印刷需要の低迷により印刷業界は大きな変革期を迎え、印刷会社の間ではM&Aによる事業変革・事業承継の動きが広がっています。印刷業界の現状と印刷会社のM&Aの動向、取引手法、近年の事例を詳しく解説します。
印刷業界の現状とM&A動向
印刷業界の現状
市場縮小と経営環境悪化
出版不況やマンガを中心とする電子書籍の普及、企業・官公庁におけるペーパーレス化などを背景として、印刷業の市場規模は年々縮小を続けています。
2005年から2014年にかけての10年で印刷業の出荷額は20.2%減少し、関連産業である製版業や製本・印刷物加工業にとってはさらに厳しい状況となっています。[1]
印刷業の10年の歩みを「印刷統計」で見てみよう(JAGAT)をもとに作成
印刷需要の低迷により、小規模事業者を中心に印刷事業所の稼働率低下が問題となっています。
また、印刷需要が全般的に低下する一方で多品種小ロット生産へのニーズが高まっていますが、抜本的な設備投資によってこれに対応できる事業者は少なく、多くの事業所で生産効率の低下が引き起こされている状況です。[2]
さらに、インターネット通販の形で印刷物の受注生産・配送を請け負う格安業者が台頭し、従来型の印刷業を圧迫しています。
こうした流れのなか、印刷事業者の倒産・廃業が相次ぎ、とくに中小事業者の淘汰が進んでいます。
また、後継者難により廃業を検討する印刷会社も少なくなく、事業承継が大きな課題となっています。[2]
事業変革の方向性
従来型の印刷サービスに依拠したビジネスでは今後の成長が望めないことから、印刷会社はそれぞれの立場で事業変革を図ろうとしています。
代表的な事業変革の方向性は、事業の総合化、多角化、専門化です。
総合化
比較的経営資源に余裕のある印刷会社においては、従来の事業で培った印刷技術を活かしながら事業の総合化を図る動きが広まっています。
総合化の例としては以下のようなものが挙げられます。
- 紙媒体の商業印刷やパッケージ印刷などのサービスをベースとしつつ、プロモーションやブランディングのための総合的なソリューションを提供
- データの保管、加工、印刷物への落とし込み、印刷物製造、発送までをワンストップで請け負うDPS(データ・プリント・サービス)事業を展開
- バックオフィスなどの業務プロセス全体を代行するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開
多角化
凸版印刷や大日本印刷などの大手印刷会社においては、デジタルマーケティングやDXソリューション、高機能素材開発といった異分野に進出し経営多角化を図る動きが盛んです。
専門化
一般的な印刷用紙への印刷(出版印刷など)は市場衰退が著しい上に専門性により付加価値を付けることが難しい分野ですが、パッケージ・ラベルなど印刷用紙以外への印刷や特殊印刷の分野は比較的市場が堅調で、専門性の追求により付加価値向上を図りやすい特徴があります。
こうした分野を強みとしている会社であれば、専門化の推進による中長期的な事業成長が望めます。

M&A市場の現状と動向 今後の展望も解説
M&Aの市場は、後継者不足問題の深刻化などを理由に拡大してきました。しかし2020年は、コロナ禍の影響で市場が縮小しました。公認会計士が、M&Aの市場の動向および今後の展望を徹底解説します。 目次M&am […]
印刷会社のM&A動向
印刷会社同士のM&A
印刷会社が印刷会社を買収するケースでは以下のような組み合わせが多く見られ、とくにパッケージ系印刷や特殊印刷を強みとする会社が売り手となるケースが目立ちます。
買い手 |
売り手 |
目的・背景 |
---|---|---|
印刷会社 |
印刷会社 |
|
特殊印刷系の印刷会社 |
同分野の印刷会社 |
|
大手・中堅印刷会社 |
海外印刷会社(主にパッケージ印刷系) |
|
ネット印刷会社 |
従来型印刷会社 |
|
売り手側の印刷会社は、主に以下のような理由・目的でM&Aを実施しています。
- 第三者への事業承継(後継者の獲得、事業・取引の継続、雇用維持)
- 大手印刷会社傘下での事業成長
- 経営難に陥った事業の再生
- 不採算部門の整理とコア事業への経営資源集中
印刷会社による異業種企業の買収
事業多角化を進める印刷会社は、デジタルマーケティングやIT関係を初めとする多種多様な企業とのM&Aを積極的に展開しています。
そのほか、特殊印刷製品を製造する企業が印刷機器・印刷素材メーカーを買収し、技術力とサービスの向上を図る例などもあります。
異業種企業による印刷会社の買収
異業種企業が印刷会社を買収するケースでも、パッケージ印刷や特殊印刷を強みとする会社に買収ニーズが集中する傾向があります。
買い手となっているのはパッケージメーカーや機能素材メーカーなどで、M&Aの目的はパッケージ印刷・特殊印刷工程の内製化や、印刷技術を活用した新製品の開発強化などです。
売り手側の印刷会社としては、買い手企業やその傘下企業からの受注により事業を安定化したり、買い手の製造事業とのシナジーにより印刷事業の拡大を図ったりすることが可能になります。
[1]印刷業の10年の歩み(日本印刷技術協会)
[2]印刷産業における取引環境実態調査(経済産業省)
印刷会社のM&Aで用いられる取引手法
ここでは、印刷会社のM&Aで用いられる代表的な取引手法である株式譲渡、事業譲渡、資本・業務提携について、概要を解説します。
株式譲渡
株式譲渡はM&Aで最もよく用いられる手法で、印刷会社のM&Aも株式譲渡によるケースが大半です。
株式譲渡では、買い手企業が売り手企業株式の50%超~100%を取得し、売り手企業を子会社化します。
株式譲渡完了後に売り手企業において株主総会・取締役会を開き、買い手企業主導で新役員・代表取締役選任などを行い、双方のこれまでの事業・組織体制を活かしつつ経営統合を図ります。
M&A取引自体は売り手企業株主から買い手企業への株式の譲渡と株式名簿名義書換で完了するため、手続きが比較的簡便です。
株式譲渡では基本的に売り手企業全体を買い手がグループ内に取り込むことになります。
売り手企業が抱える簿外債務(未払い残業代など、現時点で貸借対照表に計上されていない債務)や潜在債務(従業員や取引先、周辺住民とのトラブルで将来的に損害賠償責任を負うリスクなど)もそのまま買い手に引き継がれます。
売り手企業が大きな問題・リスクを抱えていてそのまま子会社化することが難しい場合、事業譲渡により一部事業のみを買収したり、売り手企業を2つの会社に分割してからその一方のみを株式譲渡で子会社化したりする手法が用いられます。

株式譲渡とは?メリット・手続き・契約・税金を税理士が解説
株式譲渡とは、売却会社の株主が持つ株式を、買収会社に譲渡し、会社を売買する方法です。 中小企業のM&Aの多くは株式譲渡によって行われています。 株式譲渡のメリット・デメリット、手続き、契約書、かかる税金・価値算定 […]
事業譲渡
比較的小規模な事業を対象とするM&Aでは事業譲渡の手法もしばしば用いられます。
例えば、売り手企業の一部の事業や少数の事業所・工場のみを譲渡するような場合です。
事業譲渡では、譲渡する事業の範囲を契約書で定めた上で、その事業に含まれる権利義務(資産、債権・債務、契約など)を買い手企業に移転します。
これによりその事業は買い手企業に吸収されます。
買い手にとって価値のある事業だけを譲渡したり、売り手企業が抱えるリスクを譲渡対象から外したりするなど、M&Aの範囲を柔軟に設定できるのが事業譲渡の利点です。
ただし、権利義務の1点1点を買い手企業に個別に移転する手続きが必要になり、契約関係の移転については契約の相手方の同意、不動産などについては変更登記も必要です。
権利義務の件数が多いと手続きが煩雑化し、事務コストが膨大になります。

事業譲渡とは?メリット・手続き・流れ【図解で分かる】
事業譲渡とは、会社がある事業の全部または一部を譲渡することをいいます。企業全体を売買対象とする株式譲渡と違い、譲渡対象の事業を選べるのが特徴です。M&Aの代表的な手法のひとつです。この記事では、事業譲渡の意義、株 […]
資本・業務提携
資本提携は、出資を通して協力・協業関係を構築する手法です。
出資する側は出資先に対して株主として一定程度の影響力を行使することができ、出資を受ける側は増資により資金調達を行ったり出資者との協働により事業拡大を図ったりすることができます。
出資側の持株比率は3分の1以下にとどめるのが通例です。
3分の1を超えると、出資側が単独で株主総会の特別決議を否決できます(会社法第309条第2項[3])。
特別決議にかけられる事項には、定款変更や組織再編など、経営上の重要事項が含まれており、これを単独で否決できるとなると出資者の影響力が大きくなり過ぎる恐れがあります。
場合によっては資本提携後の状況に応じて追加出資を行って出資側企業が影響力を強め、最終的には子会社化にいたることもあります。
資本提携契約とともに、一定の業務範囲について具体的な協業の内容・方法・期間などを定めた業務提携契約を取り結ぶケースが多く、両者を合わせて資本業務提携と呼びます。
事業多角化を進める印刷会社が異業種企業とのM&Aにおいて資本業務提携を選択するケースもよく見られます。

資本提携とは?業務提携との違い、メリット、最新事例を解説
資本提携について、業務提携との明確な違いがわからいという方は多いのではないでしょうか。今回は資本提携と業務提携の違い、メリット・デメリットや具体的な手法、事例を図解で分かりやすく解説します。 目次資本提携とは?資本提携の […]
印刷会社同士のM&A事例
【紙製品製造・印刷加工×パッケージ・印刷】オストリッチダイヤが北越パッケージから印刷事業を譲受
譲渡企業の概要
北越パッケージ:各種パッケージの企画・デザイン・製造、加工紙・液体容器の製造[4]、ビジネスフォーム印刷・DPS[5]などの事業を展開
譲り受け企業の概要
オストリッチダイヤ:各種紙類・プラスチックフィルムの印刷加工・断裁・製本、各種用紙・帳票の製造、一般印刷物の企画・印刷・加工などの事業を展開[6]
M&Aの目的・背景
譲渡企業:印刷関係事業を切り離し、主力事業であるパッケージング事業への経営資源集中を図る[5]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年5月
- 手法:事業譲渡
- 結果:オストリッチダイヤが北越パッケージからビジネスフォーム印刷事業・DPS事業を譲受
- 譲渡金額:不明

印刷会社の売却動向やメリット、近年の事例をくわしく解説
市場規模が縮小するなか、印刷業界ではM&A・会社売却により現状打開を図る動きが活発化しています。印刷業界の課題と現状打開の動き、印刷会社の売却動向、売却のメリット、最新の売却事例を解説します。(執筆者:京都大学文 […]
【商業印刷・印刷商品販売×印刷】スキットがアヤトを完全子会社化
譲渡企業の概要
アヤト:富山県に拠点を置き、企業・公的機関向けに定期刊行物・販促宣伝品・伝票などの印刷事業と印刷物企画・制作事業を展開
譲り受け企業の概要
スキット:福井・東京・大阪・福岡に拠点を置き、同業・関連業種からの委託による商業印刷事業と、ポケットフォルダー・選挙ポスター・圧着DM・ノベルティーなどのオリジナル印刷商品開発・販売事業を展開[7]
M&Aの目的・背景
譲渡企業:第三者への事業承継(後継者の獲得、従業員の雇用継続)
譲り受け企業:顧客層の異なる企業との経営統合によるシナジー創出、緊急事態下でも事業継続が可能な生産体制の構築
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年8[8]
- 手法:株式譲渡
- 結果:スキットがアヤトの全株式を取得し同社を完全子会社化
- 譲渡金額:不明

親子3代続く富山県の印刷会社を、福井県の若手社長が経営する印刷会社に譲渡【M&A事例】
富山県に拠点を置き、各種販促物や書籍等の企画から印刷までを手がけている株式会社アヤト。元社長の綾藤 隆氏が高齢であることから、第三者への事業譲渡を検討されました。金融機関に相談したところ、紹介されたコンサルティング会社経 […]
【印刷・プロモーション×印刷】日本創発グループが小西印刷所を完全子会社化
譲渡企業の概要
小西印刷所:兵庫県西宮市を拠点に地元企業からの直請けによる総合印刷業を展開[9]
譲り受け企業の概要
日本創発グループ:印刷事業を中核として、デジタルコンテンツ事業・セールスプロモーション事業・オリジナルグッズ製造・OEM事業などの総合的なクリエイティブサービスを展開する企業グループの持株会社[10]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:中核地方都市を拠点とする総合印刷会社のグループ化を通して事業成長を図る戦略の一環[9]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年10月28日(持分法適用関連会社化)、2021年10月1日(完全子会社化)
- 手法:株式譲渡
- 結果:日本創発グループが小西印刷所の一部株式(議決権比率39.02%)を取得して同社を持分法適用関連会社とし[9]、協業関係強化のため株式を追加取得して完全子会社化[11]
- 譲渡金額:持分法適用関連会社化時の譲渡金額は未公表、株式追加取得時の譲渡金額は3億700万円[11]
【包材印刷×包装印刷】朝日印刷がマレーシアの印刷会社2社を子会社化
譲渡企業の概要
Harleigh (Malaysia)とShin-Nippon Industries:マレーシアに拠点を置き、マレーシア国内外の医薬品市場などに向けて各種包装の印刷・製造・販売事業を展開[12]
譲り受け企業の概要
朝日印刷:医薬品・化粧品の包材(パッケージ・添付文書・ラベル)を中心とする印刷包材事業や包装システム販売事業などを展開[12]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:ASEAN諸国における製造拠点・顧客基盤の確立、人材交流などを通じた人財育成[12]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2019年12月[13]
- 手法:株式譲渡
- 結果:朝日印刷がHarleigh (Malaysia)とShin-Nippon Industriesの株式(各々65%)を取得し両社を子会社化
- 譲渡金額:Harleigh (Malaysia)株式は約136万米ドル、Shin-Nippon Industries株式は約220万米ドル[12]

クロスボーダーM&Aとは?メリットや手法、有名事例を徹底解説
クロスボーダーM&Aとは、譲渡企業か譲受企業のいずれかが海外の企業であるM&Aです。近年増加傾向にあるクロスボーダーM&Aの目的や手法、有名事例、成功に導くための注意点をわかりやすく解説します。(公認会計 […]
【総合印刷×建装材印刷】凸版印刷が独Interprintを完全子会社化
譲渡企業の概要
Interprint:ドイツ・アルンスベルク市に本社を置く世界有数の建装材用化粧シート印刷メーカー[14]
譲り受け企業の概要
凸版印刷:印刷テクノロジーをベースに多角的な事業を展開する大手総合印刷会社[15]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:建装材事業におけるグローバルな生産拠点・販売ネットワークの確立と地産地消体制の推進、技術交流・共同開発を通じたソリューション力向上、生産ノウハウ共有による生産性向上[16]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2019年10月15日
- 手法:株式譲渡
- 結果:凸版印刷がInterprintの全株式を取得し同社を完全子会社化
- 譲渡金額:3億400万ユーロ[16]
【ネット印刷×印刷・製本】プリントネットがウイズプリンティングを子会社化
譲渡企業の概要
ウイズプリンティング:大阪で印刷・製本事業を展開[17]
譲り受け企業の概要
プリントネット:東京・埼玉・九州の5つの製造拠点をもとにインターネット印刷通販事業を展開[17]
M&Aの目的・背景
譲渡企業:事業再生のため
譲り受け企業:関西地域における製造拠点獲得、サービス強化、運送コスト低減[17]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2019年4月1日
- 手法:事業譲渡
- 結果:プリントネットが民事再生手続き中のウイズプリンティングから印刷・製本事業を譲受[17]
- 譲渡金額:非公表

通販業界のM&A動向、買収事例、売却価格の相場
通信販売とは、インターネットなどの手段で商品の販売等を行う事業です。通販事業のM&Aには、販売網拡大などのメリットがあります。通販業界のM&A動向や事例、売却額相場を求める方法を詳しく解説します。 目次通 […]

M&A成功事例40選 大企業・中小企業・業界別|2021年版
今回は大企業・中小企業別、業界別に厳選したM&A事例40選を紹介します。国内・海外の大企業事例から中小企業事例まで、譲渡・譲り受け企業の概要、M&Aの目的・M&A手法、成約に至るまでを解説します。 […]
[4]業務内容(北越パッケージ)
[5]一部事業譲渡(北越パッケージ)
[6]会社概要(オストリッチダイヤ)
[7]事業内容(スキット)
[8]会社概要(スキット)
[9]小西印刷所の持分法適用関連会社化(日本創発グループ)
[10]グループ事業紹介(日本創発グループ)
[11]小西印刷所の株式の追加取得(日本創発グループ)
[12]HarleighおよびShin-Nippon Industriesの株式取得(朝日印刷)
[13]沿革(朝日印刷)
[14]Interprintの株式取得(凸版印刷)
[15]製品・サービス(凸版印刷)
[16]第174期有価証券報告書(凸版印刷)
[17]事業譲渡契約締結(プリントネット)
印刷会社による異業種企業買収・出資事例
【光学機器・印刷×印刷機器】キヤノンがオランダ子会社を通して英イーデールを子会社化
譲渡企業の概要
イーデール:フレキソ印刷技術を用いたラベル印刷機・パッケージ印刷機・各種フィニッシング処理機器の製造・販売事業を展開する英国企業[18]
譲り受け企業の概要
キヤノン:大手光学機器メーカーで、新規事業のひとつとしてプリンティング事業を展開[19]
キヤノンプロダクションプリンティング:キヤノンのオランダ子会社で、産業・オフィス向けプリンターやデジタルプロダクションプリンティングシステムの研究開発・生産・販売事業を展開[20]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:ラベル・パッケージ印刷機分野の強化(現行ラベル印刷機シリーズの拡販、ラインナップ拡充、新製品開発)、プリンティング事業の高付加価値化・生産性向上[18]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2022年4月
- 手法:株式譲渡
- 結果:キヤノンプロダクションプリンティングがイーデールの全株式を取得し同社を完全子会社化
- 譲渡金額:不明
【機能性印刷×布ヒーター製造】東洋レーベルがライフテックの全事業を承継
譲渡企業の概要
ライフテック:スクリーン印刷技術を用いた面状布発熱体(布ヒーター)の設計・製作事業を展開[21]
譲り受け企業の概要
東洋レーベル:特殊印刷による各種機能性部品・立体転写シール・ラベル・ステッカーなどの受託製造事業を展開[22]
M&Aの目的・背景
譲渡企業・譲り受け企業:両社のスクリーン印刷技術を一体化し技術開発の推進を図る[23]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年9月(株式譲渡)、11月(事業譲渡)
- 手法:株式譲渡・事業譲渡
- 結果:東洋レーベルがライフテックの全株式を取得して同社を完全子会社化したのち、ライフテックから全事業を東洋レーベルに移管[23]
- 譲渡金額:不明
【総合印刷×デジタルコンテンツ】共同印刷がMediBangと資本業務提携
譲渡企業の概要
MediBang:イラスト・マンガの制作ツールおよび投稿サイトの開発・運営を手がけるとともに、NFT(デジタルデータの非代替性トークン)技術を用いたGMOインターネットグループのマーケットプレイス上において、作品を制作・発信できるプラットフォームの整備と出品・受付対応サービスを展開[24]
譲り受け企業の概要
共同印刷:印刷メディアの編集企画・制作・マルチデバイス展開、ビジネスフォーム印刷・DPS・BPO、パッケージ・高機能材料製造などの事業を展開[25]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:譲渡企業との協業を通して、今後需要拡大が見込まれるNFT活用サービス関連事業の拡大を図る[24]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年10月
- 手法:第三者割当増資・資本業務提携
- 結果:共同印刷がMediBangの第三者割当増資を引き受け同社株式3.18%を取得し、両社間で資本業務提携を開始[24]
- 譲渡金額:不明

システム開発会社のM&A動向と事例30選
システム開発業界は人材不足の慢性化やクラウド化の進展により過渡期を迎えており、M&Aが活発化しています。近年のシステム開発業界の動向と、システム開発会社の最新M&A事例を厳選して30例お伝えします。(執筆 […]
【印刷・デジタル製作×出版】須田製版がシグナルを子会社化
譲渡企業の概要
シグナル:北海道に拠点を置き、全国の自治体・官庁・関係団体向けに交通安全教育用冊子・リーフレット・チラシの企画出版事業を展開[26]
譲り受け企業の概要
須田製版:北海道と東京に拠点を置き、印刷媒体とデジタル媒体(Web・電子書籍・デジタルサイネージ・動画など)の企画・デザイン・製作事業を展開[27]
M&Aの目的・背景
譲渡企業:経営者高齢化などの懸案事項の解消[28]
譲り受け企業:本州方面での顧客基盤拡大、両社の得意分野の補完・強化[29]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年9月30日
- 手法:不明
- 結果:須田製版がシグナルを完全子会社化
- 譲渡金額:不明

Webメディア売却の事例や相場を徹底解説【2021年最新版】
Webメディア売却の市場は近年拡大しており、さまざまな種類・規模のメディアが売買されています。Webメディア売却の動向や最新事例、メリット、売却金額の相場などをくわしく解説します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金 […]
【印刷・情報サービス×IT】大日本印刷がラトナと資本業務提携
譲渡企業の概要
ラトナ:IoT・エッジコンピューティング・AI分野の技術開発事業などを展開[30]
譲り受け企業の概要
大日本印刷:印刷・プリント技術をベースとして、出版関連事業、マーケティング事業、情報セキュリティ事業、フォト・イメージング事業、包装・パッケージ関連事業、内外装材・産業用高機能材・電子機器部材事業などを展開[31]
M&Aの目的・背景
譲渡企業:技術開発・事業拡大のための資金調達[30]
譲り受け企業:自社の強みとラトナの強み(IoT・エッジコンピューティング分野での技術力、エッジコンピューティング分野の特徴である高セキュリティ・低コスト)を掛けあわせ、物体認識・顔画像認識などの技術の活用を通して小売・製造・エンタテインメント業界向けソリューション提供力の強化を図る[32]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年8月
- 手法:資本業務提携
- 結果:大日本印刷がラトナに出資し、両社間で業務提携を開始[32]
- 譲渡金額:不明

出版業の売却・M&A動向と事例12選
出版市場が縮小しデジタル化の圧力が高まるなか、中小規模の出版社による売却が活発に行われています。出版業界の現況と出版業売却のメリット、売却動向、近年の売却・M&A事例などをくわしく解説します。 目次出版業界の現況 […]
【総合印刷×Webマーケティング・サイト構築】図書印刷がUNIWORXを完全子会社化
譲渡企業の概要
UNIWORX:Web マーケティング、 ECサイト構築・運営、システム開発などの事業を展開[33]
譲り受け企業の概要
図書印刷:紙媒体・デジタル媒体の組み合わせによる販促・マーケティングソリューション事業、広報・ブランディングソリューション事業、印刷ソリューション事業などを展開[34]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:デジタルマーケティング支援事業における提案力強化・事業領域拡大[33]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年2月
- 手法:株式譲渡
- 結果:図書印刷がUNIWORXの全株式を取得し同社を完全子会社化
- 譲渡金額:不明

EC業界におけるM&A・売却事例30選【図解で相場も解説】
EC業界では、市場拡大などの影響でM&Aが活発化しています。EC事業のM&Aでは、主力事業への集中などのメリットを得られます。EC事業のM&Aについて、成功させる方法や事例、相場をくわしく解説しま […]
[18]英イーデール社を完全子会社化(キヤノン)
[19]プリンティング(キヤノン)
[20]欧州地域グループ会社(キヤノン)
[21]会社案内(ライフテック)
[22]製品情報(東洋レーベル)
[23]ライフテックより事業譲渡(東洋レーベル)
[24]MediBangとの資本業務提携(共同印刷)
[25]事業紹介(共同印刷)
[26]会社概要(シグナル)
[27]須田製版でできること(須田製版)
[28]交通安全雑記#153(シグナル)
[29]シグナル完全子会社化(須田製版)
[30]大日本印刷からの資金調達(ラトナ)
[31]事業領域(大日本印刷)
[32]ラトナと資本業務提携(大日本印刷)
[33]UNIWORXへの資本参加(図書印刷)
[34]サービス・製品(図書印刷)
異業種企業による印刷会社の買収事例
【パッケージ×印刷】イムラ封筒がハシモトコーポレーションを完全子会社化
譲渡企業の概要
ハシモトコーポレーション:印刷物のデザイン、製作・製版、オフセット印刷、オンデマンド印刷などの事業を手がけ、イムラ封筒の主力工場を支える印刷会社として同社と長年に渡り取引を継続[35]
譲り受け企業の概要
イムラ封筒:オーダーメイド封筒を中心とするパッケージソリューション事業、DMの企画から発送まで請け負うメーリングサービス事業、3PL(サードパーティーロジスティクス)事業などを展開[36]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:パッケージソリューション事業の運営安定化、印刷工程の内製化による業務効率化[35]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2022年1月
- 手法:株式譲渡
- 結果:イムラ封筒がハシモトコーポレーションの全株式を取得し同社を完全子会社化
- 譲渡金額:非開示[35]
【パッケージ×印刷】レンゴーが金羊社を子会社化
譲渡企業の概要
金羊社:エンターテインメント系メディア(CD・DVD・ゲームソフト)のパッケージ印刷、水性フレキソ印刷を用いた軟包装製品(食品包装・飲料ラベル)の製造・販売、建装材特殊印刷などの事業を展開[37]
譲り受け企業の概要
レンゴー:板紙・段ボール製造の大手企業で、商品容器・パッケージ・ラベル製造事業も展開[38]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:メディアパッケージ分野への本格的進出、軟包装・販促ツール事業の拡充[37]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2021年3月[39]
- 手法:株式譲渡
- 結果:レンゴーが金羊社を子会社化(レンゴーが金羊社株式の50%、レンゴー100%子会社明和産業が金羊社株式の20%を取得)[37]
- 譲渡金額:不明

ゲーム会社の売却・M&A動向や手法、売却額の相場、最新事例
ゲーム会社の売却は、市場規模が拡大している現状において有用な戦略であり、投資資金の回収などを実現できます。ゲーム会社の売却メリットや手法、最新のM&A事例、成功可能性を高めるポイントを徹底解説します。(中小企業診 […]
【機能素材・電子部品×印刷】巴川製紙所が昌栄印刷を子会社化
譲渡企業の概要
昌栄印刷:特殊印刷技術・情報加工技術をベースに有価証券・ICカードなどの製造・加工・販売事業を展開[40]
譲り受け企業の概要
巴川製紙所:紙・不織布・パルプ・プラスチックなどを用いた電気・電子・光機器用素材・部品の製造事業を展開[41]
M&Aの目的・背景
譲り受け企業:昌栄印刷の印刷加工・情報加工技術の取り込みによる新製品開発機能拡充[40]
M&Aの手法・成約
- 実行時期:2020年3月30日[42]
- 手法:株式譲渡
- 結果:巴川製紙所が持分法適用関連会社であった昌栄印刷の株式を追加取得して保有比率を40.01%に高め、同社の意思決定機関を実質的に支配する状態となったことにより、同社を連結子会社化
- 譲渡金額:1億5,700万円

電子部品業界のM&A動向、売却価格相場、事例14選
電子部品企業(メーカー・商社)のM&A動向を業界の現状と絡めながら解説します。M&Aの買い手・売り手から見た目的・メリットや、売却価格相場、成功のポイント、2020年~2022年に実施された最新のM&am […]

製造業のM&A・売却動向や最新事例、価格相場を徹底解説
製造業のM&Aは、主に大手企業への傘下入りやIT化を目的に行われます。今回の記事では、製造業のM&A動向や最新・有名事例、メリット、相場、成功させるポイントをわかりやすく解説します。(中小企業診断士 鈴木 […]
[35]ハシモトコーポレーションの株式取得(イムラ封筒)
[36]事業紹介(イムラ封筒)
[37]金羊社の子会社化(レンゴー)
[38]企業情報(レンゴー)
[39]有価証券報告書第153期(レンゴー)
[40]持分法適用関連会社の連結子会社化(巴川製紙所)
[41]会社概要(巴川製紙所)
[42]2020年3月期有価証券報告書(巴川製紙所)
まとめ
印刷業界は印刷需要の変化により大きな転換期を迎えており、事業変革や事業承継を目的として多種多様な組み合わせによるM&Aが活発に行われています。
印刷会社にとって、経営戦略としてのM&Aの重要性は今後ますます高まっていくものと予想されます。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)
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