事業承継マッチングサイト16選【地方特化サイトも紹介】
- 執筆者: 相良 義勝 (京都大学文学部卒 / 専業ライター)
多種多様な事業承継マッチングサイトが登場し、オンライン上のマッチングが活況を呈しています。M&A全般を扱うものから特定地方の事業承継に特化したものまで、おすすめの16サイトをくわしく紹介します。
事業承継マッチングサイトとは、第三者への事業承継を考えている経営者と譲り受けを検討している会社・個人をインターネットによって結びつけるサービスです。
マッチングサイトの仕組みはサービスごとに多少の違いがありますが、典型的には以下のような流れでマッチング(結びつけ)が行われます。
以下の図はM&Aサクシードの例です。
M&Aを検討しているという事実は経営上の機密情報に属するため、マッチング成立までの間は匿名情報のみを交換する仕組みになっているのが通例です。
マッチングサイトによっては、案件登録の段階であえて社名を公開(サイト会員に対して公開、またはインターネットで一般公開)し、「顔が見える」状態で相手を募集する仕組みになっているところもあります。
また、買い手側が買収ニーズを登録して売り手を募集する(売り手側が買収ニーズを検索・閲覧して買い手を探す)こともできるようになっているマッチングサイトもあります。
サイトへの登録は売り手・買い手が直接行うのが基本の形ですが、売り手・買い手をサポートするアドバイザーが代理で登録できるようになっているサイトも少なくありません。
事業承継マッチングサイトには、下記の3種類のタイプがあります。
M&A総合型は、事業承継目的などに関係なく、日本全国の案件に対応しています。様々な案件が登録されているため、買い手のニーズに合った案件を探しやすいのが特徴です。M&A特化型サイトは、売り手側も事業承継だけでなくM&A目的でも登録でき、案件数が多いことが魅力です。
事業承継特化型は、事業承継目的の案件のみに対応しているマッチングサイトです。事業承継に興味がある買い手と売り手が集まっている点が特徴です。公的な機関がサポートしてくれるサイトがあるなど、支援体制が手厚い点が魅力です。
地域特化型は、特定の地域に限定した案件を取り扱うマッチングサイトです。都道府県など狭い範囲の案件が集まっている点が特徴です。買い手から見ると、自分の住居や会社に近い案件を探しやすい点が魅力です。
事業承継マッチングサイトを選ぶ際、下記3つのポイントを意識することがおすすめです。
自分が何を重視して事業承継を行いたいのか、優先順位を決めておくとマッチングサイトを選びやすくなります。事業承継はもちろんのこと、ある程度の売却益を得たいと考えている場合には、M&Aでも対応することのできるM&A総合型マッチングサイトがおすすめです。
特定の地域の人のみに事業承継してもらいたい場合には地域特化型、サポート手厚めで事業承継を進めていきたい場合は事業承継特化型を中心に検討してみると良いでしょう。
マッチングサイトを選ぶ際は、登録者数、成約数などの実績を確認するべきです。登録者数が多いサイトの方が、シナジーのある良いマッチング先と出会える可能性が高まります。また、実績ある会社が運営するマッチングサイトの方が、質の良い相手先を探しやすくなります。
手数料体系や成功報酬の計算方法は、マッチングサイトによって異なります。自分のニーズに合ったサービスを提供しているか、そのサービスに見合った費用になっているかが、マッチングサイトを選ぶためのポイントです。候補となる複数のマッチングサイトから見積もりを取り、意思決定することが重要です。
サポート体制の充実度も、事業承継マッチングサイト選びの大切な要素となります。サポートが充実しているサイトでは、事業承継のプロセス中で起きるさまざまな問題や疑問に対して、専門家から的確なアドバイスを受けることができます。
また、サポート体制が整っているサイトでは、安心してサービスを利用することができ、スムーズな事業承継を進めることができます。
譲渡先企業の業種が自社と同じかどうかも、事業承継を成功させるうえでのポイントであります。同じ業種の企業であれば、業界の特性やビジネスモデルを理解している可能性が高く、事業承継後もスムーズにビジネスを継続することができます。
異なる業種の場合、新しいビジネスモデルや業界の特性を把握するまでに時間がかかる可能性があります。一方で、業種をまたいだシナジーが生まれる場合もあります。
事業承継マッチングサイトを利用する流れは下記のとおりです。
事前に事業承継完了までの流れやスケジュールを把握しておき、期限を決めてそれぞれの手続を実施していくことが大切です。
事業承継マッチングサイトを利用する場合、メリット・デメリットを把握したうえで、総合的に利用するか否かの意思決定を行うことが大切です。
事業承継マッチングサイトを利用する際のメリットは下記のとおりです。
事業承継マッチングサイトを利用すると、企業の規模に関わらず、スムーズに事業継承が進められるメリットがあります。たとえば、小規模な企業でも、マッチングサイト上で多くの後継者候補と出会うことができ、適切な相手を見つける手助けとなります。これにより、企業規模に関わらず、多くの選択肢から最適な後継者を選べる可能性が広がります。
事業継承マッチングサイトを利用することで、スピーディーに後継者を見つけ、事業継承を進めることができます。サイト上では、多くの後継者候補がプロフィールを掲載しており、企業側も自社の情報をシェアすることで、お互いのニーズがマッチする相手を迅速に見つけることが可能となります。
事業承継マッチングサイトを利用することで、多くの後継者候補から選択することができ、その中から最も優秀な後継者を選ぶことができます。サイト上では、後継者のスキルや経験、ビジョンなどが紹介されており、企業側も詳細な情報をもとに、最も適した後継者を選ぶことができます。
事業継承の目的は多岐にわたりますが、マッチングサイトを利用することで、様々なニーズに合った後継者を選ぶことができます。たとえば、事業の拡大を目指す場合、新しい技術やアイデアを持った後継者を選ぶことができ、企業の発展に寄与します。
事業承継マッチングサイトを利用する際のデメリットは下記のとおりです。
# | 内容 | 詳細 |
1 | 成約までに時間がかかる | 事業承継マッチングサイトを利用する場合、始めから後継者が決まっている場合に比べて成約までに時間がかかります。スケジュールに余裕を持ち、事業承継の手続を進めることが大事です。 |
2 | 経営方針が変わる可能性 | 事業承継後は、後継者が経営を引き継ぐことになります。後継者の経営方針次第で、事業承継後の会社の将来は大きく変わることがあります。 |
3 | 仲介費用がかかる | 事業承継マッチングサイトを活用すると、仲介費用が必要です。仲介費用を前もって見積もっておき、実際の手取額がいくらになるかをシミュレーションしておく必要があります。 |
おすすめの事業承継マッチングサイトを3つのタイプ(M&A全般対象、事業承継特化型、地域特化型)に分けて紹介していきます。
M&Aサクシードは法人向けの完全審査制M&Aプラットフォームです。
M&Aに本気の優良企業のみが多数集まっており、質の高いマッチングを図ることができます。
M&A・事業承継が初めてでもスムーズに交渉が進められるよう、進捗状況に応じた手順の案内なども提供されます。[1]
これまでに幅広い業種・規模の企業の組み合わせによるM&Aが実現しており、買収に積極的な買い手企業による売り手の公募もたびたび行われています。
M&Aクラウドは、売り手側が案件情報を登録して買い手を募集するだけでなく、買い手側が買収ニーズを発信して売り手を募集することも可能なタイプのマッチングサイトです。
相手方に直接アプローチすることを前提としたサービスであり、アドバイザーは登録できません。[2]
売り手側はIT系企業の登録が多く、買い手側には大手IT企業やDXに積極的な企業が多く集まっています。
SMARTはM&A仲介会社のストライクが1999年に開設した日本初のM&Aマッチングサイトです。
ストライクの仲介サービスの一環として運営されており、サイトに売却案件を掲載している企業と交渉を進めるにはストライクとの契約が必要になります。[3]
登録案件はSMART上で公開されるほか、メールマガジンやストライクの人的ネットワークなどを解して発信されます。SMART上には公開しないという選択も可能です。
TRANBIはM&A・事業承継だけでなく業務提携・資金調達・出資の相手先も探せるマッチングサイトです。
売り手側は基本サービスが無料で利用でき、プロのライターが作成するインタビュー記事(事業ストーリー公告)により事業の魅力などを買い手にアピールすることも可能です(ただし有料)。
買い手側には情報漏洩保険付きの各種有料プランが用意されています。[4]
BATONZは売却案件だけでなく買収ニーズの登録・閲覧も可能なマッチングサイトです。
幅広い業種・規模の企業が登録しています。
買い手側には、マッチングを有利にする有料プランや、相場よりも格安でデューデリジェンス(企業調査)を依頼できるオプション(買収後のリスク補償付き)も用意されています。[5]
マールマッチングはM&Aに関するデータの収集・分析や専門情報の発信で定評のあるM&Aマッチングサイトです。
M&A専門機関としての実績やネットワークを活かしつつ、公共性・中立性・信頼性・安全性に重点を置いた堅実なサービスを提供しています。[6]
事業承継マッチング支援は日本政策金融公庫が運営するマッチングサイトです。
売り手・買い手ともに無料で利用できます。[7]
売り手側が匿名の売却案件情報を公開して買い手を募集するという典型的なマッチングサイトのサービスに加え、日本政策金融公庫が売り手・買い手の要望に基づいて適切な相手を探してマッチングを図るサービスも提供されています。
担い手探しナビは日本税理士会連合会が運営する事業承継マッチングサイトです。
売り手・買い手ともに税理士(顧問税理士など)を通してサービスを利用する形になっています。[8]
売り手・買い手の相談・依頼に基づいて税理士が情報をサイトに登録し、相手企業を探し、相手方の税理士を通してマッチングを図ります。
ビズマは地域に根ざした事業を展開する中小企業を対象にしたマッチングサイトです。
オンラインサービスの利用が難しい(あるいは利用に抵抗がある)人に向けたオフラインでのサポートが充実しているのが特徴です。[9]
相手方への交渉オファーは基本的にビズマ事務局が取り次ぐ形となります。
有料のメッセージ機能を使えば直接やり取りすることも可能です。
relayは実名の売却案件情報を公開するタイプのマッチングサイトです。
「誰が」「どこで」「どんな事業の」後継者を募集しているかを公開した上で、共感をベースにしてマッチングの相手を探す仕組みになっています。[10]
プロのライターが取材に基づいて事業の魅力をわかりやすく伝える記事を制作するなど、想いをつなぐ事業承継を実現するためのサポートを提供しています。
継業バンクは地方自治体や商工会・共同組合などの公益団体向けにマッチングサイトのプラットフォームを提供するサービスです。[11]
各地域の団体が継業バンクを利用して開設したマッチングサイト上に売り手側の事業者名や事業内容などの基本情報や継業バンク編集部が作成した募集案件紹介記事が掲載され、買い手側がそれを閲覧して応募する、という形でマッチングが行われます。
relay the local はマッチングサイトrelayと地方自治体の連携により運営されるサービスです。
売り手側はrelayと同様に後継者を募集し、買い手側は「地域おこし協力隊」として事業を引き継ぎます。[12]
「地域おこし協力隊」とは、過疎地域の自治体が主体となり都市部から地域振興の人材を呼び込んで定着を図る制度で、隊員には自治体から一定期間活動報酬が給付されます。
relay the localはサービスにこの制度を組み込むことで事業承継のハードルを下げ、マッチングを成立しやすくしています。
ビズマを運営するビジネスマーケットが札幌市からの委託により運営しているマッチングサイトです。
サイトの機能はビズマと同様です。
さっぽろ連携中枢都市圏を構成する12市町村(札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町)で事業を営む中小企業の譲渡希望案件が登録対象となっています。[13]
みんなのM&Aはぐんま税理士法人を母体とするM&A仲介会社で、仲介業務の一環としてマッチングサイトを運営しています。
マッチング後の交渉は専門スタッフによるサポートのもとで進められます。
仲介という形ではありますが、基本的に売り手側の立場に立ってサポートが行われます。
中小零細企業や赤字企業のM&Aを得意としており、成功報酬が格安の設定になっています。[14]
茨木スモールM&Aマッチングサイトは茨木商工会議所が運営する事業承継マッチングサイトです。
茨木商工会議所の経営指導員が無料で相談・問い合わせに対応しています。
譲渡側については大阪府茨木市地域の小規模事業者が対象となっています。
法人・個人事業主による承継だけでなく起業・副業を考えている個人とのマッチングにも力を入れているのが特色です。[15]
山口県および山口県内の市町村により設立された公益財団法人やまぐち産業振興財団が運営する事業承継マッチングサイトです。
譲渡希望者と承継希望者はサイト上のトークルームを利用して匿名による一対一のメッセージ交換を行うことができます。
マッチング成立後は財団内の創業・事業承継総合サポートセンターのコーディネーターが面談を仲介します。[16]
事業継承マッチングサイトは、事業継承をスムーズに進めるためのプラットフォームです。専門家との相談から始まり、信頼できる継承相手の選定、コミュニケーションの深化、そして契約締結というプロセスを経て、事業の未来を託す重要なステップを踏みます。
専門家のサポートと候補者とのコミュニケーションを大切にし、事業の将来をしっかりと見据えた継承を行いましょう。
事業継承マッチングサイトを利用する際、まずは専門家との相談から始まります。専門家は事業継承のプロフェッショナルで、事業の特性やニーズを理解し、適切なアドバイスを提供します。
たとえば、事業の規模や業界、将来のビジョンに合った継承先を見つけるサポートを行います。相談はオンラインで気軽に行え、専門家が丁寧に説明してくれるので、安心して利用できます。
次に、事業継承相手を選ぶ工程があります。サイト上では多くの候補者がプロフィールを公開しており、その中から事業の将来を託せる信頼のおける相手を選びます。さまざまな業界やバックグラウンドを持つ候補者がいるため、事業の特性に合った相手を見つけることができます。
選定の際には、事業のビジョンや価値観が合致しているかを重視し、将来的な発展を見据えた選択を行います。
候補者が見つかったら、次はコミュニケーションを深めていきます。事業継承は単なるビジネスの取引以上のものであり、信頼関係の構築が不可欠です。
メッセージのやりとりやオンラインミーティングを通じて、お互いのビジョンや価値観を共有し、事業の将来に対するビジョンを確認します。このプロセスを大切にし、お互いの理解を深めることが大切です。
最後に、事業継承の契約締結に至ります。ここでは、事業の価値や将来の方針、継承にあたっての条件などを詳細に話し合います。専門家もサポートに入り、スムーズな契約進行をサポートします。
契約内容には、事業の価値評価、取引の条件、将来の事業展開に関する取り決めなど、多くの要素が含まれます。丁寧な協議を経て、双方が納得のいく形で契約を締結します。
事業承継マッチングサイトには、仲介費用、会社の文化や方針の変更、情報漏洩のリスク、売り手側の交渉不利といった様々な注意点が存在します。これらのポイントを把握し、事業承継をスムーズかつ安全に進めるための対策を講じることが重要です。
M&Aマッチングサイトを利用すると、仲介費用がかかることがあります。これは契約によって様々で、着手金・中間金がかかる場合や、事業承継が無事完了した際に、一定の報酬をマッチングサイトに支払う場合などがあります。
成功報酬型の場合は、たとえば、売却額の3%が報酬として設定されている時に、売却額が1億円だと3百万円の報酬が発生します。
事業を承継した後、新しい経営者のもとで、会社の文化や方針が大きく変わることがあります。これは、新しい経営者が持っているビジョンや価値観が、以前の経営者と異なるためです。
たとえば、以前は社員のワークライフバランスを重視していた会社が、新しい経営者のもとで利益追求の方針にシフトすることなどが考えられます。
事業承継のプロセスでは、多くの機密情報が関与します。これらの情報が第三者に漏れると、企業にとって大きなリスクとなります。情報漏洩の例としては、顧客データや財務データ、事業戦略などが外部に知られてしまうことが挙げられます。
売り手側は、事業承継の交渉において、買い手側に対して情報を開示する必要があります。この情報開示が、交渉の進行において売り手側が不利になる要因となることがあります。たとえば、財務状況や事業の課題など、企業の弱点となる情報も開示する必要があるからです。
中小企業における後継者不在問題が常態化したことや、経営戦略としてのM&Aが一般化したことなどを背景として、多種多様なタイプの事業承継・M&Aマッチングサイトが登場し、様々な立場の人・組織により盛んに利用されています。
事業承継特化型のサイトや特定地方に特化したサイトは主に小規模な事業者を対象とし、小規模事業者と個人(個人事業主や、事業を引き継いで創業しようとする人)のマッチングにも力を入れる傾向があります。
一方、M&A全般を取り扱うマッチングサイトは法人を主なターゲットとしており、売り手企業・買い手企業の登録数も桁違いに多く、小規模法人や中小企業が上場企業を含むより大規模の法人へ会社を譲渡するパターンが一般的です。異業種や多角経営の企業への事業承継もしばしば見られます。
各自の目的や立場に応じてマッチングサイトを使い分ける(マッチングサイトとの適切なマッチングを図る)ことが、事業承継を成功に導く大きな鍵と言えるでしょう。
(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)
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