介護業界では介護報酬抑制や人材不足などの影響でM&A・業界再編の動きが活発化しています。介護業界の現況とM&A動向を整理し、介護サービス事業者・介護関連事業者によるM&Aの事例をくわしく紹介します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金融専門ライター 相良義勝)
高齢化の進展とともに要介護認定者数・介護サービス利用者数は速いペースで増加しています[1]。
高齢者人口は今後も着実に増えていくと予想され、介護サービスの需要が拡大していくことは間違いないものと見られます。
その一方で、社会保障給付費は増加の一途をたどっており、社会保障を支える生産年齢人口(生産活動の担い手となれる人の数)は年々減少しています。
2025年以降には生産年齢人口の減少が加速すると見られており(下図)、国は2040年頃の状況を見据えた社会保障制度の見直しを行っているところです。[2]
図:2040年までの人口構造の変化
出典:今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000474989.pdf)
近年の介護報酬改定は適正化(切り詰め)を基本方針としており、その流れは継続される予定です。
それに加え、高齢者・外国人材などの多様な労働力の活用や、ICT・AI・ロボット導入による生産性の向上といった課題が打ち出されています。
介護報酬切り詰めの流れは介護事業者にとって収益性を圧迫する大きな要因となっており、介護業界においては人材不足も深刻です[3]。
今後は外国人材の受入れとならんでクラウドシステムによる管理やAI・ロボットの活用が進んでいくものと見られます。
介護業界のM&Aはこうした流れに対応して以下のような動きを見せています。
[1] 介護分野をめぐる状況について(厚生労働省)
[2] 今後の社会保障改革について―2040年を見据えて―(厚生労働省)
[3] 介護人材の確保・介護現場の革新(厚生労働省)
ゆうあいホールディングス(現:プラウドライフ)[4]は「はなことば」ブランドの介護付有料老人ホームなどを運営している企業です。[5]
ソニー・ライフケアはソニーフィナンシャルグループ傘下の企業で、子会社を通して介護付有料老人ホームを運営しています。[4]
ソニーフィナンシャルグループは介護事業を生命保険・損害保険・銀行の3事業に次ぐ第4の柱と位置づけ、2013年に介護付有料老人ホーム運営のシニア・エンタープライズを完全子会社化して介護分野に進出しました。[6]
ゆうあいホールディングスの買収は介護事業の拡大とグルプ内リソースの有効活用によるサービス品質向上のために行われたものです。[5]
ソニー・ライフケアは2015年4月にゆうあいホールディングスに出資し株式の一部と転換社債型新株予約権付社債を取得しました[7]。
さらに、2017年7月に新株予約権を行使するとともにゆうあいホールディングスの全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。[5]。
東京建物シニアライフサポートは首都圏でサービス付き高齢者向け住宅・介護付有料老人ホームなど19施設(2020年9月末時点)を運営していた企業です。[8]
SOMPOケアはSOMPOグループの介護事業を担う企業で、在宅サービスから施設系サービスまで総合的に事業を展開しています。[8]
SOMPOケアは介護事業のさらなる成長と介護・看護・医療の連携強化による持続可能なサービス提供体制の確保を目的として買収を実施しました。[8]
その後、介護事業のさらなる一体化のため東京建物シニアライフサポートはSOMPOケアに吸収合併されました。 [9]
2020年12月、SOMPOケアは東京建物シニアライフサポートの全株式を取得して同社を完全子会社化し、2021年3月には同社を吸収合併しました。[10]
ケアクリエイト(現:ヨウコーフォレスト河辺)は有料老人ホームを運営している企業です。[11]
揚工舎は有料老人ホーム・デイサービスの運営や居宅介護支援・訪問介護、介護人材の紹介・派遣などの事業を展開している企業です。[11]
ケアクリエイトの運営する有料老人ホームは東京都青梅市に位置する良質な施設であることから、揚工舎は東京近郊に事業拠点を拡大するという戦略に基づいて同社の子会社化を決定しました。[11]
2020年8月[12]、揚工舎はケアクリエイトの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[11]
スカイハートは千葉市を中心に居宅介護支援・訪問介護の事業を展開している企業です。[13]
フレアスは在宅マッサージ・訪問看護・訪問介護の事業を全国展開している企業です。[13]
フレアスは千葉市地域における居宅介護支援・訪問介護の事業に参入するとともに、在宅マッサージサービスとの複合により総合的な社会福祉サービスを提供する体制の構築を図る目的で、スカイハートを子会社化しました。[13]
2021年4月[14]、フレアスはスカイハートの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。
株式取得の対価は500万円です。[13]
横浜倶楽部は介護付有料老人ホームやデイサービスなどの事業を展開している企業です。[15]
グッドタイムリビングは大和証券グループの子会社で、介護付有料老人ホーム・住宅型老人ホーム・高齢者向け賃貸住宅を運営している企業です。[15]
舞浜倶楽部の親会社であるエムシーホールディングスは、人材不足が深刻化するなか今後の介護施設運営にはICT導入の設備投資が避けて通れないと判断し、かねてより交流のあるグッドタイムリビングと協議した結果、ICT導入や多職種人材活用などで実績のある同社に舞浜倶楽部の事業を譲り渡すことを決定しました。[15]
2021年4月、グッドタイムリビングは舞浜倶楽部の株式99.75%を取得し同社を子会社化しました。[15]
広域社会福祉会は訪問介護事業を展開している企業です。[16]
ケアサービスは居宅介護支援、デイサービス、訪問介護、配食サービス、福祉用語貸与・販売などの事業を展開している企業です。[17]
ケアサービスは東京23区を中心としたドミナント出店戦略を基本方針としており、近年では新規出店に加えて在宅介護事業の承継・譲受けによる事業基盤強化を図っています。
その一環として、広域社会福祉会から大田区における訪問介護事業を譲り受けることになりました。[16]
2020年11月[18]、ケアサービスは広域社会福祉会から大田区の訪問介護事業を譲り受けました。
譲渡対価は500万円です。[16]
一樹会はクリニックやグループホームを運営している医療法人です。[19]
健祥会グループは介護施設運営や在宅介護サービス、障害者福祉サービス、保育園運営、クリニック運営などの事業を展開している法人グループです。[20]
老朽化や介護職員不足の問題を抱えていた一樹会の介護老人保健施設の再生を目的として行われたM&Aです。
経営統合による人材交流促進や経営効率化などの効果も期待されています。[21]
2018年10月、青嵐会が一樹会から介護老人保健施設「サンライズ」の事業を譲り受けました。 [22]
日本エルダリーケアサービスは首都圏を中心に訪問介護・居宅介護支援・通所介護の122事業所を展開している企業です。[23]
ソラストは医療事務などの医療関連受託事業、介護事業所運営事業、保育園運営事業、医療事務専門教育事業などを多角的に展開している企業です。[24]
ソラストは2030年までに介護サービス対象エリアを現在の約3倍の300エリアに拡大し、各エリアにおいて訪問、通所、居宅介護支援、各種施設系サービスをすべてカバーするという目標を掲げており、それをスピーディーに実現する手段としてM&Aを積極的に活用しています。
日本エルダリーケアサービスの買収はその一環として行われたものです。[23]
2020年10月、ソラストは日本エルダリーケアサービスの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。
株式取得の対価は22億5,000万円です。[25]
西日本ヘルスケアはLeTechの子会社で、LeTechの介護事業(住宅型有料老人ホーム・グループホームなどの運営)を担う法人として設立されました。[26]
ニチイ学館は医療事務事業、介護事業(訪問介護・居住系介護サービス・ケア用品販売)、保育事業など、多角的な事業を展開している大手企業です。[27]
LeTechは経営資源の最適配置のため介護事業を担う法人として西日本ヘルスケアを設立することにしましたが、中核事業とのシナジーが見込みづらいことから、介護関係の豊かなノウハウと強固な財政基盤を有するニチイ学館への譲渡を決定しました。[26]
2021年6月、ニチイ学館とLeTechの間で西日本ヘルスケアの株式に関する株式譲渡契約が締結されました。
公表されたスケジュールによると、7月1日をもってLeTechの介護事業は吸収分割により西日本ヘルスケアに承継され[28]、同日に西日本ヘルスケアの全株式をニチイ学館が取得しています。[26]
アメニティーライフは準大手ゼネコン・三井住友建設の子会社で、八王子市で有料老人ホーム1施設を運営しています。[29]
ユニマット リタイアメント・コミュニティは在宅系・入居系の介護サービスを全国展開するほか、デリバリー事業、ホテル事業、フィットネス事業などを多角的に展開している大手企業です。[30]
三井住友建設はアメニティーライフが1施設を単独で運営するよりも実績豊富な介護事業者グループに加わったほうがサービス向上につながると判断し、近隣地域に多数の介護事業所を展開するユニマット リタイアメント・コミュニティへの譲渡を決定しました。[29]
2021年2月、ユニマット リタイアメント・コミュニティがアメニティーライフの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[31]
ビーナスは各種デイサービスや訪問介護、訪問リハビリ、介護施設紹介、介護人材紹介などの事業を展開している企業です。[32]
センコーグループホールディングスは物流、商事、ビジネスサポート、ライフサポート(介護・家事代行など)の4分野で多角的に事業を展開しているセンコーグループの持株会社です。[33]
センコーグループとしては事業領域拡大[34]、ビーナスとしては強固な経営基盤を持つ大手企業のもとでの成長加速[35]をM&Aの目的としています。
2017年10月、センコーグループホールディングスはビーナスの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[34]
ゆいは居宅介護支援事業を展開している企業です。[36]
市進ホールディングスは学習塾の運営を中心に、各種学校運営、映像・ホームページ制作、旅行企画・手配、介護、障がい者福祉などの事業を多角的に展開している企業です。[37]
市進ホールディングスは地域に根ざした教育・福祉事業による持続的な成長を図るため、事業ビジョンに親和性のあるゆいとの経営統合を決定しました。[36]
2020年7月、市進ホールディングスはゆいの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。
取得対価は6億円です。[38]
シマダリビングパートナーズは都市部を中心に介護施設運営事業を展開している企業です。[39]
旭化成ホームズは「ヘーベルハウス」などのブランドを展開する大手ハウスメーカーです。[40]
旭化成ホームズはシニア向け住宅事業を今後の成長の柱としており、シニア層向け安心賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅などの提供体制を強化してきました。
シマダリビングパートナーズとの資本業務提携はその一環として行われたものです。[39]
2020年3月、旭化成ホームズとシマダリビングパートナーズは高齢者向け住宅の開発・運営と介護サービスの事業に関する業務提携を結び、その実効性を確保する目的で旭化成ホームズがシマダリビングパートナーズの株式の30%を取得しました。[40]
[4] 会社情報(ソニー・ライフケア)
[5] ゆうあいホールディングスの完全子会社化のお知らせ(ソニー・ライフケア)
[6] 介護事業に参入(ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社)
[7] 介護事業者への資本参加等のお知らせ(ソニー・ライフケア)
[8] 東京建物シニアライフサポート株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ(SOMPOケア)
[9] SOMPOケアシニアライフサポート株式会社との合併に関するお知らせ(SOMPOケア)
[10] 沿革(SOMPOケア)
[11] 有限会社ケアクリエイトの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(揚工舎)
[12] 会社沿革(揚工舎)
[13] 子会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ(フレアス)
[14] 沿革(フレアス)
[15] 株式会社舞浜倶楽部の株式取得に関するお知らせ(グッドタイムリビング)
[16] 事業譲受に関するお知らせ(ケアサービス)
[17] 会社概要(ケアサービス)
[18] 沿革(ケアサービス)
[19] HOME(医療法人一樹会)
[20] サービス概要(健祥会グループ)
[21] 健祥会、譲渡受け再生 | 日本経済新聞(健祥会グループ)
[22] 新たな気持ちでスタートを!介護老人保健施設「センターヴィレッジ」脇町にオープン(健祥会グループ)
[23] 株式会社日本エルダリーケアサービスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(ソラスト)
[24] 事業・サービス(ソラスト)
[25]有価証券報告書(ソラスト)
[26] 子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ(LeTech)
[27] 事業内容(ニチイ学館)
[28] 吸収分割に係る事前開示書面(LeTech)
[29] 株式会社アメニティーライフの株式譲渡に関する基本合意書締結のお知らせ(三井住友建設)
[30] 事業紹介(ユニマット リタイアメント・コミュニティ)
[31] 沿革(ユニマット リタイアメント・コミュニティ)
[32] サービス一覧(ビーナス)
[33] 事業領域(センコーグループホールディングス)
[34] 第101期 有価証券報告書(センコーグループ)
[35] ビーナスはセンコーグループホールディングスの100%子会社になりました(ビーナス)
[36] 株式会社ゆいの株式取得(子会社化)に係る株式譲渡契約締結のお知らせ(市進ホールディングス)
[37] 事業案内(市進ホールディングス)
[38] 有価証券報告書-第47期(市進ホールディングス)
[39] 介護施設運営事業者との資本業務提携に関するお知らせ(旭化成ホームズ)
[40] 事業紹介(旭化成ホームズ)
プロトメディカルケアは介護事業者・介護職向けのメディア・求人サイトの運営や、介護サービス比較サイトの運営、看護師・介護士の人材派遣、介護用具レンタル・通販などの事業を展開している企業です。[41]
ベネッセホールディングスはベネッセグループの持株会社で、傘下には介護・保育を中心とした事業を展開するベネッセスタイルケアや、医療・介護分野のキャリア形成・仕事探しをサポートするベネッセMCMなどが属しています。[42]
ベネッセホールディングスは中長期経営計画の方針としてコア事業(教育・介護)の進化と新領域への挑戦を掲げており、介護領域においては採用戦略と連動させた新規エリア展開および人材紹介事業の拡大を重要戦略としています。
今回のM&Aはそうした戦略の実現スピードを高める目的で行われたものです。[42]
2021年6月、ベネッセホールディングスはプロトメディカルケアの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。
取得対価は42億5,000万円です。[43]
ケア・フレンドは福祉用具の貸与・販売事業を手がけている会社です。[44]
揚工舎は介護施設運営、訪問介護、介護人材紹介・派遣などの事業を展開している企業です。[44]
揚工舎は多角的な介護サービスの提供をグループ経営方針のひとつとしており、それを推し進める目的でケア・フレンドの子会社化を行いました。[44]
2021年3月、揚工舎がケア・フレンドの全株式を取得し同社を完全子会社化する旨の契約が締結されました。
公表されたスケジュールによれば、同年3月に株式譲渡が実行されています。[44]
グッドパートナーズは首都圏で介護関係の人材派遣・紹介、特定技能外国人の人材紹介、訪問看護などの事業を展開している企業です。[45]
チャーム・ケア・コーポレーションは近畿圏・首都圏で介護付有料老人ホームを展開している企業です。[45]
介護人材の不足が深刻化するなか、チャーム・ケア・コーポレーションでは高価格帯有料老人ホームの開設を積極化していく予定であり、スタッフのスキルに相応のレベルが求められることから、人材リソースを補完するためにグッドパートナーズを子会社化しました。
同社を通した外国人材の獲得や訪問看護事業との連携も今後検討される予定です。[45]
2020年7月、チャーム・ケア・コーポレーションはグッドパートナーズの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。
取得対価は6億8,000万円です。[46]
森原システムエンジニアリングはシステム開発、ネットワーク構築、介護関連ソフトウェア開発などを手がけている企業です。[47]
シーナは介護施設運営、訪問介護、高齢者向け給食などの事業を展開している企業です。[48]
シーナはグループ傘下に介護・障がい者福祉向けのシステム開発を手がけるシステムプラネット[49]を擁しており、同社と森原システムエンジニアリングとのシナジーが期待できるとの判断から、今回のM&Aが行われました。[47]
2020年6月、シーナは森原システムエンジニアリングの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[47]
ABEJAはAI導入ソリューションやAI実装・運用プラットフォームの提供などを通して企業のDXをサポートしている会社です。[50]
SOMPOホールディングスは損害保険・海外保険・生命保険・介護などの事業を展開するSOMPOグループの持株会社です。[51]
SOMPOホールディングスでは、各事業分野で得られるリアルデータの統合・分析を通して社会課題を解決するソリューションプラットフォームの構築を進めており、その実現のためにはAI技術を社会の現場に組み込んでいくことが必要であることから、AIの社会実装で豊富な実績を持つABEJAとの提携を決定しました。
SOMPOホールディングスが目指すプラットフォーム構築の第一弾として介護領域におけるソリューションの創出がすでに進められており、ABEJAとの提携で実現の可能性・スピードが大いに高められると期待されています。[52]
2021年4月、SOMPOホールディングスはABEJAの発行済み株式の21.9%を既存株主から取得し、同社と資本業務提携を締結しました。[52]
Aeolus Robotics Corporationは米・サンフランシスコに拠点を置き、介護現場向けのAI搭載型ロボット「アイオロス・ロボット」を開発・製造・販売している企業です。[53]
学研ココファンホールディングスは介護・訪問看護・保育などの事業を展開する学研ココファングループの持株会社です。[54]
メディカル・ケア・サービスは学研ホールディングスの子会社で、介護施設運営・居宅介護支援の事業を展開しています。[55]
セントケア・ホールディングは訪問介護・居宅介護支援・福祉介護用品販売・介護施設運営などの事業を展開している大手企業です。[56]
「アイオロス・ロボット」は物品運搬や見守りなどの業務を自律的に遂行することが可能で、介護スタッフの身体的負担の軽減や介護現場の業務効率改善などの効果が期待できます。
今回の出資は、Aeolus Roboticsによる資金調達と、介護事業者とのパートナーシップ構築を目的として行われたものです。[53]
2019年12月、Aeolus Robotics Corporationは学研ココファンホールディングス、メディカル・ケア・サービス、セントケア・ホールディングなどを引き受け先とする総額2,000万ドルの第三者割当増資を行いました。[53]
Z-Worksは独自のセンサー技術とIoTプラットフォームを活用した介護施設向け支援システムなどを開発・提供している会社です。[57]
三菱電機は大手総合電機メーカーです。介護関連のグループ企業として、総合不動産サービス・フードサービス・介護サービス・人材派遣サービスなどを展開する三菱電機ライフサービスがあります。[58]
三菱電機は、傘下企業の高齢者向け住宅事業などで得られた知見とIoT・センサー・AI技術を掛けあわせ、高齢者向けヘルステック事業を本格化していくことを目指しており、共同開発やデータ連携、介護支援サービスの販売協力などを通してヘルステック事業を加速させる目的でZ-Worksへの出資を行いました。[57]
2020年11月、三菱電機はZ-Worksへの出資を行いました。出資額などの詳細は公開されていません。[57]
[41] サービス(プロトメディカルケア)
[42] 株式会社プロトメディカルケアの株式取得に関する株式譲渡契約締結のお知らせ(ベネッセホールディングス)
[43] 有価証券報告書-第67期(ベネッセホールディングス)
[44] 有限会社ケア・フレンドの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(揚工舎)
[45] 株式会社グッドパートナーズの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(チャーム・ケア・コーポレーション)
[46] 2021年6月期 第1四半期報告書(チャーム・ケア・コーポレーション)
[47] 株式譲受のお知らせ(シーナ)
[48] トップページ(シーナ)
[49] 業務のご案内(システムプラネット)
[50] Business(ABEJA)
[51] グループの概要(SOMPOホールディングス)
[52] ABEJA と資本業務提携契約を締結(SOMPOホールディングス)
[53] AI搭載型ロボット「アイオロス・ロボット」の開発・販売を行うAeolus Robotics社、総額2,000万ドル(USD)の資金調達を実施(PR TIMES)
[54] 会社情報(学研ココファン)
[55] 会社概要(メディカル・ケア・サービス)
[56] 企業情報(セントケア・ホールディング)
[57] Z-Works社への出資のお知らせ(三菱電機)
[58] 事業紹介(三菱電機ライフサービス)
パムック(現:幸和ライフゼーション[59])は東京都江戸川区を中心に自立支援デイサービス事業と福祉用具レンタル・販売、車いすオーダーメイドの事業を展開している企業です。[60]
あっぷるは千葉県市川市でデイサービス事業と福祉用具レンタル事業を展開していた企業です。[60]
幸和製作所はシルバーカー・歩行車・杖などの歩行補助用具を主力製品として介護福祉用具全般の製造販売を展開している企業です。[60]
幸和製作所は市場ニーズをいち早く吸い上げて製品化する開発体制を強みとしており、その強みをさらに向上させる目的で今回のM&Aを行いました。
パムックは介護福祉現場のニーズをもとに用具のレンタルや車いすオーダーメイドの事業を展開しており、とくにニーズの吸い上げの面で幸和製作所とのシナジーが期待されています。
あっぷるはパムックの事業テリトリーと隣接した地域で事業を行っていることから、両社によるドミナント形成がグループ全体の中長期的な企業価値向上につながると予想されています。[60]
2019年3月、幸和製作所はパムックとあっぷるの全株式を取得し両社を完全子会社化しました。
パムック株式の取得対価は5,900万円、あっぷる株式の取得対価は0円です。同年10月には幸和ライフゼーションに商号を変更したパムックがあっぷるを吸収合併しています。[61]
介護サポートサービスはサービス付き高齢者向け住宅を運営している企業です。
M&A以前は小僧寿しグループに属していました。[62]
東洋商事は業務用総合食品商社で、病院食・介護食の卸売も手がけています。[62]
小僧寿しグループは2016年から介護事業に参入していましたが、コア事業である持ち帰り寿し事業とデリバリー事業に経営資源を集中するため、介護サポートサービスの譲渡を決定しました。[62]
2019年12月、東洋商事が介護サポートサービスの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[62]
シンセリティグループは高齢者施設運営やフードサービスなどの事業を展開している企業です。[63]
京進は学習塾の運営を中心に総合的な教育事業を展開している企業です。[64]
京進は教育事業で培ったノウハウを活かしつつ新たに介護事業を展開していく目的でシンセリティグループを子会社化しました。[63]
2017年6月、シンセリティグループの代表取締役オーナーが所有する他4社(ネクストライフ、もぐもぐ、ユアスマイル、優空)をシンセリティグループの子会社として集約[63]した上で、京進がシンセリティグループの全株式を取得し、同社を子会社化しました。
取得対価は6億4,200万円です。[65]
オリックス・リビングはオリックスグループに属する企業で、首都圏・関西圏を中心に32の高齢者向け施設・住宅を運営しています。[66]
大和証券グループ本社は大手総合証券グループの持株会社です。[66]
大和証券グループは、伝統的な証券ビジネスを核としながら周辺領域を取り込み、ハイブリッド型総合証券グループとして今後の事業を展開していくことを中期経営戦略としており、その一環として高齢化社会に対応する体制の整備を進めています。
今回のM&Aはそれをさらに推し進めたもので、持続可能な開発目標のひとつである「すべての人に健康と福祉を」に資する取組みを拡大するとともに、オリックス・リビングのサービスと大和証券グループの顧客基盤・不動産資産運用ノウハウの掛けあわせによりシナジーを創出することを目的としています。[66]
2019年8月、大和証券グループ本社はオリックス・リビングの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[67]
QLCプロデュースは直営・FC合わせ全国163事業所で自立支援デイサービスを展開している企業です。
新規加盟店開発・開業支援・介護システム開発・高齢者向け運動プログラム開発などを手がける4社を傘下に置いています。[68]
出光興産は石油を初めとする各種エネルギーの開発・供給と化学製品・高機能素材の製造・販売などを展開している企業です。[69]
国内石油需要の減少が続くなか、出光興産は系列特約販売店網の強みを活かした新規事業開発に取り組んでおり、その一環として介護事業への進出を図るために今回のM&Aを行いました。[68]
2020年12月、出光興産はQLCプロデュースと株式譲渡契約を締結しました。
公表されたスケジュールによれば、2021年4月に出光興産がQLCプロデュースの全株式を取得しています。[68]
創生事業団は介護系施設(約5,000床)の運営などを行う創生会グループの中核企業です。
JAPANライフデザインは創生事業団の子会社で、東京都内で介護付有料老人ホーム3施設を運営しています。[70]
野村不動産ホールディングスは住宅開発・都市開発・資産運用・不動産仲介などの事業を展開する大手総合不動産会社グループの持株会社です。[71]
野村不動産グループは中長期経営計画において新たな成長領域として高齢者住宅事業を掲げ、2015年にはそれを担う法人として野村不動産ウェルネスを立ち上げています。
今回のM&Aは、介護住宅事業への参入により高齢者住宅市場でのさらなる成長を図るために行われたものです。[70]
2017年3月、野村不動産ホールディングスは創生事業団と業務提携契約を結び、JAPANライフデザインによる第三者割当増資(議決権割合49%)を引き受けて同社と資本業務提携契約を取り交わしました。[70]
ツクイグループは全国47都道府県で直営による介護サービス事業を展開している大手企業で、ツクイホールディングスはその持株会社です。[72]
MBKパートナーズグループは日本・中国・韓国の企業を投資対象とする独立系プライベート・エクイティ・ファームです。[72]
介護業界における人材不足、厳しい介護報酬改定、顧客ニーズの変化などを受け、ツクイホールディングスは競争力強化・企業価値向上のためには外部の経営資源の活用が必要と判断し、資本パートナーの探索を行いました。
その結果、最終的にMBKパートナーズによる完全子会社化という戦略が採択されることになりました。[72]
ツクイホールディングスおよび主要株主である津久井企画からの打診で買い手候補7社による入札が行われ、最終的にMBKパートナーズが選ばれました。[72]
株式公開買付け[73]と株式併合を用いたスクイーズアウト(少数株主締め出し)[74]の結果、MBKP Life(MKBパートナーズ運営のファンド)と津久井企画のみが株主として残り、同年6月にツクイホールディングスは上場が廃止され[75]、今後は非公開会社として事業を継続することになりました。
エフビー介護サービスは長野県および周辺各県で福祉用具レンタル事業や介護事業を展開している企業です。[76]
地域共創パートナーズは群馬銀行が出資して設立した投資専門子会社です。事業再生や事業承継支援、ベンチャー支援などを通して、持続可能な地域経済発展を金融面からサポートしています。[77]
エフビー介護サービスの財務・経営基盤を強化し、地域密着型介護サービスのワンストップ提供体制を拡充する目的で今回の出資が行われました。[76]
2021年3月、ぐんま地域共創パートナーズが運営し群馬銀行などが参加する2つのファンドがエフビー介護サービスによる第三者割当増資を引き受けました。
ファンド総額は13.6億円です。[76]
[59] 沿革(幸和製作所)
[60] 株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(幸和製作所)
[61] 2020年2月期 有価証券報告書(幸和製作所)
[62] 当社の連結子会社(孫会社)である介護サポートサービス株式会社の株式の譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ(小僧寿し)
[63] シンセリティグループ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ(京進)
[64] サービス・事業紹介(京進)
[65] 平成29年5月期第37期有価証券報告書(京進)
[66] オリックス・リビング株式会社の子会社化について(大和証券グループ本社)
[67] オリックス・リビング株式会社の株式取得完了及び商号変更等に関するお知らせ(大和証券グループ本社)
[68] QLCプロデュース株式会社の株式譲渡契約を締結(出光興産)
[69] 事業概要(出光興産)
[70] 野村不動産グループ、介護住宅事業へ参入(野村不動産ホールディングス)
[71] 事業紹介(野村不動産ホールディングス)
[72] MBKP Life 合同会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ(ツクイホールディングス)
[73] MBKP Life 合同会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ(ツクイホールディングス)
[74] 株式併合並びに単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更に係る承認決議に関するお知らせ(ツクイホールディングス)
[75] 当社株式の上場廃止のお知らせ(ツクイホールディングス)
[76] ぐんま地域共創パートナーズが運営するファンドによる出資について(群馬銀行)
[77] 投資専門子会社の設立について(群馬銀行)
サンネットワークリブは近畿・東海地区で介護福祉用品の卸レンタル事業を展開している企業です。[78]
ワキタは建設機械の販売・貸与を全国展開し、商業設備・映像音声機器の販売、不動産賃貸・販売、ホテル経営なども手がけている企業です。[79]
ワキタは全国的な販売網を活かしつつ介護事業に新規参入する目的で今回のM&Aを行いました。[78]
2019年3月、ワキタはサンネットワークリブの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。
取得対価は21億円です。[80]
セラピは新潟県で介護福祉用具・医療器具の卸売事業とレンタル事業を展開している企業です。[81]
栗原医療器械店は北関東と首都圏エリアを中心に営業を展開している医療機器ディーラーです。[81]
医療機器販売業界では医療費抑制政策に起因する販売価格の下落と競争激化により利益率が低下し、経営環境が悪化しています。
そうしたなか、栗原医療器械店はヘルスケア事業の拡大や市場対応力強化、高収益体質の実現などを目的としてセラピの介護福祉用具レンタル事業の承継を決断しました。[81]
2021年2月、栗原医療器械店がセラピの介護福祉用具レンタル事業を承継する旨の最終契約書が締結されました。
公表されたスケジュールによれば、同年4月に事業承継が実行されています。承継の具体的な手法や条件は公開されていません。[82]
ドクターメイトは介護施設スタッフ向けにオンライン医療相談と夜間オンコール代行を組み合わせたサービスを提供している企業です。[83]
農林中金イノベーションファンド(農林中金イノベーション投資事業有限責任組合)は、デジタルイノベーションによる社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業の支援とオープンイノベーションの促進を目的とするベンチャーキャピタルファンドです。[84]
ドクターメイトは医療介護業界の人材不足解消と医療・介護・自治体の連携強化をDXにより実現することを目指しており、その事業を後押しする目的で今回の出資が行われました。
この出資により調達した資金をドクターメイトはプロダクトの開発と人材採用の強化にあてる予定です。[83]
2021年7月、農林中金イノベーションファンドはみずほ銀行、商工中金と共同でドクターメイトに1.8億円の出資を行いました。[83]
LINKは要介護者とその家族に介護士を派遣する介護士シェアリングサービス「イチロウ」を開発・提供している企業です。
利用者と介護士のマッチングからマネジメントまでをシステム上で効率的に処理することで、業界平均の1.6倍という介護士時給を実現しています。[85]
ブラッククローキャピタルは労働人口減少・高齢化問題にフォーカスしてスタートアップ企業を支援しているベンチャーキャピタルです。[86]
三井住友海上キャピタルはインターネット関連企業を初めとした幅広い業種を対象にして投資を行っているベンチャーキャピタルです。[87]
マネックスベンチャーズはインターネットを活用した先進的・革新的サービスを提供する企業を投資対象とするベンチャーキャピタルです。[88]
LINKは名古屋市を中心に展開してきた「イチロウ」のサービスを関東エリアへ拡大するとともに、プロダクトのさらなる磨き込みを行うことを計画しており、それを支援する目的で今回の出資が行われました。[85]
2020年9月、ブラッククローキャピタル、三井住友海上キャピタル、マネックスベンチャーズがLINKによる第三者割当増資を引き受け、計6,500万円を出資しました。[85]
メダは介護事務書類のクラウド管理プラットフォームを開発している企業です。[89]
サイバーエージェント・キャピタルはグローバル展開を念頭においてインターネット関連ベンチャー企業への投資を行っているベンチャーキャピタルです。[90]
一燈会は介護施設・デイサービス運営、障がい者支援、病児保育などの事業を展開している企業です。[91]
メダの事業立ち上げ期を資金面でサポートするとともに、プロダクト開発現場と介護現場の協力体制を構築する目的で今回の出資が行われました。[89]
2021年6月、サイバーエージェント・キャピタルと一燈会はメダによる第三者割当増資を引き受けました。
出資額は公開されていません。[89]
[78] 株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(ワキタ)
[79] 会社概要(ワキタ)
[80] 有価証券報告書-第60期(ワキタ)
[81] 株式会社セラピからの事業承継に関する基本合意書締結のお知らせ(栗原医療器械店)
[82] 株式会社セラピからの事業承継に関するお知らせ(栗原医療器械店)
[83] 日本初の介護×救急×病院の連携を実現したドクターメイトが、医療介護DXの推進のため1.8億円を調達(PR TIMES)
[84] 農林中金イノベーションファンドを通じたドクターメイト株式会社への出資について(農林中央金庫)
[85] 介護士のシェアリングサービス「イチロウ」を運営する株式会社LINKが、シードラウンドで6,500万円の資金調達を実施。(PR TIMES)
[86] ABOUT(ブラッククローキャピタル)
[87] 投資方針と投資対象(三井住友海上キャピタル)
[88] ABOUT(マネックスベンチャーズ)
[89] 介護書類クラウド管理「メダ株式会社」がシード資金調達ラウンドを完了、介護DX加速へ(PR TIMES)
[90] About CAC(サイバーエージェント・キャピタル)
[91] トップページ(一燈会)
人口構造の変化や介護行政の動向、介護現場における人材不足などに対応するため、介護業界ではM&Aが活発化、多様化している状況です。
買い手側となる企業も売り手側となる企業も、M&Aを主要な経営戦略として位置づけ、積極的に活用していくことが求められています。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)
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