事業承継・M&Aプラットフォーム M&Aサクシード

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演劇業界をつなぐ、次の時代へのバトン。 異なる強みを持つ企業の出会い

  • 譲渡
    株式会社児原
    本社所在地:東京都
    事業概要:演技スクール・スタジオ運営等
    譲渡理由:後継者不在のため
    株式譲渡
    譲り受け
    株式会社R Plays Company 
    本社所在地:東京都
    事業概要:演劇公演プロデュース・ワークショップ運営等
    譲り受け理由:事業領域拡大のため
  • 東京都
  • 教育
  • M&Aお試しマッチング

コロナ禍で大きな影響を受けた演劇業界は、今まさに変化の時代を迎えています。異なる強みを持つ二社がM&Aを通じて交わり、新たな未来を切り拓こうとしています。本記事では、事業承継の観点からこの取り組みがどのように実現し、どのような価値を生み出したのかを探ります。スタジオ運営や演技指導を手がける株式会社児原 代表取締役 甲斐大櫻様と、舞台制作や俳優育成を行う株式会社R Plays Company 代表取締役 佐藤裕英様にお話を伺いました。

演技指導スタジオ運営と舞台プロデュース、異なる強みを持つ企業の出会い

――株式会社児原様の企業概要を教えていただけますか。

株式会社児原 甲斐 株式会社児原は、代々木および大阪に演技指導スタジオを構え、演技指導を中心に、面接対策や発声練習など、プロからお子様まで幅広い方々を対象としたワークショップを提供してきました。会社設立以前からワークショップを実施しておりましたが、2014年に正式に法人化しました。さらに、事業の一環として「コバルエンタテインメント」という芸能事務所も運営しています。

――株式会社R Plays Company様は同じ演劇業界でいらっしゃいますね。

株式会社R Plays Company 佐藤 株式会社R Plays Companyは、俳優の佐藤玲が「つなぐ」をテーマに設立した制作会社です。私は主に経営・財務面を担当しています。佐藤玲は、俳優個人としての活動に加え、舞台公演のプロデュースやワークショップの運営など、演劇業界で幅広い事業を展開しています。

コロナ禍の不安、譲渡検討のきっかけになったのは「お試しマッチング」

――譲渡を検討されたきっかけを教えてください。

甲斐 譲渡を検討し始めたきっかけは、コロナ禍です。スタジオを運営し、対面で演技指導を行うというビジネスモデルは大きな打撃を受けました。人が集まることが難しくなり、生徒の数はこれまでの約4分の1にまで減少しました。これは弊社に限らず、スタジオを運営するすべての業種に共通する課題でしたが、非常に厳しい状況でした。

コロナ禍の3年が過ぎ、ようやく回復の兆しを感じつつも、事業を完全に軌道に乗せるまでには至らない状況が続いていました。さらに、自身の年齢も考慮する中で、この先も事業を続けていけるのかという漠然とした不安が生まれました。

そんな中、起業前からお世話になっている税理士事務所の担当者から、M&Aサクシードの「お試しマッチング」* を勧められたことがきっかけとなり、今回の決断につながりました。

*M&Aを検討中または今後検討する可能性がある企業のオーナー経営者が、利用契約前に匿名で情報を掲載し、自社に興味を持つ譲受候補企業の有無や属性、反応を知ることができる業界初の機能

株式会社児原様・税理士法人スバル合同会計様の成功事例はこちらからご覧ください。

――一方、佐藤様はM&Aのお相手探しをしていた目的はスタジオ運営だとお伺いしました。

佐藤 当社のビジョンとして、スタジオを自社で運営することで、コスト面や利便性の面から考えても事業のさらなる発展が見込めると考えていました。そのため、スタジオ用物件の購入という選択肢に加え、スタジオを運営する企業とM&Aを通じて一緒になることも視野に入れて検討しました。その過程で、M&Aサクシードのプラットフォームを通じて児原さんと出会うことができました。

ビジョンの一致を感じられた初めてのトップ面談と3ヶ月の空白期間

――初めてのトップ面談での印象はいかがでしたか。

甲斐 初めてお会いした際は、佐藤社長と佐藤玲さんのお二人にお会いしました。佐藤玲さんが俳優としても活躍されていると存じ上げていたので、どのような方針をお持ちなのかと緊張しました。

実際にお話をしてみると、明確なビジョンをお持ちで、俳優としての方針やスタジオ経営の方針も私の考えに近いと感じました。細部まで互いの考えを擦り合わせていけば、同じ歩調で進めていけるという確信を持ちました。

佐藤 私は、企業の経営者の方とできるだけ早い段階で直接お会いすることを希望しています。オーナー企業の場合、経営者の歩みの集大成がその企業そのものだと考えているからです。そのため、企業のトップと話をすると、その会社の理念や方向性が見えてきます。今回、甲斐さんの経営方針はしっかりとお客様目線に立ったものであり、信頼できると感じました。

代表の立場は退かれるものの、引き続きここで演技指導を続けていただけると伺い、安心しました。また、佐藤玲とも考えが近いという点も心強かったです。

――初回のトップ面談後に少しお時間が空いたと伺いました。

佐藤 実は、6月に初回のトップ面談を実施しましたが、弊社の事情により一度検討を見合わせました。最初にお伝えしたとおり、物件の購入とも並行してスタジオ開設を検討していたためです。社内でもさまざまな観点から慎重に議論を重ねていました。

約3か月が経過してから再度面談を申し込みました。10月初旬に2度目のトップ面談を実施しましたが、初回の面談ですでにビジョンの一致を確認できていたため、次のステップに進むことを前提に、大きな問題がない限り、最終的に合意に至りたいという前提で話を進めました。

甲斐 2度目のご連絡をいただいた際は、大変驚きました。すでに次のステップに進むことはないと思っていたからです。2度目の面談では、佐藤さんから非常に前向きなお話をいただきました。

M&Aサクシード担当の細やかなサポートで合意から1カ月のスピード成約に

甲斐 10月のトップ面談を経て、1カ月後には成約に至りました。そのスピード感には大変驚かされました。

調印までに対応すべき事項は多くありましたが、M&Aサクシードの担当者からは必要なことを的確に伝えていただけた点が非常に良かったです。しっかりとサポートしていただいたおかげで、安心して任せることができたと感じています。

佐藤 多くのM&Aを生業とする企業と接する機会がありますが、その良し悪しは企業ではなく、担当者の対応次第だと考えています。

今回担当いただいたM&Aサクシードの担当者は、私が負担を感じることなく進められるよう、細やかに対応してくれました。常に先回りして動いてくれたので、心配を抱く余地がないほどでした。受け身の姿勢でいられたことは、大変ありがたかったと感じています。

――ご成約から5カ月、現在はどのように事業を進めていらっしゃいますか。

佐藤 現在、経営実務については、甲斐さんにもご協力いただきながら、調整を進めています。4月を目処に、徐々にシフトしていければと考えています。譲渡後も、すぐに関係が終わるのではなく、事業に対する思い入れを大切にしながら、しっかりと引き受けていきたいと考えています。

甲斐 大阪スタジオは、この3月末をもってクローズすることとなりました。最後の公演も無事に終了したところです。このようなM&A後の事業運営に関することも、M&A実施前から佐藤さんとしっかり会話した上で進めることができ、お互いに協力しながら事業運営ができています。

起業前から大阪に通い、演劇のワークショップを含めると、約26年間にわたり活動を続けてきました。そのため、大阪には強い思い入れがあります。だからこそ、最後は自ら感謝の気持ちをしっかりと伝え、締めくくることが礼儀だと考えました。この機会をいただけたことに、佐藤さんにも心から感謝しています。

佐藤 譲り受けた東京スタジオでは、現在のクラスはもちろんのこと、佐藤玲の演劇の事前練習や、映画監督や大学教授などを招聘するワークショップなどにもフル活用しています。4月以降は、演劇に限らず、ビジネス向けの講座など、さらに稼働率を高めることに挑戦していきたいと考えています。

スタジオという場所があることで、空き時間を活用しながら新たなチャレンジが可能になり、今後の新規事業としても広がりが期待できます。オンラインではできないことを実施していきたいですね。

お客様視点に立った時、譲渡がひとつの選択肢だと確信

――M&Aを検討されている方へのメッセージをいただけますでしょうか。

甲斐 M&Aという言葉に対する印象は人それぞれ。特に、自ら育てた事業を手放すことに抵抗を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、私の場合、後継ぎがいないことを考えると、お客様のことを第一に考え、経営を他の方に託す方が良いと判断しました。演技指導に関しては、自分の信念を貫きながら全力で取り組んできました。その点においても、ビジョンを共有できる佐藤玲さんのような若い世代に託すことは、事業の未来にとって良い選択だと考えました。

実際にM&Aを進めてみて、今は本当にやって良かったと感じています。私自身の心の負担も大きく軽減されました。もし迷っている方がいるなら、ぜひ前向きに検討されることをおすすめします。


――株式会社R Plays Company様の今後の「M&A経営」の方針を教えてください。

佐藤 これからの時代、経営はますます複雑になっていきます。例えば、コロナ禍で受けた補助金の返済や、新たな補助金の獲得に向けた資金調達など、本業とは異なる分野の対応が求められています。さらに、マーケティングも細分化・専門化が進み、経営者は事業運営だけに集中することが難しい状況です。

事業に専念したいオーナーの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お話しさせていただきたいと思っています。共通の目標を持つ仲間が集まり、それぞれの強みを活かしながら経営をサポートし、効率化を図ることで、新たなコンソーシアムを構築できるのではないかと考えています。私はこの考え方を「セームボート(Same Boat)」と呼んでいます。

演劇業界は現在、大きな変革期にあります。共に成長目標に向かって進んでいければ幸いです。

M&Aサクシード 担当者コメント

場々 拓哉シニアコンサルタント

担当者

児原様は、豊富な経験を持ち、確かな技術はもちろん老若男女に愛される演技指導スタジオを長年運営してこられました。オーナーの甲斐様は事業の承継と、現場での演技指導に専念されたいという思いがあり、お若い力と様々な経営経験を有するR Plays Company様へグループインされました。甲斐様および両社様のますますのご発展を心より祈念いたします。

担当者プロフィール

信州大学卒業後、八十二銀行へ入行。東京都内、長野県内支店を経て、新潟法人営業所へ。数多くの中小・中堅企業の融資業務に携わるとともに、新潟法人営業所では新規エリア開拓メンバーとして法人営業に従事。その後、株式会社M&Aサクシードに参画しアドバイザー業務に従事。

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