.png&w=3840&q=75)





「同業の人材紹介会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
人材紹介会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
人材紹介会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。なお本記事では、成功報酬型の職業紹介・転職エージェント・ヘッドハンティングを中心とする人材紹介会社を対象とします(常用型の人材派遣・技術者派遣は別の記事で扱います)。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例では、譲渡額は年商のおよそ0.6〜1.6倍に分布(該当する公開事例は少なく、個別案件の影響が大きい) |
② 買い手の値付け方法 | オファーでは、EBITDA(営業利益)の倍率に手元現金を加える方法が軸。純資産を軸にした方法や、個別事情に応じた提示も一定数 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値7社の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている人材紹介関連(職業紹介・転職エージェント・採用支援など)の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。譲渡額そのものよりも、「年商の何倍で成約しているか」の傾向に注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
5〜10億円 | 約0.6倍 | 約1.8億円〜約18億円 |
10〜30億円 | 約1.6倍 | 約28億円〜約29億円 |
• 譲渡理由は「自社事業の選択と集中」が約5割、「後継者不在」が約25%(成約件数が限られるため、あくまで傾向としてご覧ください)
• 所在地は東京に集中。買い手・売り手とも首都圏に集まりやすい傾向
• 黒字案件は約半数。赤字でも、引き継げる顧客基盤や改善余地によって買い手がつく可能性がある
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
求人サイト運営 | 1,000万円以下 | 約330万円 |
人材紹介 | 1,000万円以下 | 約1,644万円 |
人材派遣 | 1億〜2億5,000万円 | 約3,500万円 |
人材派遣 | 1億〜2億5,000万円 | 約4,500万円 |
結論:人材紹介会社の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「得意領域(職種・業界)の専門性と、コンサルタント・求人企業・求職者の基盤が買収後も引き継げるか」です。成功報酬型で収益が変動しやすい人材紹介では、買い手が気にするのは買収後も成約を出し続けられるかだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 得意領域(職種・業界)の専門性と、求人企業・求職者基盤の引き継ぎやすさ | ◎ 最重要 | 特定領域で選ばれる理由と顧客・候補者の基盤が、買収後の成約継続の土台。公開事例でも薬剤師特化・メーカー特化など専門特化型が評価されている |
2 | 営業利益(EBITDA) | ◎ 重要 | 買い手はEBITDA基準で値付けする。利益が出ているほど素直に価格が上がる |
3 | コンサルタントの定着 | ○ | 成約はコンサルタント個人の力量に依存しやすい。買収後に主力が残る見込みが評価を支える |
4 | 収益の安定性・顧客分散 | ○ | 成功報酬型は収益が変動しやすい。継続的に採用する求人企業が分散しているほど、買収後のリスクが小さい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、単発の成約頼みで利益が薄いと評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「得意領域と基盤が引き継げる状態」を作り、次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:人材紹介会社へのオファーでは、買い手の多くがEBITDA(営業利益)や純資産を軸に値付けしています。EBITDA倍率に手元現金を加える形が中心で、買い手は共通して利益を見ています。
M&Aサクシードの人材紹介関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、EBITDA倍率(+手元現金)を軸にした方法が最も厚く、純資産を軸にした方法が続きます。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 倍率(3〜5倍が中心) + 手元現金(ネットキャッシュ) | 標準形。収益力に手元現金を加えて評価 |
EBITDA × 倍率(3〜5倍が中心) | 上記の変種。手元現金を分けずに収益力で評価 |
純資産 + 営業利益の数年分 | 資産価値に、のれん(営業利益の数年分)を加える方法 |
時価純資産法(資産の時価評価) | 収益力よりも資産の時価を重視する方法 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに手元現金を上乗せした金額が、オファーの初期レンジになります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「利益(EBITDA)を厚くし、手元現金を残しておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのような人材紹介会社に買い手なんてつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。人材紹介関連の案件には、1案件あたり中央値7社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの人材紹介関連案件のデータでは、1案件あたり中央値で7社、多いケースでは17社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 7社 |
平均 | 約8.4社 |
最も多かった案件 | 17社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
次に、売り手側の供給を見てみましょう。人材紹介会社関連の売り案件は市場に約9件しかなく、流通量は限られています。
これに対して買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値7社がオファーを出しています。売り案件の少なさに対して買い手の需要が上回る、売り手優位の需給バランスです。数少ない案件に買い手が集中するため、複数の候補を比べながら条件交渉を進めやすい環境にあります。
この需給の環境は、売り手にとって交渉の進め方そのものを変えます。プラットフォームを使えば、複数の買い手が同じ期間に案件を検討するため、条件を見比べられるオファーがまとまって集まりやすくなります。オファーを1本ずつ受けて判断するのではなく、同じ期間に並べて比較できることが、交渉のしやすさに直結します。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、従業員の雇用継続や取引先との関係維持についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多。100億円以上の大手も約2割 |
M&A経験 | 約7割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約8割が非上場。東証プライム・スタンダード・グロース等の上場企業も |
エリア | 半数超が東京。大阪・愛知など都市圏が続く |
業種 | 人材紹介の同業のほか、人材派遣・技術者派遣、人材育成、BPO・アウトソーシングなど人材関連の隣接領域が中心 |
結論:人材紹介会社の買い手で最も存在感があるのは、「得意領域の専門性と、コンサルタント・求人企業・求職者の基盤を取り込みたい同業・隣接型」です。自社の顧客基盤やサービスと組み合わせれば、引き継いだ事業をさらに伸ばせると考えているからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・隣接(人材紹介・求人メディア)の事業会社 | ◎ 主役・最速 | じげん(約254.5億、グループで人材紹介会社を連続取得) | 得意領域の専門性と顧客・求職者基盤を高く評価。事業を引き継ぎやすい |
上場人材サービス大手 | ○ 価格が出やすい | テンプホールディングス(現:パーソルホールディングス)(約14,512億) | 人材サービスの品揃え強化・グループ会社化 |
異業種・事業会社(採用支援・メディアとのシナジー狙い) | ○ シナジー次第で高値 | ポート(約219.6億、新卒・中途の人材紹介事業を取得) | 自社の顧客基盤・メディアと人材紹介を組み合わせる |
投資ファンド | △ 限定的だが存在 | —(人材関連の買い手候補にも一定数) | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買われるのでは」という心配は実態と逆です。同業・隣接の買い手は、得意領域の専門性とコンサルタント・顧客基盤をまとめて引き継ぎたいからこそ、事業の継続を前提に、競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
薬剤師領域に特化した人材紹介・求人サイト事業(エニーキャリア) | 約13.8億 | じげん(グループのリジョブが取得、約254.5億) | 約29.2億 | 薬局領域で約7,000社に及ぶ顧客基盤と、高い採用率を支える運営力 |
新卒・中途向け人材紹介と採用イベント事業(HRteam) | 約27.7億 | ポート(約219.6億) | 約27.6億 | 採用意欲の回復や採用活動の早期化・長期化で拡大する新卒採用支援市場での事業基盤 |
メーカーに特化した人材紹介事業(タイズ) | 約7.8億 | じげん(約254.5億) | 約17.5億 | 関西の主要な大手機械・電気/半導体・化学メーカーを網羅する取引実績と、特化領域の顧客基盤 |
人材紹介とRPO(採用代行)事業(URG) | 約6.4億 | じげん(グループのタイズが取得、約254.5億) | 約4.0億 | 採用戦略からオペレーション構築まで伴走する支援力と、コンサルティング会社・メーカーの顧客基盤 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたや特定のコンサルタントが手を離しても、成約は続くか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に主力コンサルタントが辞めないか」「求人企業との取引が続くか」「代表がいなくなって成約が止まらないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ コンサルタントが定着し、買収後も成約を出し続けられる | ◎ 成約が特定のコンサルタント個人に依存している |
◎ 代表が抜けても営業・マッチング・管理が回る | ◎ 代表個人に営業・顧客との関係が集中している |
○ 得意領域が明確で、求人企業との取引が継続している | ○ 得意領域が曖昧で、単発の成約頼みになっている |
○ 求人企業・求職者の基盤が複数の顧客・領域に分散している | ○ 特定の顧客・領域に収益が偏っている |
○ 契約書・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「人と基盤が引き継げるか」「特定の人に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。依存度などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。人材紹介に最も近い「職業紹介・労働者派遣業」と、専門型サービスの参考として「専門サービス業」を併記します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
職業紹介・労働者派遣業(30件) | EV/EBITDA | 3.5倍 | 9.4倍 | 19.6倍 |
職業紹介・労働者派遣業(32件) | PER | 8.8倍 | 15.6倍 | 35.7倍 |
専門サービス業(他に分類されないもの)(50件) | EV/EBITDA | 2.8倍 | 5.1倍 | 10.8倍 |
専門サービス業(他に分類されないもの)(51件) | PER | 5.3倍 | 10.4倍 | 18.6倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、人材紹介会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い人材紹介会社の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
https://ma-succeed.jp/register/direct
相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
人材紹介会社の価格を最も左右するのは「得意領域(職種・業界)の専門性と、コンサルタント・求人企業・求職者の基盤が買収後も引き継げるか」、次に「利益(EBITDA)」です。買い手の値付けはEBITDA倍率+手元現金を軸にした方法が中心で、人材紹介関連の案件には1案件あたり中央値7社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、専門性と基盤の引き継ぎを前提に競って手を挙げる、同業・隣接の事業会社です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
• かいしゃ価値トレンドで相場を見る:https://ma-succeed.jp/register/direct
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。