





「同業の地盤調査・地盤改良会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
地盤調査・地盤改良会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
地盤調査・地盤改良会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 公開事例は年商30億円超の大型案件に限られますが、年商倍率の中央は約0.8倍。譲渡額は約7億円〜約76億円と事例ごとの幅が大きい |
② 買い手の値付け方法 | オファーで最も多いのは「時価純資産法」。収益力(EBITDA倍率)で見る買い手も一定数 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値4社の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている地盤調査・地盤改良関連の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。公開されているのは年商30億円超の大型案件に限られるため、中堅・中小規模の相場をそのまま示すものではありませんが、「年商の何倍で成約しているか」の目安としてご覧ください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
30億円〜 | 約0.8倍 | 約7億円〜約76億円 |
結論:地盤調査・地盤改良会社の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「保有工法・特許と、地質・土木系の有資格技術者を買収後も引き継げるか」です。実際の公開事例でも、買い手は取得理由として技術提案力の向上を挙げています。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 保有工法・特許、地質・土木系の有資格技術者が引き継げるか | ◎ 最重要 | 工法と技術者が事業の土台。公開事例でも買い手は「技術提案力の向上」を取得理由に挙げており、技術資産が残る見込みが価格の土台になる |
2 | 営業利益(EBITDA) | ◎ 重要 | 資産の裏付けに加えて、買い手は収益力を見て値付けする。利益が出ているほど素直に価格が上がる |
3 | 顧客構成(住宅系・土木系のバランス)と契約の継続性 | ○ | 住宅着工に偏らず、防災・老朽化インフラ対応など公共・土木系の需要も取り込めていると、買収後の売上継続の見通しが立てやすい |
4 | 代表非依存・管理体制(施工管理・品質管理) | ○ | 代表や特定の技術者に受注・管理が集中していると、引き継ぎリスクとして減点される |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、利益が薄い・技術者が定着しない・特定の元請に依存していると評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「工法と技術者が引き継げる状態」を作り、次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:地盤調査・地盤改良会社へのオファーで最も多いのは「時価純資産法」です。機材・設備という資産を持つ事業だけに、買い手は共通して資産の裏付けと収益力をあわせて見ています。
M&Aサクシードの地盤調査・地盤改良関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、最も多いのは時価純資産法。収益力(EBITDA倍率)を軸にする買い手も一定数います。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
時価純資産法 | 最多。資産・負債を時価で見直した純資産を価格の土台にする |
その他(個別事情に応じた算定) | 案件ごとの事情・シナジーを織り込んだ個別の値付け |
EBITDA × 3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 収益力を軸にした標準形。利益に手元現金を上乗せ |
EBITDA × 3〜5倍 | 手元現金を分けずに収益力で評価 |
純資産 + 営業利益の数年分 | 資産価値に、のれん(営業利益数年分)を加算 |
具体的にイメージすると
時価純資産法では、機材・設備や不動産、現預金・負債を時価で見直した純資産が価格の土台になります。ここに、EBITDAの3〜5倍で収益力を評価するオファーも一定数あり、利益と買い手とのシナジーが上乗せの要素になります。
ここからいえることはシンプルです。資産を時価できちんと説明できるよう整理しておくこと、そして利益を厚くしておくこと。この2つが、価格を上げるいちばん直接的な方法です。
結論:「うちのような会社に買い手なんてつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。地盤調査・地盤改良関連の案件には、1社あたり中央値4社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの地盤調査・地盤改良関連案件のデータでは、1社あたり中央値で4社、多いケースでは33社の買い手がオファーを寄せています。平均が中央値を上回るのは、一部の案件にオファーが集中したためです。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 4社 |
平均 | 約8.7社 |
最も多かった案件 | 33社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
次に、売り手側の供給を見てみましょう。地盤調査・地盤改良会社関連の売り案件は市場に約6件しかなく、流通量は限られています。
一方の買い手側は、前述のとおり中央値4社がオファーを出しています。流通量・オファー数とも派手な数字ではありませんが、裏を返せば競合する売り案件も少なく、一件一件が丁寧に検討される市場です。買い手の網を広く張れるかどうかが結果を分けます。
そのうえで大事になるのが、オファーの集め方です。プラットフォームを使えば、複数の買い手が同じ期間に案件を検討するため、条件を見比べられるオファーがまとまって集まりやすくなります。1社ずつ順番に打診して回るのではなく、複数のオファーを手元に並べて、価格や条件を見比べながら交渉相手を選べる状態をつくれます。複数のオファーが集まれば、交渉の主導権は売り手側に寄ります。価格に加えて、経営者の関与期間や引き継ぎの進め方などの条件面でも、売り手側の意向を反映しやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多(約3割)。5〜10億円が続き、100億円超の大手も1割超 |
M&A経験 | 約67%が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約9割が非上場。東証プライム・グロース等の上場企業も |
エリア | 東京が半数近く。大阪・岡山・静岡・神奈川など各地の買い手も |
業種 | 地盤調査・地盤改良と近い事業のほか、土木・建設の隣接領域、調査・改良機能の取り込みを狙う事業会社など |
結論:地盤調査・地盤改良会社の買い手で最も存在感があるのは、地質調査・建設コンサルタントなど同業・隣接の事業会社です。防災や老朽化インフラへの対応が求められるなか、工法と有資格技術者を面で取り込み、技術提案力を高めたいと考えているからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・隣接の建設コンサルタント・地質調査会社 | ◎ 主役 | E・Jホールディングス(約427.1億円)/長大(約345.4億円) | 工法・技術者・顧客を引き継ぎやすい。技術提案力の向上を明確な狙いとして買収している |
上場・大手の事業会社(商社など) | ○ 価格が出やすい | 高島(約945億円) | 建材・基礎杭工法など既存事業との組み合わせ。グループ会社化で事業を広げる |
異業種・事業会社 | ○ シナジー次第 | ヤマウホールディングス(約228.4億円) | 互いの得意市場での相互補完と事業拡大を狙う |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・グループ化の起点。経営支援を受けて拡大する選択肢 |
つまり「同業に安く買われるのでは」という心配は実態と逆です。技術を取り込みたい買い手は、工法と技術者をまとめて引き継ぎたいからこそ、体制の継続を前提に手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
地質調査・建設コンサルタント(東京ソイルリサーチ) | 約58.3億 | E・Jホールディングス(約427.1億) | 約76.0億 | 確かな技術によるコンサルティングで、安全・安心な国土づくりに貢献するグループ方針との一致 |
地盤調査・地盤改良工事・土木工事(岩水開発) | 約62.3億 | 高島(約945億) | 約50.0億 | 建材・基礎杭工法などを手がける商社事業と、地盤改良の施工力の組み合わせ |
地質調査・測量・設計を含む土木工事業(大栄開発) | 約17.2億 | ヤマウホールディングス(約228.4億) | 約12.6億 | 互いの得意市場でのシナジーと、事業拡大・企業価値向上への期待 |
土質・地質調査から設計・施工管理・防災まで(基礎地盤コンサルタンツ) | 約83.0億 | 長大(約345.4億) | 約7.0億 | 事業領域・顧客基盤の重複が少なく、技術提案力の向上と相互の顧客への提供力強化を期待 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが手を離しても、工法・技術者と顧客は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に技術者が辞めないか」「主要な元請や顧客が離れないか」「代表がいなくなって現場が回らなくならないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 保有工法・特許と有資格技術者が買収後も引き継げる | ◎ 特定の技術者に業務が集中し、残る見込みが弱い |
◎ 代表が抜けても受注・施工管理・品質管理が回る | ◎ 代表個人に受注・管理が集中している |
○ 住宅系・土木系など顧客が複数に分散している | ○ 特定の元請1社に売上が偏っている |
○ 営業利益が継続的に出ている | ○ 売上はあるが利益が薄い |
○ 調査報告書・契約書・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「工法と技術者が引き継げるか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 公開事例の取得理由・オファーデータから見られる傾向の整理です。依存度などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。地盤調査・地盤改良に近い「職別工事業」と、地質調査・建設コンサルタントに近い「技術サービス業(他に分類されないもの)」を併記します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
職別工事業(79件) | EV/EBITDA | 2.8倍 | 4.6倍 | 8.9倍 |
職別工事業(99件) | PER | 4.5倍 | 10.2倍 | 15.6倍 |
技術サービス業(他に分類されないもの)(36件) | EV/EBITDA | 5.3倍 | 7.6倍 | 15.6倍 |
技術サービス業(他に分類されないもの)(44件) | PER | 6.6倍 | 10.8倍 | 28.1倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、地盤調査・地盤改良会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | 時価純資産法。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い地盤調査・地盤改良会社の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
https://ma-succeed.jp/register/direct
相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
地盤調査・地盤改良会社の価格を最も左右するのは「保有工法・特許と有資格技術者が引き継げるか」、次に「利益(EBITDA)」です。買い手の値付けは時価純資産法が最多で、収益力(EBITDA倍率)で見る買い手も一定数。地盤調査・地盤改良関連の案件には1社あたり中央値4社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、防災・老朽化インフラ対応の需要を背景に、技術提案力を高めたい同業・隣接の事業会社です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
• かいしゃ価値トレンドで相場を見る:https://ma-succeed.jp/register/direct
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。