.png&w=3840&q=75)





「同業の旅行会社・旅行代理店が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
旅行会社・旅行代理店の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
旅行会社・旅行代理店の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 旅行業を単体で手がける中小企業の公開成約事例は僅少。相場観は買い手の値付け(EBITDA基準・時価純資産法)と、事業の中身(取扱高・取引基盤・専門特化・オンライン化)に置くのが現実的 |
② 買い手の値付け方法 | オファーでは、EBITDA(利益)に手元現金(ネットキャッシュ)を加える形や、時価純資産を軸にした提示が中心 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値2社の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている旅行会社・旅行代理店の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しようとしました。ただし、旅行業を単体で手がける中小企業の公開成約事例は僅少で、年商規模別の倍率テーブルとしてお示しできるだけの件数がありません。ここでは倍率表は載せず、買い手が実際に使う値付け(EBITDA基準・時価純資産法)と、事業の中身(取扱高・取引基盤・専門特化・オンライン化)を相場観の軸に置きます。実名の成約事例は後半でご紹介します。
• 譲渡理由は「事業の成長(さらなる拡大)」が約3割、「選択と集中」が約2割で、成長・再編を目的とした売り手が目立つ
• 所在地は東京が約56%と過半を占め、都市部の旅行会社が中心。全国の地場旅行会社も一定数
• 営業赤字の会社でも成約しており、黒字(約2割)であることは必須条件ではない
結論:旅行会社・旅行代理店の価格を決める最大の要素は、売上(取扱高)の大きさではなく「法人・自治体などの安定した取引基盤」と「専門特化・送客力(インバウンド/教育旅行/医療渡航やオンライン化など)」です。旅行業は薄利になりやすいため、買い手が気にするのは買収後も継続する顧客と、他社が真似しにくい強みがあるかだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 安定した取引基盤(法人・自治体・団体の継続顧客)と収益構造 | ◎ 最重要 | 旅行業の収益は継続顧客で決まる。法人・自治体・団体との継続的な取引や、受注型・手配旅行の安定収益があるほど、買収後に見込める収益の土台になる |
2 | 専門特化・送客力(インバウンド/教育旅行/医療渡航・OTA・ダイナミックパッケージ) | ◎ 重要 | 他社が真似しにくい専門特化や、オンラインの送客力があるほど、買い手はゼロから作りにくい強みとして評価しやすい |
3 | 登録区分(第1種〜第3種・地域限定)と有資格者(旅行業務取扱管理者) | ○ | 取り扱える旅行の範囲を左右する登録区分と有資格者が揃っているほど、案件対応力が読みやすい |
4 | 営業利益(EBITDA)・代表非依存の運営体制 | ○ | 買い手は利益を基準に値付けしやすい。代表が抜けても営業・手配・管理が回る体制は、引き継ぎリスクが小さいと評価される |
— | 取扱高の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 取扱高が大きくても、薄利で顧客が流動的・専門性が弱いと評価は伸びない。継続する顧客と強みが見られる |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「継続する取引基盤と、他社が真似しにくい専門特化・送客力」を示せるようにし、次に「利益を残す」。取扱高を追うのはその後です。
結論:旅行会社・旅行代理店のオファーでは、買い手はEBITDA(利益)に手元現金(ネットキャッシュ)を加える形や、時価純資産を軸にして値付けしています。取扱高よりも、残る利益と手元資金が見られます。
M&Aサクシードの旅行関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、EBITDA倍率に手元現金を加える方法や時価純資産法が中心です。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 倍率 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 収益力(EBITDA)に倍率を掛け、手元現金を加える方法。旅行業は預り金・手元資金の扱いが評価に影響しやすい |
その他(案件の個別事情に応じた算定) | 取引基盤・専門特化・送客力と買い手とのシナジーに応じた個別の提示 |
時価純資産法 | 資産・負債を時価で評価し直した純資産を基準にする方法 |
具体的にイメージすると
EBITDAが3,000万円なら、そこに買い手ごとの倍率を掛けた金額に手元現金を加えた金額が、オファーの初期レンジの土台になります。ここに取引基盤・専門特化・送客力と買い手とのシナジーが加味されます。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は、利益(EBITDA)を厚くしつつ、継続する取引基盤や専門特化という「買い手が安心して引き継げる基盤」を示せる状態を作ることです。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちに買い手なんてつくのか」という不安は、データを見るとその心配は小さいといえます。旅行関連の案件には1社あたり中央値2社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの旅行関連案件のデータでは、1社あたり中央値で2社、多いケースでは15社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 2社 |
平均 | 約3.8社 |
最も多かった案件 | 15社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうか。M&A市場に出ている旅行会社・旅行代理店関連の売り案件は約16件にとどまり、案件数は少なめです。
買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値2社がオファーを出しています。供給・需要とも件数が積み上がる市場ではないぶん、「相性の良い買い手に出会えるか」が条件を大きく左右します。母集団の大きいプラットフォームで幅広く買い手候補に情報を届けることが、良い出会いの確率を上げる近道です。
もう一つ、交渉の環境として知っておきたい点があります。プラットフォーム型のM&Aでは、複数の買い手が同じタイミングで案件を検討するため、比較検討できるオファーを同じ期間にまとめて集めやすくなります。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、社名・屋号の存続や従業員の雇用継続についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
ちなみに、市場に出ている案件の譲渡理由を見ると「事業拡大・成長戦略」と「選択と集中」が中心です。業績不振による売却は主流ではなく、前向きな理由での譲渡が目立ちます。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 100億円超の大手から、5〜30億円台の中堅まで幅広い |
M&A経験 | 約6割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 非上場が中心。東証プライム等の上場企業も一定数 |
エリア | 東京をはじめとする都市圏の買い手が中心 |
業種 | 旅行・観光・宿泊の同業のほか、OTA・IT・送客プラットフォームや自治体連携の事業会社も |
結論:旅行会社・旅行代理店の買い手で最も存在感があるのは、「継続する取引基盤・専門特化・送客力をまとめて引き継ぎ、旅行・観光事業を面で広げたい同業やOTA・IT系の事業会社」です。インバウンド回復とオンライン化のなか、顧客と送客の仕組みを面で確保できることが動機だからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
OTA・オンライン旅行の事業会社 | ◎ 主役候補 | エボラブルアジア(現エアトリ。オンライン旅行事業の強化のためDeNAトラベルを取得) | オンライン旅行の送客基盤に顧客・取扱高を取り込み、規模と送客力を面で広げる |
旅行業界向けIT・DX/送客プラットフォーム | ○ シナジー次第 | じげん(旅行業界向けDX・ASP事業の強化のためUSAELを取得) | 旅行業界向けのITソリューションや送客の仕組みを取り込み、業界内の事業領域を広げる |
旅行・観光・宿泊の同業 | ○ 地域・専門補完 | 同業が地域・専門分野(インバウンド/教育旅行等)の取引基盤を補完するために取得 | 取引基盤・登録区分・有資格者・専門特化をまとめて引き継ぎ、対応領域を広げる |
投資ファンド | △ 限定的だが存在 | —(旅行・観光関連の買い手候補にも一定数) | 成長投資・再編の起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆です。同業・隣接の買い手は、取引基盤や専門特化、送客力をまとめて引き継ぎたいからこそ、事業や雇用の継続を前提に手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。旅行業単体の中小企業の公開事例は僅少なため、旅行・観光カテゴリの事例を挙げます。「どんな会社が、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください(金額は個別事情で決まっており、そのまま自社に当てはまる水準ではない点にご注意ください)。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
旅行商品・サービスの提供(DeNAトラベル) | 60.8億 | エボラブルアジア(現エアトリ、281億) | 約12億 | オンライン旅行事業の送客力・取扱高の取り込み |
旅行業界向けDXソリューション・ASP事業(USAEL) | 1.1億 | じげん(連結子会社アップルワールド、255億) | 約3.3億 | 旅行業界向けIT・送客の仕組みの取り込み |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが手を離しても、顧客は離れず、その強みで送り続けられるか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に法人・団体の顧客が離れないか」「専門特化や送客力が代表個人に依存していないか」「登録区分や有資格者でつまずかないか」「担当者が残るか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ取扱高でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 法人・自治体・団体の継続顧客があり、買収後も収益が続く見込みが高い | ◎ 顧客が流動的で、取引の継続性が読みにくい |
◎ 他社が真似しにくい専門特化・送客力(インバウンド/教育旅行/OTA等)がある | ◎ 汎用的な手配中心で、薄利・差別化が弱い |
○ 登録区分・有資格者(旅行業務取扱管理者)が揃い、コンプライアンスが整う | ○ 登録区分・有資格者が手薄で、取扱範囲や継続に不安がある |
○ 代表が抜けても営業・手配・管理が回る | ○ 代表個人に顧客・専門性が集中している |
○ 取引・預り金・許認可・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「顧客が残るか」「他社が真似しにくい強みがあるか」この2つを整えるだけで、同じ取扱高でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。顧客の継続率や専門特化の強さの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。旅行業に近い「その他の生活関連サービス業」の中分類について、EV/EBITDAとPERの水準を挙げます。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
その他の生活関連サービス業(25件) | EV/EBITDA | 3.9倍 | 5.1倍 | 10.1倍 |
その他の生活関連サービス業(28件) | PER | 6.9倍 | 10.7倍 | 16.6倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、旅行会社・旅行代理店との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDA × 倍率 + 手元現金(ネットキャッシュ)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い旅行会社・旅行代理店の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
https://ma-succeed.jp/register/direct
相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
旅行会社・旅行代理店の価格を最も左右するのは「法人・自治体などの安定した取引基盤」と「専門特化・送客力(インバウンド/教育旅行/OTA等)」、次に「登録区分・有資格者」と「利益(EBITDA)」です。旅行業単体の公開成約事例は僅少ですが、オファーではEBITDAに手元現金を加える提示や時価純資産法が見られ、1社あたり中央値2社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、事業や雇用の継続を前提に手を挙げる、同業やOTA・IT系の事業会社です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
• かいしゃ価値トレンドで相場を見る:https://ma-succeed.jp/register/direct
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。