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「同業の不動産仲介会社・不動産会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
不動産仲介会社・不動産会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
不動産仲介会社・不動産会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例では、年商倍率は0.3倍前後から二桁倍まで大きく振れる。仲介・流通のフロー型か、資産を持つ複合型かで水準が変わる |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多いのは「EBITDA3〜5倍」を軸にした算定。純資産や手元現金を加える変種も見られる |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値8社の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている不動産仲介・不動産会社の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。ただし後述のとおり、公開事例には資産を多く持つ複合不動産会社も混じるため、年商倍率は帯によって極端に振れます。譲渡額そのものより、「価格が何で決まっているか」に注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
1億未満 | 約159倍 | 約27億円〜約61億円 |
3〜5億円 | 約8.7倍 | 約27億円〜約39億円 |
10〜30億円 | 約0.3倍 | 約1.5億円〜約7億円 |
30億円〜 | 約0.3倍 | 約27億円〜約200億円 |
• 譲渡理由は「後継者不在」が約4割、次いで「自社事業の選択と集中」が約3割
• 所在地は東京が約3割で、地方の地域密着型も相応に成約している
• 営業赤字の会社でも成約しており、黒字であることは必須条件ではない
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
注文住宅 | 1億円〜2億5000万円 | 約500万円 |
不動産仲介 | 2億5000万円〜5億円 | 約1,000万円 |
賃貸仲介 | 1000万円〜5000万円 | 約2,000万円 |
結論:不動産仲介会社の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「手数料収益と営業利益の安定」です。在庫を持たないフロー型の事業なので、買い手が見るのは資産よりも継続して稼げる仕組みだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 営業利益・手数料収益の安定(収益力) | ◎ 最重要 | 在庫を持たないフロー型。買い手はEBITDAを基準に値付けし、継続して稼げる仕組みが価格の土台になる |
2 | 取扱高・専任媒介の比率 | ◎ 重要 | 取扱高が仲介手数料の源泉。専任媒介の比率が高いほど収益が読みやすく、評価されやすい |
3 | 営業人員の生産性と定着 | ○ | 仲介は人が稼ぐ事業。1人あたりの成約力と定着は、買収後の収益継続を左右する |
4 | エリア内の集客力・顧客基盤 | ○ | 地域内の反響・紹介の集まりやすさ、顧客リストとリピートは、買い手が引き継ぎたい資産 |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 取引額が大きくても、利益率が薄い・一過性の取引が多いと評価は伸びにくい |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「手数料収益と利益を安定させる」、次に「取扱高と専任媒介を積み上げる」。売上規模を追うのはその後です。
結論:買い手のオファーは「EBITDA × 3〜5倍」を軸にした算定にほぼ集約されます。純資産や手元現金を加える変種はありますが、多くの買い手が共通して利益を見ています。
M&Aサクシードの不動産仲介・不動産会社の案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、最頻はEBITDA倍率をベースにした算定でした。残りの方法も、EBITDAか純資産を軸にした変種が中心です。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍 | 標準形。これが基準と考えてよい |
EBITDA × 3〜5倍 + 手元現金 | 上記に手元現金(ネットキャッシュ)を上乗せ |
純資産 + EBITDA × 倍率/時価純資産法 | 資産価値に収益力を加える、または資産ベースで見る変種 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。ここに手元現金や純資産を加味した金額が、オファーの初期レンジになります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「利益(EBITDA)を厚くし、手元現金を残しておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちに買い手なんてつくのか」という不安は、データを見るとその心配は小さいといえます。不動産関連の案件には1社あたり中央値8社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの不動産仲介・不動産会社の案件データでは、1社あたり中央値で8社、多いケースでは20社を超える買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 8社 |
平均 | 約10.2社 |
最も多かった案件 | 27社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
次に、売り手側の供給を見てみましょう。不動産仲介会社・不動産会社関連の売り案件は市場に約19件しかなく、流通量は限られています。
これに対して買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値8社がオファーを出しています。売り案件の少なさに対して買い手の需要が上回る、売り手優位の需給バランスです。数少ない案件に買い手が集中するため、複数の候補を比べながら条件交渉を進めやすい環境にあります。
こうした買い手の厚みは、交渉の場面で具体的な意味を持ちます。プラットフォーム型のM&Aでは、複数の買い手が同じタイミングで案件を検討するため、比較検討できるオファーを同じ期間にまとめて集めやすくなります。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、従業員の処遇や引き継ぎ期間といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
なお、売りに出ている案件の譲渡理由としては「事業拡大・成長戦略」が最も多く、「後継者不在」がそれに続きます。事業や業績に問題があって売りに出るケースばかりではない、という点は売り手・買い手双方にとって押さえておきたいポイントです。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多。100億円超の大手も多数を占める |
M&A経験 | 約6割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 非上場が約8割。東証プライム・スタンダード・グロース等の上場企業も一定数 |
エリア | 約半数が東京。大阪・埼玉・神奈川など首都圏と主要都市に分布 |
業種 | 不動産の売買・仲介・賃貸・管理など同業が中心。建設・リフォームや事業拡大を狙う事業会社も |
結論:不動産仲介会社の買い手で最も多く、最も動きやすいのは「同業の不動産会社・流通ネットワークを持つ大手」です。取扱高と顧客基盤、そして営業人員を面で取り込めることが動機だからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・不動産流通の大手/ロールアップ型 | ◎ 最多・最速 | ハウスドゥ(647億、複数買収)/あかつき本社(564億、複数買収) | FCネットワーク・エリア拡大のため、店舗と顧客基盤をまとめて取り込む |
不動産デベロッパー・分譲系 | ○ 価格が出やすい | オープンハウス(1兆3,364億)/アグレ都市デザイン(307億) | 仲介・販売力の取り込み。分譲や収益不動産との連携 |
異業種・事業会社 | ○ シナジー次第 | シェアリングテクノロジー(85億) | 顧客基盤・地域の集客力を活かした事業拡張 |
投資会社・ホールディングス | △ 限定的だが存在 | あかつき本社(グループの事業投資として) | ポートフォリオの一部として取得し、経営支援で価値を高める |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆のことが多いです。流通ネットワークを広げたい大手は、店舗・顧客・営業人員をまとめて引き継ぎたいからこそ、競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
不動産の売買・仲介・賃貸を行う地域密着の会社(名泗コンサルタント) | 約12.3億 | シェアリングテクノロジー(約85.8億) | 約7億 | 売上・調整後EBITDAが安定的に推移し、企業価値拡大が見込めた点 |
不動産売買仲介・賃貸仲介・管理を手がける会社(小山不動産) | 約4.4億 | ハウスドゥ(約647.4億) | 約26.5億 | FCネットワークによる不動産流通の拡大 |
不動産賃貸を手がける会社(ホーユーコーポレーション) | 約3.5億 | アグレ都市デザイン(約307.4億) | 約39億 | M&Aによる持続的成長と企業価値の最大化 |
不動産の保有・売買・仲介・賃貸・管理を行う会社(トータルエステート) | 約234.9億 | あかつき本社(約564.8億) | 約61億 | グループの金融・不動産事業とのシナジー |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、稼ぐ仕組みと顧客・営業人員は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の不安です。「買った後に営業人員が辞めないか」「反響・紹介が続くか」「代表がいなくなって取引が回らなくならないか」。この不安を小さくする要素は価格を押し上げ、不安を大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 手数料収益・営業利益が安定して出ている | ◎ 取引が一過性で、収益が読みにくい |
◎ 代表が抜けても営業・集客・管理が回る | ◎ 代表個人に営業・仕入れが集中している |
○ 取扱高・専任媒介の比率が高い | ○ 一般媒介中心で収益が積み上がりにくい |
○ エリア内の集客力・顧客リストが厚い | ○ 特定の紹介元・1顧客への依存が大きい |
○ 営業人員が定着し生産性が高い | △ 契約書・労務・財務情報が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「稼ぐ仕組みが残るか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。専任媒介比率などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。不動産仲介・不動産会社に近い「不動産取引業」の評価倍率を掲載します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
不動産取引業(38件) | EV/EBITDA | 8.4倍 | 19.4倍 | 33.7倍 |
不動産取引業(38件) | PER | 7.2倍 | 15倍 | 27.8倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、不動産仲介会社・不動産会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍を軸にした算定。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
不動産仲介会社・不動産会社の価格を最も左右するのは「手数料収益・営業利益の安定」、次に「取扱高・専任媒介の比率」です。在庫を持たないフロー型なので、価格は年商倍率ではなく収益力と営業基盤で決まります。買い手の値付けはEBITDA3〜5倍を軸にした算定にほぼ集約され、1社あたり中央値8社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、店舗・顧客・営業人員をまとめて引き継ぎたい同業・不動産流通の大手です。
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