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「同業の土木工事会社・造園会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
土木工事会社・造園会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
土木工事会社・造園会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例では、年商5〜30億円の会社で譲渡額は年商の約0.9倍が中央値 |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多いのは「時価純資産法」と「EBITDA倍率+手元現金」。資産の裏付けと収益力の両方が見られる |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値3社(多い案件では33社)の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている土木工事会社・造園会社関連の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。譲渡額そのものよりも、「年商の何倍で成約しているか」の傾向に注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
5〜10億円 | 約0.9倍 | 約2.3億円〜約48億円(中央値 約7.4億円) |
10〜30億円 | 約0.9倍 | 約13億円〜約25億円(中央値 約23.5億円) |
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
造園工事 | 1億〜2.5億円 | 約6,600万円 |
土木工事 | 5億〜10億円 | 約4億円 |
土木工事 | 5億〜10億円 | 約7.1億円 |
結論:土木工事会社・造園会社の価格を決める中心は、売上の大きさではなく「土木施工管理技士・造園施工管理技士などの技術者と施工体制を、買収後もそのまま引き継げるか」です。建設業の許可や入札参加は技術者の在籍が前提であり、買い手はお金では短期間に揃えられない体制を買いに来るからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 技術者の在籍と施工体制(施工管理技士の人数・年齢構成・協力会社網) | ◎ 最重要 | 許可・入札参加・施工能力の裏付けそのもの。買収後も技術者が残る見込みが価格の土台になる |
2 | 営業利益(EBITDA) | ◎ 重要 | 買い手は利益を基準に値付けする。公共工事を中心に毎期の利益が安定しているほど、その利益を土台に評価が上がりやすい |
3 | 官公庁工事の実績・入札参加資格・受注の継続性 | ○ | 公共工事の実績は買い手が短期間では作れない。安定受注の裏付けとして評価される |
4 | 地域基盤・代表非依存の管理体制 | ○ | 地元発注者・元請との関係が会社に残り、代表が抜けても現場が回る体制は評価されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、利益が薄く技術者が高齢化していれば評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「技術者と施工体制が残る状態」を作り、次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:土木工事会社・造園会社へのオファーでは、買い手は「時価純資産」と「収益力(EBITDA)」の両方を見ています。重機・車両・不動産など資産の厚い業種のため、資産の裏付けを軸にした値付けが使われやすいのが特徴です。
M&Aサクシードの土木工事会社・造園会社関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、時価純資産法とEBITDA倍率系(+手元現金)が中心でした。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
時価純資産法 | 資産・負債を時価で評価し直す方法。重機・車両・不動産を多く持つ会社で使われやすい |
EBITDA × 3〜5倍 + 手元現金 | 収益力を軸にした方法。利益が厚いほど価格が伸びる |
時価純資産 + 営業利益の数年分 | 資産価値にのれん(営業利益◯年分)を加算する方法。資産と収益力の両取り |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに手元現金や、重機・不動産などの純資産の厚みが上乗せされた金額が、オファーの初期レンジの土台になります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「利益を厚くし、資産と負債の実態を整理しておくこと」。決算書の純資産と実態が揃っているほど、買い手は安心して価格を出せます。
結論:「うちのような会社に買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さくてよいことが分かります。土木工事会社・造園会社関連の案件には、1案件あたり中央値3社、多い案件では33社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの土木工事会社・造園会社関連案件(46案件)のオファーデータでは、1案件あたりの買い手数は次のとおりでした。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 3社 |
平均 | 約5.5社 |
最も多かった案件 | 33社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。現在、M&A市場に売りに出ている土木工事会社・造園会社関連の案件は約180件にのぼり、業種の中でも流通量が多い部類に入ります。
一方の買い手側のオファーは中央値3社です。案件数に対して需要が突出しているわけではなく、売り手同士の比較にさらされやすい市場といえます。だからこそ、磨いた状態で市場に出す——財務の整理、強みの言語化——が価格に直結します。
もう一つ、交渉の環境として知っておきたい点があります。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは、複数の買い手が同時に案件を検討するため、比較できるオファーを同じ期間に集めやすくなります。1社ずつ順番に打診して回るのではなく、複数のオファーを手元に並べて、価格や条件を見比べながら交渉相手を選べる状態をつくれます。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、経営者の関与期間や引き継ぎの進め方といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
ちなみに、市場に出ている案件の譲渡理由では「後継者不在」が目立ちます。売却は特別な会社だけの選択肢ではない、ということの表れといえるでしょう。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 年商10〜30億円の中堅企業が最多。100億円超の大手も多数 |
M&A経験 | 約6割が「M&A経験あり」。買収に慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 非上場が約9割。東証プライム・スタンダード・グロースなどの上場企業も |
エリア | 東京が約4割で最多。大阪・愛知・神奈川・静岡など全国の都市圏からもオファーが届く |
業種 | 同業の土木・建設・造園のほか、建設グループ、資材・メンテナンス・不動産系など隣接領域の事業会社 |
結論:買い手の中心は、①エリアや工種を補完したい同業の建設会社、②グループの事業領域を広げたいゼネコン・建設グループです。どちらも技術者・施工実績・地域基盤を丸ごと引き継ぎたいという動機で動いています。
買い手は複数タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業の土木・建設会社(地域・工種の補完) | ◎ 主役候補 | 大盛工業(約64億)/工藤建設(約225億) | 技術者・施工実績・地域の発注者との関係をそのまま引き継げる。屋号や雇用が続きやすい |
ゼネコン・建設グループ(事業領域の拡大) | ○ 価格が出やすい | 大末建設(約890億)/イチケン(約990億)/OCHIホールディングス(約1,170億) | 建築主体のグループが土木・舗装・造園へ領域を広げる。長期計画に基づき価格も出やすい |
隣接業種・異業種の事業会社 | ○ シナジー次第 | ヤマウ(コンクリート製品、約228億)/メイホーホールディングス(約130億) | 資材・メンテナンス・不動産などとの補完や、地域企業のグループ化 |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・複数社を束ねる起点。経営支援を受けて拡大する選択肢 |
つまり、買い手像を一つに決めつけないことが大切です。同じ会社でも、技術者の層を評価する同業、公共工事の実績を評価する建設グループ、地域基盤を評価する異業種とでは、条件の出方が変わってきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
土木工事業(神島組) | 約9.4億円 | 大末建設(約890億) | 約48億円 | 創業80年を超える歴史と施工力。建築主体の買い手が土木分野へ事業を広げる基盤として評価 |
総合建設・土木工事業(片岡工業) | 約25億円 | イチケン(約990億) | 約25億円 | 買い手の長期経営計画(売上高1,000億円目標)に基づく業容拡大の一環として取得 |
建築・土木・住宅・不動産賃貸(弓田建設) | 約29.1億円 | OCHIホールディングス(約1,170億) | 約22億円 | 40年以上の歴史と高い技術力、建築から土木・舗装・不動産開発まで広がる事業の幅を評価 |
土木工事・地質調査・測量設計(大栄開発) | 約17.2億円 | ヤマウ(約228億) | 約12.6億円 | 地域での事業基盤と、買い手のコンクリート製品事業との補完性を評価 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、技術者と受注は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の不安です。「技術者が辞めて許可や入札に響かないか」「主要な発注者・元請が離れないか」「代表がいなくなって現場が回らなくならないか」。この不安を小さくする要素は価格を押し上げ、不安を大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 施工管理技士などの技術者が在籍し、買収後も残る見込みが高い | ◎ 技術者が高齢化・不足し、体制の継続が見えにくい |
◎ 代表が抜けても受注・現場管理・安全管理が回る | ◎ 代表個人に受注と現場の采配が集中している |
○ 官公庁と民間のバランスが取れ、受注が継続している | ○ 特定の元請・発注者に受注が偏っている |
○ 利益が継続的に出ている | ○ 売上はあるが利益が薄い |
○ 契約書・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「技術者が残るか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。土木工事会社に近い「総合工事業」と、造園・舗装など専門工事を含む「職別工事業」を併記します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
総合工事業(120件) | EV/EBITDA | 2.8倍 | 5.7倍 | 12.2倍 |
総合工事業(160件) | PER | 5.6倍 | 10.7倍 | 21倍 |
職別工事業(79件) | EV/EBITDA | 2.8倍 | 4.6倍 | 8.9倍 |
職別工事業(99件) | PER | 4.5倍 | 10.2倍 | 15.6倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、土木工事会社・造園会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | 時価純資産法、またはEBITDAの3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い土木工事会社・造園会社の相場を見る(無料)
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相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
土木工事会社・造園会社の価格を最も左右するのは「技術者と施工体制が引き継げるか」、次に「利益(EBITDA)」です。買い手の値付けは時価純資産法とEBITDA倍率+手元現金が中心で、公開事例では年商の約0.9倍が中央値。1案件あたり中央値3社、多い案件では33社の買い手がオファーを寄せており、同業の地域補完型とゼネコン・建設グループが買い手の中心です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
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