





「同業の歯科医院・歯医者が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
歯科医院・歯医者の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
歯科医院・歯医者の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 歯科クリニック(医療法人・個人)は株式譲渡型の公開M&A事例が乏しく、公開事例からの相場観は限定的。オファーと公的統計を主軸に見ます |
② 買い手の値付け方法 | オファーでは、時価純資産法やEBITDA(利益)倍率を軸にした値付けが見られます |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件あたりのオファー社数は中央値で1社前後。案件によっては複数社が関心を示します(参考値) |
歯科クリニックはその多くが医療法人または個人開設であり、株式譲渡による公開M&A事例が限られます。そのため公開事例からの相場観は限定的で、本記事ではM&Aサクシードのオファー(収益力ベース)と公的統計を軸に見ていきます。
• 譲渡の背景としては、院長(歯科医師)の引退・承継を理由とするケースが見られます
• 好立地で黒字の歯科クリニックには、複数の買い手が関心を示す傾向があります
• 患者基盤(リコール率)が安定し、自由診療の比率が高いクリニックほど評価されやすい傾向があります
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
歯科クリニック | 1,000万〜5,000万円 | 約1,920万円 |
結論:歯科医院・歯医者の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「院長(歯科医師)に依存しすぎていないか」と「安定した患者基盤(リコール率)があるか」です。院長が抜けても患者が離れず、歯科衛生士が定着していることが、買い手の安心につながるからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 院長(歯科医師)依存の低さと患者基盤(リコール率) | ◎ 最重要 | 院長個人の腕や人柄に患者がついている状態は、買収後の離患リスクとして最も警戒される。継続的に来院するリコール患者が多いほど評価が安定する |
2 | 自由診療(矯正・インプラント・審美)の構成比と利益 | ◎ 重要 | 保険診療は単価が低く伸びしろが小さい。自由診療の比率が高く利益が厚いほど、素直に価格が上がる |
3 | 歯科衛生士・スタッフの確保と定着 | ○ | 衛生士が定着していれば、メンテナンス・リコールの継続が見込め、買収後の運営が安定する |
4 | 立地・ユニット台数・診療圏と院長非依存の体制 | ○ | 駅前や商店街など集患しやすい立地、複数ユニットで拡張余地があり、院長がいなくても回る体制は評価されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、院長個人への依存が強い・利益が薄いと評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず院長に依存しない診療・運営体制と安定した患者基盤(リコール)を整え、自由診療で利益を厚くする。売上規模を追うのはその後です。
結論:歯科医院・歯医者へのオファーは、時価純資産法やEBITDA(利益)倍率を軸にした値付けが中心です。買い手の多くが共通して保有資産の価値と収益力を見ています。
M&Aサクシードの歯科医院・歯医者関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計しました。ユニットや設備などの資産価値と、利益の両面が見られています。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
時価純資産法(保有資産の時価ベース) | ユニット・設備など保有資産の時価を基準にする方法 |
EBITDA(利益)の3倍前後 | 利益(EBITDA)を基準に評価する方法 |
時価純資産 + 営業利益の数年分(のれん) | 資産価値に、のれん(営業利益の数年分)を加える方法 |
具体的にイメージすると
EBITDAが3,000万円なら、倍率評価ではその数倍が初期レンジの土台になります。ここに保有資産(ユニット・設備等)の時価や手元現金、買い手とのシナジーが加味されます。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は、自由診療などで利益を厚くし、院長がいなくても患者と運営が引き継げる状態を作ることです。
結論:「うちのような歯科医院に買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。1案件あたりのオファー社数は中央値で1社前後ですが、案件によっては複数社が関心を寄せています。
M&Aサクシードの歯科医院・歯医者関連案件のオファーデータを使うと、1案件あたりの買い手数を確認できます。対象案件数が限られるため、以下は参考値としてご覧ください。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 1社(1案件1社が多い) |
平均 | 約2.2社 |
最も多かった案件 | 13社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。M&A市場に出ている歯科医院・歯医者関連の売り案件は約64件と、業種横断で見ても案件数の多い分野です。
買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値1社がオファーを出しています。売り案件の流通量が多い業種だけに、買い手は複数の案件を並べて比較できる立場にあります。埋もれないためには、早めに動いて自社の強み——収益性、顧客基盤、人材——を整理して見せることが重要です。
そのうえで大事になるのが、オファーの集め方です。プラットフォームを使えば複数の買い手が同じ期間に案件を検討するため、オファーが重なったときに、条件を見比べながら判断できます。オファーを1本ずつ受けて判断するのではなく、同じ期間に並べて比較できることが、交渉のしやすさに直結します。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、経営者の関与期間や引き継ぎの進め方についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
なお、売りに出ている案件の譲渡理由としては「後継者不在」が最も多くなっています。同じ悩みを抱えるオーナーが売却という選択肢を現実に選んでいる、ということでもあります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像は具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多。100億円超の大手も一定数 |
M&A経験 | 約8割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約9割が非上場。東証プライムなど上場企業も一部 |
エリア | 東京が最多(約5割)。愛知・埼玉・兵庫など各地の買い手も |
業種 | 歯科・医療の同業、歯科クリニックのグループ運営、内製化・拡張を狙う事業会社など |
結論:歯科医院・歯医者の買い手は、同業・隣接業種・事業会社・投資会社に分かれます。どのタイプが主役になるかは、引き継げる患者基盤や自由診療の強み、立地とのシナジーで変わります。
買い手は複数タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。歯科クリニックは医療法人・個人開設が多く、公開の実名成約事例が乏しいため、実名例は限定的に示します。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業(歯科・医療系)ロールアップ型 | ◎ 主役候補 | —(公開の実名事例が限られる) | 患者・スタッフ・立地をまとめて引き継ぎ、グループとして拡大しやすい |
医療・ヘルスケア関連の事業会社 | ○ シナジー次第 | —(公開の実名事例が限られる) | 在宅・訪問診療や周辺サービスとの連携を狙う |
異業種・事業会社 | ○ シナジー次第 | — | 内製化・新規事業・患者基盤の取得 |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・ロールアップの起点 |
つまり、買い手像を一つに決めつけないことが大切です。歯科クリニックは公開の実名事例こそ乏しいものの、自社の患者基盤・自由診療の強み・立地をどの買い手が最も評価するかで、条件は変わってきます。
歯科医院・歯科クリニックは、その多くが医療法人または個人事業として運営されており、株式譲渡型の公開M&A(上場企業による適時開示)にはなじみにくい形態です。そのため、規模感の近い実名の公開成約事例は限られます。相場の目安は、次に示すM&Aサクシードのオファーの傾向と、後半の公的統計をあわせてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
結論:高く評価される歯科医院と、伸びない歯科医院を分けるのは、つきつめると一つの問い「院長であるあなたが抜けても、患者とスタッフは残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に患者が離れないか」「歯科衛生士が辞めないか」「院長がいなくなって診療が回らなくならないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 院長が抜けても患者が離れない(リコール率が高く安定) | ◎ 院長個人の腕・人柄に患者が強く依存している |
◎ 歯科衛生士・スタッフが定着し、買収後も体制を維持できる | ◎ 衛生士・スタッフの離職が多く、体制の維持が不安定 |
○ 自由診療(矯正・インプラント・審美)で利益が厚い | ○ 保険診療中心で利益が薄い |
○ 好立地・複数ユニットで拡張余地がある | ○ 立地が弱く、ユニット稼働に余裕がない |
○ カルテ・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「患者が残るか」「スタッフが定着しているか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。歯科医院に近い「医療業」を参照します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
医療業(51件) | EV/EBITDA | 3.3倍 | 7.8倍 | 16.4倍 |
医療業(71件) | PER | 2.2倍 | 9.5倍 | 20倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、歯科医院・歯医者との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | 時価純資産法(保有資産の時価ベース)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い歯科医院・歯医者の相場を見る(無料)
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▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
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相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
歯科医院・歯医者の価格を最も左右するのは、売上規模ではなく「院長(歯科医師)への依存が小さいか」と「安定した患者基盤(リコール率)があるか」です。歯科クリニックは医療法人・個人開設が中心で、株式譲渡型の公開M&A事例が乏しいため、相場観はM&Aサクシードのオファー(収益力ベース)と公的統計を軸に見るのが実態に近いといえます。買い手の値付けは時価純資産法やEBITDA(利益)倍率が中心で、好立地・黒字のクリニックには複数の買い手が関心を寄せています。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
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