多数の株主から市場外で株式を買い集める公開買付け(TOB)の3種類があります。
事業譲渡は、一定の営業目的のための組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または一部を他の会社に譲渡することをいいます。
なお、単なる事業用財産または権利義務の集合の譲渡は事業譲渡にあたりません。
合併は、複数の会社が一体となる組織再編行為をいいます。
合併には、合併当事会社の全てが解散して合併により新会社が設立される新設合併と、合併当事会社のうち1社が存続して他の会社が消滅する吸収合併の2種類があります。
新設合併の場合、許認可の取り消しが発生し、新たな許認可を取得するなど手続が煩雑となることから、実務上は吸収合併が使用されることが多いです。
会社分割には、新設分割と吸収分割の2種類あります。
新設分割は、1または2以上の会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割により新たに設立する会社に承継させる組織再編行為を言います。また、吸収分割は、1または2以上の会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割し、他の会社に承継させる組織再編行為をいいます。
株式交換は、完全子会社となる会社の株主が保有する全ての株式を、完全親会社となる会社の株式と交換する方法をいいます。また、株式移転は、完全子会社となる会社の株主が保有する全ての株式を、新たに設立する完全親会社となる会社の株式と交換する方法をいいます。
M&Aを実施するにあたっては税務・財務・法務の知識が必要になってきます。
それぞれは専門的な知識で難しい内容となりますが、各専門知識も留意すべき点は押さえて進めることが望ましいです。これらの知識は入門書的な形で概要が書かれた本からより深い知識が記載された本があるため、それぞれ学びたいレベルに合わせて本を選びましょう。また、改正も頻繁に行われるため、最新の本を選ぶほうが無難です。
M&Aにおいて税務の知識はさまざまな場面で必要となってきます。
まず、買収した会社の税務申告の内容について調べるタイミングで必要となります。これは税務デューデリジェンスと呼ばれます。専門家に依頼する業務ではありますが、留意点は押さえておきましょう。
また、先述した各スキームによって、買収側と売却側でかかる税金が異なるため、各スキームにおける税務は専門家に確認した方がいいでしょう。
M&Aにおいて財務の知識が必要となるのは過去の業績と将来の業績を分析するときです。
会計基準の中でも選択可能な基準があり、選択した会計基準によって与える影響が異なります。また、上場会社が中小企業を買収する場合、会計基準によっては適用が必要となる基準もあり、買収対象会社の調整が必要となるため、財務の知識が必要となります。
また、将来の業績を予測するために過去の業績を分析して将来の事業計画の発射台を確定する必要があります。その際に財務の知識が必要となります。
会社は法律を遵守する必要があります。M&Aにおいては買収の対象となる会社が法律に遵守しているかを確認することになりますが、組織から始まり、株式、契約、資産・負債、労務、許認可などかなり幅広い範囲となります。
それぞれの分野での一般的な留意点があるので、留意すべき点や気にすべき点は押さえておく必要があります。
ここからはM&A関連のおすすめの本・書籍30選を紹介していきます。入門書から実務書まで幅広く紹介しますので最適な1冊を見つけることができると思います。初心者向け、M&A実務、デューデリジェンス(ビジネス・財務・法務)、売り手向けの4つに分けて紹介しておりますので、気になる項目で本を探してください。
著者:宮崎哲也
出版社:三修社
販売日:2005/6/1
概要・おすすめポイント:M&Aの基礎の基礎をわかりやすく解説した入門書となっています。最新のM&A事情はもちろん、M&Aに欠かせない話なども詳細に解説をしている入門書の中でも簡単な内容となっています。
著者:大山敬義、八木ふたろう
出版社:スバル舎
販売日:2017/2/23
概要・おすすめポイント:オーナー社長が本当に知りたいM&Aのポイントと全体像がまんがで解説されている本当なっています。後継者不在、相続問題、事業承継などオーナー社長に関わる問題を扱ってくれています。
著者:児玉尚彦
出版社:ダイヤモンド社
販売日:2008/8/29
概要・おすすめポイント:会社の経営の悩みであるお金について解説されています。著者は税理士でさまざまな経営者の相談を受けている中で、お金を減らさないことの重要性を理解してどう経営していけばいいのかについて解説されています。
著者:新貝康司
出版社:日経BP
販売日:2015/6/19
概要・おすすめポイント:日本企業の海外での大型の企業買収が増加している中で、M&Aをすることだけではなく、買収後が勝負ということを解説しています。JTも海外企業の買収を進めており、具体的な案件を用いながら成功の秘訣を解説されています。
著者:篠田康人
出版社:総合法令出版
販売日:2016/7/22
概要・おすすめポイント:会社を売る方も、買う方もこれだけは知っておきたいポイントをわかりやすくQ&Aを用いて解説されています。大企業同士だけではなく、中小企業同士のM&Aも急増しており、中小企業の経営者にも身近になっているM&Aについて中小企業向けに解説した内容となっています。
著者:(株)KPMGFAS
出版社:日本実業出版社
販売日:2011/4/21
概要・おすすめポイント:M&Aを進めていくと買収金額を決めることが必要になってきますが、その際に必要となるのが企業価値評価の方法となります。一般的な企業価値評価の方法の解説がされており、企業評価の入門書として最適な本となっています。
著者:木俣貴光
出版社:中央経済社
販売日:2017/3/28
概要・おすすめポイント:M&A実務担当者がディールを進めるにあたってポイントとなる点を時系列で解説されています。財務・税務・法務など専門知識を含めて網羅的に解説されており、実務担当者でも満足できる内容となっています。
著者:柴田義人、壇柔正、石原担、廣岡健司
出版社:商事法務
販売日:2018/6/13
概要・おすすめポイント:M&Aの実務全般が一通り見渡せるように法務の観点を中心に解説されており、企業の法務担当者や若手弁護士向けの実務書になっています。典型的なM&Aの契約条項などM&Aの周辺領域も網羅的に解説されています。
著者:北地達明、北爪雅彦、松下欣親、伊藤憲次
出版社:日本実業出版社
販売日:2019/1/18
概要・おすすめポイント:株式公開買付け、株式交換など各スキームを中心に、今の経営戦略の手法として定着したM&Aの最新スキームを解説されています。時系列で各専門分野も解説されており、これを読むことで実務にも対応することが可能となっています。
著者:GCA FAS株式会社
出版社:中央経済社
販売日:2016/1/14
概要・おすすめポイント:初めてM&Aの実務担当者になった方々を対象に、M&Aの必要な知識を身につけることができる実務書となっています。Q&A形式で解説されており、わかりやすくポイントをまとめられた内容となっています。
著者:鈴木義行
出版社:中央経済社
販売日:2019/9/13
概要・おすすめポイント:中小企業のM&Aを念頭に、法務・会計・税務の諸制度を整理して実務知識を総合的に解説されています。2019年の税制改正など、最新の法令改正にも対応しています。経営戦略とM&Aの関係についての重要性など幅広い内容となっています。
著者:大久保圭、大久保涼、宿利有紀子、笠原康弘、粟谷翔、藤原総一郎
出版社:中央経済社
販売日:2018/9/8
概要・おすすめポイント:M&Aにおける典型的な契約条項を解説している内容となっており、契約書を学ぶには適した内容となっています。M&A周辺の法改正などにも対応しており、これ1冊で法務関連は対応することができます。
著者:桝谷克悦
出版社:清文社
販売日:2009/2/1
概要・おすすめポイント:企業価値の評価方法を豊富な計算例を用いて解説しています。なかなか解説されない各企業価値評価の細かい計算も解説されています。この1冊があれば企業価値評価について対応することができます。
著者:森生明
出版社:東洋経済新報社
販売日:2016/5/27
概要・おすすめポイント:M&A、ファイナンスの最前線で活躍する実務家から絶大な評価を受ける著者の最新作となっています。株式投資、事業再生、M&A、「会社は誰のものか?」、「金融資本主義の功罪」など金融・ファイナンスの内容をわかりやすく解説されています。
著者:小林正和
出版社:中央経済社
販売日:2017/8/31
概要・おすすめポイント:難解な内容となるM&Aや組織再編の内容を基礎から実務で対応できる範囲まで幅広く詳細に解説されています。組織再編のスキームの違いを比較しやすいように比較表がついています。
著者:宮口徹
出版社:中央経済社
販売日:2017/7/29
概要・おすすめポイント:M&Aや組織再編に関わる税務の知識の基本から、複雑なスキームを使った時の税務の内容まで解説されています。より実務に即した内容で簡潔に解説されている内容となっています。また、税法については法人税だけではなく、所得税、相続税、贈与税まで解説されています。
著者:笹山幸嗣、村岡香奈子
出版社:金融財政事情研究会
販売日:2008/7/1
概要・おすすめポイント:多様化するM&Aファイナンスについてわかりやすく、また全般的な内容を解説されています。難解な内容もわかりやすく解説されており、実務上、必要な内容が網羅的に織り込まれており、痒いところに手が届く内容となっています。
著者:鈴木健太郎、宮﨑隆、服部紘実、大久保涼、
出版社:中央経済社
販売日:2018/11/20
概要・おすすめポイント:買収資金を調達するファイナンスについて、法務面を中心に解説されています。ファイナンスの基礎から複雑なスキームまで解説されており、M&Aの法務の担当者はもちろんのこと、金融関係の方にも適した内容となっています。
著者:ウイリスタワーズワトソン
出版社:東洋経済新報社
販売日:2016/5/27
概要・おすすめポイント:買収後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション、買収に伴う事業・組織・機能の統合)について実務面から解説された内容となっています。M&Aは買収したら終わりではなく、買収後の方が重要となっており、企業の価値を向上するために必要なPMIのノウハウが書かれています。
著者:荒木隆志
出版社:中央経済社
販売日:2016/7/1
概要・おすすめポイント:カーブアウト(事業を切り出す)はここ最近出てきた単語で、各社の事業戦略上、不要となる事業を切り出して売却することなどで事業戦略に合わせたスキームを組み立てることができます。カーブアウトの範囲やスキームの基本的な内容から買い手、売り手の戦略まで幅広くわかりやすい内容で解説されています。
著者:菅原祥公
出版社:秀和システム
販売日:2013/1/1
概要・おすすめポイント:企業診断手法として注目されているビジネスデューデリジェンスについて基礎を中心に図解を用いながらわかりやすく解説されています。ビジネスデューデリジェンスを学びたい方には入門書として最適な1冊となっています。
著者:PwCアドバイザリー合同会社
出版社:中央経済社
販売日:2018/9/20
概要・おすすめポイント:ビジネスDDの進め方や留意点をステップごとに丁寧に解説されています。また、業種別のDDのポイントやベンチャー企業のDDのポイントなど幅広いDDに対して説明がされています。M&A関連の英語用語集もついており、より実務向けの専門的な内容になっています。
著者:プライスウォーターハウスクーパース株式会社
出版社:中央経済社
販売日:2014/8/29
概要・おすすめポイント:M&Aにおいて財務DDは必須の業務で専門的な知識で難解ですが、この本では財務DDの全貌を明らかにするとともに、基本的な内容からわかりやすく解説されています。また、実務上、論点となるカーブアウトや価格調整、財務モデルなど専門的な内容も説明されており、幅広い方に向けた実務書となっています。
著者:長島・大野・常松法律事務所
出版社:中央経済社
販売日:2014/3/27
概要・おすすめポイント:法務DDの実務を概観し、関連する実務上あるいは法務上の問題点についてわかりやすく解説されています。また、特許法などの改正も反映されているとともに、会社法の改正法案についても触れられており、幅広い内容になっています。
著者:宮下央、田中健太郎、木宮瑞雄
出版社:中央経済社
販売日:2018/9/22
概要・おすすめポイント:DDで調査すべき内容は大まかには同じような内容ではあるものの、細かくは各社の規模や業種に応じて異なります。この本では業種という切り口から法務DDにおけるポイントや留意点などが解説されており、実務で使える1冊となっています。
著者:佐藤義幸
出版社:good.book
販売日:2016/9/29
概要・おすすめポイント:法律問題は難解で後回しにされがちですが、一方で甘く見ると痛い目に遭うことが多くあります。この本ではベンチャーキャピタルやベンチャー企業の方でもマニュアルとして使えるような内容となっています。また、チェックリストなども充実しており、実務者にとっても満足のいく1冊となっています。
著者:江野澤哲也
出版社:ビジネス社
販売日:2016/9/9
概要・おすすめポイント:事業承継M&Aは人生でも何度もないことですが、事業承継の経験のないオーナーにとってもわかりやすくまとめられた内容となっています。なぜM&Aをするのか、アドバイザーとはどのように契約するのか、M&Aはどのように進めるのかなど基本的な内容を丁寧に解説されている入門書となっています。
著者:岡本行生
出版社:ダイヤモンド社
販売日:2019/6/20
概要・おすすめポイント:会社の経営者(売り手)向けに書かれた本となっています。主には中小企業の経営者向けで、会社の将来を考えた時に読むと読んでおいた方がいい内容となっています。売上高がある程度の規模で黒字、かつ、債務超過ではない会社でないと会社を売却できないというイメージがあるかもしれませんがそんなことはないと常識を覆す内容となっています。
著者:日本バイアウト研究所
出版社:中央経済社
販売日:2011/3/1
概要・おすすめポイント:事業承継をテーマとした本となっており、オーナー企業の事業承継、経営者の外部招聘、事業承継におけるバイアウト・ファンドの役割など豊富な事例をもとにそれぞれのスキームを解説されています。また、経営者インタビューも含まれており、実際の事例についても学ぶことができます。
著者:宮﨑淳平
出版社:日本実業出版社
販売日:2018/10/12
概要・おすすめポイント:売り手側に着目したM&Aを解説されています。中小企業やベンチャー企業の経営者、M&A担当者などに向けた売却側のM&Aのノウハウがまとめられています。売却プロセス、金額算定の方法、売却手続きを進めるにあたってのポイントなど実務にも使える内容となっています。
ここまでM&Aを学びたい人におすすめの本を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
ここで紹介した本は世の中に出回っている本のうちのごく一部ではありますが、実務家などからも評価の高い本を集めてきました。勉強したい内容に応じて本を選んでいただければと思います。
(執筆者:公認会計士 前田 樹 大手監査法人、監査法人系のFAS、事業会社で会計監査からM&Aまで幅広く経験。FASではデューデリジェンス、バリュエーションを中心にM&A業務に従事、事業会社では案件のコーディネートからPMIを経験。)
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