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「同業のWebシステム開発・Webアプリ開発が、いくらでM&Aされたのか」――気になったことはありませんか。
Webシステム開発・Webアプリ開発の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る――どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
Webシステム開発会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すか――をあわせて見ると立体的に分かります。受託の一時売上で見るか、技術力・エンジニア・継続収益で見るかで、評価は変わってきます。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 公開事例では、年商1〜3億円規模で年商倍率が約1.3倍、規模が大きくなるほど倍率は落ち着きます。IT人材の不足を背景に、開発力・技術者を評価した取得が目立ちます(詳細は売上規模別表) |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多い算定方法は「EBITDA 3〜5倍 + ネットキャッシュ(手元現金)」 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | 1案件あたりのオファー社数は8社(M&Aサクシードのオファーデータ) |
まず、上場企業による買収のうち公開されているシステム開発・Webアプリ開発関連の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。譲渡額そのものよりも、「年商の何倍で成約しているか」と、その会社が持つ技術力・エンジニアに注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
1億未満 | 約2.1倍 | 約5600万円〜約1.6億円 |
1〜3億円 | 約1.4倍 | 約0万円〜約28億円 |
3〜5億円 | 約1倍 | 約5700万円〜約11億円 |
5〜10億円 | 約0.5倍 | 約1.2億円〜約12億円 |
10〜30億円 | 約0.5倍 | 約2.3億円〜約18億円 |
30億円〜 | 約0.5倍 | 約26億円〜約30億円 |
• 譲渡理由は「後継者不在」が約32%、「事業の成長」が約28%、「自社事業の選択と集中」が約20%
• 所在地は東京が約6割。買い手・売り手とも首都圏に集まりやすい傾向
• 黒字での成約が約5割。赤字でも事業資産や成長余地で買い手がつく例がある
事業の特徴(匿名) | 年商規模 | 成約額の目安 |
受託・製品開発 | 1000万円~5000万円 | 約800万円 |
情報共有プラットフォーム | 1000万円以下 | 約890万円 |
クラウドサービス | 1000万円以下 | 約545万円 |
システム開発 | 1000万円~5000万円 | 約380万円 |
結論:Webシステム開発会社の価格は、受託の一時売上よりも、技術力と開発実績、エンジニアの数と質、そして継続収益で決まります。
評価要素には序列があります。同じ売上でも、技術者と継続収益があるかで価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 技術力・開発実績(対応領域・難易度・品質保証) | ◎ 最重要 | 他社が簡単に再現できない開発力として評価される |
2 | エンジニアの数と質、内製の開発体制 | ◎ 重要 | IT人材の不足を背景に、チームごと引き継げる価値が高い |
3 | 保守・運用や自社プロダクト(SaaS等)の継続収益 | ◎ 重要 | 買い手は継続する収益を基準に値付けしやすい |
4 | 特定業種・技術での専門性、優良顧客の継続 | ○ | 参入障壁と安定した取引につながる |
— | 受託の一時売上の大きさ | △ | 一時受託中心だと、売上があっても評価は伸びにくい |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。一時受託を追うより、エンジニアの定着と継続収益を厚くし、技術・実績を資産化することが先です。
結論:Webシステム開発会社のオファーでは、買い手は共通して継続収益力(EBITDA)と手元資金、そして技術者・シナジーを見ています。
M&AサクシードのWebシステム開発・Webアプリ開発関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計しました。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA 3〜5倍 + ネットキャッシュ | 買い手が提示したオファーの算定方法 |
EBITDA 倍率 + ネットキャッシュ | 買い手が提示したオファーの算定方法 |
EBITDA 倍率 | 買い手が提示したオファーの算定方法 |
具体的にイメージすると――
EBITDAが5,000万円なら、倍率評価ではその3〜5倍が初期レンジの土台になります。ここに手元現金や、エンジニア・継続収益がもたらす将来価値が加味されます。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は、継続収益を厚くし、買い手が安心して引き継げるエンジニア・開発体制を整えることです。
結論:システム開発・Webアプリ開発関連の案件には、1案件あたり中央値でも複数社の買い手がオファーを寄せています。IT人材ニーズを背景に、関心はしっかり集まります。
M&AサクシードのWebシステム開発・Webアプリ開発関連案件のオファーデータで、1案件あたりの買い手数を確認できます。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 8社 |
平均 | 約10.3社 |
最も多い案件 | 73社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。Webシステム開発・Webアプリ開発の売り案件が公開市場に出てくること自体が、実はかなり稀です。
一方、買い手側の関心は前述のとおり確かに存在します。売り案件が滅多に出てこない業種では、希少性そのものが交渉力になります。「出てくるのを待っていた」という買い手に出会えれば、競合案件と比較されることなく、じっくり条件を詰められる可能性があります。
この需要の厚さを踏まえると、オファーの集め方が交渉条件を左右します。プラットフォームを使えば、複数の買い手が同じ期間に案件を検討するため、条件を見比べられるオファーがまとまって集まりやすくなります。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、従業員の雇用継続や取引先との関係維持といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像は具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 最も多いのは10億円以上30億円未満。100億円以上、50億円以上100億円未満など大手も一定数が関心を寄せています |
M&A経験 | オファーを出した買い手の約8割がM&A経験あり |
上場/非上場 | 非上場。東証グロース、東証プライムも含まれます |
エリア | 東京都中心。大阪府、愛知県など全国から |
業種 | システム開発・システムインテグレーター・品質保証の同業、DXや内製化を進めるIT事業会社・メーカー、業務システム/SaaS事業会社など |
結論:買い手は、システム開発・システムインテグレーター・品質保証の同業と、DXや内製化を進めるIT事業会社・メーカーに大きく分かれます。どちらが主役になるかは、引き継げる技術者・技術力とシナジーで変わります。
買い手は複数タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
システム開発・システムインテグレーター・品質保証の同業(上場・大手) | ◎ 主役候補 | SHIFT、東海ソフト、コアコンセプト・テクノロジー など | 開発体制・技術者・顧客基盤の拡充を狙う |
DX・内製化を進めるIT事業会社・メーカー | ○ 価格が出やすい | エレコム、SBテクノロジー、エイチーム など | IT機能の内製化・新規事業の強化 |
業務システム・SaaS事業会社 | ○ シナジー次第 | サインド など | プロダクト開発力・技術の取り込み |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・同業ロールアップの起点 |
つまり、買い手像を一つに決めつけないことが大切です。実際に、複数の開発会社を続けて取得してグループを広げる買い手も見られます。自社の技術力・エンジニアをどの買い手が最も評価するかで、条件は変わってきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
WEBシステム開発、美容予約一元管理システムの提供・運営等 | 約2.9億円 | 株式会社サインド(約22.4億円) | 約28.5億円 | WEBシステム開発と業種特化SaaS(予約管理システム)を評価。店舗の業務効率化サービスの強化を狙った取得。 |
ソフトウエア開発、Windows アプリ開発、WEBアプリ開発、組込み制御系開発、Androidアプリ開発、サーバ運用維 ほか | 約18.8億円 | 東海ソフト株式会社(約106.8億円) | 約18.5億円 | Webアプリ・ソフトウェア受託開発の体制を評価。DX需要に対するIT人材・開発体制の拡充を狙った取得。 |
ヘッドレス CMS 「microCMS」の開発、販売 | 約2.1億円 | 株式会社エイチーム(約239.2億円) | 約15億円 | ヘッドレスCMSの開発・販売力を評価。デジタルマーケティング領域の強みを補強するプロダクトの取り込み。 |
企業における生産・物流の機能改善、基幹業務システムの分析と改善、情報システム設計・開発・運用業務 | 約50.7億円 | 株式会社SHIFT(約1298.2億円) | 約30.5億円 | 基幹業務システムの分析・改善と情報システム開発力を評価。品質保証を軸とするグループの中期成長に向けた取得。 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると「買い手が安心して技術者と開発を引き継げるか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後にエンジニアが定着し、開発と売上が続くかという点です。この不安を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 開発力・品質保証がチームで回る | ◎ 特定エンジニア・代表個人に依存している |
◎ 保守・運用や自社プロダクトの継続収益がある | ◎ 受託の一時売上が中心 |
○ エンジニアの定着・採用力がある | ○ 人材の流出が続いている |
○ 特定業種・技術で指名される | ○ 何でも受託で差別化が弱い |
○ 顧客が分散している | △ 特定顧客・特定の取引先に依存している |
最初の2行(◎)が大切です。「開発がチームで回るか」「継続収益があるか」――この2つを整えるだけで、同じ売上でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。Webシステム開発・Webアプリ開発に近い区分を併記します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
情報サービス業(100件) | EV/EBITDA | 4.9倍 | 9.7倍 | 17.7倍 |
情報サービス業(106件) | PER | 6.7倍 | 13.5倍 | 27.7倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、Webシステム開発・Webアプリ開発との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDA 3〜5倍 + ネットキャッシュ(手元現金)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのは“あなたの会社の社名”だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
Webシステム開発会社の価格は、受託の一時売上の大きさだけではなく、技術力と開発実績、エンジニアの数と質、保守・運用や自社プロダクトの継続収益、買い手とのシナジーで変わります。IT人材の不足を背景に、開発力・技術者を評価した取得が目立ち、買い手の関心はしっかり集まっています。
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