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事業承継をわかりやすく解説|種類・成功のポイント・流れ・事例

事業承継とは、現経営者が事業を後継者に引き継ぐことです。中小企業のあいだでは、経営者の高齢化に伴い、後継者不在が深刻化しています。事業承継の方法や流れ、M&Aによる第三者承継の成功事例をわかりやすく解説します。

事業承継(FV)

目次
  1. 事業承継とは
  2. 事業承継の方法・種類
  3. 事業承継の成功可能性を高めるポイント
  4. 事業承継の流れ
  5. 事業承継を目的としたM&Aの成功事例
  6. まとめ

事業承継とは

事業承継の意味

事業承継とは現経営者が事業を後継者に引き継ぐことです。
経営権、資産・負債、ヒトなど事業に関わるあらゆるものが事業承継の対象です。

しかし昨今後継者がいない後継者問題が大きな課題となっています。

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事業承継(事業継承)とは?税制や補助金、方法、税金【図解で解説】

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中小企業における事業承継の動向

平成26年経済センサス-基礎調査によると、中小企業は日本の企業数の約99%(小規模事業者は約85%)、従業員数の約70%(小規模事業者は約24%)を占めています。[1]
日本全体において、いかに中小企業が重要な存在かを示す数字です。

中小企業 事業承継 動向参考:事業承継ガイドライン (中小企業庁)をもとに弊社作成

また企業の経営の担い手の年齢について見てみると、59歳以下の経営の担い手は、1992年から2017年にかけて約45%減少しています。他方、60歳以上の経営の担い手は、同じ期間に約25%増加しています。

2017年時点では、60歳以上の経営の担い手の数は59歳以下を上回っています。[2]

経営者 年齢層 推移出典:2019年度版中小企業白書 (中小企業庁)

そして経営者が60 代の企業のうち、約半数の企業が後継者不在です。
また、2 割強の企業が事業承継について考えていない状況です。[3]

事業承継 意向 割合出典(以下特段記載がなければ同様):中小企業経営者のための事業承継対策 (中小機構)

これらの状況から考えて、後継者問題を解決するための事業承継の円滑化に向けた取組は経営者、国・自治体等、すべての当事者にとって喫緊の課題です。

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[1]事業承継ガイドライン (中小企業庁)
[2]2019年度版中小企業白書 (中小企業庁)
[3]中小企業経営者のための事業承継対策 (中小機構)

事業承継の方法・種類

親族内承継

親族内承継とは(FV)

親族内承継とは子供や兄弟等の親族に事業を承継する方法です。

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親族外承継

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M&Aによる第三者承継

M&Aとは

M&Aは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称です。
M&Aによる第三者承継は中小企業の事業を、M&Aの手法により、社外の第三者である後継者が引き継ぐことです。

 

メリット

デメリット

留意点

親族内承継

  • 一般的に社内外の関係者から心情的に受け入れられやすい
  • 一般的に後継者を早期に決定し、長期の準備期間を確保できる
  • 他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い
  • 親族内に、経営能力と意欲がある者がいるとは限らない
  • 相続人が複数いる場合、後継者の決定・経営権の集中が困難
  • 早めにアナウンスをして本人の了解を明示的にとりつける取り組みが必要となる

親族外承継

  • 親族内に後継者として適任者がいない場合でも、候補者を確保しやすい
  • 業務に精通しているため、他の従業員などの理解を得やすい
  • 親族内承継と比べて、関係者から心情的に受け入れられにくい場合がある
  • 後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多い
  • 個人債務保証の引き継ぎが難しい
  • 早めのアナウンスと本人の了解を明示的にとりつける取り組みが必要となる

M&Aによる第三者承継

  • 身近に後継者として適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができる
  • 現オーナー経営者が会社売却の利益を獲得できる
  • 希望の条件(従業員の雇用、売却価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難
  • 早めに近くの事業承継・引継ぎ支援センター等の支援機関に相談する

参考:中小企業経営者のための事業承継対策 (中小機構)をもとに弊社作成

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M&Aとは?目的・手法・メリット・流れを解説【図解でわかる】

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事業承継の成功可能性を高めるポイント

早い時期から準備を進める

業績には問題がないのに後継者問題が原因で廃業してしまう企業が存在します。
そのような企業がやむを得ない廃業に至ることなく、円滑な事業承継を実現するためには、早期に事業承継の計画を立てる必要があります。
そして、後継者の確保を含む準備への着手が不可欠です。

後継者の育成期間も含めると、事業承継の準備には約5年~10年必要です。
平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえると、60歳頃には事業承継に向けた準備に着手したいところです。[1]

後継者育成 準備 期間出典:事業承継実態調査 (中小機構)

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M&Aのスケジュール【期間や手続きの流れを徹底解説】

M&Aのスケジュールには、概ね1年かかります。手続きに時間をかけ過ぎると、市場の動向に乗り遅れるリスクがあるため注意です。M&A手続きの流れやスケジュールを短縮する方法をくわしく解説します。(公認会計士・ […]

資金・税金の対策を徹底する

事業承継においては、先代経営者から後継者に対し、株式や事業用資産を贈与・相続により移転する方法が一般に用いられています。この場合、贈与税・相続税の負担が発生します。

しかし事業承継直後の後継者には資金力が不足していることが少なくありません。
場合によっては会社財産が後継者の納税資金に充てられるケースがあります。
この場合、事業承継直後の会社に多額の資金負担が生じることとなります。
これは事業承継の大きな障害となりえます。

この理由から資金・税金の対策を徹底する必要があります。
なお、税金対策としては「事業承継税制」が役立ちます。

事業承継税制の概要は以下のとおりです。

事業承継税制 仕組み

M&A・事業承継
事業承継税制とは?猶予・免除要件やデメリットを税理士が解説

事業承継税制とは、後継者が承継した自社株式に関して、贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です。後継者の負担を軽減できる点がメリットです。要件や特例措置の概要、手続き、デメリットを徹底解説します。 目次事業承継税制と […]

専門家からのサポートを最大限活用する

中小企業の多くは、事業承継についての専門知識を有していません。
仮に事業承継に関心があるとしても、具体的にどう行動すれば良いか分からず、結局そのまま事業承継を断念してしまうケースがあります。

事業承継についての専門知識を有する支援機関は、そのような中小企業の意思決定やその後の諸手続の段階において適正にサポートする必要があります。
また事業承継の当事者にとっては専門家からのサポートの最大限の活用が大きなポイントです。

M&A・事業承継
事業承継の相談先おすすめ7選 相談先別のメリットも詳しく解説

事業承継の相談先には、税理士やM&A仲介会社などがあります。相談内容を得意としている専門家を選ぶことが重要です。公認会計士が、各相談先に事業承継を相談するメリットや、相談先を選ぶポイントを解説します。 目次中小企 […]

事業承継の流れ

事業承継 流れ

現状把握

経営状況と事業承継の課題を把握します。
経営状況の把握にあたっては、下記の取組等が有効です。

  • 保有する自子株式の数の確認と評価
  • 部門別損益分析を通じた稼ぎ頭商品等の認識
  • ローカルベンチマークを活用し、自社の業界内における位置付け等を評価

事業承継の課題の把握では以下の取組等が求められます。

  • 後継者候補の有無の確認
  • 後継者候補に対して、親族内株主や取引先等から異論が生じる可能性がある場合は、その対応策の事前検討
M&A・事業承継
M&Aの流れ・進め方 検討~クロージングまで【図解でわかる】

M&Aの全体的な手続きの流れを売り手・買い手両方の視点で見ていきます。事前準備・検討段階~クロージング・最終契約、経営統合後に必要な業務まで全ての流れを解説します。 目次M&Aの全体的な流れ検討・準備フェ […]

企業価値の磨き上げ

次に事業承継に向けた企業価値の磨き上げを実施します。
下記の取組等が有用です。

  • 本業の競争力強化:自社のシェアの高い商品・サービス等の拡充、技術力を活かした製品の高精度化・短納期化等
  • 経営体制の総点検:社内の風通しを良くし社員のやる気を向上させる、各種規定類・マニュアルを整備
  • 経営強化に資する取組:タイムリーかつ正確な足下の財務状況の把握
M&A・事業承継
M&Aのバリュエーション(企業価値評価)とは【図解で解説】

M&Aのバリュエーションとは、企業価値を評価することです。さまざまな手法があるため、状況に応じて使い分けることが重要です。会計のプロである公認会計士が、バリュエーションの方法をくわしく解説します。(公認会計士 前田 樹 […]

事業承継計画の策定・M&Aのマッチング

親族内承継等では、事業承継計画を策定します。
今後の環境変化の予測と対応策・課題の検討や事業承継の時期等を盛り込んだ事業の方向性を検討し、事業承継計画書を作成します。

事業承継計画表 親族内承継

一方で、M&Aによる第三者承継では、M&Aの相手(買い手)とのマッチングを実施します。

M&A・事業承継
事業承継マッチングサイト16選【地方特化サイトも紹介】

多種多様な事業承継マッチングサイトが登場し、オンライン上のマッチングが活況を呈しています。M&A全般を扱うものから特定地方の事業承継に特化したものまで、おすすめの16サイトをくわしく紹介します。(執筆者:京都大学 […]

事業承継の実施

把握された課題を解消しつつ、事業承継計画やM&A手続き等に沿って資産の移転や経営権の移譲を実行します。

ポスト事業承継

事業承継を終えたら、円滑な会社経営の実現と、事業のさらなる成長や発展を目指せるような取り組みを実施する必要があります。

親族内承継等では、後継者が持つ新たな視点による事業の見直しが必要です。
具体的には、先代経営者が培ってきた既存事業を活かしつつ、新しい分野の開拓等の施策が有効です。

一方でM&Aによる第三者承継では、PMIと呼ばれる手続きを実施します。
PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の一定期間内に行う経営統合作業のことです。

M&A・事業承継
PMI(買収後の経営統合作業)とは?手法や重要性、事例を解説

M&Aにおいて効果を早期に得るためには、M&Aの当事者同士の戦略、販売体制など有機的に機能させるPMIが重要であるといわれています。 PMIの概要、プロセス、成功させるポイント、PMIの成功・失敗事例を解 […]

事業承継を目的としたM&Aの成功事例

【運輸×運輸】フジトランスポートと日向商運のM&A

譲渡企業の概要

日向商運:原乳、タイヤ、肥料、雑貨、医薬品などの中長距離配送

譲り受け企業の概要

フジトランスポート:大型トラックによる長距離輸送

トラック保有台数:グループ総数2,350台(2021年7月)

M&Aの目的・背景

譲渡企業:後継者不在

譲り受け企業:売上・市場シェア拡大

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年7月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:M&Aで社内に後継者が不在でも事業承継できた。また日向商運の従業員の雇用及び荷主との取引の継続がなされた。シナジーが発揮され日向商運の宮崎県から首都圏に運送した復路の運賃がこれまでより約10~15%高くなった。他にもコストシナジーが発揮された。
成功事例
運送業界の「2024年問題」を乗り越える 選択肢としての第三者承継

宮崎県で40台トラックを保有し、地域密着で運営を続けてきた有限会社日向商運は、「M&Aサクシード」を通じて、全国に108拠点、トラック2,350台以上保有する物流グループであるフジトランスポート株式会社(旧・富士 […]

【機械メーカー×機械メーカー】石川総研による大和精工への事業承継

譲渡企業の概要

石川総研:低温調理器「チャーシューメーカー三つ星くん」の製造販売事業など

譲り受け企業の概要

大和精工:機械製品組み立て・自動車部品機械加工

M&Aの目的・背景

譲渡企業:後継者不在

譲り受け企業:事業拡大のため

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年12月公開
  • 手法:事業譲渡
  • 結果:後継者不在でも事業承継できた。買い手は新たな領域に事業を展開できた。
成功事例
職人技のアイデア調理器が導いた製造業同士のM&A

「ものづくり大国日本」を支えてきた地域の中小製造業ですが、経営者の高齢化や後継者不在など、資金調達だけでは解決できない局面を迎えています。しかしここ数年の流れを見ると、中堅・中小製造業のM&Aは増加傾向にあり、M […]

【石油×石油】SAKAEホールディングスと西商店のM&A

譲渡企業の概要

西商店:石油製品販売事業

譲り受け企業の概要

SAKAEホールディングス:石油製品販売事業・自動車整備事業・新車・中古車販売事業等

M&Aの目的・背景

譲渡企業:後継者不在

譲り受け企業:事業成長のため

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年4月公開
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:事業が継続できた。新規事業の可能性が広がった。
成功事例
後継者不在で黒字廃業の瀬戸際。地元に愛される100年企業を継承し、シナジー効果を生み出すM&A

M&Aサクシードのマッチングサービスを使い、成約に至った成功事例を紹介します。千葉県香取市の有限会社西商店は創業以来100年にわたり、スーパーマーケットやガソリンスタンドなどを運営してきた地元密着型のローカル企業 […]

まとめ

ここまで事業承継について説明しました。
図や実例を用いて説明を行ったため、しっかりとイメージできた方もいらっしゃることでしょう。
実際に事業承継に当たる際は出典としてリンクを示した公的機関のホームページもご参照ください。
今回の記事が皆様の事業承継に対する理解を深めるきっかけになれば幸いです。

(執筆者:公認会計士 西田綱一 慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士試験合格後、一般企業で経理関連業務を行い、公認会計士登録を行う。その後、都内大手監査法人に入所し会計監査などに従事。これまでの経験を活かし、現在は独立している。)