





「同業のコールセンター・オフィスワーク派遣会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
コールセンター・オフィスワーク派遣会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
コールセンター・オフィスワーク派遣会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 同規模の公開成約事例は限られるため、収益力(EBITDA)ベースのオファーと公的統計を主軸に相場観を示す |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多いのは「EBITDA(利益)の3〜5倍」を軸にした方法 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件あたりのオファー社数は中央値10社 |
まず、上場企業による買収のうち公開されている人材派遣関連の成約事例を見ます。オフィスワーク・コールセンター派遣単体の同規模帯の公開事例が限られるため、相場観はM&Aサクシードのオファー(収益力ベース)と公的統計を軸に見ていきます。
結論:コールセンター・オフィスワーク派遣会社の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「スタッフが定着し応対・事務の品質が保てているか」と「派遣先が分散して契約が続いているか」です。収益は稼働と継続契約から生まれ、品質と許可が事業維持の前提だからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 稼働スタッフの確保・定着と応対/事務品質 | ◎ 最重要 | 品質と充足が価値。買い手が最も気にするのは、買収後に人が辞めず品質を保てるか |
2 | 派遣先の分散度と契約継続 | ◎ 重要 | 特定クライアントへの依存が低く、契約が続いているほど安定的 |
3 | 研修・品質管理・SV体制の仕組み | ○ | 教育・モニタリング・SV体制が整っていると属人性が下がり評価が上がる |
4 | 労働者派遣事業許可・法令順守 | ○ | 許可の維持、多重派遣がないこと。行政指導の履歴は評価を下げる |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、稼働・品質が不安定・利益が薄いと評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まずスタッフの定着・品質と派遣先の分散を固め、次に利益を残す。売上規模を追うのはその後です。
結論:コールセンター・オフィスワーク派遣会社へのオファーは「EBITDA(利益)の3〜5倍」を軸に、手元現金や純資産を加える形が中心です。買い手の多くが共通して利益と稼働と品質の安定を見ています。
M&Aサクシードのコールセンター・オフィスワーク派遣会社関連の案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、EBITDA倍率を軸にした方法が中心です。残りの方法も、EBITDAか純資産を軸にした変種にあたります。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍 | 標準形。利益(EBITDA)を基準に評価する最も多い方法 |
EBITDA × 3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 上記に手元資金を加えた変種 |
時価純資産 + 営業利益の3〜5年分(のれん) | 資産価値に、のれん(営業利益の数年分)を加える方法 |
時価純資産法(保有資産の時価ベース) | 保有資産の時価を基準にする方法 |
具体的にイメージすると
たとえばEBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに手元現金や純資産、買い手とのシナジーを加味した金額が、オファーの初期レンジになります。
価格を上げるいちばん直接的な方法は「スタッフの定着・品質と派遣先の分散を保ち、利益(EBITDA)を厚くし、手元現金を残しておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのような規模に買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。コールセンター・オフィスワーク派遣会社関連の案件には1社あたり中央値10社、多いケースでは45社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードのコールセンター・オフィスワーク派遣会社関連の案件のデータでは、1社あたり中央値で10社、多いケースでは45社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 10社 |
平均 | 約12.7社 |
最も多かった案件 | 45社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。現在、M&A市場に売りに出ているコールセンター・オフィスワーク派遣会社関連の案件は約15件と、決して多くありません。
一方で、前述のとおり買い手の関心は厚く、1案件あたり中央値10社のオファーが集まります。供給が少なく、需要が厚い——つまり売り手優位の需給構造です。売り案件の希少性が買い手間の競争を生みやすく、複数オファーを比較して条件を引き上げられる可能性が相対的に高い業種といえます。
この需給の環境は、売り手にとって交渉の進め方そのものを変えます。プラットフォーム型のM&Aでは、複数の買い手が同じタイミングで案件を検討するため、比較検討できるオファーを同じ期間にまとめて集めやすくなります。1社ずつ順番に打診して回るのではなく、複数のオファーを手元に並べて、価格や条件を見比べながら交渉相手を選べる状態をつくれます。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、従業員の処遇や引き継ぎ期間についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多。100億円超の大手も一定数 |
M&A経験 | 約6割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約8割が非上場。東証プライム・スタンダード・グロース等の上場企業も |
エリア | 東京が最多(約6割)。大阪・愛知など都市圏が続く |
業種 | 人材派遣・BPOの同業、法人向けサービスの事業会社が中心 |
結論:コールセンター・オフィスワーク派遣会社の買い手で最も数が多く、最も早く動くのは「人材派遣・BPOの同業ロールアップ型」です。稼働スタッフと派遣先・品質体制を面で引き継ぎ、対応領域を広げたい動機が強いからです。
買い手は複数タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業(人材派遣・BPO)ロールアップ型 | ◎ 最多・最速 | ツナググループ・ホールディングス(AIGATEキャリアを取得) | スタッフ・派遣先・許可を継続しやすく、対応領域を広げられる |
上場グループ・大手人材会社 | ○ 価格が出やすい | — | 登録スタッフ基盤の獲得、事務・コンタクトセンター領域の強化 |
法人向けサービス事業会社 | ○ シナジー次第 | — | バックオフィス・応対業務の内製化、BPOとの一体提供 |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・ロールアップの起点 |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆です。同業はスタッフ・派遣先・品質体制をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用の継続を前提に競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
営業・事務派遣、コールセンター事業(AIGATEキャリア) | 約9.3億円 | ツナググループ・ホールディングス(約182.7億円) | 約1.8億円 | 人材派遣・BPO領域の拠点網とスタッフ基盤の取り込み |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、稼働スタッフと派遣先の契約、品質体制は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 稼働スタッフが定着し、買収後も充足率を保てる | ◎ スタッフの離職・稼働率が不安定 |
◎ 派遣先が分散し、契約が継続している | ◎ 特定の派遣先に売上が集中している |
○ 労働者派遣事業の許可・法令順守が健全 | ○ 許可・多重派遣など法令面に不安がある |
○ 採用・募集チャネルが機能している | ○ 採用が特定媒体・個人に依存している |
○ 契約・労務・請求の資料が整理されている | △ 必要書類が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「スタッフが残るか」「派遣先が続くか」この2つを整えるだけで、同じ売上規模でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。オフィスワーク・コールセンター派遣会社に近い「職業紹介・労働者派遣業」と「その他の事業サービス業」を参照します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
職業紹介・労働者派遣業(30件) | EV/EBITDA | 3.5倍 | 9.4倍 | 19.6倍 |
職業紹介・労働者派遣業(32件) | PER | 8.8倍 | 15.6倍 | 35.7倍 |
その他の事業サービス業(52件) | EV/EBITDA | 3.5倍 | 8.6倍 | 20.8倍 |
その他の事業サービス業(54件) | PER | 8.3倍 | 14.2倍 | 30.6倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、コールセンター・オフィスワーク派遣会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDA(利益)の3〜5倍。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近いコールセンター・オフィスワーク派遣会社の相場を見る(無料)
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相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
コールセンター・オフィスワーク派遣会社の価格を最も左右するのは、売上規模ではなく「スタッフが定着し応対・事務の品質が保てているか」と「派遣先が分散して契約が続いているか」です。買い手のオファーはEBITDA(利益)の3〜5倍を軸に手元現金や純資産を加える形が中心で、人材派遣関連の案件には1社あたり中央値10社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、スタッフと派遣先・品質体制を面で引き継ぐ人材派遣・BPO同業のロールアップ型です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
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