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「同業の病院・総合病院・医療法人が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
病院・総合病院・医療法人の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
病院・総合病院・医療法人の相場は、①買い手が実際に使う値付け方法、②1案件にどれだけの買い手が関心を示すか、③公的統計の評価倍率をあわせて見ると立体的に分かります。病院は医療法人(持分・非営利性)の性質から株式譲渡型の公開M&Aが少なく、相場観はオファーと公的統計を軸に見ます。
見る視点 | わかること |
① 買い手の値付け方法 | オファーで見られるのは、EBITDA(利益)の3〜5倍を軸に、手元現金を加える形 |
② 1案件あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値2社の買い手がオファー(対象案件数が限られるため参考値) |
③ 公的統計の評価倍率 | 医療業のEV/EBITDAは中央値7.8倍、PERは中央値9.5倍(中小M&A実績) |
病院は医療法人(持分の定めや非営利性の制約)ゆえに、株式譲渡型の公開M&Aが少なく、売上規模別に整理できるほどの公開成約事例が限られます。そのため相場観は、後述のオファー(収益力ベース)と公的統計を主軸に見ていきます。
• 譲渡理由は「後継者不在」が約45%と最多。次いで「事業の成長」が約27%、「自社事業の選択と集中」が約18%
• 所在地は東京が約2割で、買い手・売り手ともに都市圏に集まりやすい傾向
• 黒字案件は約7割。赤字でも、病床機能・立地・改善余地によって買い手がつく可能性がある
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
病院 | 2億5,000万〜5億円 | 約1億円 |
病院 | 10億〜25億円 | 約2,150万円 |
病院 | 5億〜10億円 | 約5.5億円 |
医療法人 | 5億〜10億円 | 約16.6億円 |
システム運用 | 5億〜10億円 | 約1,200万円 |
結論:病院の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「医師・看護師など有資格者が確保・定着しているか」と「病床稼働率が安定しているか」です。医療は人がいなければ診療体制を維持できず、病床稼働率が収益の源泉だからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 医師・看護師(有資格者)の確保と定着 | ◎ 最重要 | 人員配置基準を満たせないと診療体制と病床機能を維持できない。買い手が最も気にするのは、買収後に医師・看護師が辞めないか |
2 | 病床稼働率と診療報酬の安定 | ◎ 重要 | 収益の源泉。高い稼働で黒字が続いていれば、素直に価格が上がる。診療報酬は公定価格で相対的に安定している |
3 | 医療法人の形態と譲渡手法(持分/事業譲渡) | ○ | 持分の定めの有無・出資持分の扱いで、株式(持分)譲渡か事業譲渡かが変わる。手法の整理が済んでいると買い手が動きやすい |
4 | 地域医療での役割・立地と代表非依存 | ○ | 地域で担う病床機能・複数拠点・院長個人に依存しない運営体制は評価されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、病床稼働が低い・利益が薄いと評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず医師・看護師の定着と病床稼働率を保ち、次に利益を残す。あわせて医療法人の形態と譲渡手法を整理しておく。売上規模を追うのはその後です。
結論:病院・総合病院へのオファーは、EBITDA(利益)の3〜5倍を軸に、手元現金を加える形が見られます。買い手の多くが共通して利益と病床稼働の安定を見ています。
M&Aサクシードの病院・総合病院・医療法人関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計しました。対象件数が限られるため傾向としてご覧ください。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍 | 標準形。利益(EBITDA)を基準に評価する方法 |
EBITDA × 3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 上記に手元資金を加えた変種 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに手元現金や純資産、買い手とのシナジーを加味した金額が、オファーの初期レンジになります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は、病床稼働率を保って利益(EBITDA)を厚くし、手元現金を残しておくことです。逆に、利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がりやすくなります。
結論:「うちのような病院に買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。病院・総合病院関連の案件には1案件あたり中央値2社、多いケースでは16社の買い手がオファーを寄せています(対象案件数が限られるため参考値)。
M&Aサクシードの病院・総合病院・医療法人関連案件のデータでは、1案件あたり中央値で2社、多いケースでは16社の買い手がオファーを寄せています。対象案件数が限られるため参考値としてご覧ください。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 2社 |
平均 | 約6.4社 |
最も多かった案件 | 16社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。現在、M&A市場に売りに出ている病院・総合病院・医療法人関連の案件は約69件にのぼり、業種の中でも流通量が多い部類に入ります。
買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値2社がオファーを出しています。売り案件の流通量が多い業種だけに、買い手は複数の案件を並べて比較できる立場にあります。埋もれないためには、早めに動いて自社の強み——収益性、顧客基盤、人材——を整理して見せることが重要です。
交渉の進め方という点でも、押さえておきたいことがあります。プラットフォームを使えば、複数の買い手が同じ期間に案件を検討するため、条件を見比べられるオファーがまとまって集まりやすくなります。オファーを1本ずつ受けて判断するのではなく、同じ期間に並べて比較できることが、交渉のしやすさに直結します。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、社名・屋号の存続や従業員の雇用継続についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
なお、売りに出ている案件の譲渡理由としては「後継者不在」が最も多くなっています。同じ悩みを抱えるオーナーが売却という選択肢を現実に選んでいる、ということでもあります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像は具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 100億円超の大手が最多。5〜30億円の中堅も厚く、幅広い規模の買い手が関心を示す |
M&A経験 | 約9割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約9割が非上場。東証プライムなどの上場企業も一部 |
エリア | 東京が最多(約4割)。大阪・埼玉・兵庫など都市圏が続く |
業種 | 医療・ヘルスケアの同業、医療プラットフォーム、周辺サービスの事業会社が中心 |
結論:病院・総合病院の買い手は、同業(医療法人・病院グループ)、医療・ヘルスケア大手、周辺の事業会社、投資会社に分かれます。どのタイプが主役になるかは、引き継げる病床機能・人材とシナジーで変わります。
買い手は複数タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。病院は医療法人の性質から、隣接する医療プラットフォーム大手が関心を示すことも増えています。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業(医療法人・病院グループ) | ◎ 主役候補 | — | 医師・看護師・病床機能・地域医療の役割を継続しやすい |
医療・ヘルスケア大手 | ○ 価格が出やすい | エムスリー/メドレー(いずれも医療プラットフォーム大手・隣接例) | 在宅・施設・医療DXとの連携で医療介護の裾野を強化 |
異業種・事業会社 | ○ シナジー次第 | — | ヘルスケア領域への参入・周辺サービスとの連携 |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・再生の起点。経営支援を受けて立て直し・拡大 |
つまり、買い手像を一つに決めつけないことが大切です。エムスリーやメドレーのような医療プラットフォーム大手は隣接領域として関心を持ちうる例で、実際の主役は病床機能・人材を面で引き継げる同業(医療法人・病院グループ)になりやすい。自社の強みをどの買い手が最も評価するかで、条件は変わってきます。
病院そのものの公開成約事例は、医療法人の性質から限られます。ここでは病院・療養型に性質が近い医療・介護領域の公開事例を、具体像の参考としてご覧ください。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の目安になります。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(ノアコンツェル) | 約66.2億円 | シーユーシー(約470億円) | 約53億円 | 在宅医療と介護の連携強化 |
リハビリ型通所介護・介護予防(ポシブル医科学) | 約19.1億円 | ソラスト(約1,374億円) | 約13.1億円 | 高齢化ニーズに応える医療・介護事業の拡大 |
結論:高く評価される病院と、伸びない病院を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、医師・看護師と病床稼働、そして地域での役割は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に医師・看護師が辞めないか」「病床稼働率が落ちないか」「院長がいなくなって運営が回らなくならないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 医師・看護師(有資格者)が定着し、買収後も人員基準を満たせる | ◎ 離職が多く、人員基準の維持が不安定 |
◎ 病床稼働率が高く安定している | ◎ 稼働率が低い・変動が大きい |
○ 医療法人の形態・持分の扱い・譲渡手法が整理されている | ○ 持分や手法の整理がついておらず、譲渡の見通しが立てにくい |
○ 院長が抜けても診療・運営・請求業務が回る | ○ 院長個人に診療・採用・管理が集中している |
○ 診療報酬の請求・労務・契約の資料が整理されている | △ 必要書類が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「医師・看護師が残るか」「病床稼働が安定しているか」この2つを整えるだけで、同じ売上規模でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。病院・医療法人が含まれる「医療業」を示します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
医療業(51件) | EV/EBITDA | 3.3倍 | 7.8倍 | 16.4倍 |
医療業(71件) | PER | 2.2倍 | 9.5倍 | 20倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、病院・総合病院・医療法人との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDA(利益)の3〜5倍。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
病院・総合病院の価格を最も左右するのは、売上規模ではなく「医師・看護師など有資格者が定着しているか」と「病床稼働率が安定しているか」です。病院は医療法人(持分・非営利性)の性質から株式譲渡型の公開M&Aが少なく、相場観はオファー(収益力ベース)と公的統計を軸に見ます。買い手のオファーはEBITDA(利益)の3〜5倍に手元現金を加える形が見られ、病院関連案件には1案件あたり中央値2社の買い手がオファーを寄せています(参考値)。買い手はエムスリーやメドレーのような医療プラットフォーム大手が隣接例として関心を持ちうる一方、主役は病床機能・人材を面で引き継げる同業(医療法人・病院グループ)になりやすい。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
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