





「同業の温泉施設・日帰り温泉・温浴施設が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
温泉施設・日帰り温泉・温浴施設の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
温泉施設・日帰り温泉・温浴施設の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 温浴施設を単体で手がける中小企業の公開成約事例は僅少。相場観は買い手の値付け(EBITDA基準・時価純資産法)と、事業の中身(源泉・集客・設備・付帯事業)に置くのが現実的 |
② 買い手の値付け方法 | オファーでは、EBITDA(利益)を軸に、施設・設備の時価純資産や手元現金を加味する形が中心 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードの温浴関連案件では、1案件あたり中央値2社の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている温泉施設・日帰り温泉・温浴施設の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しようとしました。ただし、温浴施設を単体で手がける中小企業の公開成約事例は僅少で、年商規模別の倍率テーブルとしてお示しできるだけの件数がありません。ここでは倍率表は載せず、買い手が実際に使う値付け(EBITDA基準・時価純資産法)と、事業の中身(源泉の権利・泉質、集客、設備の更新状態、付帯事業)を相場観の軸に置きます。実名の成約事例は後半でご紹介します。
結論:温泉施設・温浴施設の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「源泉の権利・泉質という替えのきかない資源」と「会員・リピート・客単価に支えられた集客が続くか」です。温浴事業は立地と源泉、そして繰り返し通う顧客が事業の土台であり、買い手が気にするのは買収後も同じように人が集まり続けるかだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 源泉の権利・泉質と集客基盤(会員数・客単価・リピート率) | ◎ 最重要 | 源泉の権利や泉質はゼロから作りにくい資源。そこに会員・リピート・客単価に支えられた集客が乗っているほど、買い手は買収後も人が集まり続けると見込みやすく、価格の土台になる |
2 | 立地・商圏と設備の更新状態(省エネ性) | ◎ 重要 | 駅前・幹線沿い・観光地など商圏の強さと、浴槽・ボイラー・空調などの更新状態が価値を左右する。設備が古いと近い将来の更新負担や光熱費が重く見られ、逆に省エネ改修が進んでいると評価しやすい |
3 | 付帯事業の収益力(飲食・宿泊・サウナ・岩盤浴・マッサージ) | ○ | 入浴以外の付帯事業が客単価と滞在時間を押し上げる。飲食・サウナ・岩盤浴などの収益源が複数あるほど、収益の予測が立てやすい |
4 | 営業利益(EBITDA)・代表非依存の運営体制 | ○ | 買い手は利益を基準に値付けしやすい。代表が抜けても現場運営・集客・仕入れが回る体制は、引き継ぎリスクが小さいと評価される |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、集客が一部の割引集客に依存していたり、設備が古く利益が薄いと評価は伸びない。人が集まり続ける基盤が見られる |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「源泉・泉質と、会員・リピートに支えられた集客が続く状態」を示せるようにし、次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:温泉施設・温浴施設のオファーでは、買い手はEBITDA(利益)を軸に、施設・設備の時価純資産や手元現金を加味して値付けしています。事業を動かす資産(施設・設備)と収益力の両方が見られます。
M&Aサクシードの温浴関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、EBITDA倍率を軸にした提示が中心で、施設・設備を持つ事業らしく時価純資産法も一定数見られます。残りの方法も、EBITDAか純資産を軸にした変種にとどまります。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍(+手元現金) | 標準形。収益力(EBITDA)に倍率を掛け、手元現金を加味する。これが基準と考えてよい |
時価純資産法 | 資産・負債を時価で評価し直した純資産を基準にする方法。浴場・建物・設備など資産を持つ温浴施設で使われやすい |
時価純資産 + EBITDA × 倍率 | 上記の変種。資産価値に収益力を加算する |
時価純資産 + 営業利益の数年分 | 上記の変種。資産+のれん(営業利益の数年分) |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに施設・設備の時価純資産や手元現金を上乗せした金額が、オファーの初期レンジになります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は、利益(EBITDA)を厚くしつつ、源泉・集客・設備といった「買い手が安心して引き継げる基盤」を示せる状態を作ることです。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちに買い手なんてつくのか」という不安は、データを見るとその心配は小さいといえます。温浴関連の案件には1社あたり中央値2社、多いケースでは14社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの温泉施設・温浴関連案件のデータでは、1社あたり中央値で2社、平均では約4.8社、多いケースでは14社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 2社 |
平均 | 約4.8社 |
最も多かった案件 | 14社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。現在、M&A市場に売りに出ている温泉施設・日帰り温泉・温浴施設関連の案件は約15件と、決して多くありません。
一方の買い手側は、前述のとおり中央値2社がオファーを出しています。流通量・オファー数とも派手な数字ではありませんが、裏を返せば競合する売り案件も少なく、一件一件が丁寧に検討される市場です。買い手の網を広く張れるかどうかが結果を分けます。
交渉の進め方という点でも、押さえておきたいことがあります。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは、複数の買い手が同時に案件を検討するため、比較できるオファーを同じ期間に集めやすくなります。1社ずつ順番に打診して回るのではなく、複数のオファーを手元に並べて、価格や条件を見比べながら交渉相手を選べる状態をつくれます。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、社名・屋号の存続や従業員の雇用継続といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
なお、売りに出ている案件の譲渡理由としては「後継者不在」が最も多く、「選択と集中」がそれに続きます。事業や業績に問題があって売りに出るケースばかりではない、という点は売り手・買い手双方にとって押さえておきたいポイントです。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 100億円超の大手が最多。5〜10億円・10〜30億円の中堅も多い |
M&A経験 | 約8割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 非上場が約9割。東証プライム・グロースの上場企業も |
エリア | 約6割が東京。静岡・神奈川など温泉地・都市圏の買い手も |
業種 | 温浴・入浴施設やホテル・旅館などの宿泊・観光の同業のほか、スポーツ・フィットネスなど健康関連の事業会社も |
結論:温泉施設・温浴施設の買い手で最も存在感があるのは、「源泉・集客基盤・施設をまとめて引き継ぎ、温浴・健康・宿泊のサービスを面で広げたい同業・隣接の事業会社」です。源泉や集客はゼロから作りにくいため、既にできあがった基盤を取り込めることが大きな動機だからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・健康レジャー運営(温浴・スポーツ・フィットネス)型 | ◎ 主役候補 | ジェイエスエス(約84億。水を通じた健康事業として、スーパー銭湯を含む会社を取得) | 源泉・会員・集客基盤と施設をまとめて引き継ぎ、運営ノウハウと集客を共有。屋号・雇用が継続されやすい |
宿泊・観光と組み合わせる事業会社 | ○ シナジー次第 | ホテル・旅館や観光の運営会社が、温浴施設を宿泊・観光の集客装置として取り込む形 | 宿泊・観光と入浴・温浴を組み合わせ、滞在価値と客単価を高める |
異業種・不動産/商業施設運営 | ○ シナジー次第 | 商業施設・不動産の運営会社が、集客の核として温浴施設を取り込む形 | 商業施設・複合施設の集客装置として、温浴・サウナ・岩盤浴を取り込む |
投資ファンド | △ 限定的だが存在 | —(温浴・宿泊関連の買い手候補にも一定数) | 成長投資・再編の起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆です。同業・隣接の買い手は、源泉・集客基盤・施設をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用や運営の継続を前提に手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。温浴施設単体の公開事例は僅少なため、入浴施設・スパの同カテゴリの事例を「参考」として挙げます。「どんな会社が、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください(金額は個別事情で決まっており、そのまま自社に当てはまる水準ではない点にご注意ください)。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
スイミング・フィットネス+スーパー銭湯運営(ワカヤマアスレティックス/参考) | 8.3億 | ジェイエスエス(約84億) | 約5.5億 | 水を通じた健康事業の会員基盤と、スーパー銭湯を含む入浴・温浴の運営ノウハウ |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが手を離しても、源泉と設備を保ちながら、人が集まり続けるか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後もお客さんが通い続けるか」「源泉や設備を維持できるか」「光熱費や更新負担が重くないか」「代表がいなくなって現場が回らなくならないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 会員・リピート・客単価に支えられ、買収後も集客が続く見込みが高い | ◎ 集客が一部の割引集客に依存し、リピートが弱い |
◎ 源泉の権利・泉質が明確で、設備の更新・省エネが進んでいる | ◎ 設備が古く、近い将来の更新・光熱費の負担が大きい |
○ 飲食・サウナ・岩盤浴など付帯事業が客単価と滞在を押し上げている | ○ 入浴単体に依存し、客単価が伸びにくい |
○ 代表が抜けても現場運営・集客・仕入れが回る | ○ 代表個人に集客・運営が集中している |
○ 会員・売上・設備・許認可・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「人が集まり続けるか」「源泉と設備を保てるか」この2つを整えるだけで、同じ売上規模でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。リピート率や設備の更新状態などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。温浴施設に対応する中分類として「洗濯・理容・美容・浴場業」(浴場業を含む中分類)を参照します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
洗濯・理容・美容・浴場業(31件) | EV/EBITDA | 2.8倍 | 5.1倍 | 9.3倍 |
洗濯・理容・美容・浴場業(29件) | PER | 5.2倍 | 9.0倍 | 12.5倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、温泉施設・日帰り温泉・温浴施設との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍を軸に、施設・設備の時価純資産や手元現金を加味。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い温泉施設・日帰り温泉・温浴施設の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
https://ma-succeed.jp/register/direct
相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
温泉施設・温浴施設の価格を最も左右するのは「源泉の権利・泉質」と「会員・リピート・客単価に支えられた集客が続くか」、次に「立地・設備の更新状態」と「付帯事業・利益(EBITDA)」です。温浴施設単体の公開成約事例は限られますが、オファーではEBITDA基準や時価純資産法の提示が見られ、1社あたり中央値2社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、源泉・集客基盤・施設をまとめて引き継ぎたい、同業・隣接(温浴・宿泊・観光・健康)の事業会社です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
• かいしゃ価値トレンドで相場を見る:https://ma-succeed.jp/register/direct
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。