アパレル業界は現在大きな転換期を迎えており、M&Aが活発に行われています。アパレル業界およびM&Aの動向を解説します。また、2019年から2021年に行われたM&Aの最新事例もくわしく紹介します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金融専門ライター 相良義勝)
「アパレル」とは衣服を意味し、アパレル業界は以下のようなタイプの企業から成り立っています。
企業のタイプ | 主な事業内容 |
---|---|
| アパレル商品の企画 |
| 糸製造、製織、染色・加工、縫製など |
| アパレルメーカーから仕入れた商品を消費者に販売 |
| アパレル商品や生地・原材料の買い付け、輸出入、アパレルメーカーなどへの提供・提案 |
| アパレルや生地などを専門に扱う物流 |
| 自社で企画・生産したアパレル商品を自社店舗チェーン・ECサイトで販売 |
| 自社で企画・生産したアパレル商品を自社ECサイトで販売 |
従来は①~⑤のタイプの企業がサプライチェーンの各プロセスを担い、水平的に分業を行うのがアパレル産業の標準的なあり方でしたが、現在では⑥・⑦のようにアパレルメーカーと小売店を兼ねる形態が拡大しています。
国内アパレル市場規模はバブル期の15兆円をピークに2010年頃までに10兆円程度へと減少し、その後はほぼ横ばいとなり、伸び悩みが続いている状況です。
その一方でアパレル供給量は20億点から40億点規模へと倍増しており、アパレル製品の単価は大幅に下落しています。[1]
出典:経済産業省「繊維産業の現状と経済産業省の取組」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/200129seni_genjyou_torikumi.pdf)一部抜粋
背景には、需要が伸び悩むなかでの過剰出店・過剰供給と不採算店舗の増加、バーゲン販売比率の上昇(正価販売比率の低下)があります。
そうしたことが原価率や品質の低下、正価への不信感などを招き、収益性・集客力をさらに低下させるという負のスパイラルが生じています。
そうした傾向は従来の主要販売ルートであった百貨店・量販店でとくに顕著です。[2]
百貨店などが低迷する一方でシェアを大きく伸ばしたのがSPA(製造小売)という事業形態をとる企業です。
日本ではユニクロのファーストリテイリングが代表的です。
従来は製造と企画、小売を別々の企業が分担する水平分業型の体制がアパレル業界の標準でしたが、SPAでは商品の企画と小売を一企業が担います。
製造は協力企業に委託するのが一般的ですが、すべての製造を自社工場で行うSPA企業もあります(ZARAなど)。
SPAにおいては、大量生産の商品を多数の店舗に効率よく分配し、商品の供給と在庫を全体的に最適化することで過剰供給や在庫不足を防ぐことができ、中間業者を排することで大幅なコストカットも実現できます。
これにより、同水準の商品をより安価に提供することが可能になります。
ファーストリテイリングなどの大手SPA企業は、そうした事業モデルにより流行性・品質と低価格を両立させた「ファストファッション」を持続的に供給し、消費者に広く受け入れられる存在となっています。
アパレル販売単価の低下や「ファストファッション」の一般化は、消費者の低価格志向やカジュアル志向に対応しています。
バブル期のように衣服や流行にお金をつぎ込むのではなく、生活のなかでカジュアルにおしゃれを楽しむ傾向に変化してきたと言えます。
また、オフィスの服装規範の軟化やクールビズの浸透、非正規雇用の増加などを受けてオフィスウェアのカジュアル化が進み、オンオフ兼用の服を着回しできるようになった結果、ビジネス・フォーマル系アパレルの消費はとくに大きな下落を示しています。[3]
物販業界全般でEC化が進行しており、アパレル業界も例外ではありません。
衣服・服飾雑貨などの物販におけるEC化率は年々上昇し(2013年7.47%→2018年12.96%)、市場規模も拡大しています。[1]
アパレル業界には潜在的にまだまだ大きなEC化の余地があると考えられ、低迷する百貨店業界などでもECの取り入れが進みつつあります。
たんにECサイトという販売チャネルを増設するだけでなく、スマホアプリやSNSなども活用しながらリアル店舗での販売とシームレスに連携していく「オムニチャネル」の取り組みも盛んになってきています。
ECの一般化に伴って、オリジナルブランド商品を自社運営のECサイトで直接消費者に販売するD2C(direct-to consumer)という事業モデルが拡大しており、実店舗販売にくらべて立ち上げが容易であることから、D2Cを主要チャネルとする企業が多数登場しています。
従来型のアパレルメーカーや小売店においても、事業ポートフォリオの転換・拡大を図るためにD2Cモデルを取り入れる動きが見られます。
EC、オムニチャネル、D2Cを積極的に展開する上で業務のDX(在庫の一元管理や可視化、営業のオンライン化など)は避けて通れない課題であり、アパレル業界向けのクラウドソフトウェアサービス(SaaS)を開発する動きも活発化しています。
アパレル製造などに関わる国内繊維産業の事業所数・製造品出荷額は1991年から2017年にかけて4分の1にまで減少しており、その一方で国内アパレル供給量に占める輸入品の割合(輸入浸透率)は急激に上昇し、非常に高い水準を推移しています。[1]
出典:経済産業省「繊維産業の現状と経済産業省の取組」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/200129seni_genjyou_torikumi.pdf)一部抜粋
国内のアパレル市場が縮小したことや、アパレルメーカーが安価な労働力を求めて生産拠点を海外にシフトしたことなどが原因として挙げられます。
生産規模は縮小したものの、高品質な多品種・小ロット生産を短納期で行える体制を有する企業が厳しい競争を経て生き残っており、日本のアパレル製造技術(糸製造、製織、染色・加工、縫製など)は国際的にも高く評価されています。
海外有名ブランドとの間でOEMや素材供給の取引を行う企業も少なくありません。
国内アパレルメーカーにおいては、とくに高い技術力が求められる製品などでは国内製造業者に生産を委託するケースがあるものの、全般的には生産力の主軸は海外に移ってしまっており、国内製造業者との関係が希薄化しているという指摘があります。
コロナ禍で外出が減りテレワークが拡大したことでアパレルのニーズが急落し、それ以前より生じていた低価格化・カジュアル化の流れが加速したことで、アパレル業界は大きな打撃を受けました。[3]
とくにビジネス・フォーマルウェアは苦戦し、事業ポートフォリオの転換を迫られる企業も出ています。
上場アパレル企業も2020年度には減収となったところが多く、大手アパレル企業のレナウンなど大型倒産も発生しています。[4]
その一方で、コロナ禍はECにとっては追い風となり、企業のDXを促す要因ともなっています。
[1] 繊維産業の現状と経済産業省の取組(経済産業省)
[2] アパレル・サプライチェーン研究会報告書(経済産業省 製造産業局)
[3] アパレル業界で進むカジュアル化~コロナ収束後もカジュアル化の流れは続く見通し~(三井住友信託銀行)
[4] 上場アパレル、8 割超が 2020 年度減収(帝国データバンク)
一言でいえばアパレル業界は大きな転換期を迎えており、従来のあり方からの転換と改革を図るための取り組みが各社各様に試みられているところです。
M&Aという手段はそうした取り組みを短期間に推し進めることができるというメリットがあり、アパレル業界においては以下のような目的でM&Aが盛んに行われています。
そのほか、後継者不在問題を抱えた企業がM&Aにより事業承継を実現する例などがあります。
サンマリノはアジア・欧州における情報収集・素材調達・生産の広範なネットワークをもとに婦人服の企画提案・OEM事業を展開している企業です。[5]
オンワードホールディングスはオリジナルブランドや海外ライセンスブランドを多数展開する大手アパレルメーカーグループの持株会社です。[6]
両社のノウハウ・技術力・ネットワークを掛け合わせることにより原材料調達から販売まで一気通貫したサプライチェーンを構築し、情報の一元管理をもとに企画力向上と業務効率化を実現することなどを目的としています。[5]
2021年1月、オンワードホールディングスはサンマリノの発行済み株式の4%を取得し、同社と資本業務提携を開始しました。[5]
3ミニッツはファッション動画Webマガジンの運営やソーシャルメディアマーケティング支援などの事業を展開している企業です。
TSIホールディングスに譲渡されたETRÉ TOKYOは20~30代女性をターゲットとするD2Cブランドで、有名インフルエンサーをクリエイティブディレクターとして起用したSNSマーケティングにより成長を遂げてきました。[7]
TSIホールディングスはアパレルの企画・製造・輸入・販売、店舗設計、飲食店運営などの事業を展開している企業グループの持株会社です。
傘下企業が扱うブランドには、AVIREX、Schott、nano・universe、NATURAL BEAUTY BASIC、MARGARET HOWELLなどがあります。[8]
TSIホールディングスは幅広い顧客層の多様なニーズに応えるブランドポートフォリオの構築を基本戦略としており、中期経営計画の重点戦略として「デジタル企業化」を掲げています。
ETRÉ TOKYOの譲受けはそれらの戦略の一環として行われたもので、ミレニアル世代の顧客層の獲得と、D2Cビジネスおよびデジタルマーケティングの拡大を目的としています[9]
2020年7月、TSIホールディングスは3ミニッツからETRÉ TOKYOの事業を譲り受けました。[9]
2020年8月、新たに設立されたTSIホールディングス子会社のHYBESが同事業の運営を開始しました。[10]
ジャパンイマジネーション(現:エスダーヴ)は女性向けカジュアルブランドの企画・生産・販売・卸を行っている企業です。[11]
C.R.E.A.MはDressLabというブランドでレディースのドレス・フォーマルスーツなどの企画・製造・販売を行っている企業です。
自社サイトやZOZOTOWN・楽天市場などのECモール店舗を主要な販売チャネルとしています。[12]
C.R.E.A.Mはオケージョン(冠婚葬祭などのフォーマルなイベント・行事)向けのブランドを展開してきましたが、さらなる成長のためには他分野にもブランド展開を広げる必要があることを認識しており、コロナ禍でオケージョン関連イベントが軒並み中止・延期となったことで課題が緊急性を帯びる状況となっていました。
そんななか、人気ブランドOLIVE des OLIVEを展開する株式会社オリーブ・デ・オリーブの前会長渡辺兼久氏が仲立ちとなり、新規分野でのブランド展開を目的としてジャパンイマジネーションの2ブランド事業を譲り受けることになりました。[12]
2021年2月、C.R.E.A.Mがジャパンイマジネーションのブランド「BE RADIANCE」「Fabulous Angela」の事業を譲り受ける旨の合意が成立しました。[12]
同年5月には譲り受け後初となるコレクションの販売を自社サイトなどで開始しています。[13]
ラクサス・テクノロジーズは高級ブランドバッグのサブスクリプション型レンタルサービスを展開している企業です。
事業全体をITの基盤の上に構築し、デジタル技術に基づくシェアリングエコノミーを推進しています。[14]
ワールドは幅広い顧客層をターゲットに多数のアパレル・宝飾・生活雑貨ブランドを展開する日本有数のアパレル企業グループの持株会社です。[15]
ラクサス・テクノロジーズは事業拡大・サービス認知度向上・新規顧客開拓のための大規模な資金調達を模索しており[16]、一方のワールドはシェアード・リユース市場の開拓を推し進めているところでした[15]。
両社のニーズがうまく合致し、大きなシナジーが見込めることから、ワールドによる株式取得と100億円規模の資金投資という形で戦略的パートナーシップの構築が行われました。[14]
2019年11月、ワールドはラクサス・テクノロジーズの株式(議決権比率62.5%)を取得し、同社を子会社化しました。
合わせて100億円規模の資金支援が行われています。[15]
リデア(現:ストラスブルゴ)は、クリチアーニやキートンなどの海外ラグジュアリーブランドを取り扱うセレクトショップ「STRASBURGO」を展開している企業です。[17]
W&Dインベストメントデザインはワールドインベストメントネットワークと日本政策投資銀行の共同出資で設立されたファンド運用会社です。[17
ワールドインベストメントネットワークは大手アパレル企業ワールドの子会社で、新規事業開発や既存事業改革を事業内容としています。[18]
日本政策投資銀行は日本政策投資銀行法に基づいて政府の出資により設立された金融機関です。[19]
八木通商はモンクレールやマッキントッシュを初めとする多数の優良海外ブランドの導入・育成を成功させてきた繊維商社です。[17]
リデアは積極的な出店攻勢や海外子会社への投資、過剰仕入れなどにより収益性が悪化し、そこにコロナ禍の影響が加わって経営困難に陥り、2020年11月に民事再生手続開始を東京地裁に申立てました。
今回のM&Aは、民事再生法に基づく裁判所の許可のもとでリデアの事業再生を図るために行われたものです。[17]
2020年11月、W&Dインベストメントデザインと八木通商がリデアの共同スポンサーとなる旨の契約が締結されました。[17]
同年12月、スポンサー企業2社により新設されたストラスブルゴにセレクトショップ「STRASBURGO」の事業(有利子負債を除く)が譲渡されました。[20]
2021年2月、W&Dデザイン投資事業有限責任組合(W&Dインベストメントデザイン、ワールド、日本政策投資銀行の3社が共同で出資・運営するファンド)と八木通商はストラスブルゴの事業展開を加速し再成長を支援する目的で出資を行っています。[20]
住商ブランドマネジメントはイタリアのシャツ・ブラウスブランド「ナラカミーチェ」とドイツ高級織物ブランド「フェイラー」の輸入・企画・販売を行っていた企業です。[21]
夢展望はRIZAPグループの子会社で、10代後半~30代の女性を主なターゲットにSPA方式で衣料品・靴・雑貨のオリジナルブランドを展開している企業です。[22]
夢展望は積極的なM&Aによる新規分野進出・企業規模拡大を成長戦略のひとつとしており、その一環として、既存事業とは顧客層・価格帯が異なる住商ブランドマネジメントの「ナラカミーチェ」事業の譲受けを決定しました。
「ナラカミーチェ」事業はEC強化を進めていたところであり、夢展望のECビジネスノウハウの投入によりEC比率向上が加速されるものと期待されています。[22]
2018年10月、住商ブランドマネジメントから「フェイラー」の事業が分割されて新設会社フェイラージャパンに承継され、「ナラカミーチェ」事業のみとなった住商ブランドマネジメントの全株式を夢展望が取得し同社を完全子会社化しました。[21]
取得対価は約4億9,500万円です。[22]
アパレル・雑貨を扱うECサイトなどを運営している企業です(詳細は非公開)。[23]
宝島ジャパンはモンゴル製品の日本への紹介、健康食品販売、アパレルショップ3店舗の運営などの事業を展開している企業です。[23]
宝島ジャパンはアパレル販売ビジネスのデジタル化の必要性を痛感しており、インターネットに強くて事業内容に親和性がある企業をM&Aの相手として探していました。
一方、譲渡側となるEC企業は過剰在庫を抱えていました。
譲渡企業は宝島ジャパンの取り扱い商品と親和性のある在庫を有しており、デジタル面の強化だけでなく商材面のシナジーも期待できることから、事業の譲受が決定されました。[23]
2021年8月、宝島ジャパンは譲渡企業からアパレルEC事業(在庫やインターネットショッピングモール店舗・自社ECサイトなど)を譲り受けました。[23]
なお、本M&Aは事業承継・M&Aプラットフォーム「M&Aサクシード」を介してマッチングが成立した事例で、オンラインでのやりとりにより交渉開始から4か月という短期間で最終契約に至っています。
神戸ザックは創業より約50年にわたり、自社工房・店舗においてオリジナルブランド「イモック」のザック(アウトドア用リュック)の製造・販売を行ってきた企業です。[24]
ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーは神戸・大阪・東京でセレクトショップ「乱痴気(LANTIKI)」を展開している企業です。[24]
神戸ザックの代表である星加氏が体調を崩し、後継者が不在であることから廃業するほかないと悩んでいたところ、神戸市産業振興財団の事業承継支援事業のことを知って連絡を取り、財団のサポートチームによる支援を受けることになりました。
ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーは有名ブランドを扱うだけでなく新進・無名ブランドを売れ筋にまで育成するノウハウを有しており、オリジナルアイテムの製造委託などを通して神戸ザックとも付き合いがありました。
ワークトゥギャザー・ロックトゥギャザー代表の前川氏は星加氏が後継者を探していることを知り、職人によるハンドメイドブランドという希少な価値を継承し国内外へ向けて拡大していくことを決断し、財団のサポートチームの助言のもとで両社による事業譲渡契約が成立することになりました。[25]
2020年6月、神戸ザックがワークトゥギャザー・ロックトゥギャザーに「イモック」の事業を譲渡する旨の契約が締結されました。
神戸ザック前代表の指導の下で新工房兼店舗での製造が開始され、2021年春には販売が開始されました。[25]
マロンスタイルはLL~5Lまで展開する大きいサイズの女性専用アパレル通販サイト「clette」の運営などを行っている企業です。[26]
ニッセンは婦人服を中心に衣料品・インテリア雑貨などのインターネット通販・カタログ通販を展開している企業です。[27]
ニッセングループはセブン&アイ・ホールディングスの傘下で経営再建を進めており、特殊サイズセグメントへの経営資源集中を再建戦略のひとつとして掲げています。[28]
今回のM&Aはその一環として行われたものです。[26]
2019年2月、ニッセンはマロンスタイルの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[26]
[5] “企画・生産構造改革”本格的スタート繊維専門商社の株式会社サンマリノと資本業務提携(オンワードホールディングス)
[6] 事業セグメント(オンワードホールディングス)
[7] ABOUT(3ミニッツ)
[8] グループ会社(TSIホールディングス)
[9] ETRÉ TOKYO 事業の譲受に関するお知らせ(TSIホールディングス)
[10] COMPANY(HYBES)
[11] ABOUT US(エスダーヴ)
[12] 有限会社C.R.E.A.Mの事業譲り受けのお知らせ(PR TIMES)
[13] BE RADIANCE、Fabulous Angelaがブランド譲渡後初となるコレクションを5月21日にECサイトでお披露目(PR TIMES)
[14] 100億円の資金調達および、株式会社ワールドとの戦略的パートナーシップ(資本及び業務提携)に関するお知らせ(Laxus)
[15] ラクサス・テクノロジーズ株式会社 ラクサス・テクノロジーズ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(株式会社ワールド)
[16] 【Laxus】SEQUEL:ワールドによる子会社化で向上する「ユーザ体験」(pilot boat)
[17] リデア株式会社とのスポンサー契約締結についてのお知らせ(ワールド)
[18] グループ会社(ワールド)
[19] 会社概要(日本政策投資銀行)
[20] 株式会社ストラスブルゴへの投資実行について(W&Dインベストメントデザイン)
[21] 会社概要(フェイラージャパン)
[22] 夢展望株式会社による住商ブランドマネジメント株式会社の株式の取得に関するお知らせ(RIZAPグループ)
[23] アパレル販売会社が同業の通販サイトをM&A。with/afterコロナを見据え、ECサイトを強化(M&Aサクシード)
[24] 100年経営支援事業(事業承継支援)第三者の起業家と後継者不在企業とのマッチングにより、2例目の事業譲渡が成約!!~登山用リュック専門店神戸ザック~(神戸市)
[25] 廃業危機から復活!元祖地方ブランド「神戸ザック」の未来(BE-PAL)
[26] 大きいサイズの女性専用アパレルECを運営する株式会社マロンスタイルを子会社化(ニッセンホールディングス)
[27] ニッセングループ会社(ニッセンホールディングス)
[28] 株式会社セブン&アイ・ホールディングスの完全子会社である株式会社セブン&アイ・ネットメディアの株式交換による株式会社ニッセンホールディングスの完全子会社化に関するお知らせ(ニッセンホールディングス)
ZOZOは日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」の運営、プライベートブランド商品の販売、ファッションコーディネートサイト「WEAR」の運営などを展開している企業です。[29]
Zホールディングス(旧:ヤフー)は「Yahoo!ニュース」「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」などのサービスを展開している大手インターネット企業です。[29]
ヤフーはソフトバンクグループなどとの共同出資で決済サービスPayPayを開始し、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」に加えて「PayPayフリマ」「PayPayモール」を開設するなど、EC事業の拡大を進めているところでした。
EC事業拡大のためには様々なカテゴリーにおいて魅力的な商品のラインナップを強化する必要があり、とくにファッションカテゴリーは市場規模が大きいことから、同分野で日本最大級のECサイトを運営するZOZOをグループ内に取り込むとともに、資本業務提携契約により強固な提携関係を築くことを決定しました。
ZOZOとしても、中高年層において高いシェアを有するZホールディングスとの提携による顧客層の拡大、ファッション領域以外の商品カテゴリーの拡充、PayPayモールを介した販路拡大、PayPay決済導入によるユーザー利便性向上などのシナジーが実現できるものと予想しています。[29]
2019年9月、ZホールディングスによるZOZO普通株式の公開買付け(TOB)が開始され、同年11月に買付けが終了し、Zホールディングスが議決権割合50.10%にあたる株式を取得してZOZOを子会社化しました。
両社の間で資本業務提携契約も合わせて締結されています。[30]
GOOD VIBES ONLYはアパレル業界向けにCGやAIなどを活用したDXソリューションを提供するとともに、インフルエンサーを活用したD2Cブランドの自社運営およびプロデュース(立ち上げ支援・SNS運用代行)を行っている企業です。[31]
D2C&Co.は百貨店運営を初め多角的な事業を展開する丸井グループの子会社で、D2C企業への投資・融資・出店支援などを行っている企業です。[32]
D2C支援ビジネスにおいてパートナーシップを構築し、丸井グループの実店舗運営・クレジットカード事業とGOOD VIBES ONLYのサービスの連携を図ることを目的として、資本業務提携が締結されました。[31]
2020年10月、D2C&Co.はGOOD VIBES ONLYへ出資を行い、同社と資本業務提携契約を締結しました。[31]
Spiberは次世代のサステナブル素材である植物由来構造タンパク質素材の産業化に取り組んでいる企業です。[33]
豊島はアパレル原料・糸・生地の買い付けから最終製品の企画・生産までアパレル産業の全過程に関わる事業を展開している繊維商社です。
約30年前から環境に配慮した素材にフォーカスし、ファッション業界のサステナビリティの推進に取り組んでいます。[33]
ファッション分野を初めとして、ライフスタイルの幅広い分野において構造タンパク質繊維を普及させるための共同開発を行うことを目的としています。[33]
2020年5月、豊島がSpiberの第三者割当増資を引き受け、両社の間で共同研究契約が締結されました。[33]
ヰノセントは「NIMES」や「LA MARINE FRANCAISE」などのオリジナルブランドを展開していた企業です。[34]
インスタイルグループは経営コンサルティングのインスタイルを中核とする企業グループで、投資、不動産、建築、飲食、アパレル、エンターテイメント、IT、デザインなどの多角的な事業を展開しています。[35]
ヰノセントは業績が低迷して資金繰りが悪化するなか、経営立て直しを図るためにインスタイルグループの傘下に入りました。
その後、ブランド事業をインスタイルグループのINSTYLE APPARELに譲渡して解散し、特別清算手続きを開始しました。[35]
2018年6月、インスタイルはヰノセントの株式を取得して同社を子会社化しました。2019年2月にはヰノセントがINSTYLE APPARELにブランド事業を譲渡し、同年11月に解散、2020年2月に特別清算を東京地裁に申請しました。[35]
尚捷集團控股有限公司は香港に拠点を置き、アパレルのサプライチェーン・マネジメント・サービスを中心とする事業を展開している企業です。[36]
EPSホールディングスは医薬品・医療機器業界向けのアウトソーシングサービスを展開している企業グループの持株会社です。[37]
EPSグループはアウトソーシングサービスを中核事業としていますが、中国においては医薬品・医療機器の自社プロダクトの研究開発・製造・販売も手がけています。[37]
今後は自社プロダクト事業をグループ全体で推し進める方針で、その一環としてデジタル技術を組み込んだ衣料(スマートアパレル)などを活用した「アパレル×ヘルスケア」事業に取り組んでおり、この取り組みを加速する目的で今回のM&Aを行いました。[36]
2021年4月、EPSホールディングスは尚捷集團控股有限公司の発行済み株式の75%を取得し、同社を子会社化しました。
取得対価は3,705億香港ドル(1香港ドル=14円として約51億8,700万円)です。[38]
LÝFTはフィットネス界の人気インフルエンサーエドワード加藤氏が手がけるオリジナルフィットネスアパレルブランド「LÝFT」の企画・製造・販売を行っている企業です。[39]
AnyMind Groupはサプライチェーン全体をカバーするDXプラットフォームをブランドビジネスに向けて開発・提供している会社です。[40]
AnyMind Groupはインフルエンサーを起用したデジタルマーケティングをアジア11カ国で展開してきましたが、次の展開として販売・流通にも踏み込み、インフルエンサーとの協業によるD2C事業などを開拓する目的で、LÝFTと資本業務提携を結びました。
LÝFTとしては、世界展開を見据えたライフスタイルブランドへの進化を推進するためのパートナーを得る目的でAnyMind Groupとの提携にいたりました。[39]
2020年5月、AnyMind GroupはLÝFTに資本参加し、同社と資本業務提携契約を締結しました。[39]
Factory Express Japanは紳士ビジネスシャツなどで国内トップシェアを誇るアパレルシャツメーカー山喜の子会社で、日本の工芸品やファクトリーブランド製品を取り扱うECショップおよびWebメディアの運営などを通して、工芸・ファクトリーにおけるものづくりや商品展開を支援しています。[41]
アパレルReSTARTファンドはコロナ禍などで窮境に立たされているアパレルブランドの再生を支援する事業を展開している企業です。[41]
全国のファクトリーをサポートするFactory Express Japanの事業を強化し成長させる目的で今回のM&Aが行われました。
アパレルReSTARTファンドは自社ノウハウを活かし、商品開発などにおいて山喜との連携体制を深めながら、継承した事業を展開していく予定です。[41]
2021年3月、アパレルReSTARTファンドはFactory Express Japanの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。[41]
park&portはアパレルメーカーに特化した営業支援SaaS「PORTUS CLOUD」を開発・提供している会社です。[42]
インキュベイト・ファンドはシードステージ(創業前後の初期成長ステージ)のスタートアップ企業への投資に特化したベンチャーキャピタルです。[43]
East Venturesは東南アジアと日本で投資事業を展開しているベンチャーキャピタルです。[44]
park&portの事業を推進するための資金調達を目的としています。[42]
2021年2月、インキュベイト・ファンドとEast Venturesがpark&portによる第三者割当増資を引き受け、同社に出資しました。
これによりpark&portが調達した資金は累計1億円を突破しました。[42]
patternstorageは多品種小ロット生産に特化したアパレル生産管理クラウドソフトウェアなどを開発している企業です。
将来的にはアパレル製造業全体に向けてサプライチェーンのDXを支援するソフトウェアを提供していく予定です。[45]
九州オープンイノベーションファンドはベンチャーキャピタルのGxPertners LLPとFFGベンチャービジネスパートナーズが運営するファンドです。
ちゅうぎんインフィニティファンドは中国銀行と中銀リースが運営するファンドです。[45]
patternstorageの事業を推進するための資金調達を目的としています。[45]
2020年10月、patternstorageは九州オープンイノベーションファンドとちゅうぎんインフィニティファンドを引受先とする第三者割当増資を行いました。[45]
[29] 株式会社 ZOZO 株式(証券コード 3092)に対する公開買付けの開始予定及び資本業務提携契約の締結に関するお知らせ(Zホールディングス)
[30] 株式会社 ZOZO 株式(証券コード 3092)に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ(Zホールディングス)
[31] D2C&Co.が、アパレルD2C運営とDX支援を行うGOOD VIBES ONLYと資本業務提携(PR TIMES)
[32] 会社概要(丸井グループ)
[33] 構造タンパク質素材の開発を行うSpiber株式会社の第三者割当増資の引受と共同研究契約の締結について(PR TIMES)
[34] 株式会社ヰノセントのインスタイルグループ参入について(インスタイルグループ)
[35] TSR速報(大型倒産情報・注目企業動向) (株)INS(旧:(株)ヰノセント)(東京商工リサーチ)
[36] 中国における子会社の異動に関するお知らせ(EPSホールディングス)
[37] 事業紹介(EPSホールディングス)
[38] 四半期報告書-第31期第3四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)(EPSホールディングス)
[39] AnyMind Groupとエドワード加藤オリジナルブランド"LÝFT"が資本業務提携 D2Cなど新領域ビジネスのグローバル展開に向け約29億円の資金調達を同時に発表(AnyMind)
[40] Solutions(AnyMind Group)
[41] 「Factory Express Japan株式会社」事業継承のお知らせ(PR TIMES)
[42] アパレルブランド・メーカー特化の営業支援SaaS「PORTUS CLOUD」を運営するpark&port株式会社が資金調達を実施、累計調達金額が1億円を突破しました。(PR TIMES)
[43] ABOUT US(インキュベイト・ファンド)
[44] トップページ(East Ventures)
[45] アパレル製造業向け生産管理クラウドサービスの「patternstorage」シードラウンドの資金調達の実施とプロダクトのβ版をリリース(PR TIMES)
小売市場が減退し、国内製造業の規模が縮小するなか、アパレル業界は大きな転換期を迎えており、EC化やデジタル化、D2Cの開拓など、従来のあり方からの転換・変革を図るための取り組みが各社各様に推進されているところです。
そうした動向に対応してM&Aも活発に行われており、今後のアパレル業界にとってM&Aは欠かすことのできない主要戦略のひとつだと言えるでしょう。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)