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半導体業界のM&A動向と近年の事例14選【徹底解説】

  • 法務監修: 相良 義勝 (京都大学文学部卒 / 専業ライター)

半導体企業のM&Aは、急速な市場成長などを背景に活発化しています。半導体業界のM&A・業界再編動向を解説し、有名事例や2020年・2021年の事例を中心に、近年のM&A事例をくわしく紹介します。

半導体業界 M&A 動向・事例

目次
  1. 半導体業界のM&A動向
  2. 半導体企業同士のM&A事例8選
  3. 異業種企業による半導体企業買収・出資事例6選
  4. まとめ

半導体業界のM&A動向

世界のM&A動向

市場成長を背景として、世界の半導体業界においては2015年頃から大手企業を中心とするM&Aが頻発し、大規模な統合が進んでいます。[1]

日本企業が関わった大規模M&Aとしては以下のような事例があります。

  • ソフトバンクグループによるARMの買収(2016年、買収額3.3兆円、詳細後述)
  • ベインキャピタルによる東芝メモリの買収(2016年、買収額2.05兆円、詳細後述)
  • NVIDIAによるソフトバンクグループ子会社Armの買収(2020年、買収額400億米ドル、中止)[2]
  • ルネサス エレクトロニクスによる英Dialogの買収(2021年、買収額6,240億円、詳細後述)

ただし、NVIDIAによるArm買収は競争阻害をもたらすとして米・EU規制当局により阻まれ、譲渡契約解消にいたっています。
同様の事情で大規模M&Aが破談となる事例が少なからず発生しています。[3]

M&A・事業承継
M&A市場の現状と動向 今後の展望も解説

M&Aの市場は、後継者不足問題の深刻化などを理由に拡大してきました。しかし2020年は、コロナ禍の影響で市場が縮小しました。公認会計士が、M&Aの市場の動向および今後の展望を徹底解説します。 目次M&am […]

M&A・事業承継
M&Aとは?目的・手法・メリット・流れを解説【図解でわかる】

M&A(エムアンドエー)とは、Merger(合併)and Acquisitions(買収)の略で、「会社あるいは経営権の取得」を意味します。今回は、M&Aの意味・種類・目的・メリット・基本的な流れ・税金・ […]

日本の半導体業界の現状とM&A動向

日本企業は設計から開発・製造まで自社で行う垂直統合型デバイスメーカー(IDM)として1980年代に高い世界的シェアを誇りましたが、1990年代以降はシェア低下が続いています。

原因としては以下のような点が挙げられます。[4]

  • 日米半導体協定による貿易規制
  • メモリからロジック(CPU)へと半導体産業の中心が移動していく潮流を捉え損ねたこと
  • ファブレス企業(開発・設計が中心で、自社工場を持たない企業)やファウンドリ企業(受託製造専門企業)との連携による水平分離・オープンイノベーション型ビジネスモデルへの転換が、親会社の競争力低下や自前主義へのこだわりなどにより遅れたこと
  • 国内のデジタル投資が遅れ、デジタル機器に必要となる半導体の国内設計体制が整わなかったこと
  • 長期不況により国内企業の投資縮小が続く一方で、韓国・台湾・中国の半導体企業が国家的な支援により大きく成長したこと

こうした現状に対して国内半導体産業の再強化を図るため、国は2021年に半導体戦略を策定しました。

戦略の柱のひとつに、海外先端ファウンドリ企業の国内誘致および日本企業との共同開発・共同生産推進があり、これを受けて国内大手企業による海外ファンドリ企業へのM&A(出資)の動きも始まっています(後述のソニーセミコンダクタソリューションズ・デンソーによる出資など)。

日本企業の多くがシェアを低下させるなか、半導体素材・部品・製造装置分野は比較的高い競争力を維持しており、M&Aの買い手または売り手となる事例が多く見られます。

半導体企業の主なM&A動向をまとめると以下のようになります。

買い手

売り手

目的

半導体メーカー(デバイス・素材・部品・装置製造)

半導体メーカー

  • 買い手・売り手:製品ラインナップ・技術の補完・拡充、新製品開発強化、互いの顧客基盤を活用した販売拡大
  • 売り手:開発製造受託の安定化、大手グループへの参加による事業拡大

半導体メーカー・電子部品メーカー

多角化企業の半導体製造部門

  • 買い手:技術や生産力の取り込みによる競争力強化
  • 売り手:事業の選択と集中

電子部品メーカー

半導体メーカー

  • 買い手:事業ポートフォリオ拡充、総合的なソリューション力の強化
  • 買い手・売り手:成長分野での開発力強化、互いの顧客基盤を活用した販売拡大
  • 売り手:開発製造受託の安定化、大手グループへの参加による事業拡大

半導体専門商社

半導体専門商社

  • 買い手・売り手:商材ラインナップの補完・拡充、互いの顧客基盤を活用した販売拡大

IT関連商社

半導体専門商社

  • 買い手:成長が見込まれる半導体分野への参入
  • 売り手:顧客基盤の拡大

ファンド

半導体メーカー、半導体関連ベンチャー

  • 買い手:成長分野における投資
  • 売り手:増資による資金調達や買い手による経営支援を通した事業成長加速
M&A・事業承継
買収とは?M&Aとの違い・メリット・手法・事例・手続きを解説

買収とは、他社の事業または会社の経営権を取得することを指します。買収では、既存事業の拡大や新規事業への進出などを迅速に実現できます。買収を成功させるには、デューデリジェンスやPMIの徹底が重要です。今回は買収のメリット、 […]

M&A・事業承継
M&Aの垂直統合とは 水平型との違いやメリット、事例を徹底解説

M&Aの垂直統合(垂直型M&A)とは、取引段階の異なる企業同士によるM&Aであり、新規事業への進出を可能とする点がメリットです。水平統合の違いや事例、成功させるポイントをわかりやすく解説します。 […]

[1]再編が進む半導体産業の今後(前編)(デロイトトーマツ)
[2]Armを400億米ドルで買収(NVIDIA)
[3]半導体業界のM&A頓挫、当局のレッドライン示す(REUTERS)
[4]半導体戦略(経済産業省)

半導体企業同士のM&A事例8選

半導体業界 M&A事例

【IDM×自動車部品×ファウンドリ】ソニーセミコンダクタソリューションズとデンソーがTSMCのファウンドリに出資

譲渡企業の概要

Japan Advanced Semiconductor Manufacturing:台湾に本社を置きアジア・ヨーロッパ・北米においてファウンドリビジネスを展開するTSMCが日本に設立する子会社で、日本政府から強力な支援を受けることを前提に、2022年中にファウンドリ建設開始、2024年末までに生産開始を予定[5]

譲り受け企業の概要

ソニーセミコンダクタソリューションズ:ソニーグループの半導体事業における中核企業で、イメージセンサーを中心とする半導体デバイスの研究開発・設計・生産・販売事業を展開[6]

デンソー:自動車用システム・部品の開発・製造を中心に、産業機器製造、農業の工業化、生活関連機器製造などの事業を展開[7]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:ロジックウェーハ・車載半導体の中長期的な安定調達の実現[5][8]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年以降
  • 手法:出資
  • 結果:ソニーセミコンダクタソリューションズとデンソーが各々20%未満、10%超のJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式を取得
  • 譲渡(増資)金額:ソニーセミコンダクタソリューションズが約5億米ドル(約570億円)、デンソーが約3.5億米ドル(約400億円)を出資
M&A・事業承継
クロスボーダーM&Aとは?メリットや手法、有名事例を徹底解説

クロスボーダーM&Aとは、譲渡企業か譲受企業のいずれかが海外の企業であるM&Aです。近年増加傾向にあるクロスボーダーM&Aの目的や手法、有名事例、成功に導くための注意点をわかりやすく解説します。(公認会計 […]

【マイクロデバイス等×半導体・ソフトウェア等】日清紡HDがディー・クルー・テクノロジーズを完全子会社化

譲渡企業の概要

ディー・クルー・テクノロジーズ:デジタル・アナログ混載LSIなどの半導体製品、AI・アルゴリズム・アプリなどのソフトウェア、各種制御基盤、産業向けセンシングシステムの開発・提供事業を展開[9]

譲り受け企業の概要

日清紡ホールディングス:無線・通信システム機器、アナログ半導体を初めとするマイクロデバイス、自動車ブレーキ、各種産業用精密部品、化学品および繊維製品の開発・製造・売買・輸出入事業を展開する企業グループの持株会社[10]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:日清紡グループからの開発受託による収益安定化、同グループの顧客基盤を通した受注拡大、過去の開発資源の再活用[11]

譲り受け企業:子会社の日清紡マイクロデバイスにおいてアナログ半導体技術をベースとした各種産業向け総合ソリューション提供事業を展開するために不可欠な技術分野の補完[12]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年2月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:日清紡ホールディングスディー・クルー・テクノロジーズの全株式を取得し同社を完全子会社化
  • 譲渡金額:秘密保持契約により非開示
M&A・事業承継
AI企業のM&A事例17選 動向、売却のメリットも徹底解説

AI産業市場は急速に拡大しており、M&Aも活発です。AI産業の市場動向と、AI企業(AI関連技術・サービスを開発・提供している企業)のM&A・売却動向、メリット、近年のM&A事例を詳しく解説します […]

【単結晶・光デバイス等×半導体材料】オキサイドがUJ-Crystalと資本業務提携

譲渡企業の概要

UJ-Crystal:名古屋大学の研究者が中心となり設立したスタートアップ企業で、溶液法による育成技術をベースとしてパワー半導体SiC単結晶の開発・製造・販売事業を展開[13]

譲り受け企業の概要

オキサイド:医療・半導体・自動運転などの分野に向けて単結晶材料・光デバイス・レーザ装置・光計測機器などの製造販売事業を展開[14]

M&Aの目的・背景

譲渡企業・譲り受け企業:SiC単結晶の量産化に向けた共同研究開発の推進[13]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年10月[15]
  • 手法:資本業務提携
  • 結果:オキサイドがUJ-Crystalの株式(13.8%)を取得し、両社間で業務提携を開始
  • 譲渡金額:譲渡企業の要望により非開示

【機械加工品・半導体デバイス×電子機器等】ミツミ電機がオムロンの半導体工場・MEMS事業を譲受

譲渡企業の概要

オムロン:工場自動化制御機器・電子部品の製造事業、社会インフラソリューション事業、家庭・企業向け医療機器製造・デジタルサービス運営事業を展開する企業グループの中核企業[16]

譲り受け企業の概要

ミツミ電機:ボールベアリングやピボットなどの機械加工品や電子機器の製造事業を展開するミネベアミツミの子会社で、半導体デバイス、光デバイス、機構部品・高周波部品・電源部品の製造事業を展開[17]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:ビジネスモデル変革・新事業創出に向けた事業ポートフォリオマネジメント強化のため[18]

譲り受け企業:

  • 8インチ半導体生産基盤の獲得によるアナログ半導体事業の競争力強化
  • 自社のMEMSセンサー製品技術と譲渡企業のMEMS設計技術・周辺技術の融合による新製品開発強化、製品ラインナップ増強、既存製品の高性能化・機能追加[19]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年10月
  • 手法:会社分割・株式譲渡
  • 結果:オムロンが会社分割により野洲事業所内の半導体・MEMS工場とMEMS製品開発機能を新設子会社に承継した上で、同新設会社の全株式をミネベアミツミが取得
  • 譲渡金額:不明
M&A・事業承継
製造業のM&A・売却動向や最新事例、価格相場を徹底解説

製造業のM&Aは、主に大手企業への傘下入りやIT化を目的に行われます。今回の記事では、製造業のM&A動向や最新・有名事例、メリット、相場、成功させるポイントをわかりやすく解説します。(中小企業診断士 鈴木 […]

【IDM×ファブレス】ルネサス エレクトロニクスがDialog Semiconductorを完全子会社化

譲渡企業の概要

Dialog Semiconductor:英国に本社を置き、低電力・コネクティビティ技術を強みとしてIoT・家電・自動車・各種産業分野向け半導体製品の開発・提供事業を展開[20]

譲り受け企業の概要

ルネサス エレクトロニクス:マイコンやSoC(System-on-a-chip)製品を中心とする各種半導体製品の研究・開発・設計・製造・販売事業と、自社製品群を用いたIoTシステム構築などの組み込みソリューション提供事業を展開[21]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:ルネサス エレクトロニクスの製品・技術基盤、販売・顧客サポート網の活用による成長機会の拡大

譲り受け企業:自社技術・製品群と補完関係にあるDialog Semiconductorの技術資産の獲得により製品ポートフォリオを拡充し、IoT・産業・自動車分野の高成長市場向けソリューション提供力の強化を図る[20]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年8月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:ルネサス エレクトロニクスがDialog Semiconductorの全株式を取得し同社を完全子会社化
  • 譲渡金額:約48億ユーロ(1ユーロ130円換算で約6,240億円)[22]
M&A・事業承継
システム開発・受託開発の最新売却・M&A事例、売却価格の相場

システム開発・受託開発会社の売却は、後継者不足などの課題を背景に増加傾向です。システム開発・受託開発会社の売却・M&A事例やメリット、売却価格の相場、高値での売却可能性を高める方法を徹底解説します。(中小企業診断 […]

【機能化学品・医薬品×半導体製造装置】日本化薬がテイコクテーピングシステムを子会社化

譲渡企業の概要

テイコクテーピングシステム:ドライフィルムレジスト・バックグラインド保護テープの貼り合わせに特化した半導体製造装置を国内外に供給[23]

譲り受け企業の概要

日本化薬:半導体や情報通信などの分野向け機能性材料・色素材料・触媒・フィルム部材製造事業と、医薬品・医療機器の製造事業を展開[24]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:

  • 材料を中心とする半導体関連製品ラインナップに装置製品を加え、半導体の総合サプライヤーとしての体制構築と5G通信向け素材・装置ビジネスの拡大を図る
  • テイコクテーピングシステムの大手半導体メーカーを中心とする顧客網を活用し、半導体に関するトータルソリューション提案体制の構築・強化を図る[23]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年7月[25]
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:日本化薬がテイコクテーピングシステムの株式を取得し同社を子会社化
  • 譲渡金額:不明
M&A・事業承継
化学業界の最新M&A動向・化学メーカーのM&A事例15選

化学業界ではイノベーション推進などを目的としたM&Aが活発です。M&Aでは、開発力強化などのメリットを得られます。業界の現状と、化学メーカー(化学製品製造会社)の最新M&A動向・事例を徹底解説しま […]

【半導体装置販売×半導体装置販売】兼松PWSがルモニクスを完全子会社化

譲渡企業の概要

兼松PWS:主に国内市場向けに、ドイツSuss MicroTec社および香港ASM Pacific Technology社製品を中心とした半導体製造装置・関連機器・部品・サブシステムの販売・メンテナンスサービスを展開[26]

譲り受け企業の概要

ルモニクス:ドイツInnoLas Semiconductor社の国内販売代理店としてウェーハマーキング装置の販売・メンテナンスサービスを展開[26]

M&Aの目的・背景

譲渡企業・譲り受け企業:両社の商品群の相互補完によるシナジー創出[26]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2020年11月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:兼松PWSがルモニクスの全株式を取得し同社を完全子会社化
  • 譲渡金額:不明

【ロジックIC・ウェーハ×イメージセンサ・電池用半導体】Nuvoton Technologyがパナソニックの半導体事業を譲受

譲渡企業の概要

パナソニック セミコンダクターソリューションズ:パナソニックグループの半導体事業における中核会社で、近年は空間認識技術と電池応用技術に注力して事業を展開[27]

パナソニック デバイスセミコンダクターアジア:パナソニック アジアパシフィック(パナソニックグループのシンガポール法人)の社内カンパニーで、半導体の開発・販売事業などを担当

パナソニック セミコンダクター蘇州:半導体製造・販売と車載カメラ製造の事業を展開

譲り受け企業の概要

Nuvoton Technology Corporation:台湾に本社を置く半導体企業Winbond Electronics Corporationの子会社で、ロジック集積回路の研究・設計・開発・製造・販売と6インチ半導体ウェーハの製造・試験・OEMの事業を展開[27]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:競合他社の勢力拡大や巨額投資・M&Aを通した業界再編の進行などにより半導体事業の経営環境が熾烈化するなか、将来性のある他社のもとで同事業の成長を図ることが最善と判断[27]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2020年9月[28]
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:パナソニックが新たに設立する持株会社のもとに国内半導体事業関連子会社を統合したのち、同持株会社の全株式とパナソニック デバイスセミコンダクターアジアの半導体事業およびパナソニック セミコンダクター蘇州の半導体事業に係る設備・在庫などをNuvoton Technology Corporationに譲渡
  • 譲渡金額:不明
M&A・事業承継
大手M&A3社の手数料や売上高、取扱件数を徹底比較

日本国内において、大手のM&A仲介会社は3社あると言われています。今回の記事では、M&Aの実務経験を豊富に持つ公認会計士が、大手M&A3社の手数料体系や売上高、取扱件数をくわしく比較します。(公認 […]

[5]半導体ファウンドリの設立と少数持分出資(ソニーセミコンダクタソリューションズグループ)
[6]グループ(同上)
[7]製品・サービス(デンソー)
[8]JASMへの少数持分出資(デンソー)
[9]会社概要(ディー・クルー・テクノロジーズ)
[10]事業概要(日清紡HD)
[11]株式異動(ディー・クルー・テクノロジーズ)
[12]ディー・クルー・テクノロジーズの株式取得(日清紡HD)
[13]UJ-Crystalとの資本業務提携(オキサイド)
[14]トップ(同上)
[15]沿革(同上)
[16]事業紹介(オムロン)
[17]事業概要(ミネベアミツミ)
[18]半導体・MEMS工場およびMEMS開発・生産機能の譲渡(オムロン)
[19]滋賀セミコンダクターの株式取得(ミネベアミツミ)
[20]Dialogを買収(ルネサス エレクトロニクス)
[21]トップページ(同上)
[22]Dialogの買収を完了(同上)
[23]事業譲受(日本化薬)
[24]事業・製品(同上)
[25]親会社変更(テイコクテーピングシステム)
[26]ルモニクスの全株式を取得(兼松PWS)
[27]半導体事業の譲渡(パナソニック)
[28]半導体事業の譲渡完了(パナソニック)

異業種企業による半導体企業買収・出資事例6選

異業種 半導体 買収・出資事例

【ファンド×半導体素材】インテグラルが凸版印刷の新設子会社に資本参加

譲渡企業の概要

凸版印刷:印刷テクノロジーをベースに多角的な事業を展開し、半導体分野においてはフォトマスク(半導体原板)やパッケージ基盤などを開発・製造[29]

トッパンフォトマスク:凸版印刷の新設子会社(インテグラルとの合弁会社)で、半導体フォトマスク製造事業を展開[29]

譲り受け企業の概要

インテグラル:独立系投資ファンド会社[30]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:フォトマスク事業を分社化し独立企業として経営の自由度を高めた上で、IPO支援実績が豊富なインテグラルからの経営支援・ノウハウ提供を受けつつ、市場ニーズを捉えた俊敏な投資の実行と競争力の強化を図る[30]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年4月
  • 手法:会社分割・株式譲渡
  • 結果:凸版印刷が会社分割により新設子会社にフォトマスク事業を承継し、同社株式の49.9%をインテグラルに譲渡
  • 譲渡金額:不明
M&A・事業承継
印刷会社のM&Aの動向と事例15選、取引手法【最新版】

印刷需要の低迷により印刷業界は大きな変革期を迎え、印刷会社の間ではM&Aによる事業変革・事業承継の動きが広がっています。印刷業界の現状と印刷会社のM&Aの動向、取引手法、近年の事例を詳しく解説します。 目 […]

【電子部品等×IDM】デクセリアルズが日本政策投資銀行と共同で京都セミコンダクターを子会社化

譲渡企業の概要

京都セミコンダクター:化合物を用いた光半導体デバイスとモジュールの開発・製造・販売事業を展開[31]

譲り受け企業の概要

デクセリアルズ:電子部品・接合材料・光学材料などの製造・販売事業を展開[32]

M&Aの目的・背景

譲渡企業・譲り受け企業:補完関係にある両社の経営資源を相互に活用し、市場成長が見込める高速通信・センシング分野において新製品・技術の共同開発や顧客基盤拡大を図る[31]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年3月[33]
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:デクセリアルズが京都セミコンダクター全株式を取得し、そのうち18.9%を日本政策投資銀行に譲渡
  • 譲渡金額:約88億円(京都セミコンダクター株式81.1%の取得金額+アドバイザリー費用など)
M&A・事業承継
【2021年最新版】IT業界のM&A事例56選

IT業界における厳選した56例のM&Aについて、「2021年の最新事例」や「システム開発分野」などのジャンルに分けて解説します。 事例では売り手・買い手企業の特徴やM&Aの手法、売買価格を紹介します。(中 […]

M&A・事業承継
電子部品業界のM&A動向、売却価格相場、事例14選

電子部品企業(メーカー・商社)のM&A動向を業界の現状と絡めながら解説します。M&Aの買い手・売り手から見た目的・メリットや、売却価格相場、成功のポイント、2020年~2022年に実施された最新のM&am […]

【情報機器販売×半導体製造装置販売】あいHDがナノ・ソルテックを子会社化

譲渡企業の概要

ナノ・ソルテック:中古半導体製造・検査装置の買取・リファブ(新品同様スペックへの修復)・販売事業を展開[34]

譲り受け企業の概要

あいホールディングス:各種業務用情報機器の開発・販売事業、設計・建設総合コンサルティング事業、脱炭素システム開発・製造・販売事業、IoTソリューション事業などを展開する企業グループの持株会社[35]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:あいホールディングスグループの販売チャネルの活用により、国内外大手半導体メーカーなどへの販路拡大と買取強化を図る[34]

譲り受け企業:収益性の高い半導体装置事業への参入によりポートフォリオ強化を図る

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年2月[36]
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:あいホールディングスがナノ・ソルテックの株式(99.286%)を取得し同社を子会社化
  • 譲渡金額:譲渡企業の意向により非開示
M&A・事業承継
IoT企業のM&A(売却・買収)動向、事例、成功のポイント

IoT業界は大きな発展が予想される分野であり、M&Aが活発に行われています。IoT業界の市場動向やM&A・売却の動向、近年の事例、成功のポイントについて、図解も交えてわかりやすく解説します。(執筆者:京都 […]

【ファンド×半導体技術開発】ジャフコなど3社がパワースピンに出資

譲渡企業の概要

パワースピン:東北大学の最先端研究成果であるスピントロニクス技術・パワーエレクトロ技術を用いた半導体回路設計サービス、チップ・モジュールシステム試作サービス、保有知財・回路IPライセンス供与などの事業を展開[37]

譲り受け企業の概要

ジャフコ グループ、三菱UFJキャピタル、東北大学ベンチャーパートナーズ:ベンチャー企業を対象とする投資事業を展開[37]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:半導体回路設計技術者・本社スタッフの採用や首都圏本社拠点立ち上げなどのための資金調達[37]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年11月
  • 手法:第三者割当増資
  • 結果:スピントロニクスがジャフコ グループ・三菱UFJキャピタル・東北大学ベンチャーパートナーズを引受先とする第三者割当増資を実施
  • 譲渡(増資)金額:3社総額7億円

【ファンド×半導体メモリ】Pangeaが東芝メモリを完全子会社化

譲渡企業の概要

東芝メモリ(現 キオクシア[38]):東芝のメモリ事業(メモリ・周辺製品の開発・製造・販売事業とその関連事業)のさらなる成長と外部資本導入を目的として設立された子会社[39]

譲り受け企業の概要

Pangea:東芝メモリの買収を目的としてベインキャピタルを軸とする企業コンソーシアムにより組成[39]

ベインキャピタル:グローバルに事業を展開するプライベートエクイティ・ファンドで、東京オフィスにおいて日本企業に対する投資活動を展開[40]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:東芝の借入金返済原資確保・財務体質回復を図るため[39]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2018年6月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:Pangeaが東芝メモリの全株式を取得し同社を完全子会社化
  • 譲渡金額:2兆50億円[41]

【IT×ファブレス】ソフトバンクグループがARMを完全子会社化

譲渡企業の概要

ARM Holdings:マイクロプロセッサー、フィジカルIPおよび関連技術・ソフトウェアの設計事業と、開発ツール販売事業などを展開[42]

譲り受け企業の概要

ソフトバンクグループ:投資事業、移動通信サービス事業、IT関連製品・サービスの企画・製造・販売・運営事業、EC・SNS・インターネット広告事業などを展開する企業グループの持株会社として、戦略的投資事業を展開[43]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:ソフトバンクグループによる投資・経営支援をもとに、人材の大規模増員とイノベーション投資推進を行い、知的所有権ライセンス供与・半導体研究開発受託事業の成長加速を図る[44]

譲り受け企業:IoTの拡大により生み出される事業チャンスを捉えるための戦略的投資

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2016年9月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:ソフトバンクグループがARM Holdingsの全株式を取得し同社を完全子会社化
  • 譲渡金額:約240億ポンド(約3.3兆円)
M&A・事業承継
大手M&A3社の手数料や売上高、取扱件数を徹底比較

日本国内において、大手のM&A仲介会社は3社あると言われています。今回の記事では、M&Aの実務経験を豊富に持つ公認会計士が、大手M&A3社の手数料体系や売上高、取扱件数をくわしく比較します。(公認 […]

[29]製品・サービス(凸版印刷)
[30]半導体原版メーカーを会社分割により設立(同上)
[31]京都セミコンダクターの株式の取得(デクセリアルズ)
[32]会社概要(同上)
[33]沿革(京都セミコンダクター)
[34]ナノ・ソルテックの株式の取得(あいHD)
[35]主要事業(同上)
[36]沿革(同上)
[37]第三者割当増資で7億円を調達(パワースピン)
[38]会社情報(キオクシア)
[39]東芝メモリの株式譲渡(東芝)
[40]About Us(ベインキャピタル)
[41]2018年度有価証券報告書(東芝)
[42]ARM買収の提案(ソフトバンクグループ)
[43]グループ企業一覧(同上)
[44]ARM買収の完了(同上)

まとめ

市場の急激な成長を背景としてM&Aによる半導体業界の再編が世界的に加速しています。
日本においても半導体素材・部品分野を中心に様々なM&Aが行われており、世界的な潮流や国による半導体戦略の展開を受けて今後さらにM&Aが活発化することが予想されます。

(執筆者:相良義勝 京都大学文学部卒。在学中より法務・医療・科学分野の翻訳者・コーディネーターとして活動したのち、専業ライターに。企業法務・金融および医療を中心に、マーケティング、環境、先端技術などの幅広いテーマで記事を執筆。近年はM&A・事業承継分野に集中的に取り組み、理論・法制度・実務の各面にわたる解説記事・書籍原稿を提供している。)