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「同業の警備会社・施設警備・交通誘導警備が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
警備会社・施設警備・交通誘導警備の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
警備会社・施設警備・交通誘導警備の相場は、①公開されている成約事例の顔ぶれ、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例は年商1億円台〜360億円台まで幅広い。年商倍率は0.5〜1.5倍が目安で、人手を確保できる会社ほど評価が上がる |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多いのは「時価純資産+営業権(数年分)」や「EBITDA倍率」を軸にした算定。人的資産と契約を評価する形が中心 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードでは1案件あたり中央値15社が関心を示す。人手不足を背景に、買い手が非常に集まりやすい |
まず公開事例を売上規模別に見ます。警備会社・施設警備・交通誘導警備の上場企業による買収事例を、売り手の年商規模で並べました。件数は限られるため目安としてご覧ください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
1〜3億円 | 約0.6倍 | 約1.0億円〜約5.5億円 |
5〜10億円 | 約1.0倍 | 約5.5億円〜約9.9億円 |
30億円〜 | 約1.5倍 | 約270億円〜約810億円 |
• 譲渡理由は「後継者不在」が最も多く、「代表者の引退」が続く。承継を目的とした譲渡が中心
• 黒字での成約が多い。警備契約のストックと人員の確保が価値の中心になりやすい
• 地域密着型の会社が、動員力と人員確保を狙う中堅・大手グループに引き継がれる例が目立つ
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
警備 | 30億円〜 | 約270億円 |
警備 | 5〜10億円 | 約5.5億円〜約9.9億円 |
警備 | 1〜3億円 | 約1.0億円〜約5.5億円 |
結論:警備会社・施設警備・交通誘導警備の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「警備契約のストックが続き、それを担う警備員が買収後も残るか」です。人手不足が続くなか、買い手が買っているのは、契約と、現場に立てる人そのものだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 警備契約のストック性(施設常駐などの長期契約・更新率・解約の少なさ) | ◎ 最重要 | 毎月続く契約が積み上がっているほど、買収後の売上が読みやすい。ここが価格の土台になる |
2 | 警備員の採用力と定着(隊員の人数・年齢構成・採用と定着・離職率) | ◎ 重要 | 現場に立てる人がいてこそ契約が成り立つ。人手不足のなか、採用と定着が回る会社ほど評価が上がる |
3 | エリアと現場の密度・動員力(対応エリア・現場の集中・繁忙期の動員力) | ○ | エリアに面があり動員が効くほど、買収後に現場を寄せやすく、統合メリットが出る |
4 | 許認可・教育体制と機械警備の資産(警備業の認定・指導教育・機械警備の設備) | ○ | 許認可と教育体制が整い、機械警備などの資産があるほど、継続性と資産価値が評価される |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、契約が細く警備員が確保できなければ評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「警備契約のストックと警備員の定着」を作り、次に「エリアの密度と許認可・教育体制」を整える。売上規模を追うのはその後です。
結論:買い手のオファーでは「時価純資産+営業権(数年分)」や「EBITDA倍率」を軸にした算定が中心です。人的資産と継続契約が価値の源泉である労働集約型の事業だからこそ、買い手は純資産と、契約が生む営業権(のれん)を丁寧に見ています。
M&Aサクシードに届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、時価純資産に営業権(数年分の営業利益)を加える形や、EBITDA倍率を軸にしたものが中心でした。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
時価純資産 + 営業権(営業利益×1〜5年分) | 警備で多い形。純資産に、契約が生む営業権を数年分加える |
EBITDA × 倍率 + 手元現金 | 収益力を倍率で評価し、手元現金を上乗せする形 |
純資産 + 営業利益×数年分 | 純資産を土台に、数年分の営業利益を加える形 |
手元現金 + EBITDA × 1〜3倍 | 手元現金に、収益力を低めの倍率で加える形 |
具体的にイメージすると
たとえば時価純資産が1億円、営業利益が3,000万円なら、純資産1億円+営業権(3年分で約9,000万円)で約1.9億円。これがオファーの初期レンジの一例になります。ただし個別事情で変わります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「警備契約を積み上げて営業利益を安定させ、純資産を厚くしておくこと」。逆に、契約が細ったり赤字が続いたりすると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのような警備会社に買い手がつくのか」という心配について。M&Aサクシードのデータでは、警備会社・施設警備・交通誘導警備に関連する案件に対し、1案件あたり中央値で15社の買い手が関心を示しています。人手不足を背景に、買い手が非常に集まりやすい業種です。
M&Aサクシードで警備会社・施設警備・交通誘導警備に関連する案件が受け取ったオファーを、1案件あたりの買い手数として集計しました。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 15社 |
平均 | 約19.2社 |
最大 | 34社 |
つまり「買い手が現れるだろうか」という心配は、データの上では小さいといえます。むしろ人手不足を背景に、警備員と契約を確保したい買い手が多く、関心は集まりやすい業種です。
では、売り手側の供給はどうか。M&A市場に出ている警備会社・施設警備・交通誘導警備関連の売り案件は約20件と、コンスタントに案件が出てくる業種です。
一方で、前述のとおり買い手の関心は厚く、1案件あたり中央値15社のオファーが集まります。案件の流通で相場観が形成されつつ、なお需要が供給を上回る売り手に追い風の市場です。相場が読みやすいうえに買い手間の競争も働くため、好条件を引き出しやすい環境といえます。
こうした買い手の厚みは、交渉の場面で具体的な意味を持ちます。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは、複数の買い手が同時に案件を検討するため、比較できるオファーを同じ期間に集めやすくなります。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。複数のオファーが集まれば、交渉の主導権は売り手側に寄ります。価格に加えて、経営者の関与期間や引き継ぎの進め方などの条件面でも、売り手側の意向を反映しやすくなります。
ちなみに、市場に出ている案件の譲渡理由では「後継者不在」が目立ちます。売却は特別な会社だけの選択肢ではない、ということの表れといえるでしょう。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像が見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円規模、5〜10億円規模、1〜5億円規模が中心。100億円超の大手も含む |
M&A経験 | 「M&A経験あり」と「M&A経験なし」がほぼ半々。人員確保のため、初めてのM&Aに踏み出す同業も多い |
上場/非上場 | 非上場が中心。上場企業も一部含む |
エリア | 東京がおよそ3割。福岡・愛知・北海道・岡山など各地の買い手が幅広く関心を示す |
業種 | 同業の警備会社が中心。地域を越えて人員と契約を確保したい中堅・大手グループが目立つ |
結論:警備会社・施設警備・交通誘導警備の買い手で存在感が大きいのは、「同業を積極的に束ねるロールアップ型の警備グループ」と「総合セキュリティの大手」です。人手不足のなか、警備員と警備契約を確保することが最優先の経営課題であり、それを一から採用で埋めるより、まとめて引き継ぐほうが早いからです。
買い手は複数のタイプに分かれますが、出現頻度も価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
ロールアップ型の中堅警備グループ | ◎ 主役 | 共栄セキュリティーサービス(地域の警備会社を複数取り込み動員力を強化)/トスネット(交通誘導・施設警備の地域会社を複数取り込み) | 警備員と契約をまとめて引き継ぎ、動員力と交渉力を高める相手。屋号や雇用が継続されやすい |
総合セキュリティの大手 | ◎ 大型案件で存在感 | セコム(機械警備・集配金・常駐警備などを取り込み社会システムを拡充) | 機械警備や資産を含めて取り込み、総合セキュリティの基盤を広げる |
地域の同業警備会社 | ○ エリア補完で取得 | ―(隣接エリアや不足分野を補完したい同業) | 自社のエリアや分野を補完し、人員を融通し合う狙い |
投資ファンド | ○ 一定数存在 | ―(警備関連の買い手候補にも一定数) | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆です。人手不足のなか、同業やグループは警備員と契約をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用の継続を前提に手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
集配金・機械警備を全国展開する会社 | 約364億 | セコム(約1兆2,000億) | 約810億 | 機械警備を軸に、セキュリティの社会システムを拡充 |
常駐・機械・航空保安などを全国展開する会社 | 約343億 | セコム(約1兆2,000億) | 約270億 | 総合セキュリティの現場基盤と人員をまとめて取り込む |
交通誘導・施設警備を営む地域の会社 | 約7.9億 | 共栄セキュリティーサービス(約101億) | 約9.9億 | 地域密着の対応力と広域の動員力を両立させる |
工事現場の交通誘導・施設常駐を営む会社 | 約6.8億 | トスネット(約119億) | 約5.5億 | 交通誘導・施設警備のエリアと人員を補完し、グループの動員力を強化 |
施設・交通誘導警備を営む会社 | 約2.2億 | 共栄セキュリティーサービス(約101億) | 約5.5億 | 人員確保と交渉力強化のため、地域の警備会社を取り込む |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、警備契約と警備員は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に警備契約が切れないか」「警備員が辞めて現場に立てなくならないか」「代表がいなくなって主要取引先との関係が切れないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商3億円でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 施設常駐などの長期契約が積み上がり、更新が安定 | ◎ スポット・単発中心で、契約が景気や工事量に左右される |
◎ 警備員の採用・定着が回り、現場に立てる人が揃う | ◎ 隊員の高齢化・離職が進み、人員が不足している |
◎ 代表が抜けても運用と取引先との関係が残る | ◎ 代表個人に主要取引先との関係が集中している |
○ エリアに面があり、繁忙期も動員が効く | ○ 対応エリアが薄く、動員にムラがある |
○ 許認可・教育体制が整い、利益が出ている | △ 契約・労務・財務の資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「契約と警備員が残るか」ここを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。警備業が含まれる「その他の事業サービス業」を参照します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
その他の事業サービス業(n=52) | EV/EBITDA | 3.5倍 | 8.6倍 | 20.8倍 |
その他の事業サービス業(n=54) | PER | 8.3倍 | 14.2倍 | 30.6倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、警備会社・施設警備・交通誘導警備との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | 時価純資産 + 営業権(営業利益×数年分)、またはEBITDA倍率+手元現金。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
警備会社・施設警備・交通誘導警備の価格を最も左右するのは「契約と警備員が残るか」、次に「警備員の採用力と定着」「エリアと現場の密度・動員力」「許認可・教育体制と機械警備の資産」です。買い手のオファーは時価純資産+営業権(数年分)やEBITDA倍率を軸にした算定が中心です。人手不足を背景に1案件あたり中央値15社と買い手が非常に集まりやすく、主役は警備員と契約をまとめて引き継ぎたい同業のロールアップ型グループと総合セキュリティの大手です。
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