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サイト売買とは?流れやメリット、注意点、おすすめサービス6選

  • 法務監修: 相良 義勝 (京都大学文学部卒 / 専業ライター)

サイト売買とは、会社や個人が運営するWebサイトが対象のM&Aです。売り手・買い手の双方について、売買のメリット、流れ、失敗しないための注意点をくわしく解説します。また、サイト売買で利用できるおすすめのサービスも紹介します。

サイト売買とは(FV)

目次
  1. サイト売買とは? 
  2. サイト売買におすすめのサービス6選
  3. サイト売買のデメリット・注意点
  4. まとめ

サイト売買とは? 

サイト売買とは、Webサイト運営事業を対象としたM&Aのことです。
ここでは、サイト売買のM&A手法、目的・メリット、支援サービスの種類、交渉・手続きの流れを簡単にまとめます。

サイト売買の手法

サイト売買は事業譲渡により行われるケースが多く、吸収分割株式譲渡が用いられることもあります。

事業譲渡

事業譲渡

事業譲渡では、譲渡サイトの事業に含まれる権利義務(資産、負債、契約など)を一点一点買い手企業に移転します。
そのサイトの事業に含まれるすべての権利義務を譲渡する必要はなく、譲渡する範囲を交渉により決定し、契約書で規定します。

譲渡対象となりうる主な権利義務は以下の通りです。

分野

権利義務の例

ドメイン・サーバー

  • ドメイン名の使用権
  • サーバーレンタル、ドメイン維持・更新などに関する契約

プログラム・デザイン・コンテンツ

  • サイトを構成するプログラム、デザイン・UI、コンテンツなどの使用権
  • サイト名・ロゴなどの商標権
  • コンテンツ制作に関する業務委託契約

会員・ユーザー

  • 会員・登録ユーザーの顧客情報、アカウント・パスワード類
  • 会員・登録ユーザーとの契約

人材

  • サイト運営に携わる従業員との雇用契約
  • 賃金・退職金に関する債務

その他

  • 決済システムなどの外部サービスの契約
  • 広告主との契約
  • 運営ノウハウ

権利義務の件数が多いと手続きが煩雑になり、譲渡が完了するまで時間がかかることがあります。

売り手の株式会社が主要事業・全事業を譲渡する場合や、買い手の株式会社が全事業を譲り受ける場合には、株主総会特別決議が必要になります(会社法第467条、第309条第2項第11号[1])

吸収分割

吸収分割

譲渡サイトの事業に含まれる権利義務を包括的に(ひとまとめにして)買い手企業に移転します。
譲渡対象は事業譲渡の場合と同様ですが、権利義務を個別に移転する手続きは不要です。

その代わり、会社法や労働契約承継法に従って株主総会や債権者保護手続き、労働契約承継に関する手続きを行う必要があります(後述)。

権利義務の件数が多い場合、事業譲渡より吸収分割のほうが移転のコスト・時間を節約できるケースが多いでしょう。

株式譲渡

株式譲渡

買い手企業が売り手企業の株式(50%超~100%)を取得し、売り手企業を子会社化するという方法です。
売り手企業と買い手企業は別法人として事業を継続しつつ、グループとしてシナジーを追求するという形になります。

売り手が非上場企業の場合、売り手企業株主と買い手企業の間の株式譲渡取引でM&Aが成立するため、他の手法より手続きが簡便です。

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サイト売買の目的・メリット

 

サイト売買の目的・メリット

買い手

  • サイト運営事業への新規進出
  • 事業の多角化
  • サイト運営事業の拡充
  • クロスセリングの実現
  • 人材・ノウハウの融合

売り手

  • 売却利益の獲得
  • 新規事業の立ち上げ
  • 安定した事業基盤のもとでの事業継続
  • 主力事業への集中

買い手側の目的・メリット

買い手側にとって、M&Aの基本的な目的は成長の加速です。

事業を一から立ち上げて安定した収益力を有するようになるまで育て上げることは容易ではなく、時間とコストがかかります。
すでに十分な収益力を有し、今後の成長も見込める他社の事業を買収すれば、事業拡大を一気に推し進めることができます。

Webサイト運営事業の場合、事業立ち上げに当たり許認可の取得や巨額の設備投資は不要で、サイト構築・運営をサポートする各種ツールも豊富であるため、一般的に参入障壁は低いとされます。

そのため数多くのサイトが次々と立ち上げられていますが、厳しい競争のなか、安定した収益力を有するサイトにまで成長できるのは一部に過ぎません。

競争に勝ち残ったサイトを買収し、既存のリソースとうまく融合させてシナジーを引き出せば、事業立ち上げ期の試行錯誤を省略しつつ迅速に事業拡大を図ることができます。

具体的には以下のような目的・メリットが考えられます。

  • 既存事業やこれまでの実績・経験を活かしたサイト運営事業への新規進出(例:店舗でのリアルな取引をベースとする企業が同分野のECサイトやWebメディアを買収)
  • サイト運営事業における多角化(既存サイトとは異なる分野のサイトを取り込み、既存事業で培ったノウハウをもとに業容拡大・ブランド力強化を図る)
  • 同分野・関連分野で顧客層の異なるサイト(例:ターゲット年齢層が異なるWebメディア)や、サービス内容が補完的なサイト(例:旅行予約サイトにとっての旅行情報Webメディア)を取り込み、サイト運営事業を拡充
  • 売り手(買い手)の顧客を買い手(売り手)のサービスへ誘導し、双方のサービスの売上を向上(クロスセリング)
  • 人材・ノウハウの融合によるサービス向上、新サービス開発加速

売り手側の目的・メリット

売り手側の目的は買い手に比べて多様です。

サイト売却には大きく分けて2つのパターンがあります。

  1. 事業譲渡・吸収分割などにより売り手企業から当該サイト運営事業を切り離す
  2. サイト運営事業を主体とする売り手企業が、全事業の譲渡や株式譲渡により買い手企業の一部門・子会社となり、その事業を継続する

①の場合、サイト売却には以下のような目的・メリットがあります。

  • サイト売却で得た資金や残存する経営資源をもとに、より大きなスケールの事業を立ち上げる
  • 既存の主力事業にリソースを集中して成長加速を図る

②の場合、前節で挙げた買い手側の目的・メリットを買い手企業グループの一員として追求していくことになります。

売り手企業のオーナー経営者は、サイト売却とともに退職・引退する場合(事業承継型M&A)と、買い手企業の取締役や子会社代表取締役として買い手グループに残る場合があります。

前者の場合、サイト売却により別会社立ち上げの資金や引退後の生活資金を得ることができます。
後者の場合、経営上の裁量は制限されることになりますが、より安定した事業基盤のもとで事業を継続できるというメリットがあります。

いずれの場合も、買い手側の関与により個人保証を解除することも可能です。

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サイト売買で利用できるサービスの種類

通例、サイト売買はマッチングサイトを介して行われます。サイト売買を成功させる上では、マッチングサイトを通していかに適切な相手企業を見つけるかが第一の鍵となります。

マッチングサイトとは、インターネット上のシステムを介して売り手と買い手を引き合わせるサービスです。
売り手が売却案件情報(売却するサイトの内容や運営成績、売却希望条件など)をマッチングサイトに登録し、買い手がそれを検索・閲覧して売り手に交渉を持ちかける、というのが基本的なスタイルです。
買い手側が買収ニーズを登録して売り手を募集できるマッチングサイトもあります。

サイト売買を扱うマッチングサイトには以下の3タイプがあります。

  1. サイト売買専門サービス
  2. M&A仲介会社が運営するマッチングサイト
  3. M&Aマッチングサイト

①は専門サービスであるだけにサイト売買の実績が豊富です。通例、個人のサイトも対象とし、M&A手法は事業譲渡のみとなっています。

マッチングサイトのサービスだけでなく、交渉の仲介や、売買代金授受を安全に行うための預託(エスクロー)、サイト移行代行などのサービスを基本サービスまたはオプションとして提供している業者が多いのが特徴と言えます。

M&A仲介会社はM&A全般を対象としてマッチングや交渉仲介のサービスを提供しています。
仲介会社のマッチングサイトを利用する場合、売り手・買い手ともにその仲介会社と契約した上で交渉を進めることになります。

M&AマッチングサイトはM&A全般を対象とし、マッチングに特化したサービスを提供します。
①や②のマッチングサイトと比べ、幅広い相手とのマッチングを図ることが可能です。

登録案件に適した相手企業の探索・募集などを行う場合もありますが、基本的に交渉仲介サービスは提供しません。
その分、安価な手数料(売り手側は通例無料)で利用できます。

M&A仲介会社とM&Aマッチングサイトは法人・個人が利用できるものと法人専用のものがあります。

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サイト売買の流れ

マッチングサイトを利用したサイト売買の流れを簡単にまとめると、以下のようになります。

  1. マッチングサイトへの登録申請
  2. マッチングサイトによる登録審査~案件情報登録(通例は匿名の案件情報をサイト上に掲載)
  3. 案件検索・閲覧~候補企業選定
  4. 交渉打診
  5. 秘密保持契約締結~実名での交渉を開始
  6. 基本合意締結(暫定的な合意内容を確認し、以降のプロセスの義務を規定)
  7. デューデリジェンス(売り手からの内部情報提供を受け買い手がM&Aに関わるリスク・問題点を精査)
  8. 最終条件交渉
  9. 最終契約締結
  10. M&A実行手続き(株主総会開催、対価授受、資産・株式の移転など)
  11. サイト移行手続き(サーバー移転・ドメイン移管など)
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[1]会社法(e-Gov法令検索)

サイト売買におすすめのサービス6選

代表的なサイト売買専門サービス5つと、M&Aマッチングサイトの例としてM&Aサクシードのサービスを紹介します。

サイト売買Z

サイト売買Zはサイト運営・売買の経験者が立ち上げたサイト売買専門サービスです。

交渉仲介が基本サービスに含まれます。オプションとして、エスクロー、サイト移転代行、サイトハンティング(売り手として登録していない企業への交渉打診代行)などのサービスがあります。

入札方式による売却や、売上ゼロなどの訳ありサイトの売却も可能です。優良サイトを対象とした直接買取サービスも行っています。[2]

  • 料金体系

サービス

売り手料金

買い手料金

マッチング・交渉仲介

【通常の契約】

成約額25万円以上の場合:成約額の3%(最低55,000円/税込)

成約額25万円未満の場合:成約額の20%(最低11,000円/税込)

【専任媒介契約の場合】

成約額の6%~(応相談)

【入札方式の場合】

成約額25万以上の場合:成約額の8%(最低55,000円/税込)

成約額25万円未満の場合:通常と同一

【通常の契約】

成約額の3%~10%(サイトごとに設定、最低55,000円/税込)

【サイトハンティングの場合】

基本手数料:11万円(税込)

成功報酬:売買価格の10%

エスクロー

無料

無料

訳ありサイト売買

無料

初回登録費用:4,400円(税込)

成功報酬:5,500円(税込)

サイト移転代行

22,000円(税込)

22,000円(税込)

サイト売却金額査定

無料

SiteStock

SiteStockは2007年から運営されている業歴の長いサイト売買専門サービスです。

交渉仲介を含むプランと交渉は当事者で直接行うプランが用意されています。
交渉仲介プランではサイトハンティング(売り手として登録していないサイトへの交渉打診代行)も依頼できます。[3]

  • 料金体系

サービス

売り手料金

買い手料金

仲介プラン

基本仲介料:110,000円(税込)

成約時手数料:成約額(税抜)の10%+消費税

売り手と同一

直接交渉プラン

成約時手数料:成約額(税抜)の3%(最低55,000円/税込)

売り手と同一

エスクロー

無料

無料

サイト売却金額査定

無料

サイトキャッチャー

サイトキャッチャーは2005年から運営されている日本初のサイト売買専門サービスです。

交渉仲介を含むプランと交渉は当事者で直接行うプランがあります。仲介プランには専門家による契約書作成サービスが含まれています。
オプションに、エスクロー、サイト指名買い(売り手として登録していないサイトへの交渉打診代行)などがあります。[4]

  • 料金体系

サービス

売り手料金

買い手料金

仲介プラン

A+B+C+D+E+F(最低10万円/税込)

A:売買金額2000万円以下の部分の10%

B:売買金額2000万円超~4000万円の部分の9%

C:売買金額4000万円超~6000万円の部分の8%

D:売買金額6000万円超~8000万円の部分の7%

E:売買金額8000万円超~1億円の部分の6%

F:売買金額1億円超の部分の5%

【通常の契約】

売り手と同一

【サイト指名買いの場合】

買収金額の10%+10万円(税別)(最低22万円/税込)

直接交渉プラン

成約額(税抜)の3%+消費税(最低55,000円/税込)

売り手と同一

エスクロー

無料

無料

サイト売却料金クイック査定

無料

ラッコM&A

ラッコM&Aはサイト運営者向けに各種ツールを提供している会社が運営するサイト売買専門サービスです。

交渉仲介サービスはありませんが、売買交渉チャットや弁護士相談チャットが基本サービスに含まれています。
オプションにはサイト移行代行などがあります。

姉妹サービスであるラッコドメイン・ラッコサーバーで管理されているサイトであれば、サイト移行不要で迅速に売買できます。[5]

  • 料金体系

サービス

売り手料金

買い手料金

マッチングサイト、売買交渉・弁護士相談チャット、契約書生成・電子契約開始処理ツール、エスクロー

無料

成約金額の5%(最低55,000円/税込)

サイト移行代行

【移行先がラッコドメイン・ラッコサーバーの場合】

16,500円(税込)

【それ以外の場合】

33,000円(税込)

売り手と同一

サイト売却金額の自動査定

無料

サイトマ

サイトマはサイト売買の作業全般を代行してくれるサイトM&A専門サービスです。

サイトへの登録から交渉、契約、サイト移行までに必要はほぼすべての作業の代行サービスが基本サービスに含まれています。
オプションには、1~3日以内の案件掲載・告知、譲渡前のサイト高額化コンサルティング、買収後のサイト運営サポートなどがあります。[6]

  • 料金体系

サービス

売り手料金

買い手料金

売り手・買い手:マッチングサイト、交渉代行、面談セッティング、契約書作成代行、譲渡手続き司会進行、エスクロー、サイト移転代行など

売り手:サイトPR文作成、メルマガリスト・SNSへの告知、他の仲介サイトへの掲載代行、オフラインでの売却営業活動代理など

【初回】

着手金:33,000円(税込)(6ヶ月以内に売れなければ返金)

仲介手数料:譲渡金額の15%(税別)(最低33万円/税込)

【2回目以降】

着手金50%オフ・仲介手数料20%オフ

【初回】

着手金:33,000円(税込)

仲介手数料:譲渡金額の10%(税別)(最低33万円/税込、譲渡金額100万円未満の場合は22万円/税込)

【2回目以降】

着手金50%オフ・仲介手数料20%オフ

1~3日以内での案件掲載・告知

33,000円(税込)

サイト高額売却化コンサルティング

別途相談

買収後のサイト運営サポート

常時SSL化対応・Wordpressバージョンアップなど:各33,000円(税込)

サイトデザイン変更・運営コンサルティングなど:別途相談

M&Aサクシード

M&Aサクシード(旧:ビズリーチ・サクシード)は審査制の法人向けM&A・事業承継マッチングプラットフォームです。

日本全国からWebサイト運営企業を含む多種多様な売り手・買い手が集まっており、幅広い相手とのマッチングが可能です。
独自の審査基準に基づき、M&Aに対する真剣度の高い企業のみが登録されているため、質の高いマッチングが図れます。

  • 料金体系

サービス

売り手料金

買い手料金

マッチングサイト、企業価値算定、交渉手順の案内、交渉ノウハウ・契約書ひな形提供、M&Aアドバイザー紹介など

登録無料

基本料金:無料

成約時手数料:譲渡金額の2.0%(最低金額200万円)

交渉リクエスト数:20通

契約期間:6カ月の自動更新

[2] サイト売買Z
[3] SiteStock
[4] サイトキャッチャー
[5] ラッコM&A
[6] サイトマ

サイト売買のデメリット・注意点

サイト売買 デメリット・注意点

権利義務の承継に関する問題

売り手企業から譲渡される権利義務のうち、第三者が絡むもの(各種契約・知的財産権など)については、売り手・買い手間の合意だけでは承継できない場合があります。
重要な権利義務の承継が不可能であったり承継に時間がかかったりすると、M&Aの成否に関わります。

以下の権利義務についてはとくに注意が必要です。

  • 外部に委託して作成したコンテンツやプログラムの知的財産権(使用権・複製権など)
  • ユーザーとの契約(サイト利用契約など)やユーザーが投稿したコンテンツの著作権
  • 外部プラットフォーマー(Amazon、楽天、ヤフーなど)のアカウント(プラットフォーマーのサービス上で運営しているサイトを譲渡する場合)

プラットフォーマーのアカウントの譲渡については、プラットフォーマーによる事前承諾が必要であったり、そもそも禁止されていて譲渡できなかったりすることがあります。

事業譲渡の場合、権利義務の一点一点についての移転手続きが必要で、第三者が絡むものについては当該第三者の合意が必要になります。
権利義務の件数が多いとそのための交渉や手続きに時間がかかります。多数のユーザーから合意を取り付けることは事実上不可能な場合もあります。

本来、将来的にサイト売却を行うことを想定して、契約書やサイト利用規約で権利義務の自動的な承継について規定しておくのが得策と言えます。

会社分割では個別の移転手続きは不要ですが、債権者に不利益をもたらすようなケースでは(売り手または買い手に)債務履行などが求められることがあります(会社法第759条、789条、799条[7])。
また、雇用契約の承継についても特別な手続きが必要です(労働契約承継法[8])。

株式譲渡ではそうした問題はありませんが、取引契約などにチェンジ・オブ・コントロール条項(支配株主の異動や組織再編などが行われた場合に契約を一方的に制限したり解除したりできるとする条項)があると、売買の障害になることがあります。
この条項は他の手法でも問題になりえます。

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競業避止義務の問題

売り手企業や元オーナーなどが売却したサイトと同様の事業を立ち上げてしまうと、買い手にとって大きな脅威となり、買収が無駄になる恐れがあります。
そのため、サイト売買契約では売り手に対して一定範囲・一定期間の競業避止義務(競合する事業を営んではならないとする義務)を課すのが通例です。

売り手が法人(会社)の場合、会社法により原則として(当事者間の別段の合意がなければ)20年間の競業避止義務が課されます(会社法第21条[7])。

競業避止義務により売り手側は売却後の事業展開を制限されることになりますので、義務の対象範囲や期間について慎重に買い手と協議する必要があります。

ノウハウ引継ぎやサイト移転の問題

買い手側としては、事業引継ぎやサイト移転に関する売り手側の協力義務を契約書に定めておくのが得策です。

業務プロセスが属人化していると事業引継ぎがしにくく、売却価格を下げる要因となります。
売り手側としては、あらかじめできる限り業務プロセスを仕組み化し、可能であればマニュアル化しておくことが重要です。

引継ぎ後のサイト運営上の問題点

サイト売買ではすでに事業として成り立っているサイトを取得できるのが利点ですが、その反面、買い手の意向で自由にサイトを構築・改変することが難しいというデメリットもあります。

改変が技術的に困難であるケースや、改変に合わせて運営ノウハウを変更することが難しいケースがあります。
また、改変によりユーザー離れが引き起こされるリスクもあります。安易に手を加えてサイトの評判を落とし、M&Aが失敗に終わるケースも少なくありません。

買い手側には、そうした困難にもうまく対処しつつシナジーを引き出していくための経営判断が求められます。

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[7]会社法(e-Gov法令検索)
[8]労働契約承継法の概要(厚生労働省)

まとめ

「サイトは育てて売るもの(売ることを目的に育てるもの)」と言われるほど、サイト売買は一般化しています。
適切な相手企業とのマッチングを図り、事業引継ぎ上の問題点に対して早くから対策を検討しておくことが、サイト売買を成功させる鍵です。

(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)

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