リフォーム会社の売却・M&Aは、生活様式の多様化等の影響で活発です。リフォーム会社の売却価格相場は、営業利益の2~4倍または300万~3,000万円です。売却事例やメリット、手法を徹底解説します。
リフォーム会社とは「住宅の改築や改修工事を行う会社」のことをいい、つまり既にある住宅に、例えば二世帯住宅への改築工事や古くなった設備の入替工事、あるいは間取り変更工事などを扱っています。
国土交通省発表の「令和3年度 住宅経済関連データ」によると、リフォーム業界の市場規模は2020年時点で7.31兆円に達しています。[1]
また、株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年第1四半期の住宅リフォーム市場規模は前年同期比12.4%増の約1.5兆円であると発表しています。[2]
出典:住宅リフォーム市場に関する調査を実施 ~ 2021年第1四半期 ~(矢野経済研究所)
2021年の市場規模については、7.0兆円を期待できると予測されています。[2]
新型コロナ感染症によって不透明な状況が続いてはいるものの、昨今の新しい生活様式や、リモートワークなどにより在宅時間が増えることで住宅投資が見込まれます。
一方、感染状況が落ち着くとレジャーや旅行による支出が増え出すとリフォーム関連への出費が減少し、リフォーム市場は低迷すると予測されています。
[1]令和3年度 住宅経済関連データ(国土交通省)
[2]住宅リフォーム市場に関する調査を実施 ~ 2021年第1四半期 ~(株式会社矢野経済研究所)
リフォーム業界の問題点は、常に人材不足である点で、また高度な技能の専門性が要求されるため人材が限定される点も要因として挙げられます。
同時に、若手の職人が少なく、職人の高齢化が進んでいる構造となっています。
人材不足の解決を目的としてのM&Aというケースも多くあります。
リフォームは建築業と違い建設業法に抵触しないことが多く、また建築に関わる事業を営んでいれば参入することができるなど、参入障壁が低いことも手伝い、他業種からの参入で既存業者を買収する場合があります。
専門性の高い技能を持った人材や必要な設備を確保してから市場参入するケースが多いです。
しかしながら、リフォーム業界は高度な技術がないと規模を拡大したからといって業績に反映できる業界ではなく、また、コンプライアンスの見直し及び施工工程の標準化など新たな取組が要求されている状況です。
そのため、中小規模の会社では対応することが難しく、大手企業の傘下に入るM&Aが加速される可能性があるといえます。
会社規模によりますが、一般的にリフォーム会社の売却相場は営業利益の2~4倍ほどといわれており、300万~3,000万円前後で売買されているケースが多く、この金額が業界の相場であると考えられます。
中には、リフォーム事業ではなく、中古物件の買取、リフォーム、再販などをワンストップで行っている会社は利益率が高くなるため、このような特性を持つリフォーム会社は相場よりも高い価格で売却できる可能性が高まると考えられます。
株式会社ヤマダホールディングス(株式会社ベスト電器他7社):持株会社
株式会社ヤマダデンキ:電気機器小売業
事業価値向上のため、グループ全体の経営効率及びガバナンス強化を図るため持株会社体制に移行
株式会社ヤマダホールディングス(株式会社ヤマダホームス他4社):持株会社
株式会社ヤマダ住建ホールディングス(新設):中間持株会社
事業価値向上のため、グループ全体の経営効率及びガバナンス強化を図るため持株会社体制に移行
株式会社ヤマダホールディングス(株式会社ヤマダフィナンシャル他4社):持株会社
株式会社ヤマダファイナンスサービス:金融業
事業価値向上のため、グループ全体の経営効率及びガバナンス強化を図るため持株会社体制に移行
株式会社ヤマダホールディングス(株式会社シー・アイ・シー他2社):持株会社
株式会社ヤマダ環境資源開発ホールディングス:環境業
事業価値向上のため、グループ全体の経営効率及びガバナンス強化を図るため持株会社体制に移行
ダイケンホーム&サービス株式会社:リフォーム工事業
株式会社スマイルアップ:リフォーム工事業
譲渡企業、譲受企業ともに大建工業株式会社の子会社であり、同じ事業を手がけているため、スピーディーで効率の良い組織に再編し、収益力の強化、工事・サービスの品質向上を図るもの
パナソニックプロイエサービス株式会社:住宅設備の維持修繕事業
コーナン商事株式会社:ホームセンター事業、建築職人向け小売業および会員制建築資材卸売業
譲渡企業:未表示
譲受企業:首都圏でのリフォーム事業の展開及びリフォーム事業に関する有資格者の確保
株式会社プレスト・ホーム:建築工事の請負・設計・施工・管理、リフォーム他
ケイアイスター不動産株式会社:戸建分譲事業、注文住宅事業、総合不動産流通事業、アセット事業、管理事業、宅地造成
譲渡企業:経営ノウハウの移転、グループ調達によるコストダウンなどのシナジー効果
譲受企業:国内事業成長の加速、国内シェアの向上
株式会社遊:リフォーム工事の設計・施工管理
株式会社アートリフォーム:住宅、店舗内装工事業、住宅改装工事業
譲渡企業:事業間連携の強化に経営資源を集中し、シナジーの最大化
譲受企業:富裕層向けの高価格帯リフォームの取得
株式会社システックキョーワ:リフォーム等で使われる住宅及び家具向けの金物及びプラスチック製品の企画・製造・販売
三井松島ホールディングス株式会社:石炭生産・販売他
譲受企業:譲渡企業が有する高い技術力や品質・コスト面での優位性などを取得することによる企業価値向上
株式会社シンエイエステート:賃貸住宅の受託管理
日本管理センター株式会社:賃貸住宅の管理・運用、リフォーム事業
譲渡企業:賃貸住宅業界の課題を解決する技術の活用による業務効率化、収益性向上
譲受企業:リフォーム事業、滞納保証事業、保険事業を提供することによる更なる収益性向上及び新規事業展開エリアの確保
株式会社産電テクノ:住宅設備機器の施工事業
株式会社NEXTAGEGROUP:グループ全体の経営方針策定および経営管理等、リフォーム事業
譲渡企業:顧客満足度向上と収益力のアップ、及び人事交流による提案力や営業力の向上
譲受企業:住宅設備機器等の施工技術と優秀な技術者の確保及び関西地区の施工量と質の向上
アイディ株式会社:新築マンション・木造戸建住宅の開発、中古物件の再生販売、リノベーションマンションの販売、住宅リフォーム、室内装飾の設計・監理・施工及び請負、マンション・アパートの賃貸等
株式会社ディア・ライフ:不動産デベロッパー
譲渡企業:財務基盤および経営管理体制の強化
譲受企業:施工業務請負や賃貸仲介・管理事業の取り込みによる、事業ポートフォリオの安定、拡大
株式会社INE:電気領域におけるマッチングメディアの運営他
ポート株式会社:リフォーム、就職、カードローン領域でマッチングDX事業を展開
譲渡企業:譲受企業の顧客(就職、リフォーム領域)への開発商材への販売による収益機会の拡大
譲受企業:新規ユーザー獲得チャネルの開発、拡大による利益効率の改善
[3] ヤマダホールディングスグループの組織再編に関するお知らせ(株式会社ヤマダホールディングス)
[4] 連結子会社間の事業譲渡に関するお知らせ(大建工業株式会社)
[5] リフォーム関連事業の一部事業譲受に関するお知らせ(コーナン商事株式会社)
[6]株式会社プレスト・ホームの株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ(ケイアイスター不動産株式会社)
[7]連結子会社の異動を伴う株式譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ(株式会社ウィル)
[8] 株式会社システックキョーワの株式取得(子会社化)に関するお知らせ(三井松島ホールディングス株式会社)
[9] 株式会社シンエイおよび株式会社シンエイエステートの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(日本管理センター株式会社)
[10] 株式会社 NEXTAGEGROUP が株式会社産電テクノを 2021 年 10 月 1 日(金)子会社化、太陽光発電等の販売事業や施工事業の拡大へ(株式会社NEXTAGE GROUP)
[11] 株式取得による子会社化のお知らせ(株式会社ディア・ライフ)
[12] 株式会社 INE の株式取得(子会社化)及び資金の借入に関するお知らせ(ポート株式会社)
リフォーム会社の売却・買収するメリットをそれぞれ解説します。
売却側のメリットは下記が挙げられます。
買収側のメリットは下記が挙げられます。
リフォーム業界の概要(市場規模や動向)、リフォーム会社の売却・M&A動向、売却価格相場及び売却事例について、そして、リフォーム会社の売却・買収を行うメリットやリフォーム会社の売却・M&A手法について説明しました。
リフォーム市場はおよそ7兆円規模で、新しい生活様式やリモートワークなどで家にいる時間が長くなることでリフォームの需要は見込めるものと考えられます。
リフォーム業界の問題点は慢性的な人材不足であり、高度な専門性が要求されるので、参入障壁の低いリフォーム業界のM&Aは活発に行われる可能性があります。
売買価格は営業利益の2~4倍ほどといわれており、300万~3000万円前後で売買されている事例があります。
リフォーム会社を売却するメリットとして、従業員の確保や後継者問題の解決などが挙げられ、また、買収のメリットとして、時間と費用のかかる顧客の開拓やノウハウの取得がM&Aで解決できる点があります。
M&A手法では大手では事業譲渡、中小企業では株式譲渡が有効であるケースが多いでしょう。