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バイアウトファンドとは|意味や事例、ヘッジファンドとの違い

バイアウトファンドとは、投資対象会社の企業価値を向上させた後に、高値で売却して利益を創出するファンドです。主に、事業承継や事業再生の手段として活用できます。バイアウトファンドの一覧や活用による効果、M&Aの事例をわかりやすく解説します。

バイアウトファンド 仕組み

目次
  1. バイアウトファンドとは
  2. バイアウトファンドの一覧
  3. バイアウトファンドの特徴 
  4. バイアウトファンドと各種ファンドとの違い
  5. 経営者から見たバイアウトファンドの活用方法と効果
  6. バイアウトファンドとのM&A事例 
  7. まとめ

バイアウトファンドとは

バイアウトファンドの意味

バイアウトファンドとは、投資家から集めた資金を対象会社に投資し、企業価値を向上させた後により高値で売却して利益創出するファンドです。

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バイアウトファンドは英語で何という?

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バイアウトファンドの投資期間

一般的なバイアウトファンドの投資期間は5年~10年程度です。
他のベンチャーキャピタル等のファンドと同程度の投資期間となります。

バイアウトファンドが「ハゲタカ」と呼ばれる理由

バイアウトファンドの投資手法として、経営不振に陥った企業を安値で買いたたくことがあることから「ハゲタカ」と呼ばれることがあります。
ハゲタカという言葉は、NHKのドラマや映画化でより一般的になりました。

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バイアウトファンドの一覧

カーライル・グループ

カーライル・グループは、世界5大陸に26のオフィスを持ち、従業員数約1,900人[1]の巨大なバイアウトファンドです。
カーライルの中に498[1]のファンドを運用しており、3,250億ドル[1]の資産運用をしています。

ベインキャピタル

ベインキャピタルは、2005年に東京オフィス開設[2]以来、日本国内で21件[2]の投資実行を行ったバイアウトファンドです。
40名以上の投資プロフェッショナルを抱え、上場企業のMBOやカーブアウト案件などを手掛けています。

アドバンテッジパートナーズ

アドバンテッジパートナーズは、1992年設立[3]、東京、香港、中国、シンガポールに拠点を持ち、アジアを中心に投資しているファンドです。
バイアウトファンドの他にも上場企業への成長投資[3]、再生可能エネルギー・サステナビリティ投資[3]など様々な方面で投資活動を行っています。

MBKパートナーズ

MBKパートナーズは、2005年設立以来[4]、中国・日本・韓国を中心に投資を行っており、運用総額は250億ドル[4]を超えています。
投資プロフェッショナルが79名[4]在籍しており、バイアウト投資に力を入れています。

インテグラル

インテグラルは、未上場・上場企業に対してエクイティ投資を行っています[5]。
MBOやLBO、マイノリティ出資まで幅広い投資活動を行っており、対象業界も限定されていません。
長期的視点で、事業の成長を第一に考えており、投資のエグジットありきで経営を考えていない点[5]が特徴的です。

ユニゾンキャピタル

ユニゾンキャピタルは、1998年設立[6]の投資ファンドで日本企業への投資の他、2014年[6]からは韓国企業への投資も行っています。
日本、韓国における幅広いネットワークとノウハウを有しており、ヘルスケア、コンシューマー、B2Bサービスに注力している点が特徴[6]です。

ローンスター・グループ

ローンスター・グループは、1995年設立[7]以来、21の投資ファンドを運営[7]し、運用総額は850億ドル[7]を超えている世界的なバイアウトファンドです。
世界各国にネットワークを有しており、アメリカ、ヨーロッパ、東アジアなど世界中の様々な案件に投資実行している点が特徴[7]です。

日本産業パートナーズ

日本産業パートナーズは、2002年創業[8]以来、27件投資を実行し、累計投資金額は3,200億円近く[8]になっています。
日本産業の潜在力に着目しており、対象会社の事業戦略を重視し長期的・多面的な支援を実施している点[8]が強みです。

ポラリス・キャピタル・グループ

ポラリス・キャピタル・グループは、2004年設立[9]、今までに国内30件以上[9]の投資を実行している独立系投資ファンドです。
ハンズオン型モニタリング手法[9]を実践し企業価値向上に貢献しています。
投資銀行の他、事業会社、経営コンサルティング会社など多様なバックグランドのプロフェッショナル人材[9]が集まっています。

[1] カーライル・グループ
[2] ベインキャピタル
[3] アドバンテッジパートナーズ
[4] MBKパートナーズ
[5] インテグラル
[6] ユニゾンキャピタル
[7] ローンスター・グループ
[8] 日本産業パートナーズ
[9] ポラリス・キャピタル・グループ

バイアウトファンドの特徴 

バイアウトファンド 特徴

会社の支配権(≒経営権)を確保する

バイアウトファンドは、対象会社の議決権の過半数を獲得し、会社の支配権を確保します。
会社の支配権がない場合には、バイアウトファンドの経営ノウハウを踏み込んで注入することができず経営改善が中途半端になってしまうためです。

積極的に経営に参画し、企業価値の向上を図る

会社の支配権を確保したバイアウトファンドは、対象企業に取締役を派遣することで経営に積極的に参画します。
取締役だけでなく対象企業に部長職などのマネジメント層も転籍させ、様々な経営課題を解決していくことで、長い時間をかけて企業価値の向上を図ります。

要求リターンが比較的大きい

バイアウトファンドは投資から回収まで時間がかかること、経営改善のためバイアウトファンド側で人材リソースが必要なことから、他のファンドよりも要求リターンが比較的大きくなります。
また、一社あたりの投資額が大きくなることから個々の投資の精度を上げる必要があり、投資前に経営改善の可能性があるのか、財務法務だけでなく、事業面も深くデューデリジェンスを実施します。

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バイアウトファンドと各種ファンドとの違い

PEファンドとの違い

PEファンドとは、未上場株式に投資するファンドのことです。
PEファンドはより広い意味で使われることがあり、PEファンドの中に、バイアウトファンド、ベンチャーキャピタル、事業再生ファンドなどが含まれています。

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ヘッジファンドとの違い

ヘッジファンドとは、公開市場において様々な投資手法を駆使して利益を創出するファンドです。
バイアウトファンドとの違いとして、ヘッジファンドには下記の特徴があります。

  • 未上場会社に投資することは少ない
  • 株式だけでなく、債券、先物、オプション、商品など世界中の金融商品が投資対象となる
  • 対象企業の経営には関わらない
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ベンチャーキャピタルとの違い

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に投資することで利益を得るファンドです。
バイアウトファンドとの違いとして、ベンチャーキャピタルには下記の特徴があります。

  • 一般的に成長企業に投資するため、経営不振に陥った企業には投資しない
  • 深く経営にコミットすることは少ない
  • 多数の企業に少額投資するスタイルである

経営者から見たバイアウトファンドの活用方法と効果

バイアウトファンド 特徴

事業承継

親族や従業員など、後継者が見つからないケースではバイアウトファンドに買収してもらうことで事業承継させることができます。
経営不振、債務超過などの状況であってもバイアウトファンドであれば事業承継してもらえるかもしれません。

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MBO(マネジメント・バイアウト)

対象会社の株式を保有していない経営者は、バイアウトファンドの助けを得てMBOすることができます。
バイアウトファンドの資金力をバックに対象会社を買収し、オーナー兼経営者となります。
MBO後は、自らが先頭に立ち、オーナー兼経営者として経営改善を図ることができ、将来の企業価値増加の効果を大きく得ることができます。

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事業再生

自力では経営再建できない場合、バイアウトに自社を買収してもらい、経営改善を託すことができます。
経営者の持つ株式を100%売却するのではなく、数%は継続保有することで、経営改善後も引き続き、自社の株主でいられます。

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カーブアウト

不採算事業等を切り離すカーブアウトを行いたい場合、バイアウトファンドがその事業の買い手になってくれます。
バイアウトファンドを活用したカーブアウトを行うことで、不採算事業から撤退することができ、残りの経営リソースを本業や成長事業に振り分けることができます。

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事業の成長加速

バイアウトファンドに買収されることで、バイアウトファンドの経営ノウハウ・知見を注入してもらうことができます。
結果として、事業の成長を加速させることができ、企業価値をより速いスピードで高められます。

バイアウトファンドとのM&A事例 

ベインキャピタルによるイグニスのMBO

譲渡企業の概要

イグニス:スマートフォンアプリ開発事業 

譲り受け企業の概要

ベインキャピタル:米国に本拠地を置くバイアウトファンド

M&Aの目的・背景

新サービスへの投資が膨らみ赤字転落。経営改善のためには多額の経営資金投入が必要で、非上場化し長期的な視点で経営を行うため。[10]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年4月[11]
  • 手法:株式譲渡公開買付)[11]
  • 結果:MBOの成立・譲渡金額:約500億円[10]
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ファンドによるエグジットとは、投資した会社の価値を高めて、株式の売却益を得ることです。ファンドによるエグジットの流れや事例を詳しく解説します。また、ファンドに対してエグジットするメリットも紹介します。(公認会計士 前田 […]

MBKパートナーズによるゴディバ日本事業の買収

譲渡企業の概要

ゴディバ:ベルギーに本拠地を置くチョコレート製造会社 

譲り受け企業の概要

MBKパートナーズ:運用総額250億ドルを超えるバイアウトファンド

M&Aの目的・背景

ゴディバの親会社であるユルドゥズ・ホールディングが債務圧縮を急ぐ必要があったため。[12]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2019年6月[13]
  • 手法:株式譲渡[13]
  • 結果:MBKパートナーズがゴディバ日本事業を完全子会社化・譲渡金額:約1,100億円[12]
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[10] 日経新聞 イグニスのMBO
[11] イグニス 公開買付の結果
[12] 日経新聞 MBKによるゴディバ日本事業買収
[13] ゴディバジャパン会社概要

まとめ

バイアウトファンドとは対象企業の買収後、経営改善に取り組み、数年後より高値で売却することを目指すファンドです。
バイアウトファンドによるM&Aは金額規模が大きく、社会的なインパクトも大きくなる点が特徴的です。

(執筆者プロフィール:公認会計士試験に合格後、大手監査法人にて監査業務やコンサルティング業務に従事。その後、経営コンサルティング会社などを経て、現在は事業会社におけるM&A実務を行っている。日々、投資やM&Aに関するノウハウを発信中。)