





「同業の日本語学校・日本語教育機関が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
日本語学校・日本語教育機関の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
日本語学校・日本語教育機関の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1校にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 日本語学校そのものの公開成約事例は僅少。相場観は当社プラットフォームの匿名成約例(約6,000万円・約3.5億円)と、買い手の値付け方法に置くのが現実的 |
② 買い手の値付け方法 | オファーでは「純資産+EBITDA×倍率」「EBITDA×倍率+手元現金」など、純資産と利益を軸にした方法が中心 |
③ 1校あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、該当する1案件に16社の買い手から延べ20件のオファーが届いている |
まず、上場企業による買収のうち公開されている日本語学校・日本語教育機関の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しようとしました。ただし、公開されている適時開示のうち「スクール・教室」「学校・教育機関」分野を確認しても、日本語学校そのものを対象にした事例は僅少で、年商規模別の倍率テーブルとしてお示しできるだけの件数がありません。ここでは倍率表は載せず、当社プラットフォームでの匿名成約例と、買い手が実際に使う値付け(純資産・EBITDA基準)を相場観の軸に置きます。
• 譲渡理由は「後継者不在」や「代表者の引退」といった、オーナー側の事情によるものが見られる
• 株式譲渡だけでなく、学校法人の譲渡という形でも成約している
• 定員を上回る出願実績など、学生募集力が裏づけられた学校は年商を上回る水準で成約した例がある
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
日本語学校 | 5,000万〜1億円 | 約6,000万円 |
学校法人 | 1〜2.5億円 | 約3.5億円 |
結論:日本語学校・日本語教育機関の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「告示校としての認可と、学生を集め続けられる力(定員充足率・出願実績)」です。認可は新たに取得するハードルが高く、学生募集力が収益の源泉だからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 告示校の認可と学生募集力(定員充足率・出願実績) | ◎ 最重要 | 認可と在籍学生が事業の土台。当社の成約例でも、定員を上回る出願実績のある学校法人が年商を上回る水準で成約している |
2 | 営業利益(EBITDA)と純資産 | ◎ 重要 | オファーの算定方法は純資産とEBITDAを軸にした方法が中心。利益と資産が厚いほど素直に価格が上がる |
3 | 出身国の分散・進路実績 | ○ | 特定の国や募集ルートへの依存は、情勢や受け入れ政策の変化の影響を受けやすい。分散と進路実績は収益の継続性の裏づけになる |
4 | 教員体制と代表非依存 | ○ | 専任教員の確保・定着は学校運営の前提。代表が抜けても教務・募集・事務が回る体制は評価されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、定員割れが続く・教員体制が不安定なら評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「認可を健全に保ち、学生が集まり続ける状態」を示せるようにし、次に「利益を残す」。売上規模を追うのはその後です。
結論:日本語学校へのオファーは、「純資産+EBITDA×倍率」や「EBITDA×倍率+手元現金」など、純資産と利益(EBITDA)を軸にした方法にほぼ集約されます。買い手は共通して、引き継げる資産と収益力を見ています。
M&Aサクシードの日本語学校関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、最も多いのは純資産にEBITDAの倍率評価を加える方法。残りの方法も、純資産かEBITDAを軸にした変種にすぎません。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
純資産 + EBITDA × 倍率 | 最も多い提示。資産価値に収益力を加算する方法 |
EBITDA × 倍率 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 利益を基準に、手元資金を加える方法 |
時価純資産 + 営業利益の数年分 | 資産の時価に、のれん(営業利益の数年分)を加える方法 |
時価純資産法 | 保有資産の時価を基準にする方法 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、倍率評価ではその数倍が初期レンジの土台になります。ここに純資産や手元現金、買い手とのシナジーが加味されます。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「定員充足率を保って利益(EBITDA)を厚くし、純資産・手元現金を残しておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのような学校に買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。M&Aサクシードでは、日本語学校の1案件に16社の買い手から延べ20件のオファーが届いています。
M&Aサクシードの日本語学校関連案件では、該当する1案件に対して16社の買い手が延べ20件のオファーを寄せています。ただし該当する案件が僅少なため、1案件あたりのオファー社数の中央値・平均・最大といった統計値の掲載は控え、実績の紹介にとどめます。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
統計値(中央値・平均・最大) | 該当案件が僅少のため記載を控えます |
確認できる実績 | 該当する1案件に、16社の買い手から延べ20件のオファー |
1つの学校に十数社の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
次に、売り手側の供給を見てみましょう。日本語学校・日本語教育機関関連の売り案件は市場に約7件しかなく、流通量は限られています。
買い手側のオファー数は統計として示せる件数に達していませんが、前述のとおり関心を寄せる買い手は確かに存在します。供給が少ない業種では、売り案件が出てきたこと自体が買い手にとってのニュースになります。希少性を活かすためにも、幅広い買い手に情報が届く形で相手探しを始めることが重要です。
もう一つ、交渉の環境として知っておきたい点があります。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは複数の買い手が同時に案件を検討するため、関心を持つ買い手が重なれば、オファーを同じ期間に並べて見比べることができます。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、社名・屋号の存続や従業員の雇用継続についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 5〜10億円の中堅企業が最多。30億円超〜100億円以上の大手も複数 |
M&A経験 | 「M&A経験あり」と「経験なし」が拮抗。買い慣れた買い手だけでなく、初めてのM&Aとして日本語学校を検討する買い手も |
上場/非上場 | 大半が非上場の事業会社。東証グロース・福証の上場企業も |
エリア | 東京が約半数。関東のほか、静岡・京都・広島・福岡など広域から関心が寄せられている |
業種 | 人材紹介・人材派遣など人材サービス系が目立ち、同業の日本語学校・外国語学校や学習塾・幼稚園などの教育関連、介護・福祉の事業会社まで幅広い |
結論:日本語学校の買い手として存在感があるのは、「同業・教育関連の事業会社」と「人材紹介・人材派遣など外国人材の就労に接点を持つ人材サービス系の事業会社」です。外国人材ニーズの高まりを背景に、日本語教育を入口として人材の受け入れ・活躍支援までつなげたいという動機が強いからです。
買い手は複数のタイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・教育関連(日本語学校・外国語学校・学習塾など) | ◎ 主役候補 | —(当社DBのオファーにも同業・教育関連の買い手が複数) | 認可・学生・教員体制をまとめて引き継ぎやすく、学校運営のノウハウがあるため話が早い |
人材サービス・外国人材関連の事業会社 | ◎ 動きが早い | —(当社DBのオファーでは人材紹介・人材派遣を手がける買い手が目立つ) | 日本語教育と外国人材の就労支援をつなげ、入口から出口まで一気通貫の体制を狙う |
教育・異業種の上場企業・大手事業会社 | ○ 価格が出やすい | レアジョブ(約97.2億、教育分野で複数買収)/フリービット(約550.7億、語学教育企業を子会社化) | 教育事業の柱づくり・グループ化。資本力とブランドで成長を後押し |
投資ファンド | △ 限定的だが存在 | — | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆です。同業や人材サービス系の買い手は、認可・学生・教員をまとめて引き継ぎたいからこそ、学校運営の継続を前提に、競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。日本語学校そのものの公開事例は僅少なため、ここでは隣接する語学教育・学校運営分野の事例を「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像として挙げます。日本語学校のM&Aにそのまま当てはまる水準ではない点にご注意ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
語学教育の総合企業(アルク。語学出版・法人研修・eラーニング、日本語スピーキング能力診断も) | 約62.7億 | フリービット(約550.7億) | 26億 | EdTech事業の展開に向け、語学教育の総合企業をグループ化 |
インターナショナルスクール・アフタースクール運営(東京インターナショナルスクールグループ) | 約10.7億 | レアジョブ(約97.2億) | 約4.6億 | 教育ブランドの確立と子ども向け教育事業の強化 |
外国語指導助手(ALT)の人材派遣・英会話スクール運営(ボーダーリンク) | 約26億 | レアジョブ(約97.2億) | 約9.7億 | 教育機関向け事業の拡大とグローバル人材育成 |
結論:高く評価される学校と、伸びない学校を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、認可と学生、そして教員は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「認可を維持できるか」「学生が集まり続けるか」「教員が辞めないか」「代表がいなくなって募集や運営が回らなくならないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ売上規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 告示校としての適正な運営が続き、行政対応の記録が健全 | ◎ 認可の維持や在留資格の手続きに不安があり、記録が整理されていない |
◎ 定員充足率が高く、出願・入学が安定している | ◎ 定員割れが続き、在籍学生数の変動が大きくなりがち |
○ 出身国・募集ルートが分散し、進路実績が示せる | ○ 特定の国・特定のエージェントに学生募集が偏っている |
○ 専任教員が定着し、代表が抜けても教務・募集・事務が回る | ○ 代表個人に募集・運営が集中し、教員の入れ替わりが多い |
○ 学則・契約書・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「認可と学生が引き継げるか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。充足率などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。日本語学校・日本語教育機関が含まれる「その他の教育、学習支援業」の区分を参照します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
その他の教育、学習支援業(20件) | PBR | 0.9倍 | 1.4倍 | 5.2倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、日本語学校・日本語教育機関との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | 純資産 + EBITDA × 倍率。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
日本語学校・日本語教育機関の価格を最も左右するのは、売上規模ではなく「告示校としての認可と、学生を集め続けられる力(定員充足率・出願実績)」です。買い手のオファーは純資産とEBITDA(利益)を軸にした方法にほぼ集約され、当社プラットフォームでは日本語学校の1案件に16社の買い手から延べ20件のオファーが届いています。買い手の中心は、認可・学生・教員の引き継ぎを前提に手を挙げる同業・教育関連と、外国人材の就労に接点を持つ人材サービス系の事業会社です。
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