





「同業の石工事・ブロック工事・外構工事会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
石工事・ブロック工事・外構工事会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
石工事・ブロック工事・外構工事会社の相場は、①買い手が実際に使う値付け方法、②1社にどれだけの買い手が関心を示すか、③公的統計による外部ベンチマークをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 買い手の値付け方法 | 算定式を示したオファーでは、EBITDA(収益力)に倍率を掛け、手元現金(ネットキャッシュ)を加える方法が中心 |
② 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値4社の買い手がオファー(外構工事を含む関連案件の集計) |
③ 外部ベンチマーク | 石工事・ブロック工事を含む「職別工事業」の公的統計では、EV/EBITDAの中央値は約4.6倍 |
まず、上場企業による買収のうち公開されている石工事・ブロック工事・外構工事関連の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しようとしました。ただし石工事・ブロック工事・外構工事の事業単体で金額まで公表された事例は僅少で、年商規模別のはっきりした倍率レンジを示すのは難しいのが実情です。そこで本記事では、買い手が実際に使う値付け方法(オファーの算定方法)と、石工事・ブロック工事を含む「職別工事業」の公的統計に軸足を置いて、相場観をお伝えします。
• 石工事・ブロック工事・外構工事に該当するプラットフォーム内の成約は蓄積が薄いため、譲渡理由・所在地・黒字比率などの構成比の掲載は控えます
• 確認できる範囲では、後継者不在をきっかけに、黒字の状態で会社を引き継いだ事業承継型の成約が見られます
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
造園工事 | 1億〜2億5,000万円 | 約6,600万円 |
造園工事 | 1億〜2億5,000万円 | 約2.8億円 |
結論:石工事・ブロック工事・外構工事会社の価格を決める大きな要素は、売上規模ではなく「職人と施工体制、そして住宅会社・工務店との取引が買収後も引き継げるか」です。施工品質を支える職人の腕と、継続的に仕事が入ってくる取引関係こそが事業の中身であり、買い手が気にするのは買収後もそれが残るかだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 職人と施工体制の引き継ぎやすさ(職人・エクステリアプランナーの確保と定着、施工品質、協力会社ネットワーク) | ◎ 最重要 | 施工を担う職人=事業の中身。人手不足のなか、腕のある職人と施工体制をまとめて引き継げることが価格の土台になる |
2 | 営業利益(EBITDA) | ◎ 重要 | 買い手はEBITDAを基準に値付けする。住宅会社・工務店との反復受注で利益が読めるほど、評価が上がりやすい |
3 | 取引の継続性(住宅会社・工務店との反復受注、公共工事の実績) | ○ | 住宅会社・工務店から継続的に外構工事が入ってくる関係や、擁壁・ブロック塀改修などの公共工事の実績は、翌期以降の売上見通しを立てやすくし、評価を支える |
4 | 特定顧客への依存度・代表非依存 | ○ | 売上が特定の元請けに偏っている、代表個人に営業・見積り・現場管理が集中している、は引き継ぎリスクとして減点される |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、単発工事中心で利益が薄ければ評価は伸びない。利益・継続性・引き継げる体制が見られる |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「職人と取引関係が引き継げる状態」を作り、特定の元請けや代表個人への依存を減らす。次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:算定式を示した買い手のオファーは、EBITDA(収益力)に倍率を掛けて手元現金(ネットキャッシュ)を加える方法と、資産をもとにした時価純資産法に集約されます。買い手の多くが共通して利益と引き継げる資産を見ています。
M&Aサクシードの石工事・ブロック工事・外構工事関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計しました。案件の個別事情に応じた提示も多い一方、具体的な算定式を示した買い手の中では、EBITDA倍率を軸にした方法が中心です。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 標準形。収益力に手元現金を加える |
EBITDA × 数倍(幅を持たせた倍率提示) | 上記の変種。手元現金を分けずに収益力そのもので評価する形も |
時価純資産法(資産の時価評価) | 重機・資材置き場など保有資産の時価をもとに評価。建設業で使われやすい |
純資産 + 営業利益の数年分 | 資産にのれん(営業利益の数年分)を加算する方法 |
その他(案件の個別事情に応じた算定) | 上記の型に当てはまらない個別の提示 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに手元現金を上乗せした金額が、オファーの初期レンジの土台になります。ここに保有資産や買い手とのシナジーが加味されます。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「利益(EBITDA)を厚くし、手元現金を残しておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのような工事会社に買い手なんてつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。石工事・ブロック工事・外構工事関連の案件には、1案件あたり中央値4社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの石工事・ブロック工事・外構工事関連案件(25案件)のデータでは、1案件あたり中央値で4社、多いケースでは15社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 4社 |
平均 | 約5.7社 |
最も多かった案件 | 15社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
次に、売り手側の供給を見てみましょう。石工事・ブロック工事・外構工事会社関連の売り案件は市場に約18件しかなく、流通量は限られています。
一方の買い手側は、前述のとおり中央値4社がオファーを出しています。流通量・オファー数とも派手な数字ではありませんが、裏を返せば競合する売り案件も少なく、一件一件が丁寧に検討される市場です。買い手の網を広く張れるかどうかが結果を分けます。
そのうえで大事になるのが、オファーの集め方です。プラットフォーム型のM&Aでは、複数の買い手が同じタイミングで案件を検討するため、比較検討できるオファーを同じ期間にまとめて集めやすくなります。オファーを1本ずつ受けて判断するのではなく、同じ期間に並べて比較できることが、交渉のしやすさに直結します。比較されている前提で買い手が条件を出す状況では、価格はもちろん、従業員の雇用継続や取引先との関係維持についても、売り手の希望条件を軸に交渉を進めやすくなります。
ちなみに、市場に出ている案件の譲渡理由を見ると「後継者不在」が中心で、「事業拡大・成長戦略」も一定数あります。売却は特別な事情のある会社だけのものではなくなりつつあります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 100億円以上が最多(約3割)。30億〜50億円、10億〜30億円がこれに続き、規模の幅は広い |
M&A経験 | 約6割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 9割近くが非上場。東証プライム・スタンダード・グロースの上場企業も |
エリア | 約半数が東京。大阪・千葉・神奈川など都市圏が続く |
業種 | 外構・造園・エクステリアの同業のほか、住宅・建材系グループ、土木・建設系の事業会社が中心 |
結論:石工事・ブロック工事・外構工事会社の買い手で最も存在感があるのは、「職人と施工体制、住宅会社・工務店との取引をまとめて取り込みたい外構・造園の同業や住宅・建材系グループ」です。エクステリア需要への対応力を自社に取り込めば、既存の顧客や現場への提案の幅を広げられると考えているからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・隣接(外構・造園・エクステリア)の事業会社 | ◎ 主役候補 | —(業種を特定できる公開事例は僅少) | 職人・施工体制・取引先をまとめて引き継ぎやすい |
住宅・建材系グループ | ○ シナジーが明確 | —(同上) | 住宅の引き渡しに伴う外構工事の内製化。エクステリア需要への対応力を取り込む |
土木・建設系の事業会社 | ○ 体制の拡張 | —(同上) | 擁壁・ブロック塀改修など公共工事の実績や施工能力を自社の受注体制に加える |
投資ファンド | △ 条件次第 | —(関連の買い手候補にも一定数) | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買われるのでは」という心配は実態と逆です。買い手は職人と取引関係をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用と事業の継続を前提に手を挙げてきます。自社の強みをどの買い手が最も評価するかで、条件は変わってきます。
本来は、買い手・売り手ともに公表されている成約事例を「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像として掲載する項です。ただし、石工事・ブロック工事・外構工事の事業単体で、業種を特定できる形で金額まで公表された公開事例は確認できませんでした。実名ベースの相場観は、前掲のオファーの傾向(EBITDA基準)と、後掲の職別工事業の公的統計を参考にしてください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが現場を離れても、職人と取引は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「買った後に職人が辞めないか」「住宅会社・工務店からの仕事が途切れないか」「代表がいなくなって見積りや現場管理が回らなくならないか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 職人が定着しており、買収後も施工体制が維持される見込みが高い | ◎ 職人の高齢化・離職が進み、施工体制が残る見込みが弱い |
◎ 代表が抜けても営業・見積り・現場管理が回る | ◎ 代表個人に営業・見積り・職人の采配が集中している |
○ 住宅会社・工務店との反復受注や公共工事の実績があり、利益が継続的に出ている | ○ 単発工事が中心で、翌期の売上が読みにくい |
○ 取引先が複数に分散している | ○ 特定の元請け1社に売上が偏っている |
○ 建設業許可・契約書・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「職人と施工体制が引き継げるか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。依存度などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。石工事・ブロック工事・外構工事はこのうち「職別工事業」に含まれます。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
職別工事業(79件) | EV/EBITDA | 2.8倍 | 4.6倍 | 8.9倍 |
職別工事業(99件) | PER | 4.5倍 | 10.2倍 | 15.6倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、石工事・ブロック工事・外構工事会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
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問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
石工事・ブロック工事・外構工事会社の価格を最も左右するのは「職人と施工体制、住宅会社・工務店との取引が引き継げるか」、次に「利益(EBITDA)」です。算定式を示した買い手の値付けはEBITDA倍率+手元現金を標準形とし、外構工事を含む関連案件には1案件あたり中央値4社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、職人と取引関係の引き継ぎを前提に手を挙げる、外構・造園の同業や住宅・建材系グループです。
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