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「同業の電気工事会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
電気工事会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
電気工事会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例では、年商5〜10億円規模で譲渡額は年商のおよそ0.5倍が中央値 |
② 買い手の値付け方法 | オファーではEBITDA(営業利益)3〜5倍を軸にした方法が目立ち、手元現金や時価純資産を加味する形も多い |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値6社の買い手がオファー(多い案件では23社) |
まず、上場企業による買収のうち公開されている電気工事会社関連の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。譲渡額そのものよりも、「年商の何倍で成約しているか」の傾向に注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
5〜10億円 | 約0.5倍 | 約2,400万円〜約4.2億円 |
• 譲渡理由は「後継者不在」が約75%、「代表者の引退」が約12%。事業承継を背景にした譲渡が中心
• 所在地は東京が約1割。首都圏に限らず、全国の会社が成約している
• 黒字案件は約6割。赤字でも、有資格者の体制や取引先基盤によって買い手がつく可能性がある
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
制御盤製造 | 2.5〜5億円 | 約1.0億円 |
電気工事 | 1〜2.5億円 | 約1.4億円 |
電気工事 | 1〜2.5億円 | 約2.3億円 |
電気工事 | 2.5〜5億円 | 約4.7億円 |
電気工事 | 5〜10億円 | 約3.9億円 |
結論:電気工事会社の価格を決める中心は、売上の大きさではなく「買収後も有資格者と施工体制が残るか」です。電気工事士・電気工事施工管理技士がいなければ工事を受注できないため、買い手が気にするのは買収後に施工体制が維持できるかだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 有資格者が残るか(電気工事士・電気工事施工管理技士の在籍と継続意思) | ◎ 最重要 | 資格者=施工能力そのもの。買収後も体制が維持される見込みが価格の土台 |
2 | 営業利益(EBITDA) | ◎ 重要 | 買い手は利益を基準に値付けする。元請・直需で粗利を確保できているほど、その利益を起点に評価が上がりやすい |
3 | 受注構成(元請比率・公共/民間のバランス・メンテナンス受注の継続性) | ○ | 元請や保守・メンテナンスの継続受注は、買収後の売上見通しを立てやすくする |
4 | 代表非依存・取引先の分散 | ○ | 代表個人の人脈だけに受注が依存していると、リスクとして減点されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、下請中心で粗利が薄ければ評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「資格者と施工体制が残る状態」を作り、次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:買い手のオファーは、EBITDA(営業利益)か純資産を軸にした値付けに集約されます。算定の入り口は違っても、買い手の多くが共通して収益力と資産を見ています。
M&Aサクシードの電気工事関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、算定方法を明示した買い手ではEBITDA倍率を軸にした方法が目立ち、時価純資産を軸にした方法が続きます。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍(+手元現金) | 利益を基準にした標準的な形。手元現金を上乗せする形も多い |
時価純資産法 | 資産の時価を基準にする形。設備や不動産を持つ会社で使われやすい |
純資産 + 営業利益の数年分 | 資産価値にのれん(営業利益◯年分)を加算する形 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。ここに手元現金や純資産、買い手とのシナジーが加味された金額が、オファーの初期レンジになります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「利益(EBITDA)を厚くし、買い手が安心して引き継げる体制を作ること」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちに買い手なんてつくのか」という心配は、データで確かめられます。電気工事関連案件には、1案件あたり中央値6社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの電気工事関連34案件のデータでは、1案件あたり中央値で6社、多いケースでは23社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 6社 |
平均 | 約7.1社 |
最も多かった案件 | 23社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうか。M&A市場に出ている電気工事会社関連の売り案件は約48件と、コンスタントに案件が出てくる業種です。
一方で、前述のとおり買い手の関心は厚く、1案件あたり中央値6社のオファーが集まります。案件の流通で相場観が形成されつつ、なお需要が供給を上回る売り手に追い風の市場です。相場が読みやすいうえに買い手間の競争も働くため、好条件を引き出しやすい環境といえます。
この需要の厚さを踏まえると、オファーの集め方が交渉条件を左右します。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは、複数の買い手が同時に案件を検討するため、比較できるオファーを同じ期間に集めやすくなります。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。複数のオファーが集まれば、交渉の主導権は売り手側に寄ります。価格に加えて、社名・屋号の存続や従業員の雇用継続などの条件面でも、売り手側の意向を反映しやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 100億円以上の大手が最多。10〜30億円の中堅企業も多数 |
M&A経験 | 約7割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 非上場が約9割。東証プライム・スタンダード等の上場企業も |
エリア | 東京が約半数。大阪・兵庫・埼玉・静岡・愛知・北海道など全国に分布 |
業種 | 同業の電気工事・設備工事のほか、隣接領域や内製化・再エネ関連の参入を狙う事業会社など |
結論:電気工事会社の買い手で軸になるのは、同業や設備工事グループによるロールアップ型です。人手不足のいま、有資格者と施工体制を面で確保できることが大きな動機だからです。ゼネコン系や再エネ関連の異業種参入も加わります。
買い手は複数のタイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・設備工事グループのロールアップ型 | ◎ 主役候補 | 日本エコシステム(約112.6億円、設備工事会社を子会社化) | 施工体制・取引先・有資格者をまとめて引き継ぎやすく、雇用も継続されやすい |
電力・インフラ系の大手 | ○ 価格が出やすい | 北陸電力(約8,583億円、グループの電気工事会社を公開買付けで子会社化) | インフラ工事体制の強化・グループ再編 |
異業種・事業会社(再エネ・セキュリティ等) | ○ シナジー次第で高値 | エイチ・アイ・エス(約3,433億円、太陽光発電も手がける電気工事会社を取得)/セキュア(約62.5億円) | 施工の内製化・新規事業・エリア展開 |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買われるのでは」という心配は実態と逆になりやすいといえます。同業・設備工事グループは、資格者と取引先をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用継続を前提に、競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
電気・電気通信・管・消防施設など総合設備工事(北陸電気工事) | 約418.5億円 | 北陸電力(約8,583億円) | 約39.2億円 | 電力グループの工事体制強化に向けた公開買付けによる子会社化 |
電気通信工事・電気工事(ジェイ・ティー・エヌ) | 約4.9億円 | セキュア(約62.5億円) | 約7.6億円 | セキュリティシステムの設計から施工・アフターフォローまで一貫提供する体制づくり |
電気工事・電気通信・管工事・太陽光発電(共新電設工業) | 約7.0億円 | エイチ・アイ・エス(約3,433億円) | 約4.2億円 | 一級電気工事施工管理技士など有資格者の在籍と、公共工事中心の受注基盤 |
空調衛生・電気・給排水設備の設計施工管理(葵電気工業) | 約6.0億円 | 日本エコシステム(約112.6億円) | 約2.8億円 | 設備関連サービスの提供範囲の拡大と、新規取引先の開拓 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、施工体制と取引先は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の不安です。「買った後に資格者が辞めないか」「主要な発注元が離れないか」「代表がいなくなって現場が回らなくならないか」。この不安を小さくする要素は価格を押し上げ、不安を大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 有資格者が定着しており、買収後も施工体制が残る | ◎ 資格者が高齢化・少数で、体制が残る見込みが弱い |
◎ 代表が抜けても受注・施工管理・労務が回る | ◎ 代表個人に営業と現場管理が集中している |
○ 元請案件やメンテナンス受注など、継続的な仕事がある | ○ 下請のスポット工事に偏り、粗利が薄い |
○ 発注元が公共・民間に分散している | ○ 発注元が1社に偏り、契約終了の影響が大きい |
○ 利益が継続的に出ている | △ 契約書・労務・財務情報が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「施工体制が残るか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。元請比率などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。電気工事会社を含む「設備工事業」の数値です。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
設備工事業(111件) | EV/EBITDA | 3.3倍 | 6.7倍 | 12.1倍 |
設備工事業(130件) | PER | 6.3倍 | 13.2倍 | 24.1倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、電気工事会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍を軸に、手元現金や純資産を加味する方法。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
電気工事会社の価格を最も左右するのは「電気工事士・電気工事施工管理技士など有資格者と施工体制が残るか」、次に「利益(EBITDA)」です。公開事例では年商5〜10億円規模で年商の約0.5倍が中央値、M&Aサクシードでは1案件に中央値6社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、施工体制ごと引き継ぎたい同業・設備工事グループです。
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